冴木忍作品
星の大地 | |
好きなキャラ |
アゼル&スィーン、タイロー、ザヴィア、予言者、イドリス |
私が一番最初に読んだ冴木作品である。 SFが出てきたり、最終巻で世界の成り立ちが判明したりした時には結構驚いたものだ。少々展開が急すぎるような気はしたが、美しい話だと思った。悲しいけれど、それがまたどこまでも美しい……そんな話。 |
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全3巻(1巻―1993.7、3巻―1993.12) |
風の歌 星の道 | |
好きなキャラ |
フィンレック一家 |
冴木作品の中で、最も好きなシリーズ。せつなく、美しく、そして優しい。幻の花リムディアは、この冴木作品のイメージそのもののような気がする。また、キャラクターの数も多く、各々の個性が最も際だっているのがこのシリーズだろうと思う。キャラ同士のユーモラスな掛け合いも、これが一番面白いような。 |
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前編(1992.10) 後編(1993.1) |
あなたに逢いたい |
「風の歌星の道」外伝集。いくつかの短編が収められており、いずれも心が温かくなるようなものばかりだ。キャラクターのその後が見て取れるのも嬉しい。そして、注目すべきは「あとがき笑劇場」。創竜伝のように、キャラ達の会話で構成されており、非常に楽しめる。 |
1995.1 |
新・風の歌 星の道 シリーズ | |
好きなキャラ |
聖王、セラフィン、ディスクリートの愛馬 |
セラがメインになっているせいか、全体的にほのぼのとした雰囲気の話になっている(ディスクリートは不幸だが)。最初の3巻は、ユード編の続き物。4巻、5巻は独立した話となっている。前作の主人公・ソードはあまり出番がなかったため、不幸な目に遭わずにすんで喜んでいるに違いない。ディスクリートの子供時代や、シャリアールが即位したのは22才の時だということなど、色々と新事実も発覚!単独の話としても、外伝としても、色々な楽しみ方ができる作品である。 #ちなみに私は「空飛ぶ子豚」派……。 |
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空見て歩こう | |
好きなキャラ |
ピロちゃん |
私の知る限り、二作目の女性主人公の話。しかし、シリアスな「星の大地」とは異なり、基本的にギャグ中心のお気楽珍道中である。珍しく「恋愛」が前面に出てきており、鋭い考察と……読者を大いに笑わせるギャグが盛り込まれている。サイがかなり変な奴で……サイだけかと思っていたら、それに影響されたのか、ほかのメインキャラもいつの間にか妙な感じに。「サイ菌」の伝染力はすさまじい。 |
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全3巻(1巻―1994.3,3巻―1995.3) |
メルヴィ&カシム シリーズ | |
好きなキャラ |
メルヴィ |
ギャグが非常に絵になる作品。見ていて面白いが……構成には少々不満もある。長編ではエピソードが詰め込まれすぎていたり、展開が速すぎたりして所々置き去りにされているように感じる部分がわりと多い。ストーリーは二転三転どころか四転五転と転がりすぎて目が回ってしまう。短編集の時はそれほど問題ないが、長編ではどうしてもそれが目につく。また、シリーズ全体を通してのストーリーがはっきりしない。うやむやのうちに終わってしまっているような気がする。キャラクターの性格も、いつのまにかうやむやのうちに変わっているような……。(その代表がアドルファス) テーマとしては、「魔法は、なんでもできる夢の力じゃない」ということが端々で語られており、魔法 =大きな力=必ずしも人を救えるわけではない、というようなあたりが、「るろうに剣心」の剣心と比古清十郎の対話のあたりを連想させた。ただ、テーマが示されたあとの展開がやはり曖昧なままなのが非常に残念である。そのせいで、テーマまでもが薄まってしまっている印象を受ける。キャラクター・世界観などは気に入っているので、きちんとした形をもってこの作品を完結させてほしいと思う。 |
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総評 |
透明感のある、非常に美しい文体が特徴。人間の愚かさ等も描かれているのに、それを包み込む温かさがある。せつなく、美しく、そして優しい。また、どこかユーモラスなキャラクターや会話が笑いを誘い、悲壮感を感じさせない。読むと、何だか心が洗われるような気分になる。 |
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