137 悪魔の呼ぶ声

 

 

【128 ぶちこわせスキマを】→

【135 第1回ルディアノ会合】→

 

【セントシュタイン】

 

王さま「○○か…。この前は世話になったな。もっとこちらへ…。

    たしかドリマイザーだったか? あれのものすごいニオイにたえて
   がんばって眠ってみたぞ。

    だがな…効かなかったようじゃ。ワシはまた悪夢を見てしまった。

    大きなひつぎのようなものが どこかの地下にあるのが見えてな。

    そこからおそろしい魔物があらわれ ワシにこう呼びかけるのじゃ…。

    封印をとけば 帝国から守ってやる…とな。

    まさかとは思うが…」

兵士「国王さまにごほうこく 申しあげます!

   城の井戸のおくにて あやしげな部屋と 巨大なひつぎのようなものが
  発見されました!」

王さま「な なんじゃと!それはまことかっ!!」

兵士「はっ!」

王さま「このことは だれにももらしておらぬだろうな?」

兵士「はっ… い いえ 先ほど姫さまに なにかあったのかと
  聞かれたもので ついウッカリと…」

王さま「フィオーネか。まあよかろう。そんなことよりも だ。

    ひつぎが見つかったとなれば もはやあれをただの悪夢と
   かたづけるわけにはいくまい。

    ○○よ たのみがある。城の地下で見つかった
   巨大なひつぎのようすを 見にいってはもらえぬか?

    ワシもすぐに向かいたいが すこしばかり所用があってな。
   ひと足先に行ってほしいのだ」

 (うける)

   「おおっ たのまれてくれるか!

    城の地下で見つかったひつぎと ワシの悪夢に出てきたひつぎが
   同じものかはわからぬ。

    だが じゅうぶんに気をつけてくれ。ワシも
   用がすみしだい すぐに追おう」

 

王さま「○○よ…。ワシは自分の見た悪夢が現実になりそうで おそろしいのだ。

    城の地下で見つかったという巨大なひつぎは ワシの悪夢に
   出てきたものかもしれぬ。

    ワシもすぐに向かうから ひと足先にひつぎのようすを
   見にいってはもらえぬか?

    ひつぎの中にはなにが入っているのかわからぬからな。
   じゅうぶんに 気をつけてくれ」

 

 

【地下】

マニー「ザンネンなしらせがあるぜ。あんたとオレとで見つけた
   ナゾのかんおけルームだが…

    ついさっき 城の兵士に見つかっちまってなあ。
   あっさりと追い出されちまった。

    そういやさっき お城の姫さんが ここを通っていったが
   いったい何の用なんだろうなあ」

 

兵士「とつぜんフィオーネ姫がやってきて ひつぎを調べさせろと
  言ってきたんです。

   キケンかもしれないと言ったんですが ものすごいこわいカオで
  にらまれて もうどうしていいやら……」

 

フィオーネ姫「ウフ…ウフフフフ。あの本にあったとおりですわ。

       すべて真実だった…。信じたくなかったのに!

       ○○さま…。なにも聞かず 今すぐここからはなれてくださいませ。

       もうすぐこのセントシュタインは…」

王さま「フィオーネ! なぜここにいる? そのひつぎには
   なにが入っているのか わからないのだぞ!?」

フィオーネ姫「…私にはわかったのです。魔神が封じられていますわ お父さま。

       …いいえ。セントシュタイン国王!!」

王さま「な なんじゃ その物言いは。魔神だと?
   おまえがなぜ そんなことを知っている?」

フィオーネ姫「すべては…すべては カギのかかっていたあの本に
      書かれておりました。

       魔神の封印は弱まっていますが ほうっておいても
      とけることはないでしょう。

       でも私は真実を知り このゆびわを手に入れてしまった…」

王さま「フィオーネ? なにを言っている?
   そのゆびわが なんだというのだ!?」

フィオーネ姫「本当になにも知らないのですね…。
      無知は罪であることを あなたは知るべきです!」

フィオーネ姫「眠れる魔神よ!このゆびわをもちて 今こそ
      その封を ときはなたんっ!!」

いにしえの魔神「フゥゥゥゥ…。このひつぎに押し込められて
       どのくらいの時がすぎたか…。

        そこのおまえが 今の国王だな。我の呼びかけを
       さんざん無視してくれおって…」

王さま「おまえは悪夢に出てきた魔物…。いったい何者なのだ!」

いにしえの魔神「我に 呼ぶ名などはない。いけにえを食らい
       人の願いをかなえる魔神よ」

フィオーネ姫「かつてのセントシュタイン国王がガナン帝国の侵略から
      のがれるために呼び出した いにしえの魔神ですわ。

       国王はこの魔神にいけにえをささげた…。

       ルディアノの民の命を!」

王さま「な なんじゃと!? そんなことは信じられぬ…」

いにしえの魔神「それは真実だ。我がおまえたちの目の前にいることこそ
       そのあかしだ。

        我はルディアノをほろぼした。かわりに
       セントシュタインを救ってやったのだ」

フィオーネ姫「自分たちがたすかるために 他の者の命をさしだすなど
      あってはならないことです!!

