奪還

 

 

 

冒険の書:P36

 

 ……鈍い頭痛と共に目が覚めた。全身が妙にだるい。

 まだ夜中か。ここは、教会……?

 そうか、即位式の後、いつの間にか酒盛りになって……すすめられて、一口だけ杯に口をつけた。だるいのはそのせいか。

 しかし、酒に弱いという自覚はあったけど、たったこれだけで参ってしまうなんて……僕、ここまでひどかったかな……?

 それに、どうしたんだろう……なんだかあたりが妙に静かだ。

 …静かすぎる。

 ぐるりとまわりを見回してみれば、視界に入った人達は皆ぐっすり眠っている。声をかけてみたのだが、まったく起きる気配を見せない。

 おかしい……朝まで続く宴会、というのに出たことはあるが、こんなふうに全員が全員酔いつぶれてしまって自分以外に起きている者がいないなんて初めてだ。

 ……妙な胸騒ぎがする。嫌な感じだ……。

 どこかに起きている人はいないものかとそこら中を調べて回ったが、目にはいるのは、前後不覚に眠り込む人々ばかり。うう、なんだか不安になってきたな……このままみんな目を覚まさないのではないかという気がしてくる。確か、昔サンチョからそういうお話を聞いたことが……いや、まさか。でも…しかし……そうだ、ビアンカはどうしているだろう。宴に出席していなかったビアンカなら、ひょっとすると起きてくれるかも。

 そう思い、早速ビアンカのいる寝室に向かう。

 ……だが、そこには誰もいなかった。

 ベッドの上で横になっているはずの愛しい妻も、先程までその隣で眠っていた可愛い双子も。

 信じられない気持ちでおそるおそるベッドに手をのばす。

 ……まだ温かい。

 と。突然ベッドの下から一人の女性が出てきた。ビアンカに付き添ってくれていた人で、両手に双子を抱きかかえている。

 その人は全身を震わせ、目に涙を浮かべて言った。ビアンカが魔物にさらわれた、と。

 ……ビアンカ!!

 とても信じられなかった。笑って即位式に送り出してくれたビアンカ……その彼女がさらわれてしまったなんて。

 あまりのことに、僕が動けないでいると、目を覚ましたらしいサンチョがやってきた。彼も不吉な気配を感じたらしい。話を聞いた彼は、これではまるで20年前のあの日と同じ…と口走った。

 ……20年前?

 僕が生まれたのも20年前……。

 そして、母マーサは魔物にさらわれた。

 父パパスはそれを探して幼い僕を連れて旅に出て、そして……。

 それと同じことが、今起きたというのか。

 ビアンカがさらわれた。恐らくマーサと全く同じ状況で。

 パパスはマーサに再び会うことなく、命を落とした。

 僕は……いや、同じにはさせない、させてたまるか!!

 僕はきっと…きっと、ビアンカを助け出す!!

 サンチョも僕と同じ気持ちらしかった。

 僕よりも早く冷静になった彼は、すぐにみんなをたたき起こしにかかり、それでようやく少し冷静になった僕も彼にならった。

 そして、騒ぎが一段落すると、すぐに緊急対策会議が開かれた。

 会議では、あの時の城内の不自然な様子から、酒の中に眠り薬でも入っていたのではないか、ということになった。となると、準備をした大臣があやしいが…どういうわけか、あれ以来彼は姿を見せていない。もっとも、大臣がいないことなど誰も大して気にとめていないようだが……ひょっとして、嫌われ者の大臣のこと、いない方が清々する、とか思われてるのかなあ。

 ま、大臣なんかよりもビアンカの方が遙かに大事だし。でも、ここまでいくと、ロコツにあやしいと思うんだけどなあ……なんで誰もそう思わないんだろう。

 ところで、僕はあの似合わないマントを邪魔だったのでもう脱ぎ捨てていたが、オジロンは赤いマントと冠を身につけたまま……ううむ、どっちが王なのやら。絶対オジロンの方が王様に見えるよなあ。ヒゲも生えてるし。……って、それこそどうでもいいことか。

 とにかく、兵士達が総力を挙げてビアンカの捜索にあたってくれることになったので、僕も独自に捜査を開始することにした。

 ところが、部屋を出て行きしなに、サンチョに呼び止められた。危ないことはするなというのだ。僕はもうグランバニアの王で、子供もいるのだから、ここで兵士達の報告を待てと。

 でも……そんな、じっとしていられない。

 この幸せがいつまでも続けばいいのにね、と言っていたビアンカの言葉が思い出される。

 ああ、ビアンカ……!!

