ふしぎの海のナディア

〜感想・評価〜

  

ここでは、作品についての評価と感想を述べています。

殆ど勢いで書いてしまっていますが、楽しんで頂ければ幸いです。

  

 

注)・評価は5段階評価です。

  

  

アニメ ふしぎの海のナディア

  

評価

ストーリー

4+

 宇宙規模のスケールとささやかな日常の組み合わせの中に見える奥深さ。

オリジナリティ

4+

組み合わせの妙とナディアの性格。

一貫性

 細かい設定などについては、各所でさり気なく説明されていたりする。矛盾がないわけではなく、話も打倒ネオアトランティスで一貫してはいないものの、主人公達の心情の変化は自然。

話の構成

 最後の方が少し慌ただしかったような気も。ノーチラス号が何故助かったのか、再会するまで何をしていたのかも気になる。

画像

3+

回によってばらつきがあるけれど、地球は青く美しかった。

音楽

主題歌がいい!曲では、「羽ばたけ大空へ」やガーゴイルのテーマも好き。

演技

4+

どれも全く違和感がない。そして、エレクトラの語りに込められた情念がまた……。

感動

4+

フェイトンさんの叫び声が忘れられない……。

キャラクター

皆個性的で、暖かい。

ユーモア

4+

島での生活(とエレクトラ?による前回のあらすじ解説『ナディアは一体何を考えて生きているのでしょうか?』等)など笑える要素もたくさん。

ギャグ

B

あの三人組が……。

合計

41+

総合評価

 宇宙規模のスケールとブルーウォーターの秘密などにまず興味を惹かれるが、「子供を見守る大人」という構図の中に描かれる個々の登場人物やセリフなども魅力的。
 最初は敵として現れたグランディス三人組の裏事情などもきちんと描かれ、いつの間にか頼りになる存在に。ナディアを始めとする各登場人物たちは、皆話が進むごとに魅力的になっていく。

感想

キャラクター解説

ジャン・ロック・ラルティール

  とにかく無類のお人よし。それに尽きる。当初人間不信の強かったナディアも、ジャンだけは信用していた模様。パリでナディアに一目惚れし、どこまでも尽くす。とても優しくて、ナディアにどれだけ罵倒されようとも決して腹を立てたりはしないが、ナディアが明らかに間違ったことをしている(マリーに八つ当たりするなど)と感じた時には叱ることもある(それでも怒っているわけではない)。おっとりした印象だが、ネオアトランティスに立ち向かう勇気も併せ持つ。ものすごくいい人なのだが、女心に疎いのと発明オタクなのが玉に瑕。

ナディア

 気が強くて可愛いけれど、我侭で人間不信で菜食主義者。でも、本当はとても優しい女の子。時に、理不尽で不可解なものの象徴としても描かれるが、同時に感情豊かで神秘的(=ブルーウォーター)という側面も持つ。当初は周囲に対して攻撃的だったが、ジャンやノーチラス号のみんなと出会ったことで、次第に心を開いていく。その笑顔は魅力的。

キング

 ライオンの子供で、ナディアの親友。口髭と赤いスカーフがチャームポイント。鳴き声がかわいい。自慢の牙は缶切のかわりとしても使用される。読み書き(ただしライオン語…)と簡単な計算ができ、マリーよりも賢いのではないかという説も。実は結構やきもち焼き。

マリー

 おませさん。ジャンとナディアを両親のように慕っている。一番の遊び友達はキングとサンソン。最終回で一番驚いたのは、マリーとサンソンが結婚していたことだった。でも、改めて見てみると、マリーが一番の遊び相手として懐いていたのがサンソンだったし、最終回の丘を駆ける場面は、「走れ!マリー」でサンソンがマリーの乗ったトロッコを押しているところと重なる。思わず唸ってしまった。

グランディス

 最初は悪役三人組のリーダーとして登場するが、本当はそんなに悪い人ではない。軍服姿の勇ましい出で立ちだが、実は元良家のお嬢様。ネモ船長に一目惚れして、ノーチラス号の見習い乗組員に。ネモをめぐって、エレクトラと日々熾烈な争いを繰り広げる。大人の女性としてナディアに様々なアドバイスを行い、いつの間にかナディアにとっては姉のような存在に。

