「ほら。モリーが呼んでるわよ。呼んでるんだから行きなさいよ。
　私は行きたくないけど」

「私は行きたくないけど」って…。

「モリーさんのメモか…。よくわからないけど
　とにかくメモを見れば　わかるってことね？」

「ねえ。モリーさんのことに　あまりかまっていられないよ。

　私は兄さんのカタキを討つ！そのために旅に出たのだから…」

私と旅をする以上、寄り道は仕方がないと思って下さい…。

「…ふ〜ん。中はこんなふうになってたのね。

　外には聞こえなかったのに　中はずいぶん騒々しいね」

よほどすごい防音設備を使っているのだろう。高価な会費はそのため？

「…２０万ゴールドを出してもらったのは確かだけど…
　ちょっと釈然としないわ。

　だってそんなの　あのモリーさんが勝手につけた値段でしょ？
　もともとが高すぎなのよ」

うんうん。モンスターは各自調達なんだから、そんなに費用が必要とも思えないんだけど…。

「好きで始めたわけじゃないけど　やっぱり優勝って
　素直にうれしいよね。私　病みつきになりそう！

　うんうん。だって私って　大体がこういう勝負モノ
　大好きな性格だもん」

一度勝つとやめられなくなる…そこが罠か。

「なんだかんだ言って私たち　このバトルロードに結構はまってるわよね。

　モリーさんは　相変わらず　わけわかんないけど」

「次はとうとう　あのモリーさんとの対戦ね！
　私　はっきりいって燃えてきたわっ！！

　こういう熱血な展開が　こんなに好きだったなんて
　私　自分でも思わぬ発見だったわっ！！」

ゼシカの性格は、間違いなく「ねっけつかん」。

「みんなが私たちのこと　尊敬してくれてるね。
　ちょっと恥ずかしいけど　気分いいかも。

　私　すっかりここが気に入っちゃった。
　兄さんのカタキ討ちが終わったら　住み着いちゃおうかな？」

本当に、こう褒め称えられるのは気分がいいや。
＃世界を救ってもあんまり尊敬してもらえないから、せめてここで満足しよう…。

「昔ポルトリンクの船乗りから　この小島のお城について
　聞いたことがあるわ。

　何でも　代々好事家の王様が暮らしてるとか…。
　でも最近は　ウワサを聞かなかったのよね」

「何だか知らないけど　苦労してるみたいね。
　私たちで　何か手助けできないかしら？」

「この城の人たちは　お姫様のがんばりをほめてるけど
　実際にがんばってるのは私たちよね？

　…ま　いいわ。私としても　あの王女様のことは助けてあげたいもの」

時々鋭いツッコミをするゼシカ。

「私たちは貴重な宝物をもらえたし　向こうも喜んで
　くれてるみたいで　お互いにとっていい経験だったわね。

　私たちが手助けできるのはここまでだけど　あの王女様には
　これからもがんばってほしいわ」

本当に、いいことずくめだったよ。

「私たちがメダルを集めたからってわけでもないでしょうけど
　この城もずいぶん活気が出てきたわ。

　いつかトロデーン城もイバラの呪いが解けて　ここの城みたいに
　賑やかになればいいのにね…」