 それに、僕は約束したんだ。ビアンカと、いついかなる時も、その生涯を共にすると。

 ビアンカはいつも僕を信じてくれた。その僕が助けに行かなくてどうするんだ。

 父パパスは、自らマーサを助けに旅に出た。決して他人任せになどしなかった。

 ここで僕が行かないようでは、父母にも、ビアンカにも、そしてわが子にも、誰にも合わせる顔がない。

 そう言おうとしたとき、急に辺りがまばゆい光に包まれた。それは光の渦となり……天空の剣になった。袋の中から勝手に出てくるとは……さすが伝説の武器、と妙なところで感心する。どうやらこの剣が、城を守る、ということらしいのだが……なんで剣なんだろう……?守るというなら、盾とかが出てきそうなものだけどなあ、普通。ううむ………。まあしかし、この天空の剣が出てきてくれたおかげで、サンチョも無理に引き留めようとはしなくなったみたいだから、助かったけど。

 とりあえず、ビアンカがどこに連れ去られたのか探さなければ……というわけで、まずは情報収集。城の中でいろいろな人に話を聞いてみるが、これといった情報は得られなかった。大臣が北の空を飛んでいった、なんてよくわからない話もあったけど…どうも、このまま聞き込みを続けても、これ以上の情報は得られないみたいなので、方向を変えて、第一容疑者・行方不明の大臣の部屋を調べてみることにした。すると、何やら妙な…靴らしきものが出てきた。羽がはえており、まるで生きているようにも見える。

 一体なんだろう。

 考えていてもしかたがないので、ためしにその靴?をはいてみると…なんと、いきなりルーラのように空を飛んだ。

 

 

冒険の書:P37

 

 着地したそこは、見知らぬ教会の前だった。地図で確認すると、グランバニアから湖をはさんで北になる。教会に人は少なかったが、聞き込みを開始すると、魔物達が北に向かって飛び去ったのを見たという人がいた。そして、その中に人の姿もまじっていたような気がする、と。

 それは……ビアンカをさらった連中である可能性が高い。

 さらに北に行ってみると、はたしてそこにはいかめしい塔が建っていた。

 意外にあっさり見つかるものだ…。しかし、なんだって城の人達は、今までこんな簡単なことに全く気づかなかったんだろうか?ひょっとして、グランバニア兵士の目は節穴か?

 もっとも、相手が大臣なだけに、疑問に思ってもなかなか口には出せなかったのかもしれないし、オジロンは人がいいからそんなこと考えもしないだろうしなあ……。

 とにかく、場所がわかったからには、準備を整えて、早速乗り込もう!!

 グランバニアの洞窟に行ってミニデーモンのミニモンを仲間にする。オークスは短い期間で預かり所行きとなった。そして、ベホマンがようやくレベル23になり、ザオリクを覚えた!!よしよし、このために僕はここに来たのだ。僕もレベル40になったことだし、準備は万全。景気づけと憂さ晴らしに行ったカジノではスイカ4つが二回も大当たりしてくれたし。これで、思い残すことはない。

 早速デモンズタワーの攻略にとりかかるが…この塔、かなり高い。そこで、レベル上げもかねて、まずはモンスターだけで下見してきてもらうことにした。

 ピエールとメッキーは戦力としてはずせないから…あとはアーサーとマッド。アーサーには、あまりピエールとの差が開きすぎないようにしてほしいし、マッドには早く激しい炎の特技を覚えてほしい。

 この四名で、宝箱の回収と最短ルート発見を最重要課題として下見を開始。後で、帰ってきた四人にその時の話を聞いたのだが……それで、肝の冷える思いをするはめになった。

 彼らは凶悪な炎の仕掛けのある広間の手前で引き返し、それまでに見落とした所を点検して……そして行き着いたのは、宝箱の並んでいる小部屋。これを回収すれば、ひとまず目的は達成されたことになるから、引き返す予定だった。ところが……!!

