砂漠で待つもの

 

 

冒険の書:P30

 

 船から下りて砂漠に降り立つ。この「上陸」がなかなか大変で、ちょっと角度を誤ると、ひっかかったりぐるぐるまわるような感じになったりして、なかなか降りることが出来ない。そうこうしているうちに魔物に遭遇するし……気を付けないとな。

 そうして苦労して上陸した先は、砂漠。ただでさえ快適な船に比べると、陸地はしんどく感じられるのに…砂漠である。うう、まったく誰がこんな所に好き好んで国なんてつくったんだろう……。もう、暑いのなんのって。途中オアシスで一休みしたが、ビアンカもかなりまいっている様子だった。

 そのオアシスでは、なぜか井戸の底に人がいて、話しかけるなり「さばくバラコレクションは見せてやらないぞ」と、まだこちらが何も言わないうちからとりつく島もない。嫌な感じ。いつか僕たちのさばくのバラとやらを手に入れて、見せびらかしてやりたいなあ。さばくのバラっていうぐらいだから、このへんにありそうなんだけど、どんなものかわからない以上、探しようがない……。テルパドールに行ったら何か分かるかな。

 というわけで、一休みしたことだし、テルパドールに向かってなおも進む僕たち一行。

 ……結構遠いな。もっと近いかと思ってたのに。

 まだ着かないのか……としびれをきらしかけた頃、ようやく城が見えてきた。着いた時は、もう夜だった。

 テルパドールの城下町(?)に入ると、しんと静まりかえっており、吹き荒れる砂嵐の音だけが、いやに大きく響く。砂漠の夜は意外に冷え込むが、この静けさ(と砂嵐の音)のせいで、余計に寒く感じる。ビアンカが少し熱っぽいような気がすると言い出したので心配だ。名産品博物館周辺でのメタル狩りで皆体力を消耗していることでもあるし、今晩はここに泊まるとしよう。宿の隣の建物にいた男が、この辺りは夜は結構砂嵐が舞うから、さばくのバラを探すなら、宿屋にでも泊まって明日の朝にするといい、と言っていたことだし。

 そんなわけで、明けて翌朝。

 夜の寒さが嘘のように暑い。うう……本当に、よくこんな所に住んでいられるなあ……いくらオアシスがあるって言っても……。

 ……っておい、あそこに人が倒れてるじゃないか!

 こんな城の側でも倒れる人がいるなんて……本当に、砂漠の暑さは怖ろしい。

 とにかく水のある所へ運ぶとしよう。ずるずるずる……

 ……おや、こうして押すのは結構楽しいなあ。不謹慎だけど。あっちこっち引っぱっていきたい気分だ。ビアンカが見てなければやってたかも……。

 そうして彼(行商らしい)をオアシスまで連れて行ってやると、急にすごい勢いで水を飲み始め(水、枯れないかな……?)、元気になったかと思ったらいきなり商売を始めた。ちなみに、安くしてくれたり……は、しないようだ。見上げた商人根性である。一応恩人なんだし、商売するならちょっとぐらい安くしてくれても……ま、いいけどさ……。

 その後、武器防具屋に言って、シルバーメイルを二着買う。僕とピエールの分だ。うう、結構高い……。レースのビスチェをすごろく場で手に入れていたのはラッキーだった。テルパドールで買うのはこれだけ。ああ、でもゴールドカードがあって本当によかった。それでもこれだけ苦しいのだから、カードがなければどれだけ大変なことになっていたか……。

 そうして買い物をすませたところで、城周辺でさばくのバラを探してみたが、見つからない……うーん。先に城に行こう。城でまた新たな情報が聞けるかもしれないし。

 城には馬車は入れないのだが、せっかくだから、新たに仲間になったベホマンと、馬車から出ることのないホイミンを列に入れていくことにした。敵も出ないから戦闘面に配慮する必要はないし。うんうん。こうしてみると、可愛くていいなあ。ふよふよ浮かんでるのがなんとも言えない……。

 で、城の中に入った僕たちは、早速城内探索を開始。ずかずかと部屋に踏み込んで、話を聞いたりタンスを漁ったりツボを割ったりとやりたい放題。……さすがに罰が当たったのだろうか。

 台所でツボを調べたら、なんと悪魔のつぼだった!!

