炎のリング

 

 

冒険の書:P23

 

 ルラフェンを後にした僕たちは、早速南に向かって出発。サラボナへ行くのだ。途中立ち寄った小さな宿屋で、「花嫁修業を終えた大金持ちのお嬢さん」の話をシスターから聞いた。たぶん、海辺の修道院で聞いた人のことだろう。…とすると、このシスターは、海辺の修道院の人?こんな遠くまで、よく無事に来られたなあ……。帰りの船、出てないけど大丈夫なんだろうか?

 一通りのうわさ話を聞いた後、僕はカウンターにあったうわさのノートを無断で持ち出した。いやあ、子供の時からの習慣ってなかなか抜けなくて。それに気付いた宿屋のおじさんには呆れられてしまったけど……咎められなくてよかった。ま、タンスの中とか引っかき回してもなにも言われないんだから、ノートぐらいいいのか。ははは。

 このうわさのノート、結構面白いことが書いてあるので、読みながら出発。片手間に魔物を倒しつつ、サラボナへ。途中洞窟を抜けたが、単純な造りだったので簡単だった。全部の洞窟がこんな感じならいいんだけどなあ。

 地図を見ながら進むと、そこに見えるはサラボナの町……と、塔?町のすぐ隣に塔があるなんて珍しい。気になって入ってみたが、幸い魔物は出なかった。見張りの兵士の話によると、これまでもあちこちでその名を耳にした大金持ちのルドマンさんが、魔物を見張るために建てた塔らしい。てっぺんに上ると、さすがにいい眺めだ。地平の彼方まで見渡せる。ヘンリーにも見せてやりたかったなあ。

 素晴らしい景色を十分に堪能した後、僕たちはようやくサラボナの町に入った。へえ、結構整備されたなかなか綺麗な町だなあ……と、呑気に眺める間もなく、いきなり走ってきた犬に飛びつかれた。……どうやらなついているらしい。頭を撫でてやっていると、その犬を必死に追いかけてきたらしい女性がやってきた。青い髪の綺麗な人だ。どうやらこの犬―リリアンの飼い主らしく、しきりに謝ってきたが、日々キラーパンサーのプックルにじゃれつかれている僕としては、このぐらい何でもない。その女性は、リリアンが自分以外の人になつくなんてと驚いていたが、まあ、魔物使いの僕にはこのぐらい朝飯前である。はっはっは。その女性は謝りながら立ち去っていったが……おかしいな、初めて会ったはずなのに、以前どこかであったような気がする。そんなはずないんだけどな……。

 まあ、何はともあれ、町に着いたからには買い物買い物……っと思ったはいいが、道具屋には誰もいない。一体どうしたことだろう。もっとも、防具屋で仲間のシルクハットをたくさん買ってお金がなくなってしまったから、別に開いてなくてもいいんだけどさ……。

 町の人の話によると、今日ルドマンさんの屋敷で重大発表があるらしい。なんでもルドマンさんは、一人娘のフローラの結婚相手を募集するとかしないとか……。フローラは、それは美しい清楚な女性で白バラのフローラとも呼ばれ、これまでも求婚者が後をたたなかったらしいが、ルドマンさんが決して相手にさせなかったとか。フローラ……どこかで聞いた名前だな。どこで聞いたんだろう…?

 とにかく僕は、ルドマンさんの屋敷に行ってみることにした。旅の商人の話によると、結婚相手には家宝の盾をくれるとかいう話……サラボナの町には昔勇者が使っていたという盾があるとデール王から聞いていたから、それが天空の盾―僕の求めているものである可能性が高い。

 そんなわけで、早速屋敷に向かう。僕は別にフローラと結婚する気はなかったのだが、とりあえずそういうことにしておかないと屋敷には入れないみたいなので、そのように伝えて部屋に入るった。そこには僕の他に3人の男がいた。ルドマンの財産を継いで店を大きくしたいという道具屋の主人、美しい娘と宝を手に入れたいと望む若い男、そしてフローラとは幼なじみだという、アンディという若者。彼は、お金も宝もほしくはないが、彼女が妻になってくれるなら……と、ひどく純粋にフローラを想っているようだった。ううん、なんとも情熱的な若者だなあ……フローラのことしか頭にないって感じだ。僕としては盾さえもらえればいいんだけど……我ながら、こういうことに関しては冷めてるなあ……。

 そんなことを考えているうちに時間が来て、僕たちは応接間に通された。そこにルドマンさんがようやく登場。恰幅のいい、いかに「大金持ち」という感じの人で……あ、思い出した!この人、昔父さんとの船旅を終えてストレンジャー号から降りる時、鉢合わせた人だ!!へえ、変わってないなあ……しかし、こんな所でこんな形で出会うことになるとは、わからないものだなあ。とすると、あの時一緒にいた小さなおとなしい女の子が今話題のフローラか。一体どんなふうになっているんだろう。

 ルドマンさんは、席につくと早速フローラの結婚相手について話し始めた。ただの男に可愛いフローラをやろうとは思わない、この大陸のどこかに眠るという二つの指輪、炎のリングと水のリングを見つけ出し、フローラとの結婚指輪にできた者に、フローラと家宝の盾を与えよう、と。

