CDレヴュー 「BREATH

〜不二周助BIRTHDAY MEMORIAL ALBUM

 

 

BREATH

表紙

 見るからに「アルバム」という雰囲気を漂わせている。全曲英語詩、ということもあいまって、「これぞアルバム!」と、これほどアルバムらしいアルバムもない、と思わせるようなつくりだ。

 表は海辺に腰掛け、青空をバックに紙飛行機を飛ばそうとする不二……と、なんだか写真集の表紙にでも使われそうな構図(もっとも、私は写真集というものを持っていないので、実際にどうなのかは知らない。単なるイメージである)。それにしても、発売日と雰囲気からして、夏の海ではないのは確かである。結構寒いのではないだろうか。……それはともかく、表紙はよかった。

 ただ、中表紙…というか、ブックレットに使用された写真(?)は、今ひとつだった。まず、曲の雰囲気と合っていない。例えば、穏やかな「AMAZING GRACE」の歌詞が記されているページに、開眼してテニスをしている写真が載っていたりとか……。どう考えても、ここはにこにこと普通に微笑んでいる写真を載せるべきところであろうに。他のページも同様である。「Grand Slam」にしても、開眼して怖ろしい微笑みを浮かべている写真の方がふさわしい。どうも、このアルバムが醸し出す雰囲気から浮いている、というか……。それに、ブックレットの裏表紙(外からは見えない部分)も、なにもこちらを睨み殺すような表情の写真を載せなくてもいいものを。表紙はいいのだから、外から見えないところにも気を遣ってほしいものである。

AMAZING GRACE

Lyrics and music:JOHN NEWTON

Arranged by NOBUHIRO MAKINO

 ゆったりとした穏やかな、優しい曲。CMでもこの曲が使われていた。繰り返し聞いていると、やや単調に感じられる部分もあるが、綺麗な曲で、ふわふわとした気持ちになってくる。

 不二のイメージにもよく合っている(他のキャラがこの歌を歌うことはありえないだろう)。それにしても、これを聴いていると、本当に不二は「芸術家」という気がしてくる。

#今にはじまったことではないが、テニスのイメージじゃないぞ……。

Peaceful time

Lyrics:TOBBY

music and arranged by MASAYOSHI MURAKAMI

 こちらもゆったりとした落ち着いた曲だが、やや短調な部分もあって起伏に富み、テンポもいい。曲と歌詞も、よく合っていると思う。ありふれた日常の、しかしそれがはてしなく貴重に感じられる…というもの。

Carry On

Lyrics:KANDII KANE

music and arranged by MASAYOSHI MURAKAMI

 歌詞を見たときは優しい感じの曲を想像していたのだが、予想に反し、このCDの中で、最も激しい曲だった。まあ、激しい……といっても普通のレベルで、このアルバムの中で、格別浮いている、というわけではないが。

#これはこれで不満はないが、どうせ激しくするなら、「Black Rain」みたいなのがよかったな……。

Grand Slam

Lyrics:YUKI KAIDA

music:TAKESHI KONOMI

arranged by NOBUHIRO MAKINO

 作者(=漫画家)が作曲を担当すると聞いて、好奇心半分、不安半分で聴いてみたこの曲。しかし、いざ聴いてみれば……なんと、このCDの中で一番気に入ったのは、この曲であった。ゆったりとしたテンポながら、実にかっこいい。ちなみに、私のこの曲の第一印象は、「かかっておいで、返り討ちにしてあげるよ…フフフ」というものだった。不二の内面に秘められた激しさがよく表されていると思う。魂の奥底から呼び覚まされたもの。何者にも屈せず、ただひたすらに一つのものを求め続ける……そんな感じ。

2004/2/29

NEC 定価\2,000(税込)

 

追記:ところで、同封のアンケート葉書に、「不二周助のセカンドアルバムが発売されるとしたら……」という質問が二つもあったが、これは期待してもいいのだろうか?

 

 

 

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