 ここで最初に開けた右端の宝箱は、なんとミミックだった!!しかも、いきなり受けたザラキでアーサーとメッキーが死んでしまった!!

 いきなりピンチ!!

 この四名に蘇生呪文の使える者はおらず、しかも唯一リレミトの使えるメッキーがやられてしまったのは痛い。

 と…とにかく、早くこいつを倒さなくては。残った二人が万一にもザラキでやられてしまったら、全滅である。幸い、その後再びみみっくがザラキを使う前に倒すことができたそうだが…本当に、危ないところだった。

 しかし、名前の赤くなった仲間を抱えたまま、一瞬で塔を脱出できる術は、もはやない。世界樹の葉を持ってはいたが……やはり使うのはもったいないような気がして、とりあえず行ける所までは行ってみようと、根性を入れて歩き、なんとか無事ここまで戻って来れたらしい。

 本当に、二つ並んだ棺桶を見た時は驚いた。こんなことはもうやめよう…心臓に悪いから。

 まあとにかく、彼らのおかげで、本番前に無駄な体力魔力を消費せずによくなったことは確かだ。戻って一泊し、そしていよいよ本格的にビアンカ救出作戦を開始!!

 パーティーは、僕、ピエール、マッド、メッキー。メタリンは、炎の仕掛けがあるので今回ははずれてもらった。ピエール以外、全員が全体攻撃可能。マッド以外はベホマを使えるし、僕はザオラルも使える。まあ、こんなところだろう。

 既に下見をしたピエール達がいるので、道に迷う心配はない。あまりモンスターに出会わぬまま、最短コースを進む。あの竜の彫像の広間はちょっとハラハラしたが……。岩がうまく運べなくて、ちょっとよろけた拍子にダメージを受けてしまう。一体誰だ、こんな凶悪な代物を作ったのは……。

 ぼやきながらも、ついに最上階。玉座にイノシシがふんぞりかえって座っていた。……妙に笑えるなー。

 でも、ビアンカはいない。どうやらこいつを倒さないと先へは進めない、ということらしい。

 イノシシーオークLV20は、それなりに攻撃力は高く、ルカナンまで使ってきたので、メンバーにスクルトを使える人物を入れなかったことをちょっぴり後悔した。……そういえばフバーハを使えるのもいないなあ。もうちょっと慎重にメンバー決めればよかったかも。

 しかし、ここまでレベルを無駄に上げた僕たちが、イノシシごときに敗れるはずはない。ルカナンを受けたものの、その次のターンで、ピエールのまどろみの剣が見事に効力を発揮、ちょっと卑怯かもしれないが、眠っているそいつを見事全員で袋だたきにしたのだった。

 オークLV20を倒すと、道をふさいでいた銅像がどこかに消え、通れるようになった。が、次の部屋にもまた番人が……。

 今度はキメラLV30。うちのメッキーは、もうLV32だから、それよりも弱い。しかも、こっちは四人である。正直言って、簡単だった。ちなみに、見た目はメスのようだが、口調からするとどうやらオスらしい……?モンスターの見分けって難しいなあ。モンスター使いだった僕が言うのもなんだけど。

 そして、銅像が消えた先に進むと、階段があり…それを降りると、そこは異様な空間だった。

 いや、一応造りは普通の玉座の間…ではあるのだが、やたらと薄暗く、禍々しい気配に満ちている。

 そして、正面の玉座にいるのは…あれは……!?

 いや…落ち着け…そうと決まったわけではない……別人かもしれない……それよりも今は、ビアンカだ。

 ビアンカは………?

