魔道応用理論講座
<魔力障壁(呪力結界)>
呪文の詠唱中に発する、術者を保護するための、一種の魔力障壁。どんな魔法でも、多かれ少なかれ、呪文の行使をしている間、術者の周りは魔法的な結界が張り巡らされる。
大抵、強力な攻撃呪文ほど、術者をガードする力も高くなるのだが、それにしてみても、最強の攻撃力を持つと言われる竜破斬のものでさえ、三流魔道士の唱えた火炎球になんとか耐え、切りつけてきた一流戦士の動きをかなり遅くする、といった程度のシロモノでしかない。
ただ、「暴爆呪」は例外で、切りかかってきた相手をはじきとばすような呪力結界を生み出す。
呪力結界同士がぶつかり合うと、ド派手な破裂音とともに、全身にしびれるような痛みが走る。大技の使用に支障をきたすほど、とにかくものすごく痛いらしい。
<結界>
基本的に結界の力は、儀式に使う道具の力が大きいか、あるいは単純に、形作られた魔法陣の面積が大きいほど力が強く、結界中心部から離れるほど、その干渉力は低くなってゆく。
魔道の見地から、六紡星は「安定した力の流れ」=「均衡」を意味する。逆五紡星は「アンバランスで自然に逆らう力の流れ」、五紡星はそれを打ち消す力を意味する。それぞれ小さなものなら、何らかの魔力増幅でもしない限り、護符や結界として機能することはないが、もしそれが巨大なものならば、ほうっておいてもその大きさに比例する力の魔力的結界として作用する。
六紡星の結界の中では、「均衡」のための術である白魔術の力は増幅されるが、「不均衡」を利用することによってその力を生み出す攻撃魔術は、逆にその力を殺がれることになる。(「破邪」を目的とした五紡星ほどの力はないが。)
<相性>
魔道においても相性というものが存在し、相性のいいものが関係する術を使った場合、その効果が増す。この「●●と相性がいい」ということを、「●●のステータスがある」という。術に何らかの形で、その「得意な要素」を関わらせることによって、術の力を増すこともできる。(例:結界に水を張って力を増幅するなど)
誰にでも、相性のいい動物の一つや二つはあるものだし、術を使えば、それらをダース単位で操ることもできる。
<呪文のアレンジ>
呪文の意味と仕組みを正しく理解・把握していれば、アレンジバージョンを作ることも可能。
呪文のアレンジ方法は簡単。一本の炎の槍を、多数の炎の矢に分裂させるのと要領は同じ。頭の中に瞬時に思い描いた呪文にアレンジを加え、同時に映像イメージも想起する。
<様々な応用研究>
魔道は、本人の素質、というものに左右される部分が大きい。簡単な術ならば、呪文さえ唱えられれば誰にでも使えるが、これがもう少し何度の高い術になってくると、そうもいかない。たとえば魔道の才長けた達人の放つ火炎球なら岩をも溶かすと伝え聞くが、普通の魔道士が同じ術を使ったところで、岩に焦げ目をつけるのがせいぜい。そこでロード・カイラスが研究していたのが、魔道と物理技術の応用。その一例として、片方を塞いだ鉄の筒に、丸い鉄球を入れ、鉄球と、塞がれた筒の間の空間で火炎球を発動させる―というものがあった。その爆発で鉄球が飛び出し、目標物を粉砕する、という仕掛けである。
不死の研究で、200年以上を生きた魔道士もいたらしい。
たこ糸くらいのものでも、ちゃんと魔力強化してやれば、子供がぶら下がれるくらいの強さにはなる。ちなみに、リナもこの術は知っている。
(伝説の武器)
伝説の武器の本当の値打ちは、武器そのものよりむしろ、その製造ノウハウにある。
伝説の武器とは、今現在の魔道技術では製造できない性能を持った武器のこと。そういうのを見つけ出し、その製造ノウハウや特性などを解明、活用できたらメリットは大きい。
もともと魔力を持つ剣に、破壊力強化(魔皇霊斬)などの別の術をかけたりした場合、何が起こるか予想もつかない。こめられているもとの力との組み合わせで、運がよければ、確かに威力が上がったりするかもしれないが、何も反応がなかったり、魔力が打ち消し合って、なまくら刀に変わったり、最悪、魔力同士が変な干渉を起こして、術をかけた途端に魔力が暴走、大爆発、などという可能性さえ考えられる。
<ミニ知識>
どんな魔道士だろうと、同時に使える術の数は、せいぜい二つが限度。
痛みは、呪文を唱える際の精神集中にはかなりジャマ。逆にキズの痛みを中心に精神集中してやる、という手もあるのだが、剣ぶん回したり、攻撃よけたりしながら、高度な術を操るというのは無理。
大体2,3日以上もたてば、体力、魔力ともにほぼ全回復する。
強大な魔力があれば、詠唱なしで呪文を発動させることは可能。ただし、それほど強大な魔力を持つのは、魔族のみ。
術を封じるのは、人間には無理。
魔力を感知する力を持っている人もいる。召喚や攻撃などの術は、結構魔力の動きも大きい。
ある程度の実力がある魔道士ならば、誰かが唱える呪文を聞いただけで、その術のレベルを知ることもできる。それがたとえ、自分が使えない術だとしても。
魔法の道具というのは、見た目がいくらショボくても、効果がいくらおバカでも、かなりの制作費がかかる。
「明り」や「炎の矢」程度の呪文なら、魔道士でなくとも、丸暗記した呪文をそのまま口にするだけで発動するため、はぐれ魔道士に金でも積めば覚えられるようだ。
「あの日」に前後する二、三日の間、女の魔道士、巫女、僧侶などは、その霊力が著しく減退し、人によっては完全に霊力が消え去ってしまうことがある。
「ゼナファ」=「魔を律する」という意味の混沌の言語
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