 うわあ、これは…まずい。普段なら割と簡単に倒せる相手だが、何しろ今は、戦えるようなパーティー編成をしていない。ベホマンは仲間になったばかりだし、ホイミンも回復要員で攻撃力などに関しては今ひとつ。ビアンカも、その攻撃力に関してはそんなに期待していないし……。

 ………つまり、実質頼りになるのは僕一人!?

 こ…これはまずひ……。全滅したらG半額、の文字がちらつく。

 ザラキでビアンカは死んでしまうし……ああ、メタリンみたいにザキ系が絶対効かない、と自信を持って言える奴もいなければ、速攻で倒せるわけでもない……。

 背中にダラダラ汗をかきながら、それでもなんとか倒すことに成功した僕たち。ああ、本当に危なかった……。全くもって心臓に悪い。今度からは、町でも初めての場所では油断しないようにしよう……。

 ビアンカをザオラルで生き返らせ、気を取り直して二階へ。しかし、そこに女王はいなかった。夜でもないのに玉座に王がいないというのも珍しい。地下の庭園にいるのだとか。地下に庭園……?

 不思議に思いつつも、早速そこに行ってみることにした。

 

 階段を下りると、そこには信じられないような光景が広がっていた。

 一面に咲く色とりどりの花々。

 湧き出でる泉。

 普通の街や城でも、これほど美しい光景には早々お目にかかれない。ましてやここは砂漠、そして地下なのだ。

 まさに奇跡。

 この世のものとは思えない光景。

 外の砂一面の光景をしばらく見てきただけに、その美しさにより感動を覚える。なんて素晴らしいのだろう……!!

 見とれながら歩いていると、見張りの兵士がこれも女王様の力のたまものなのだと自慢げに話してくれた。なんでもここの女王アイシスは、美しいだけでなく未来を知る力もあるのだとか。

 未来を知る力とこの庭園にどんな関係があるのかはよくわからなかったが、とにかく女王がすごい力を持っているということはわかった。…やっぱり勇者のお供の子孫ともなると、そういう力があるのかなあ。

 城の人の話によると、ここは勇者のお供をした人が建てた国で、勇者に関する伝承が数多く伝わっているらしく、勇者が天空人と人間の血をひいているということがわかった。もっとも、そんなこの国でも勇者や勇者の子孫がその後どうしているかは全くわからないらしいのだが……。この国の人達は、何百年も勇者の出現を待ち続けているらしい。

 僕が生きてるうちに出現しなかったらどうしよう……。せめてゲマだけでも倒したいけど……。

 ま、そんなこと考えていても仕方ない。今はこの景色を楽しむことにしよう。それと、庭園を見て喜ぶビアンカの笑顔も……。

 二人で(本当はモンスターが二匹加わってるけど)久々にのんびりと散歩など楽しんでいると、踊り子らしき人が、さばくのバラは、以前は豊かだった土地にあるとーつまりさばくのバラのある場所には以前は水があったーということを教えてくれた。

 それにしても、砂漠にいる人って、なんで踊り子が多いんだろう。それとも、涼しい格好をしたら踊り子みたいな格好になっただけで、本当は踊り子じゃないのかな?

 そんなことを考えながら、ふと先の方を見やると、椅子に腰掛けていた黒髪の女性と目があった。美しく、何やら神秘的な雰囲気のする女性だ。着ているものもの高価そうで……おそらくこの人が、女王アイシスだろう。何よりも、雰囲気が違う。

 話しかけてみると、はたしてその女性は女王アイシスと名乗った。

 女王は、僕に何か感じるものがあると言い、勇者のお墓まで案内してくれた。

 それはありがたいのだが、なにもそんなに急がなくても……。追いかけるの大変だったぞ。この国には、「人を案内する時は全力疾走すること」という法律でもあるのか?

