「レイアース」の世界

 

 

 「レイアース」の世界には、セフィーロをはじめとする、様々な国がある。
 ここでは、それぞれの成り立ちや関係などを、考えてみたいと思う。

 まず、成り立ちから考えてみよう。

 モコナ(=創造主)は地球を含む世界を創った。
 しかし、争いの絶えぬ世界を見て、新たな世界を創り上げた。
 それが、この「レイアース」の世界である。

 後で創られた世界故に、それは地球とは反対の理が用いられた。

 モコナは地球を「絶対的統率者のいない無秩序で混沌とした世界」「しかし生きる者全ての意志が未来への道を紡ぐ世界」として創った。
 しかし、そこで争いの絶えなかった反省から、今度は「一人の意志が全てを決める世界」としてセフィーロを創った。
 それが、「柱制度」。

 また、よりよい世界を築くためにか、セフィーロ以外にも、様々な摂理形態を持つ国を創り、まわりに置いた。
 ただ、基本は「一人の意志が全てを決める世界」なのか、オートザム以外の二国は王制である。

 地球より後に創られたためか、これらの国々は、地球にそれぞれモデルがあるように思う。

 セフィーロはヨーロッパ(おとぎの国)。季節は春。色は青。

 チゼータはアラビア。季節は夏。色は黄色。

 ファーレンは中国。季節は秋。色は赤。

 オートザムは未来都市(強いて言えばイギリス?)。季節は冬。色は緑。

 地球の各地域、春夏秋冬、そして三原色+1で、それぞれに対応している。
 面白いことに、これらの色は、三魔神とモコナのシンボルカラーでもある。ここにまとめてみよう。

 

創造主達

象徴

黄色

モコナ

チゼータ

赤色

レイアース

炎・情熱・未来

ファーレン

青色

セレス

水・優しさ・現在

セフィーロ

緑色

ウィンダム

風・知性・過去

オートザム

 

 こうしてみると、それぞれが驚くほど対応していることに驚く。

 まず、ファーレンは、四つの国の中で最も年若いーつまり、「未来」ある者が治める国であり、また、その移動兵器「童夢」は龍の形をそており、「炎」を発する。「情熱」も、なかなかアスカに合っている。

 セフィーロは、「現在」物語の舞台となっている場所であり、そして、そこは「一人が全てを決める変化のない明日」―すなわち、いつまでも続く「今日」。「現在」である。
 さらに、かつては綺麗な空(海でもある)と海―「水」がその象徴となっていた。「優しさ」というのも、他のどの国より、セフィーロのイメージにぴったりである。

 そして、科学の発達したオートザムに「知性」というのは、実にふさわしく思われる。それに、イーグルのイメージはまさに「風」。

 本当に、見事に当てはまる。

 ついでに言えば、原作・アニメとも、セフィーロ→オートザム→ファーレンという順に新たな国が登場したが、これもセレス→ウィンダム→レイアースという、光達が魔神を甦らせた順番に対応している(モコナは別計算…)。
 偶然かもしれないが、こうしてみると、なかなかすごいことである。

 

 とにかく、こうして「レイアース」の世界は創られた。

 地球をモデルとし、しかし地球とは違って「一人の意志が全てを決める世界」として。

 ただ、地球と「レイアース」の世界で異なるのは、それだけではない。「信じる心が(直接)力になる」というのが、最も大きく異なる点だ。
 物理的に不可能だと思われることでも、信じる心で可能にできてしまうのだ。
 実際は、この理が完全に適用されているのはセフィーロだけだが、チゼータには精霊、ファーレンには幻術、オートザムには科学技術があり、いずれも「心」がその源になっている。
 中でもオートザムは、機械を通じて、間接的にだが、「精神力を国を動かす力とする」世界を作り上げてきた。

 しかし、精霊が自然に存在するだろうか。
 そして、「王族だけにしか」使えぬ幻術―逆に言えば、「幻術を使える一族」。これが自然に発生するだろうか。

 これらもまた、モコナが創ったものではないだろうか。

 思えば、地球よりも歴史の浅いオートザムで、地球よりも遙かに科学が発達しているのは不思議な話。
 モコナが、科学の発達に手を貸したーそれも「精神力をエネルギーとする」方向でーとすれば、納得がいく。

 モコナは、セフィーロに「柱制度」「魔法」を授けたように、他の国々にも、何か特殊な力を授けたのではないだろうか。

 王制を敷くファーレン・チゼータ。
 彼らの統率力を高めるためにー争いが起きにくくするために、精霊や幻術といった、「特別な力」を授けた。

 オートザムは、地球と同じく「生きる者全ての意志が未来への道を紡ぐ世界」として創られたらしく、故に、皆が「力」を使えるような仕組みを与えた。すなわち、(特に精神エネルギーに関する)科学を。
 オートザムには「大統領」「評議会」、そして「機械」がある。ある意味、最も現代、そして予想される未来の地球に似せて創られたと言えるだろう。ゆえにこそ、地球と同じ轍を踏ませないために、「信じる心が(具体的に)力になる」という理を、ファーレン・チゼータに比べ、色濃く反映させたのだと思われる。

 

 さて、先にも述べたように、「レイアース」世界では、登場したこの四つの国が、全く異なる文化を築き上げているわけだが、ここまで異なる文化が独自に築かれているということは、それぞれあまり国交がないということになる。

 「セフィーロへの道」で考察したように、「レイアース」の世界では、旅人などの行き来は可能だが、それなりにまとまった人員が行き来するには「道」を創る必要があり、従って、貿易にしろ侵攻にしろ、国として他国へ赴くことは、容易ではない。

 地球で争いの絶えなかった歴史から、こちらでは、それぞれの国の行き来を難しくしたのかもしれない。

 もちろん、旅人の行き来は可能だから、他国の情報が全く入ってこないというわけではないだろう。
 たとえば、チゼータのブラヴァーダ。これには巨大なスクリーンが設置されており、舳先にはビームのようなものもあるが、これらはオートザムあたりから伝わったものではないだろうか(ブラヴァーダ自体は、チゼータの精霊を祭る神殿を移動用にした、などとも考えられるが…)。

 また、四つの国の中で、オートザムの軍事力が突出していることを考えれば、オートザムの近くに、同じく科学の発達した国があり、そこと戦争状態にある(あった)ことが予測できる。
 近くならば、「道」を創るにも、それほどの労力はいらないだろうし、場合によっては、「道」を創る必要すらないかもしれない。

 セフィーロだけが、そうしたものと無縁でいられた。

 セフィーロは、創られてから、少なくとも745年以上はたつ。
 なのに、地球と違って、科学の進歩があまり見られない。魔法がその役割を果たした、というのもあるだろうが、何より、他国との交流がないことがその理由だろう。

 しかし、セフィーロは変わった。

 これからセフィーロはどうなっていくのか。

 一度に様々な文化が流入し、もしかすると、地球では想像もつかなかったような、新しい国ができるかもしれない。

 

 

 

2006.6.10

 

 

 

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