       私たちは そのつぐないをしなければ なりません!!

       さあ魔神よ! 我々の命とひきかえに
      ルディアノをよみがえらせなさい!!」

いにしえの魔神「フハハハハハッ! 同じことをくり返すというのか。
       ニンゲンとはなんと おろかな!

        だが ことわる!!」

フィオーネ姫「な…なぜです!?」

いにしえの魔神「あの国王は我をだまして ここに閉じ込めたのだ!

        ゆるすわけにはいかぬ。この国そのものを…いやニンゲンすべてをな!」

フィオーネ姫「そ そんな!?」

王さま「下がれフィオーネ! こいつはキケンな存在じゃ!!

    ○○!!こいつをなんとかしてくれ!!」

いにしえの魔神「フハハハハハッ。ニンゲンごときに我を止めることなど
       できぬわ!我をおそれよ!逃げまどえっ!!」

 

フィオーネ姫「黒騎士レオコーンさまの悲しみと 彼を失った
      メリア姫の想いを…。私は…私は…」

いにしえの魔神「黒騎士レオコーン? 我が配下イシュダルが
       ほだされた ニンゲンの男だな。

        ヤツがいたおかげで 我みずからルディアノをほろぼしに
       行かなければならなくなったのだ」

フィオーネ姫「そんな…」

 

王さま「あの魔神はおそろしく強そうじゃ。
   我が城の兵士では おそらく歯が立たぬ。

    ○○ おぬしだけがたよりじゃ。あの魔神をたおしてくれ!!」

 

兵士「ひいい いったい なにが起こっているというんですか!?

   あああ あんなバケモノが出るなんて 聞いてないですよっ」

 

いにしえの魔神「どうするニンゲンよ。チカラで我を止めてみるか?」

   (はい)

     「おろかな…。ニンゲンなどに 我が負けるわけがない!」

VS.いにしえの魔神(宝:とうこんエキス)

いにしえの魔神「まさか…我がニンゲンなどに倒されるというのか…。

        ありえぬ…。こんなことは ありえ…

        ウガァァァァァ!!」

王さま「よくやってくれた ○○!今回ばかりはもうダメかと思ったぞ」

フィオーネ姫「わ…私は……」

王さま「…とにかく今は いったん城へもどるとしよう。

    ワシにはまだ なにがどうなっておるのかさっぱりだ。
   くわしい話を聞こうではないか」

 

マニー「イヤな気配はなくなったぜ…。ありゃなんだったんだろうな。

    なあなあ なんか知ってるんだろ。教えてくれよ〜」

 

 

【城内】

イロホン「おお おまえさんか。あれからワシはあの紙切れを
    こまかく しらべてみたぞ。

     ありゃあ このセントシュタインの昔の王が書いたものっぽいのう。

     じゃが わかったことは セントシュタインが
    帝国という相手と長らく戦争していたことと…

     ルディアノという国と 当時同盟を組んでいたことくらいじゃ」

 

フィオーネ姫「○○さま…。お父さまにすべてをお話ししますわ。
      いっしょに聞いていってくださいまし」

 

王さま「…フィオーネ。あの書物に書かれていたことを教えてくれるな?」

フィオーネ姫「はい…。あの魔神は かつての国王が 帝国から
      セントシュタインを守るため 呼び出したものなのです。

       魔神はいけにえを求め 国王は同盟国であった
      ルディアノの民の命をさしだした…。

       この国は救われましたが その後 魔神のチカラをおそれた
      国王が ひつぎに封じたのです」

王さま「…なんということだ。そんなことがあったとは ワシは知らなかった」

フィオーネ姫「かつての国王は このいまわしい真実を ルディアノという
      国ごと 歴史の中からほうむりさったのです。

       あの国王の手記を私が見つけ カギをさがそうとしなければ
      永久に真実は闇の中に…」

王さま「おお…。なんと…。なんということだ…」

フィオーネ姫「このゆびわは封印のカギとして のちにセントシュタインに
      とついだメリア姫にたくされたのでしょう。

       私はずっと考えていました。メリア姫は はたしてどんな気持ちで
      この国にとついでこられたのか。

       愛する人とひきさかれ 祖国をほろぼしたカタキともいえる
      この国に なにを思ったのか…と。

       メリア姫の気持ちを思うほど…私はゆるせなくなったのです。

       自分たちの命を守るため 罪のない人々をいけにえとした
      この国こそほろびてしまえばいいと 私は…」

王さま「バカモノ!!」

   「…たしかに かつての国王がルディアノにしたことは
   決して ゆるされるものではないじゃろう。

    だが そんなことをして なにになる!
   あの黒騎士やメリア姫が それをよろこぶと思うか!?」

フィオーネ姫「いいえ…」

王さま「この国が犯した罪は重い。ならば…ワシらは
   生きて そのつぐないをするべきじゃ。

    フィオーネ。おまえはルディアノへ帰ろう団とやらに
   加わっておったな?」

フィオーネ姫「はい お父さま」

王さま「ならば その団の活動を 国をあげてもりたてていこうではないか。
   そしてルディアノをよみがえらせよう!」

フィオーネ姫「は はい!」

王さま「さて ○○。おぬしには礼のしようもないほどチカラをつくしてもらった。

    ワシにできる最後の礼だ。これを受け取ってほしい」

(ドラゴンの杖入手!)