 まあ、そんなに広い城でなかったのが幸いして、何度か見失ったものの、無事勇者のお墓まで辿り着くことができた。それにしても、不気味なところだなあ……ここ。僕だったら、こんな真っ暗なところよりも、明るい所に埋葬してほしいなあ。丘の上とか。まわりに花畑なんかがあったら嬉しいんだけど。

 父さん…遺体が残らなかったから、お墓も作ってあげられなかったな………。

 暗い所を歩いていると、気持ちも暗くなってくる。階段を下り続け、ひょっとしてもう地上に出られないのではないかと理由のない恐怖を感じはじめたころ、目的の場所に着いた。

 どういう仕組みか、そこだけいやに明るくなっていて、大きな石碑と、その前に美しい兜が置いてあった。

 女王は言った。魔王を倒した後の勇者の行方を知る者はなく……勇者のお墓というのは嘘で、ここでは勇者の使っていたという兜を守っているのだと。

 そして、僕にその兜をかぶってみるように言った。

 ……天空の剣は駄目だった。

 今度もたぶん、駄目だろう。

 でも、もしかしたら………。

 そんな希望を捨てきれず、言われるままにかぶってみる僕。

 でも、やはり駄目だった。頭が鉛のように重くなって…とてもかぶっていられない。

 僕もがっかりしたが、女王様もなんだかがっかりしたようだった。

 僕たち二人を残し、来た時と同様全力疾走で帰ってしまった。

 とりあえず、僕たちも兜をもとに戻し、追いかけることにする。

 女王は、また先程の庭園のもとの椅子に座っていた。

 女王は、少しだが心を読むこともできるらしい。この庭園といい、本当になんでもありなんだな……。

 僕の勇者を強く求める心が何かを感じさせたのかもしれないと彼女は言った。そして、なぜそれほどまでに勇者を求めるのか話して欲しいとも言われた。別に隠すことでもないので、僕は事情を話した。……もしかしたら、これで何か新しい情報が手に入るかもしれないし。

 話を聞き終わった女王は、驚くべきことを口にした。僕の父が、グランバニアのパパス王のことではないかというのだ。パパス王は、さらわれた王妃を助けるため、幼子を連れて旅に出たとか……。

 名前は同じ。状況も一致している。

 ……偶然とは思えない。

 まさかとは思う。でも、この一致……確かめずにはいられない。

 僕はすぐさま、グランバニアに向かう決意をした。

 ……次の目的地は決まった。

 

 

冒険の書:P31

 

 さて、次の目的地がグランバニアに決定したが、だからといって、別段急ぐ旅ではない。とりあえず、この近辺でやれることは全部やっておこうというわけで、まず砂漠のバラを探すことにした。

 でも、城周辺にはなかったなー……だとすると、城の外かな。

 「かつて豊かだった所」というヒントをもとに、またあのオアシスまで行ってみた。でも、見つからない……。一体どこにあるんだろう。「かつて」水のあった所、というから、必ずしもオアシスじゃないのかなー……。だとすると、この広大な砂漠を隅々まで探し回るのか!?ううむ、これは思ったより骨が折れそうだ……やれやれ。

 とにかくやるしかないと思い、そのへんを歩き回っていると、南の岩山近くに木々が転々と生えているのを見つけた。水はない。

 ……もしやこれは、「かつて水のあった所」!?

 期待に胸をふくらませ、その木を辿っていくと……あった!丁度城の少し南に位置する場所、そこに何か変わった形の石が……。調べてみると、やはり砂漠のバラ!日が沈む直前の出来事だった。

 砂漠のバラは手に入れたし、これを探す途中で炎の戦士のファイアも仲間になってくれたし、嬉しい限りである。

 ここでの用はすんだので、早速船を出し、砂漠を後にする。

 船に揺られながら、久しぶりにのんびりしていると、ビアンカが、僕と喋るのが好きだと言ってくれた。僕は胸が熱くなった。本当に、ずっとこうしていられたらいいのに。

 ゆったりと船を進めていくと、南に島が見えた。いかにも「南国の島」という風情に僕たちはなんとなく引き寄せられ、降りてみることにした。すると、島の中央あたりに小さな城があるのを見つけた。尖塔がスライムの形をしている、という非常に個性的な城だ。

