さて、真実の姿を映すという鏡を手に入れるため、旅の扉から南の地へ出発！……そして、そこで目的の塔を見つけたのはいいけれど、扉が開かない……。押しても引いても開かない。どうしたものか……。

　地図を見ると、ここは丁度海辺の修道院の南にあたるようだ。修道院でこの塔について聞いてみれば、なにかわかるかもしれない。というわけで、僕たちは早速修道院へ向かった。途中通った砂浜地帯の白い砂が目に眩しかった。……自由っていいなあ。

　そして修道院についた僕たちは、早速塔について聞いてみた。すると、やはりシスターは塔のことを知っていて、それについて教えてくれた。なんでも、あの塔は神が造ったとかで、神に仕える乙女にしか開かれないとか。……つまり、僕たちには無理。

　どうしようかと思っていたら、なんと、マリアが扉を開けるために一緒に来てくれるという。これは助かった。戦力にはならないけど、僕たちだけではどうしようもないことだから。特に、ヘンリーの喜ぶまいことか。前からヘンリーは、なんとなくマリアに気のある素振りを見せていたから嬉しいんだろうな、きっと。しかし、マリアの方もヘンリーを憎からず思っているふしがあり……一緒に旅をして二人の会話を聞いてると、時々僕、非常に居心地が悪くなるんだよな……。

　それはともかく、マリアが仲間に加わって、恐らく真実の鏡に至る道が開けた。すぐに塔へ向かってもよかったのだが、せっかくだから、マリアを連れていろんな町を見せて歩くことにした。

　まずはオラクルベリー。もちろんカジノにも行った。格闘場では勝ったり負けたりで楽しみ、スライムレース場ではレベル２０になったスラりんを出場させていつもの何倍も楽しんだ。１回は負けたがもう１回はスラりんが見事優勝し、僕は飛び上がるほど嬉しかった。偉いぞ、スラりん！また、スロットマシンでは１０ドルをためしてみたところ、わずか数回で７が三つ揃い、コイン１０００枚獲得の大儲け！こんなこともあるんだなあ。そして、ついでにすごろく場に行ったらみのまもりが１ポイント上がり、さらにそのまま一気にゴール！刃のブーメランと小さなメダルを手に入れた。賞品は思ったよりありきたりなものだったが、嬉しいことにかわりはない。これまで何度もチャレンジしては、落とし穴に落ちていたのに……マリアが仲間に加わったらいきなりゴールできたなんて、これも神の加護？

　ほくほく顔でオラクルベリーをあとにして、他にも色々な町をマリアに見せてあげた。もちろんラインハットも。地下通路を通ってみたところ、なんとそこで、イエティのイエッタが仲間に！！嬉しいなあ、こいつはなかなか頼りになりそうだから仲間にしたかったんだ。二匹ぐらいすぐ仲間にできると思ってたのに、なかなか仲間にできなくて、あきらめかけてたんだ。マリアを案内して通路に入らなかったら、きっと仲間にできないままだっただろうな。いいことはするものだなあ。（ちなみに、これでダニーが預かり所送りになった。）

　そして、行ける限りの町をまわり終わった僕たちは、ようやく神の塔へ突入！……といきたいところだったのだが……さる事情により、それはまたも延期となった。

　さる事情とはもちろんモンスターである。神の塔に行く途中で出会ったクックルー。こいつのあまりの可憐さに一目惚れしてしまい、何が何でもこいつを仲間にすると決意したのだ。ああ、ヘンリーの視線が痛い……。

　しかし、これがなかなか仲間にならないのだ。神の塔周辺で戦ううちに、エビルアップルはエビアンとアポーまでもすぐ仲間になってしまった（悪いけど預かり所行き）というのに。クックルはなかなか仲間にならない。倒しても倒してもなかなか仲間にならない……。そもそも、ここ、山賊ウルフやら魔道士やらばっかり出てきて、クックルーはそんなに出てこないような気がする……。いや、しかし、あきらめたら終わりだ！！絶対仲間にしてみせるぞ！！

　……そうして、何時間もうろうろして、２００羽近く倒したとき、ようやくクックルが仲間になった！！ああ、嬉しい……！！苦労しただけあって、とても可愛い。チョコチョコ歩く姿はブラウン並。その色合いもなんとも可愛らしく……。これはずっと連れて歩きたいなあ。モンスターじいさんの話だと、レベル２０までしか上がらないらしいから、あまり長くは無理だろうけど、せめて、今のうちだけでも……！防具はそこそこのものが装備できるし、刃のブーメランを装備できるからちょっと鍛えればなんとか隊列に加えられそうだ。スラりんが預かり所行きになってしまったけど、クックルの可愛らしさには勝てないや。