 ……家宝の、盾。

 こうなれば、僕もなんとしても二つのリングを手に入れ、フローラと結婚しなければ。アンディには気の毒だが、やはり今の僕には父の遺言が何より優先するのだ。

 フローラは、危険な真似などしないでほしい、とルドマンの条件に困っているようだったが、それでも父親に逆らうことは出来ない様子。うーん、いかにもお嬢様って感じだなあ……。

 ルドマンさんの話が終わった後フローラに会いに行ったら、フローラは初めて会ったときと同じように鏡の前に座っていて、僕は既視感を覚えた。あの後僕にはいろいろな事があったけれど、フローラはあの頃から何も変わっていないような気がした。……それがひどくなつかしく、不思議と安堵を覚えさせた。

 必要なのは盾だけだけれど、彼女と結婚するというのも、悪くない気がした。

 

 ルドマンさんにリングのことを聞くと、炎のリングは南東の死の火山に眠るらしいと教えてくれた。溶岩の流れる危険な所らしく、道具屋の主人と若い男は命が大事と早々にフローラとの結婚をあきらめてしまったそうだが、アンディだけは、なんとしてもリングを手に入れるとはりきっているらしい。でも、あいつ、あんまり強そうにも見えなかったし、大丈夫かなあ……。

 気になって、アンディの様子を見に行くと、彼はやる気まんまんで準備をしているところだった。呪文の勉強もしているんだ、といって冗談半分に「メラ」と言ったらベッドに火がついてしまって大変だったけど……。うーん、とりあえずメラとヒャドは使えるようだが、こんな調子で本当に大丈夫なんだろうか、こいつ……。ま、見てるぶんには大変面白いのだが、アンディには年老いた両親もいるんだし、やっぱり親に心配をかけるようなことは控えた方がいいのではないかと。

 アンディのフローラに対する情熱は大したものだが、ここで必要とされるのは、残念ながら愛ではなく、実力。ごめん…悪いけど、盾のため、炎のリングは僕が手に入れるよ……。

 ライバルがアンディなので、僕は安心して、火山に向かう前に周辺のモンスターを仲間にしようと辺りをうろつくことにした。まず、キメラのメッキーがわりとすぐに仲間になってくれて嬉しい。次に爆弾岩のロッキー。死の火山の下見に行ったときに仲間になった。こいつを仲間にするまでの爆弾岩との戦闘で、一度メガンテを食らってイエッタは死亡、僕は瀕死の重傷を負った。他の二匹は無傷。でも、今の所ザオラルが使えるのは僕しかいないからヒヤヒヤした。ま、なんにせよ無事にすんでよかった。こうして仲間に加えることもできたのだし。しかし、入り口のところでアンディがフラフラと頼りない足取りで歩き回っているのに会ったけど、大丈夫かなあ……。なんか、暑さの余り意識が薄れ始めてるみたいなんだけど……。

 下見もすんで、レベルが31になったところで、僕はいよいよ炎のリングを手にするため、火山の奥へと突入。この洞窟は馬車ごと入れるのが嬉しい。途中、おどる宝石4体に出会って、キラキラと眩しかった。こんなのを仲間にできたら華やかでいいだろうなあ、と思っていたら、僕の愛が通じたのか、遭遇数回目にして起きあがり、仲間になってくれた。賢さが低いのが難点だけど、今のパーティーならそこらの雑魚敵、二人もいれば十分。もう少しレベルが上がれば連れ歩いても問題ないだろう。にぎやかしみたいなもんだし、予想外の行動をとったとしても、それはそれでよしとしよう。

 火山の奥には聞いた通り溶岩が流れている場所があったが、こんなこともあろうかと、預かり所からトラマナの使えるスラリンを連れ出してきていたおかげで問題なくすんだ。

 そして、いよいよ最下層、問題のリングのある場所に。奥の岩にはめこまれた炎のリングを見つけて駆け寄ると、岩を取り囲む三方の溶岩から湧き出でる紅の魔物!溶岩原人が現れた!!

 予想外の出来事に驚いたが、大丈夫。今の僕たちなら倒せるはず。最初の戦闘メンバーは、僕、イエッタ、コドラン、メタリン。相手はきっと炎の攻撃をしてくるだろうが、メタリンには通用しないし、コドランは炎に耐性がある。コドランの火炎の息は相手に通じないだろうが、その高い攻撃力を生かし、左端の奴を攻撃してもらう。イエッタは炎に弱いから大ダメージを受けるだろうが、HPが高いからある程度は持ちこたえられるはず。今は全体攻撃の凍える吹雪が最も有効なのだ。左端の奴が倒れ、敵の数が減ったところで、弱ったイエッタは炎に耐性のあるピエールと交代。

 敵の火炎攻撃は正直きつかったが、この戦法で思ったより簡単に倒せた。レベルを上げていたおかげだろう。

 こうして僕はめでたく炎のリングを入手。これで条件の半分は満たした。さあ、早速これをルドマンさんに持っていこう。

 

 

2004.5.22

 

 

 

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