 中に入ると数人の人がいたので話しかけてみたところによると、ここがかのメダル王の城であることがわかった。

 へえ、ここがあの物好きで有名なメダル王の城か……。壁紙や柵まで小さなメダルの模様になっているのがすごい。とりあえず、宿屋のおばさんからメダル型チョコを購入したが、幻の名産品ってふうでもないな……。他にあるのかもしれないと思って、王様に聞いてみることにする。

 王様は、まず袋の中にあるちいさなメダルをめざとく見つけ、こちらがまだ何も言わないうちに勝手に持っていってしまったが、褒美をくれるというのでまあよしとしよう。……でも、現時点では、まだそんなに欲しいのはないなあ。とりあえず、ちいさなメダルはおいておいて、幻の名産品について聞いてみた。

 メダル王にはどうやら心当たりがあったようなのだが……使い道がないので玉座の下に敷いていたところ、あまりにも座り心地が悪いので、宿屋のおばさんにあげたとか。……おいおい、ひどい扱いだな。本当に幻の名産品なのか?その後、その行方を追ってみたが、つけもの石には重すぎる、まな板に使ったら包丁がボロボロになった、盾に加工してみたが装備できる者がいない、などの理由で次々とたらい回しにされたあげく、城の外に捨てられたとか。

 ……本当に、ひどい扱いだな……。

 ゆうじいさんが知ったら泣くぞ。

 で、外に出た所、巨大な何かに押しつぶされているスライムを発見。どけて助けてあげると、危ないから持っていけ、と八つ当たりのようにしてそれを渡された。

 ……大きなメダル。

 どうやらこれが幻の名産品らしい。

 しかし、なぜだろうな……ちっともありがたい気がしないのは……。

 まあ、とにかく合法的に手に入ったので、これをゆうじいさんのところに持っていくことにした。

 ゆうじいさんは大喜びして、僕にこの博物館をくれ、館長にすると言った。……ずいぶん気前がいいなあ。こうして人の目に見えるんだから、べつにゆうじいさんが館長になっても不都合はないような気がするんだけど。それとも、ゆうじいさん自体、珍品扱いされてるのかな。

 何はともあれ、館長なんて面白そうなことができるのは嬉しいことだ。早速名産品を並べてみることにした。

 3階には大きなメダル。他の階にもあれこれ並べてみる。まだまだ空いた台座は多いが、レベル2になるとお客さんもそこそこ来てくれて嬉しい。いつの間にやら博物館に僕の名前がついているのもなんだか照れくさいけど嬉しい。思い切って思い出の品なども並べてみると、レベルは3になり、警備の人や受付の人までいつの間にか雇われていて、だいぶ博物館らしくなった。各階に人がいて、博物館はいっそうの賑わいを見せているようだし。嬉しいなあ。ゆうじいさんも喜んでくれているようだし。ゆうじいさんは、入場料のわけまえだといって500Gをくれた。そんなものとってたのか……。しかし、受付や警備の人を雇っていたことといい、やっぱりこの博物館の実質的な館長ってゆうじいさんなんじゃ……。

 しかし、空いた台座を埋めたいが、今のところそれだけの名産品を手に入れるあてはない。仕方がないので、とりあえず、メダル型チョコやボトルシップを買い漁り(ああ、お金が……)、さばくのバラを集めて並べた。台座は埋まったが、博物館レベルは上がらない……。ゆうじいさんには台座を埋めたことを喜んでもらえたものの、日記で遠回しに名産品を並べるセンスがない、と嘆かれているし……。やっぱり埋めればいいってわけではないのか。

 でも、現時点ではこれ以上どうしようもないしなあ……。もう寄り道はするな、ということかな?

 仕方がない、名産品博物館はこれぐらいにして、東に向かうとしよう……。

 

 

2004.5.30

 

 

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