新世界へ

 

 

冒険の書:P28

 

 サラボナを出る前にルドマンさんに挨拶した方がいいとビアンカが言ったので、その言葉に従いルドマン邸に立ち寄った。

 フローラを選ばなかったというのに、ルドマンさんは上機嫌で僕たちを出迎えてくれた。……ひょっとして、やっぱりフローラを嫁にやるのがいやになった、とか……?

 なにはさておき、こうして祝福されるのは嬉しいものだ。夫婦と呼ばれるのはいささか気恥ずかしかったが。ヘンリーとマリアがもう帰ってしまったと聞かされたのは残念だったが、ルドマンさんは、お祝いだと言って宝箱二つと船までくれた。

 宝箱を開けると、片方には2000G、もう片方にはなんと天空の盾が入っていた。

 ………やった、これでまた目標一つ達成!!

 ビアンカを選んだのだから、盾についてはこの時点ではもうあきらめていた。なのに、今これが手にはいるなんて!!

 フローラを選ばなかったのに、家宝の盾まで気前よく譲ってくれるなんて、ルドマンさんって、本当にいい人だなあ。結婚式を挙げてくれたのも嬉しかったけど、今回、これが一番ありがたかったかな、僕は。……ビアンカにはとても言えないけど。

 でも、思ったままにビアンカを選んで本当によかった。無理をせずとも、目的は果たせたんだからなあ。いやいや、本当によかった。

 ルドマンさんは、ポートセルミの南にテルパドールという国があると教えてくれたが、せっかくの新婚なんだから少し寄り道をして楽しんでくるといいと言ってポートセルミから東の海に浮かぶカジノ船をすすめてくれた。ルドマンの名を出せば特別室に泊めてくれるはずだとも言った。……すごいな。

 新婚なんて呼ばれると照れてしまうが、そうか……これからしばらくの旅は「新婚旅行」ってことになるのか。そんなこと考えもしなかったけど、そう思うとなんだかドキドキしてきた。

 隣を見ると、ビアンカが微笑んでいて、気を遣わなくていいから僕の行きたい所に行けばいいと言ってくれた。

 ビアンカ……。

 そんなビアンカの心遣いが嬉しかった。

 でも、こういう場合、やはり新婚旅行には行きたいものなのではなかろうか。

 僕は、ビアンカの笑顔が好きだった。ビアンカを喜ばせてあげたかった。

 だから僕は、新婚旅行に行くことにした。

 ルドマンさんは、思い出の地を巡るのもいいだろうとアドバイスしてくれた。

 う〜〜ん、どこに行こうか……

 え〜い、こうなったら全部行ってやろうじゃないか!世界一周ならぬ世界半周だ!!

 

 やっぱりダンカンさんにも挨拶しなきゃな、ということでまず向かったのは山奥の村。ダンカンさんは、ビアンカが結婚したことで安心し、だいぶ元気になっていた。もうベッドには寝ておらず、ちゃんと椅子に腰掛けていた。なにはともあれ一安心。そういえば、アンディもすっかりよくなって、フローラにふさわしい男になるんだ!とかはりきってたけど、やっぱりこういう精神安定も健康には重要なのかなあ。……なるべくビアンカを死なせないように頑張ろう。まあ、シルクのヴェールのおかげでずいぶん守備力が上がったから大丈夫だとは思うが……。

 その後は、思い出の地巡り。この前もあちこち行ったけど、新婚旅行だって思うと何もかも違って見えるから不思議だ。何を見ても新鮮で、ビアンカと一緒にいることがすごく幸せ。そういえば、この新婚旅行では、ビアンカばかり見ていたような気がする。ビアンカの笑顔の前には何もかもがかすんでしまうんだ……。

 でも、ヘンリーほど重症じゃないぞ。ヘンリーときたら、わざわざ顔見せに行ったというのに、今度もまたビアンカのことが全く目に入らない様子だったのだ。僕はそこまでひどくない……はず。

 それに、新婚旅行のメリットはまだまだある。ヘンリーにはビアンカについてのコメントがもらえなかったが、また周辺で仲間モンスターを増やすことができた。腐った死体のロバート、イエティのホワイト……嬉しいけどスライムナイトにもっとなかまになってほしいのに、と思っていたら、しばらくしてアーサーが仲間になってくれた。見た目はもちろん、名前もかっこいいのでとても気に入っている。ちょっと、ピエールとのレベル差が開きすぎているので苦しいが……。それから、爆弾ベビーのニトロも仲間にできた。これで、今まで通った大陸で仲間にできるモンスターはあらかた仲間にしたことになる。ふふふ。

 でも一番嬉しかったのは、やはりビアンカに喜んでもらえたことである。いろんな所を巡っていると、ビアンカが新婚旅行って感じがするねととても嬉しそうに笑った。それが僕には何よりも嬉しかったのだ。

 そして、思い出の地巡りを終え、いよいよ大海原へ!!