　……で、僕の決意（ワガママともいう）も果たせたことだし、今度こそ本当に、神の塔に突入！まずは下見。神の塔の扉が本当に開くかどうか……。

　マリアは最初少し緊張しているようだったが、マリアがひざまずいて天に祈り始めると、なにやら扉が光って、見事成功！扉が開き、僕たちは中に入ることができた。中は、意外と綺麗な感じで中庭があり、白いバラまで咲いている。

　……あれ？中庭に、誰か人が……。白い綺麗な服を身につけた父さんと……ひょっとして、母さん？でも……

　おそるおそる近寄ってみたが、確かにこの顔は父さんに間違いない。

　しかし、思わず伸ばした手が触れた途端、二人の姿は消えてしまった……。

　僕は、しばらく呆然としていた。後でマリアが、神の塔は魂の記憶が宿る場所だとも言われていると教えてくれた。

　父さんと母さんは、昔、ここに来たことがあるのだろうか？僕は、昔父さんの来た場所に来ているのだろうか……。

　そう思うといろいろと感慨深いものがあった。

　だが、いつまでも感慨に浸ってはいられない。塔を探索しなくては。途中、大きな穴があって通路がわかりにくい所があったが、それ以外はとりたてて複雑なものはないようだった。このまますぐに鏡をとりに向かってもよかったのだが、例によって、モンスターを仲間にするためにそれは後回し。モンスターじいさんから、ここにはホイミスライムが出ると聞いていたのだ。しかも、この機を逃せば、次にホイミスライムに会えるのは当分先のことになると。これは、是が非でもここでホイミスライムを仲間にしておきたいところだ。

　そう思って、ホイミスライム狩りを開始したのだが。

　ホイミスライムが出てこない……。

　いや、一応出ることは出るのだ。しかし、その出現率は、はてしなく低い。数えたわけではないが、感覚としては、２０回戦って１回出ればいい方、という感じだろうか。メタルスライムよりも出にくいのだ。そして、やっと出てきたホイミスライムを倒しても、なかなか仲間になってくれない……。むろん、１回や２回倒しただけで仲間になるほど簡単ではないとわかってはいるが、その「１回や２回」倒すのが、ホイミスライムの場合、どれだけ大変なことか。

　ホイミスライムを仲間にしようとあがく間に、ビッグアイのガンドフ、エンプーサのキャシー、さまようよろいのサイモンとジョニー（確か、仲間になりにくいと聞いたんだが……これが二匹仲間になってるのに、なぜスライムナイトはまだ二匹目が仲間にならないのだろう？数だけは、さまようよろいよりも倒してるはずなんだけどなあ）、そしてなんと、メタルスライムのメタりんまで仲間になった。出現率もそれほど高くはなく、出てきても二回に一回は逃げられるので、倒せればラッキー、というモンスター。しかも、仲間になりにくいときている。確か、この時点では、１５匹程度しか倒せていなかったはず。それが、なんと仲間になったのだ！！なんたる幸運！！僕はツイてる！！

　しかし、メタルスライムまで仲間になったというのに、ホイミスライムは仲間にならない……。うう、出てきてくれよお……（泣）。今ここで、一番仲間にほしいのはホイミスライムなのに……。

　なかなかホイミスライムが仲間になってくれないので、僕のレベルは無駄にどんどん上がっていき、ついに２８にまでなった。ザオラルとメガザルも覚えてしまった。コドランも火炎の息を覚えてくれたので、ここの敵は、もはやザコでしかない。……なのに、まだ先へ進むわけにはいかないのだ。ホイミスライムが仲間になってくれないかぎり……。

　ホイミスライムの出現率があまりにも低く、さまようよろいが呼ぶのを待った方が、はるかに高い確率で出会うことができるため、さまようよろいは１ターンでは倒さず、かならず相手の行動を待ってから倒す。そんな地道な努力も重ね、もうだめかもしれないと思うようになった時、ようやくホイミスライムが仲間になってくれた。あの時は本当に感動したなあ……。ホイミスライムはもともとかわいいけど、ふわふわ漂うその姿がここまで愛らしく見えたのは初めてだったな。

　……ふう。それにしても、ここまで苦労するとは思わなかったな。ホイミスライムって、仲間にするのにそんなに苦労するような印象でもなかったんだけど。ちなみに、仲間にしたのは、さまようよろいの呼んだホイミスライム。やはり、こちらに期待をかけておいて正解だった。

