妖精の国の大冒険

 

ぼうけんのしょ:P

 

 家に帰ったらお父さんと遊ぼうと思っていたのに、どこかからお父さんに手紙が来ていたみたいで、お父さんはまた忙しそうになってしまいました。しかたがないので、その日はすぐに寝ました。

 そして、朝起きてから遊んでもらおうと思ったのですが……おとうさんは、なんだか難しい顔でご本を読んでるので、一緒に遊ぶのは無理みたいです。仕方なく村のあちこちをまわってみることにしました。……といっても、この前あちこち見たばかりだし、話し相手もいないので(プックルのことばはわからないし…)、そんなに楽しくはありません。でも、実際に歩き回ってみると、村のあちこちで、いろいろと不思議なことが起きているという話を聞いたので、プックルといっしょにそのイタズラ者を探してみるのも面白いかもしれません。

 ……そう思って、まわりに注意しながら歩いていると、宿屋の地下の酒場に、体の透き通ったお姉さんがいるのを見つけました。でも、レヌール城で見たお化けとは、ちょっと違う感じです。思い切って話しかけてみると、そのお姉さんは、誰も自分に気付いてくれなくて困っていた、と言いました。ここでは落ち着かないから地下室のある家に行っていてと言われたので、早速そこへ行くことにしました。ぼくの家には地下室があるので、たぶんそこでしょう。でも、なんでお姉さんは、すぐそこへ行こうとしなかったんでしょう。酒場でまだ何かするつもりだったのかなあ。他の人には姿が見えないって言ってたから、あそこにあったおいしそうな飲み物をこっそり飲んじゃうとか。あそこにはいろんな飲み物が置いてあるのに、子供は飲んじゃだめって言われるから、ぼくももし透明になれたら飲んでみたいと思っていたのです。

 ともあれ、ぼくは、言われたとおり家に向かおうとしていたのですが、途中、教会の前に、知らない男の人がいるのを見つけました。よく見ると、どこかで見たような気がします。そういえば、昔、占い師で絵のうまい人が、大人になったらこんな風になる、って絵を描いて見せてくれたことがあったような気がするんですが……なんだか、その時見た絵にそっくりのような気がします。不思議な気がして話しかけてみると、その人は、ぼくの持ってるゴールドオーブを見せてほしい、と言いました。最初はことわったのですが、信用してほしいと言われたので、とりあえず見せてあげることにしました。もし、盗もうとしたら、やっつけてしまえばいいんだし。でも、何事もなく、その人はすぐにゴールドオーブを返してくれました。あまりにもあっさりしていて、なんだか拍子抜けです。もっと何かあると思ったのですが……でも、これ以上話しても何もなさそうなので、ぼくはそのまま家の地下室に向かうことにしました。

 地下室に行くと、さっきの透明なお姉さんーベラという名前だそうですーが、私たちの国が大変だからすぐに来て欲しい、といいました。話してる途中にお父さんも来たのですが、お父さんにはベラの姿は見えないみたいでした。そして、話が終わると、地下室に不思議な光の階段―とてもきれいな階段ですーがおりてきて、ベラはすぐに行ってしまいました。なんだかよくわかりませんが、この階段をのぼってついて行けばよさそうです。

 そうして、階段をのぼっていくと……突然まぶしい光に包まれて、目を開けると、あたりは真っ白でした。雪が降っています。すぐそばにベラがいて、ポワンさま、というひとに会ってほしいと言いました。ぼくはとりあえず、ついて行くことにしました。

 あたりは雪で真っ白。サンタローズより寒いですが、木の中はあったかいです。ここの人達は木の中に住んでいるみたいで、お話に出てくる妖精と同じです。ここに住んでいる耳の長いお姉さん達は、みんな妖精なんだそうです。ポワンさまは妖精の女王様で、大きな木のてっぺんにいました。ポワンさまは、とてもきれいで優しそうな人です。ポワンさまは、盗まれた春風のフルートを取り戻すのを手伝ってほしい、と言いました。春風のフルートがないと春が来ないので、みんなこのまま凍え死んでしまうかもしれないのだそうです。そんなのは嫌です。それに、困っている人がいたら助けてあげなくてはいけないと、お父さんに言われています。どっちみち、村にいてもすることがなくてヒマなだけだし……。そう思って、ぼくは、ポワンさまに手伝うと約束しました。ベラもいっしょに来てくれるそうです。お話できるひとがいっしょの方が楽しいので、嬉しいです。