 船に乗ったことは何度かああるが、こうして自分の好きな所に自由に船を使っていける、っていうのは初めてだ。ましてや今回、ビアンカもいるのだ。今までのどの旅よりもワクワクする。

 期待に胸をふくらませながらドッグに入ると、僕はまた驚いた。なんと、その船は、あのストレンジャー号だったのだ!!

 幼い頃、父さんと一緒に乗った船……今度はその船に、ビアンカと乗って旅することになるなんて、なんだか不思議な感じだ。

 でも、僕は嬉しい。なんだか、父さんも一緒に乗っているみたいな気がして……。

 それにしても、このご時世に十年以上前から現役だなんて、こいつもすごい船なんだなあ。

 

 船長の出航の合図と共に、船は大海原へと進み出す。

 ゆうゆうと進む僕の(本当は違うけど)ストレンジャー号。

 なんとも良い気分。

 その気分のまま、僕たちは一大リゾート地、カジノ船へとやってきた。

 世界中のお金持ちが集まる夢の楽園!

 ストレンジャー号よりも大きな船が一隻まるごとカジノ!!

 僕たちは、ただただそのスケールに圧倒させるばかり。

 いやあ、豪華だなあー……新婚旅行でこんな所に来れるなんて、本当に幸せ者だ。でも、お金を使い切ってしまわないように気を付けよう。

 僕たちは、早速船の中を探検した。とても広いので、大変だけど探検しがいがある。下にはすごろく場まであった。

 運の良さ255のメタリンを選んで、早速挑戦!

 レベルはそんなに高くなく、守備力は異様に高いので戦闘の心配は必要なし。一応薬草だけ持たせたけど……。初めてなのにもう三層目に辿り着き、よろず屋で買い物をすることができた。魔法の聖水を売っていたので大量に買い込み、50本以上を所持できた。これはありがたい。2回目は落とし穴に落ち、さしたる収穫もなかったが、3回目に宝箱からマジックシールドを入手した後、めでたくゴール!!レースのビスチェと小さなメダルを手に入れた。

 まさか、こんなに早くゴールできるなんて……!!

 さすがメタリン、運の良さ255は伊達じゃない!!

 ありがとうメタリン、素晴らしい結婚祝いだよ!!

 いや、本当に僕たちは運が良い。

 満足した僕たちは、その晩特別室にタダで泊まらせてもらい、幸福感に包まれてぐっすり眠った。……あんなにふかふかで寝心地のいいベッドも初めてだった。

 さて、景気づけも大成功に終わったことだし、これから早速まだ見ぬ地へ出発しよう!!

 隣ではビアンカが微笑んでいる。

 ビアンカと一緒ならどこまでだっていける……。

 さあ、テルパドールに向かって出発だ!!

 

 

みちる

モンスターつかい

せいべつ:おとこ

レベル:33

ちから:110

すばやさ:81

みのまもり:37

かしこさ:57

うんのよさ:77

攻撃力:135

守備力:114

最大HP:257

最大MP:130

ビアンカ

みちるのつま

せいべつ:おんな

レベル:21

ちから:110

すばやさ:81

みのまもり:37

かしこさ:57

うんのよさ:77

攻撃力:135

守備力:114

最大HP:257

最大MP:66

E刃のブーメラン

Eはがねのよろい

Eマジックシールド

Eてっかめん

Eきぼりの女神像

Eモーニングスター

Eやすらぎのローブ

Eうろこのたて

E銀のかみかざり

ピエール

スライムナイト

せいべつ:???

レベル:31

ちから:97

すばやさ:88

みのまもり:58

かしこさ:53

うんのよさ:65

攻撃力:142

守備力:130

最大HP:250

最大MP:94

メッキー

キメラ

せいべつ:???

レベル:20

ちから:110

すばやさ:95

みのまもり:84

かしこさ:51

うんのよさ:64

攻撃力:135

守備力:132

最大HP:156

最大MP:186

Eはじゃのつるぎ

Eてつのよろい

Eマジックシールド

Eてっかめん

E刃のブーメラン

Eみかわしのふく

 

Eシルクハット

ホイミン

HP:172

MP:70

攻撃力:96

守備力:137

レベル:25

コドラン

HP:167

MP:0

攻撃力:143

守備力:111

レベル:24

メタリン

HP:42

MP:89

攻撃力:124

守備力:330

レベル:9

ジュエル

HP:130

MP:134

攻撃力:115

守備力:231

レベル:6

 

 

 

冒険の書:P29

 

 海の上は、陸よりもあまりモンスターが出ないような気がする。それに、船は速い。すいすい進めるのが気持ちいい。

 もちろん、たまに魔物は出るけれど、噂ほど手強くなくて、簡単だ。途中、しびれくらげのしびれんが仲間になった。2,3回戦っただけなのに仲間になるなんて、噂通り仲間になりやすいんだなあ。

 ずっと南下していくと小島があり、そこの立て札にさらにまっすぐ南下すればテルパドールだと書いてあった。案内板まであるなんて、親切だなあ。

 すぐにそこに行こうかとも思ったけれど、隣の小島に何かの建物が見えたので、気になってそちらに先に行ってみることにした。

 小島は一面、深い森。そこで……僕たちは、出会った。

 

 銀色に輝くボディ。

 この世の幸運を全て詰め込んだその美しい身体。

 僕たちに幸福を授けてくれる幸運の女神。

 でもなかなか祝福を授けてくれない、気まぐれな、意地悪な女神。

 ……はぐれメタルだ!!