　こうして、長い長いホイミスライム狩りは、ようやく終了。これに比べれば、ラインハットの陰謀を暴くことなんてなんでもないや。

　ホイミスライムを仲間にしたその足で、早速真実の鏡を取りに行く。道はホイミスライム狩りで知り尽くしているから簡単だった。最上階で、通路の床が途中でなくなっているのには少々戸惑ったが、シスターが言っていた「勇気を出して一歩踏み出す」という言葉をヒントに、無事渡ることができた。言われたとおり、勇気を出して踏み出してみたら、何もないはずの空中を、歩くことができたのだ。いや、またとない経験をさせてもらった。

　そして、見えない通路を渡った先で、ついに真実の鏡―ラーの鏡を入手！ただの古びた鏡にしか見えないが、こんな不思議な塔にまつられているのだから、ただの鏡ではないだろう。これがあれば、ニセの太后の正体を暴くことができるはず！

　これで、世界征服を企んでる方が本物だったらどうしようもないが……ま、その時はその時である。何はともあれ、急ぎラインハットへ！！すぐ北にあるほこらから、僕たちは瞬時にラインハット城内にたどり着いた。

　さあ、いよいよニセ太后の正体を暴く時がきた！正体を暴かれたニセ太后と戦闘になることも考えて、乗り込むメンバーは慎重に。

　そして、準備を整えて太后の部屋に行ってみると、そこではちょっとした騒ぎがもちあがっていた。なんでも、デールが地下牢から太后を助け出したはいいが、二人の太后は出会った途端取っ組み合いをはじめ、なんとか引き離した時にはデールにもどっちがどっちがわからなくなってしまったとか。

　デール自身は、ヘンリーだけに苦労をかけてはと思い切って動いてみたらしいのだが……なんというか、どこか抜けてるな……。ヘンリーが気に懸けるのもわかる気がする……。

　右側にいる太后は、ちょっと薄汚れた感じだが（でも取っ組み合いしたならこれも不思議ではない）、優しい声でデールに向かって呼びかけている。僕やヘンリーの記憶ではそんなに優しい感じの人ではなかったから、そこがちょっと怪しい気もする。

　左側にいる太后は、とにかくヒステリックにわめき散らしている。これはヘンリーの記憶と合致しているようだが……しかし、ここまで強気に出てみせるというのも、怪しいといえば怪しい。ううむ。

　しかし、こんな時こそ、このラーの鏡の出番！

　まず左側の太后に試してみたところ、これがなんと大当たり！！

　鏡には、醜い魔物の姿が映し出された！

　というわけで、早速戦闘に。流石にそこらの魔物よりは手強く、ルカニが使えればなあ、と思いはしたが、ホイムスライム狩りで無駄にレベルを上げていた僕たちを窮地に追い込むほどの力は持っていなかった。こうして、ニセ太后はあっさりと倒れ、その噂はあっという間に国中に広まった………。これにて一件落着。

　だが、僕には少し残念なこともあった。ヘンリーが、ラインハットに残ることになったのだ。

　自分は王に向いていないと考えるデールが、ヘンリーに王様になってくれるように頼み……ヘンリーは、これについては断ったのだが、やはり気になるのだろう、今後はデール王を助けていくことに決めたらしい。……おそらくそれが、一番いいのだろう。国にとっても、デールにとっても。そして、ヘンリーにとっても。だから、それは仕方のないことだとは思うが……それでも、ここでお別れとなると、ちょっと寂しいものがある。

　それにしても……ヘンリーが、僕が彼に買った装備品を袋の中に入れておいたと言った時、なんていい奴なんだろうと思ってしまった僕って……ちょっと薄情？

　ふと気付くと、僕の職業欄が、「にげたドレイ」から「さすらいのたびびと」になっていた。おお、なんかかっこいい肩書き！これは嬉しい。格好悪かったもんなあ、前の肩書き……。それが、こんなかっこいい肩書きにかわるなんて！！

　ヘンリーとはここで別れることになったけど、このおかげでまた少しやる気が出た。ヘンリーは真実の友だから、離れてもずっと友達だし、またいつか会えるだろう。ここは笑って別れよう。そして僕は、この肩書き通り、まだまだ世界をさすらい続けるとしようかな。

　とりあえず、ビスタからまた出るようになった船に乗って他の大陸へさすらいの旅に出よう……。

２００４．４．２９