 そうと決まれば、さっそく買い物。危ない所へ行くのだから、装備は万端に整えていかなければなりません。幸い、ビアンカとのお化け退治でだいぶお金がたまっていたので、すぐに装備を最強に整えることができました。でも、まだプックルはレベル1だし、しばらくはレベル上げをしなくてはなりません。

 それで、レベル上げをしようと外に出ると、ずっと向こうまで全部真っ白で、びっくりしました。地面も海も空も、全部真っ白です。村も雪で真っ白でしたが、外が真っ白だと、また違う気分になります。広いせいか、よけいに寒い気がします。吐く息も真っ白で、本当に凍りついてしまいそうです。海は角度によって微妙に色が変わり、とても綺麗ですが冷たい感じがします。

 ここでは、また、いろいろと新しい魔物が出てきました。ガップリン、というリンゴの魔物が出てくるのですが、これに噛みつかれると、どういうわけか、ぼくがリンゴを食べた時と同じ音がします。シャリッ、という、とても美味しそうな音です。ガップリンと戦っていると、リンゴが食べたくなります。ベラにそう言ったら、村で休む時に食べさせてあげると約束してくれました。

 コロファイター、コロヒーロー、コロプリースト、コロマージという四人組にも会いました。見た目や名前からすると、愉快な四人組、という感じで時々面白いこともしますが、結構強くて苦戦します。プックルはまだ賢さが低いのか、ぼくの言うことを聞いてくれないし、なかなか大変です。

 それでも、色々な敵と何回も戦っているうちに、僕はレベル11になってベホイミを覚え、プックルもレベル7になったので、明日はドワーフの洞窟に行こうと思います。盗賊が逃げ込んだのは氷の館という話ですが、扉に鍵がかかっているそうなので、盗賊の鍵の技法、というのを知っているドワーフのおじさんに会いに行かなくてはならないみたいなのです。教えてくれるかどうかはわかりませんが、まず行ってみようと思っています。そうと決まれば、早く休むにかぎります。だから、まだ夜にはなっていませんが、お祈りをして、宿屋に泊まろうと思います。

 

 

ぼうけんのしょ:P8

 

 さっそくドワーフの洞窟に行ってみると、そこにいたスライムが、フルートを盗んだのはザイルという人だと教えてくれました。スライムの隣にいたドワーフのおじさんは、ザイルはそのおじさんが村を追い出された腹いせにフルートを盗んだのだと言いました。そして、ぼくたちは、ザイルを正しい道に戻すように頼まれました。おじさんを追い出したのは先代のひとで、ポワンさまじゃないって話せばザイルもわかってくれるかもしれません。でも、ザイルと会えなければ話をすることもできません。そのためにも、盗賊のカギの技法が必要です。ドワーフのおじさんが、カギの技法は洞窟の一番奥に封印してあると教えてくれたので、頑張って取りに行くことにしました。

 でも、洞窟は、暗くて道がわかりにくいです。地図ももらっていたのですが、古い地図だったので、いろいろ変わっているみたいです。なかなか見つからなくて、ずいぶんウロウロするはめになりました。でも、そのおかげでプックルはレベル8、ぼくはレベル12に上がり、ぼくはインパスを覚えました。しょっちゅうメラリザードの大群に会うのには辟易していたのですが、そのおかげでレベルが早く上がったのだから、悪いことばかりではありません。

 苦労しながらもなんとか盗賊のカギの技法を手に入れて、無事に村に帰ることができました。一休みして、いよいよ氷の館に出発です。

 氷の館は、入ってみると思ったよりせまいです。でも、床がツルツルすべるので見た目より大変です。なかなか思ったように進めません。しかし、これはこれで、なれると結構楽しいものです。一度落とし穴に落ちてしまいましたが、すぐ二階に上がる階段の前までたどりつけました。館に入ったときの様子では、ザイルは二階にいるような気がします。でも、もうひとつ下へ降りる階段があるのを見つけて気になっていたので、先にそちらへ行ってみることにしました。苦労してたどりつくと、そこには宝箱が3つもあって、ぼくはとても嬉しくなったのですが、開けてみると、一つは空っぽ、後の二つも5Gとキメラのつばさでした。…がっかりです。ザイルが先に全部持って行っちゃったのかなあ……。寄り道したおかげで、ぼくはレベル13、プックルはレベル9に上がりましたけど。