 

 僕たちは色めき立った。胸の底からわき上がる興奮が抑えられない。こいつが……こいつが、あの伝説のはぐれメタル!!

 ようし!絶対仕留めるっ!!

 

 こんなこともあろうかと、僕は装備できる者には毒針を持たせていた。早速メンバー入れ替え&毒針装備だ!!

 ただし、ピエールだけは、毒針装備できなくても会心の一撃狙いでパーティーに加えておく。どうもこいつは、会心の一撃を出す確率が高いような気がするのだ。

 そして、まずはメタリンの攻撃!!なんと,はぐれメタルに先制をとった!!さすがメタルスライム、それにこれまで育ててきただけのことはある!!

 その次ははぐれメタルの行動だったので緊張したが、幸い逃げ出さずにこちらを攻撃してきた。よし、これで一安心!総攻撃だ!!

 そのターン、他のメンバーも皆1ずつダメージを与え、そして次のターン、真っ先に行動したメタリンの毒針がはぐれメタルの急所を一撃!!はぐれメタルの息の根を止めた!!

 はぐれメタルを倒した!!

 ああ……なんたる幸運!!レベルの上がる者が続出し、僕はこの喜びをしみじみとかみしめた。

 

 僕たちは、浮かれながら森深く静かに佇む建物に入った。その中には一人のおじいさんが立っていた。でも、透けてるな……ひょっとして、幽霊?

 そのおじいさんは、世界中の名産品を集めるのが夢で、この博物館を建てたんだそうだ。しかし、集めるのを誰かに頼もうと思っていたのに誰も来なかったため、待っているうちに死んでしまったそうだ。

 う〜ん、なんというか……いろいろな意味ですごいおじいさんである。

 そのおじいさん(ゆうれいのじいさんだからゆうじいと呼んでくれ、と言っていた。本名は忘れてしまったとか。一体いつから待ってたんだろう?)は、メダル王の城にあるという幻の名産品をしきりに見たがっていた。

 ま、小さなメダルもそこそこ集まっており、一度はそこに行ってみたいと思っていたので、機会があれば探してみよう。それを持っていけば、僕をここの館長にしてくれるみたいなことも言っていたし……。

 館長というのはやったことがないが、なかなか面白そうだ。それに、僕の今までの思い出の品々がみんなに見てもらえるというのも、なかなか悪くない。

 僕は、ゆうじいに探してみると言って博物館を後にした。

 でも、このままここを立ち去るのはちょっと惜しい。ここにははぐれメタルがいるのだ。二匹目のドジョウを狙って、僕たちはもう少しこの島をウロウロすることにした。

 しかし、世の中そんなに甘くない。この島にいたのははぐれメタルばかりではなかった。強いモンスターがウヨウヨいたのだ。これまで戦った魔物立ち寄りも数段強い。思うようにダメージを与えられず、また多くのダメージを受ける。1ターンでは倒せない。正直、ちょっときついものがある。パーティー編成を変えればなんとかなるのはわかっていたが、ビアンカとはいつも一緒にいたいからなあ……。

 そんなわけで、少々きつく感じながらも戦っていると、労りのつもりか、驚くべき幸運が訪れた。

 ベホマスライムのベホマンが、仲間になったのだ。

 マムーの呼び寄せたベホマスライム。こいつはまだ9匹目の相手だった。非常に仲間になりにくいとモンスターじいさんに聞いていたのに、たった9匹で仲間になってくれようとは……。

 ああ、僕は幸せ者だなあ……。

 そういえば、ホイミスライムのホイミンも、さまようよろいに呼ばれてきたのが仲間になったんだっけ。呼ばれてきた奴の方が仲間になりやすいのかな。まあ、ただの偶然だとは思うけど。

 ベホマンが仲間になってくれたので、ある程度成長したのを機に、ホイミンを預かり所行きに。MPがなかなか増えず、あっという間にベホマンに追いつかれてしまったからなあ……。

 その後、メタリンのおかげで何度かはぐれメタルを仕留めて満足した僕は、南に向かった。

 ……砂漠が見える。テルパドールだ。

 

 

2004.5.27

 

 

 

次へ

戻る

プレイ日記風小説に戻る

 

 

inserted by FC2 system