サンソン

 グランディスの手下その一。サングラスをかけるといかにも悪人ぽく見えるが、実はとてもいい人。もとはグランディスの家の運転手で、彼女の家が没落した後も、態度を変えずに彼女を「姐さん」として仕え続ける。照れ屋で子供好きだが、あくまでダンディにこだわろうとするところは見ていて面白い。特技は射撃。また、鉄も曲げる怪力の持ち主で、もしかすると、彼の名前はここから来たのかもしれない(サムソン→サンソン)。ハンドルを握ると性格が変わるので、グラタンの運転を任せる時は、注意しなくてはならない。

ハンソン

 グランディスの手下その2。以前はグランディスの家で技師をしていた。ジャンと同様発明オタクで、グラタンも彼が作ったらしい。後に自動車会社を築いて大金持ちに。グランディスも、ブルーウォーター探しに血眼になるより、グラタンを売った方が効率的に思えるのだが……。

ネモ

 ノーチラス号の船長。まさしく「海の男」のイメージそのもの。

エレクトラ

  ノーチラス号の副長。若く美人でネモを慕っているが、同時に憎んでもいる。そのため、ネモがガーゴイルを追うことよりもナディアの命を優先しようとしたりなどすると、「目的のためには何を犠牲にすることも厭わなかった人が……!」と憎しみを抑えきれない。しかし、再登場した時には、逆に「大勢を救うことも大切ですが、たった一人の命の重さも考えてください」とネモに進言。一体何があったのだろう……。愛憎を内に秘めた、良くも悪くも一人の女性。

心に残った話

1.「ノーチラス最大の危機」
 記憶があやふやになっても、この話だけははっきりと覚えている。
 船内に有毒ガスが発生し、一部区域が遮断される。取り残された船員は死ぬことになるが、彼がまたいい人だったのだ。そして、駆けつけたジャン達を扉ごしになだめ、色々と格好のいいことを言うのだが、いざ死ぬという時になると、「死にたくない!」と悲痛な叫びを上げる。それがあまりにもリアルで、忘れられなかった。

2.「星を継ぐ者…」
 最終回。ビデオに録画していたため、この話だけはよく覚えている。ネオが切なかった。

3.「裏切りのエレクトラ」
 いよいよノーチラス号が沈みはじめ、ネモ船長はジャン達を逃がす、その別れの場面。マリーのように素直になれないナディアと、ナディアに避けられるネモ船長が切なかった。その後は、エレクトラがネモ船長を撃つという衝撃の展開に。エレクトラの言葉から迸り出る情念。

4.「消えた大陸の秘密」
 海に投げたのに戻ってきてしまうブルーウォーターが、なぜか印象に残っている。遺跡での葬儀も……。

5.「ブルーウォーターの秘密」
 遺跡に入ってからはずっと白黒で、時間が止まったような不思議な感覚。最後にナディアの誕生日がわかってみんなで「ハッピバースディートゥーユー」を歌うのが印象的だった。

  「ひとりぼっちのキング」
 
 ナディアの豹変振りが面白い。夜の浜辺もロマンチックで記憶に残る。

★おまけ★

「消えた大陸の謎」にて葬儀で読まれた詩

「闇の中にこそ花を見る。花こそは生きる力なり。
 また、闇を怖れ、目を閉じて闇を思え。
 闇は不安の王。闇こそは死の王国。
 光の中にも闇を忘れず、闇の中にも花を忘れず。その無慈悲な無感覚を忘れず。
 汝の心に闇を見よ。闇を怖れよ。目を閉じて闇を思え。
 そは永遠の破られることなき安らぎなり。
 空の大地へ還るその日まで、今日この時より我は闇の住人、
 すなわち汝ら一人一人の心の中にこそ花を捧げ、安らぎを求めるべし」

 見たのがずいぶん前の話になるので、上に挙げた話の他は、ナディアとネモがものすごく仲が悪かったことぐらいしか記憶になかったが(昔はただブルーウォーターほしいなあ……とか思っていた)、最近改めて見る機会があったので見てみると、これがすごく面白い。名作と呼ばれ続けているのも頷ける。

 

 

2008.5.4

 

 

 

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