 見ると、玉座の傍らに、ビアンカが立っていた。

 ビアンカは、僕を見ると一瞬嬉しそうな顔を見せたが、すぐに厳しい表情になって言った。来ない方がよかったかもしれない、と。

 魔物がビアンカをさらったのは、王である僕をおびきだすためだという。そして、自らがかわって王になりすまつもりだとか……。

 そこまで口にしたとき、突然落雷がビアンカを打ち据えた!

 ひとたまりもなく倒れるビアンカ。

 思わず駆け寄ろうとしたが、その前に、玉座に座っていた奴が口をきいた。

 ……奴は、ジャミと名乗った。

 ジャミ。

 忘れもしない、父の敵の名前。

 やはりそうか。こいつが…こいつがジャミなのか!!

 ……倒す!!

 今こそ…この父さんの……パパスの剣で!!

 

 ……しかし、気合いだけはこれまでにないくらい入っているのに、僕たちの攻撃は全く通じなかった。奴ははぐれメタルなみに頑丈にできているらしく、ダメージはよくて1しか与えられなかった。しかも、はぐれメタルと違って吹雪などの結構強力な攻撃をしてくるし……それにおそらく、HPも高いだろう。

 どうすれば……どうすれば、こんな奴を倒せるというんだ!?

 絶望が頭をもたげたとき、ふいにビアンカが戦いに躍り出た。

 ビアンカ……無事だったんだ。よかった。

 どういうわけか、ビアンカが前に立ちはだかったとき、その体は不思議な光に包まれて見えた。そして、その光がジャミのバリアを消し去っていくのがわかった……。

 何が何だかよくわからないが、恐らく、今がチャンスだ!

 よーし、総攻撃だ!!

 ……バリアがとけても、ジャミはなかなか手強かった。父さんは、これともう一体を相手にして、あっという間にやっつけてしまったのだ。父さんは、本当に強かったんだ……!!

 しかし、僕も決して負けるわけにはいかない!!

 苦戦もしたが、僕はついにジャミを…父の敵のうち一人を倒した。

 あと、二人……!!

 

 だが、感慨にひたる暇は十分に与えられなかった。ジャミが倒れてすぐ…なんと、あのゲマが突然姿を現したのだ。

 すぐにも奴をこの剣で切り裂きたい……そんな思いとは裏腹に、何故かまったく動くことができなかった。

 そんな僕をよそに、ゲマは得意げに語った。勇者は高貴な身分にある者とミルドラース(これまで幾度か耳にした名だ。…まさか、こいつが黒幕か?)が予言したため、高い身分の子供をさらっていたこと、そしてビアンカは勇者の子孫で…おそらく勇者は、ビアンカの血筋から、これから生まれてくるであろうこと。

 そういったことをひとしきり述べると、突然ゲマから青い光が発せられた。よける暇もあればこそ。……気づいた時には、僕とビアンカは、なんと石になってしまっていた。

 ゲマは、その身体で世界の終わりをゆっくりながめなさい、と相変わらずあのいやらしい笑いを浮かべて去っていった。

 ……くそっ!

 ゲマ………!!

 ゲマ…………!!

 なんとか…なんとかならないのか!?父の仇を目の前にしながら、一歩も動けないなんて!!

 しかし、いかに願おうとも、僕の身体は少しも動いてはくれなかった……。

みちる

グランバニアおう

せいべつ:おとこ

レベル:40

ちから:138

すばやさ:94

みのまもり:42

かしこさ:66

うんのよさ:93

攻撃力:163

守備力:152

最大HP:301

最大MP:160

ビアンカ

みちるのつま

せいべつ:おんな

レベル:34

ちから:50

すばやさ:102

みのまもり:64

かしこさ:100

うんのよさ:89

攻撃力:95

守備力:136

最大HP:186

最大MP:157

E刃のブーメラン

Eドラゴンメイル

Eふうじんのたて

Eてっかめん

Eきぼりの女神像

Eほのおのリング

Eモーニングスター

Eレースのビスチェ

Eうろこのたて

Eシルクのヴェール

Eみずのリング

カジノのコイン

36261枚

小さなメダル

40枚

所持金7260G

銀行:40000G

冒険した時間

99時間20分

 

 

 

2004.6.22

 

 

 

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