 とにかく、これで用はなくなったので、さっさと二階へ行くことにしました。二階につくと、王様の座るみたいな立派な椅子に、誰かが座っていました。前に絵本に出てきた「盗賊カンダタ」に似ているような気がします。泥棒って、みんなあんな感じなんでしょうか。話しかけると、その人は自分をザイルだと言ったので、ぼくは、ドワーフのおじさんを追い出したのはポワンさまではないと説明しようと思ったのですが、その前に戦うことになってしまいました。でも、ザイルは思ったほど強くなくて、2〜3ターンで、簡単に勝つことができました。それで、よくやくザイルに本当のことを説明することができました。

 でも、そこに突然、雪の女王というのがでてきました。どうやらザイルは雪の女王にだまされていたみたいです。雪の女王は、魔物の姿になって襲ってきました。「女王」と言っていましたが、魔物の姿になると、男にしか見えません。まあ、この方が遠慮なしに戦えるというものです。ザイルよりは手強かったですが、危なくなる前に倒すことができました。

 ザイルは分かってくれたみたいで、お家に帰っていきました。そして、ザイルが教えてくれた通り、立派な椅子の後ろにある宝箱を開けると、そこにはちゃんと春風のフルートが入っていました。ためしに吹いてみたのですが、変な音しかしませんでした。ポワンさまが吹かないとだめみたいです。ついでに、隣にあったもう一つの宝箱を開けると、そこにはブーメランが入っていました。……もう持っているのでなんだか複雑な気持ちです。

 ともあれ、頼まれたものは手に入れたので、村に帰ることにしました。ぼくが春風のフルートを取り返したと知ると、みんな喜んでくれました。特に、ポワンさまに喜んでもらえたのがうれしかったです。でも、頼まれたことが終わったので、これでもう、お別れしなければなりません。妖精の村とも、ベラともお別れです。ちょっぴり淋しいです。ベラも同じ気持ちだったみたいで、一本の枝をお別れにくれました。枯れ枝にしか見えませんでしたが、春になったら花が咲くのだそうです。

 お別れのあしさつが終わると、ポワンさまは、春風のフルートを吹き始めました。ぼくが吹いてみた時よりも、ずっといい音でした。

 そして、雪がやんで、どこからか、ひらひらと花びらが舞い降りてきました。ピンク色の花びらです。一枚、二枚……すぐに数えられないほど花びらの数は多くなり、そこらじゅう、花びらだらけになりました。花びらがぐるぐると渦を巻いて……なんだか目を開けていられなくなって、思わず目を閉じてしまいました。……その時、一瞬ですが、なんとなく辺りが光につつまれたような気がしました。

 ―どのぐらい時間がたったのかわかりません。

 目を開けると、ぼくは、いつもの地下室にいました。ぼくの家の地下室です。ふと上を見ると、あの光の階段が消えていくところでした。不思議の国の大冒険は、終わったのです。

 上にあがると、サンチョが慌ててやってきました。お父さんにラインハットから使いが来て、出かけることになったというのです。ぼくが見つからないので、お父さんはあきらめて一人で行くことにして、たった今出て行ったところだって。急いで追いかければまだ間に合うかもしれないというので、慌てて外に出ようとすると、サンチョに呼び止められました。ポケットから何か落としてしまったみたいです。サンチョがひろってくれたそれは、桜の枝でした。

 ポケットには、ベラからもらった枝を入れていました。……あの時は枯れ木だったのに。そうか、花が咲いたんだ……。妖精の国も、きっと今頃、ベラが言っていた通り、この花でいっぱいになっているんだろうなあ。そう思うと、なんだか嬉しくなりました。桜の枝はいいにおいがして、とてもきれいです。サンチョも、とてもきれいだと言って興奮しています。部屋にかざっておきましょうかと言われたけれど、ぼくは断りました。この枝は、ぼくが持っていたいと思ったので。この、誰も知らない不思議な大冒険を、いつでも思い出せるように……。

 

 

2004.4.4

 

 

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