「まあ……本来ならこの国を次に背負って立つ義務のあるこのわしが先陣を切って臣民のために戦う……というのがスジなのではあろうが……」

「何というか……わしはこう見えても平和主義者なものでな……」

いくら「見た目で人を判断してはいけない」と言っても、限度が……。

「よく聞けぃっ！オークども！」

「（略）さすればわしはもとより平和主義者、命まで取ろうとは言わぬ！しかしわしの忠告が聞けぬというのなら、わしはともかく、後ろに控える凶暴な魔道士が黙ってはおるまい！」

「さあ！どうする！」「さあ！」

（一目散に逃げ出すオーク）

「それ見たことか！」

「たとえ言葉が通じなくとも、誠心誠意、まごころをもって説得にあたれば、話し合いで解決できぬことはない！今のがよい例ではないか！偉大なり平和主義！」

参りました、降参です……！

「おのれっ、わしほど温厚でおとなしい人物をなにゆえにっ！」

あのー、「温厚」とか「おとなしい」とかの言葉の意味、知ってます……？

「それにお前は第一、セイルーンの王たるイメージに合わないっ！」

しかし、だから暗殺、というのも……。

でも、もしナーガ＝グレイシアで、まかり間違ってナーガが女王などになったら、反乱が起きる可能性もあるかなあ……。

「もう勘弁ならーん！」

「わしを暗殺するという、ただそれだけのことのために、臣民たちに害を成し、あまつさえこのような化け物の力を借りようなどとはっ！いかにわしが平和主義者とはいえ許しがたいっ！

　成敗してくれるからそこに直れいっ！」

「平和主義者クラァァッシュ！」「人畜無害キィィック！」

「見たか！平和主義者の実力を！」

リナを呆然とさせた点、たしかにフィルさんはただ者ではない！

「この千の偽名を持つ魔道士、バルフ＝ルクアスの真の名を知るものなど、この世には存在せん！」

そう、当人でさえ……って、ひょっとして、奥さんも知らないのだろうか？

「こうなったら、あなたはどうなってもいいから私を助けて！」

人質に取られた際、セオリーとは全く逆のセリフを吐いたミーナ。ルフィニアといい、スレイヤーズの僧侶って……。

『かくて、悪の犯罪結社ヘルマスターは、リナ＝インバースの活躍の前についえ去った。

　しかしこの世に悪があるかぎり、第二、第三のヘルマスターは、いつかかならず現れる。

　負けるなリナ！戦えリナ！愛と勇気と真実で、この世の悪を、いつか打ち砕くその日まで！』

無性になつかしい気分になるなあ……（笑）

「オレがコネクションをあそこまでするのに、一体どれだけの苦労を重ねたと思ってやがるんだっ！

　…養父母の冷たい仕打ちに耐えながら、文句のひとつも言わずに財産根こそぎぶん取って、雨の日も風の日も、毎日欠かさずカロンの花の世話をして……はじめて実がなって、立派な麻薬ができた時にゃあ、それこそ思わず涙したもんだった。それからも毎日、売春、窃盗、恐喝、強盗……地道にこつこつ働いて、やっと手下たちに働かせて遊んで暮らしていけるな、なんぞと思ったその矢先……くゥッ、これじゃああんまりくやしいじゃねぇか……」

「あたりまえよっ！あの時のことは、きちんとイラスト入りで日記につけて、毎晩寝る前にひとりで朗読してるんだから！」

寺院にいるミーナの同僚が気の毒だな……それともひょっとして、同僚はみんなミーナと同タイプ！？……コワい世界である。

「話しかけてきたチンピラに、うむを言わさずいきなりケリ入れて金品強奪しといて、何が一体しかたないっていうの！？」

めずらしく常識的な意見。

「寺院のおつかいなんてねぇっ、めったにあるもんじゃないのよっ！折角それが運よくまわってきたってぇのに！あの歪んだ色気無しの閉鎖社会を飛び出して、一般人のフリぃして、男だましてモノ買わせたり、死ぬほど酒飲んでくだ巻いたり、そぉいうふつーの女の子がやりたかったのにっ！それをっ！そぉぉれぇぇをぉぉ！」

フツウノオンナノコ……。

「きさまがあの場にこなかったせいで、集まったヤジ馬どもにゴミ投げられるわ風邪ひくわ！

　このヴァイン＝シュトライザーをこけにしたツケは高くつくと知れ！」

想像すると、なんとも微笑ましい光景……（笑）。

「まさかきさま……リナ＝インバースかっ！？」（略）

「おのれ……そうと知っておれば……はじめから謝ったものをっ！」

長生きできることでしょう。

「……ええっと……リナさんの知り合いの、いい年して変なかっこうした、いかにも嫁のもらい手なさそうなひとに、いきなりくそなまいき呼ばわりされました。死ぬまで恨みつづけようと思います……と」

ナーガの高笑いも、ミーナの絵日記には勝てなかったか……。

「けど……あの……せめて、口の中に砂利をいっぱい押し込んでほっぺたを踏みつけるとか、おなかを少し切り開いて、中に酸イモ虫の赤ちゃんを押し込むとか、そのくらいでかんべんしてあげてくださいね……」

「……紅蓮の髪は天を衝き、黒き雷その身に纏う。血を好み、生あるものを打ち滅ぼして、大地を昏き荒野と化さん。破壊の申し子、混沌の使者。地獄の魔道士リナ＝インバース……」

「他人の名をかたるような不届きな輩にからめ手は不要！真っ向から正々堂々押し切って、自らの非力を思い知らせてやればいいのです！」

直訳すると、力押し。……まさか、アメリアの遠い親戚、なんてことは……？

「じいっ！迷わず成仏してねっ！香典わたしがもらったげるから！」

「おれのカンでは右だ。左へ行くぞ」

必ずはずれるとわかっているなら逆を試みるのも一つの手だが、そういう時にかぎって最初のカンが当たっていたりする。結局、当たりをひくことはできない仕組みになっているらしい……。

「聞いたことはありませんか？お嬢さん。『ないソデは振れぬ』ということば……」

リナにこのようなセリフを言うとは、命知らずな。

それはすなわち、「自分を殺してくれ」と言っているのと同じようなものだというのに……。

「……ず……ずるい……」

「き……決めゼリフの途中で攻撃するなどとっ……なんと美学も胸もモラルもない娘だっ……」

それが「厳しい現実」という奴です。

「なにしろへたに斬りかかれば刃こぼれするし、いくら斬っても血もしぶかないし、のたうち回って苦しんだりもしないから……

　何かこう……はりあいがないのよね」