王さま「ふむ…。それだけではワシのカンシャの気持ちには ちと足りんのう。

    よし!!○○には王家の秘伝のレシピをさずけようぞ!」

    (てんのトーガ  めいじんのてぶくろ しんりのサンダル
     大天使のローブ ふめつのズボン)

王さま「そしてワシはちかおう! かつての王が犯したあやまちを
   決してくりかえしたりせぬ と」→クリア!

 

フィオーネ姫「○○さまには いろいろとごめいわくをおかけしてしまって
      申しわけありません。

       過去を忘れないようにするために あの本は
      1階にいるイロホンさんにあずけました。

       これからは私たちのチカラで未来をつくるため
      がんばっていこうと思います!」

 

王さま「ワシは王であるにもかかわらず この国の歴史を知らなかった。
   なんと なさけないことか。

    かつての王が犯した罪を 一生をかけてもつぐなうつもりだ。

    ひとつの国をよみがえらせるには とほうもない時間が
   かかるやもしれぬ。じゃが やりとげてみせよう!」

 

フィオーネ姫「レオコーンさまやメリア姫のことが 頭の中にうかんできて
      もはや いてもたってもいられなくなり…。

       真実でなければいいと思いつつも ゆびわをさがしてしまったのです。

       私はおろかでした。父の言うとおり つぐないは命などではなく
      私たちの手でしなければ 無意味です。

       ルディアノへ帰ろう団のみなさんといっしょに これから少しずつ
      前へ進んでいきたいと思いますわ」

 

 

イロホン「やはりここに来おったな。ワシが姫からあずかった本を
    見たいというのじゃろ?」

  (いいえ)

    「…そうか。世の中には知らねば幸せだったということも多い。
    見たくないならよいんじゃ」

  (はい)

    「…わかった。では ワシが読んで聞かせるとしよう。

  見下ろした城下町から 子供たちの声が 今日も城内にひびきわたる。

  北に見える湖は水面を宝石のようにかがやかせ 草原をとぶチョウとともに
 おどりをおどっているかのようだ。

  …このセントシュタインは美しい国だ。
 私はこの国の王であることを ほこりに思う。

  私はなんとしても この国を守らなければならない。

  この国を守るためならば 私は手段をえらばぬと決めた。

  ………。そうだ。私だけが知っているのだ。

  私がルディアノの民の命を魔神にさしだしたことを。

  この事実を知った者は 私を悪魔だとさげすむだろう。だが…。

  私がなんと呼ばれようとも 我が国民の命が救われればそれでよい。

  …しばらくして ルディアノがほろんだという 知らせがあった。

  そして約束どおり セントシュタインは魔神によって帝国から守られた。

  魔神の強大なチカラが もしこの国にも向けられたとしたら…。
 私はそれをおそれた。

  私は手をうつことにした。封印のひつぎに…ゆびわがカギ…。

  メリアに…ゆびわを…。

イロホン「ザンネンながら この先はかすれていて読めないのじゃ。

     我々はこの王の手記によって セントシュタインにかくされた
    歴史を またひとつ知ってしまったのう。

     世の中には知らねば幸せだったということもあるが
    知らなければ 前へと進めぬこともあるのじゃ。

     ワシはこの歴史を後世まで伝えていこうと思っとるよ。
    姫もそう望んでおられたしな」

 

マニー「ザンネンな知らせがあるぜ。あんたとオレとで見つけた
   ナゾのかんおけルームだが…

    また埋めちまうんだとよ。オレもまあ それにはサンセイなんだけどな。

    だがオレは あきらめない男。また新たな未開の地を求めて
   明日を生きるのさ」

 

 

 

 明かされる衝撃の真実。それでもそれを正面から受け止めようとしただけ、フィオーネ秘めは立派かもしれない。……思いつめるあまり、まわりが見えなくなってしまったけど…。

 この話、強大な敵の脅威から逃れるために魔神を呼び出した、というところはDQ6と同じだが、セントシュタインにとっては幸いにも、ダークドレアムと違っていにしえの魔神は話の通じる相手だった。そして多くの物語と同様、魔神は契約を遵守するが、人間は往々にして、望みが叶えられたあと契約相手を裏切るものなのである。あのいにしえの魔神は見た目こそ悪魔のようだが、契約を履行したあと封印されて、帝国が滅んだことも知らずにいたのだと考えるとなんだか気の毒になってくる。
#それに、帝国の侵攻を一蹴した強大な魔神、というわりには地下に潜む歴代の魔王に比べるとあまりにも弱い、というのが悲しい……。

 

 

 

2012.4.21

 

 

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