「スラムダンク」と

「テニスの王子様」

 

「スラムダンク」と「テニスの王子様」。

 どちらも「週刊少年ジャンプ」に掲載されていた(る)スポーツ漫画で、ギャグも程よくミックスされ、アニメ化もされて大好評を博しているーという共通点があるが、それ以外にも、両者にはたくさんの共通点があると思う。それを、キャラクター、学校、ストーリーなどの面から見ていきたいと思う。

 

〜キャラクターの共通点〜

 

手塚国光と赤木剛憲

共通点

 ともにチームのキャプテンで、大黒柱。全国制覇への想い熱く、チームを引っ張っていく。自分にも他人にもとことん厳しく、チームの「ムチ」担当。

 また、きれい好きで、成績優秀な優等生でもある。

 年のわりに老けており、年齢詐称疑惑がかかっているところも似ている。

 身体の一部を負傷するが、それを押し切って試合に出場する、という点も同じである。

相違点

 手塚は無口無表情だが、赤木はそうではない。赤木はすぐ手が出るが、手塚は一睨みで相手を黙らせる。そして、最大の違いは、手塚は美形だが赤木はゴリラ、ということだろう。

大石秀一郎と木暮公延

共通点

 ともにチームの副部長(副主将)。メンバー唯一の常識人で、親しみやすく、ワンマン傾向で近寄りがたい部長(主将)を補佐する。チームの「アメ」担当。

 部長(主将)とは、入部当初から苦労を共にし、今の部を築きあげてきた。

 実力は中くらいで、特に目立たないが堅実。地味なため、ややもすれば副将ということを忘れられそうになるが、ここぞという場面では、活躍することもある。

相違点

 最初は特に相違点が見つからなかったのだが、最近では、大石が、木暮にはない腹黒さを発揮しはじめている。

越前リョーマと流川楓

共通点

 チームのエースで、ともにスーパールーキーの称号を持つ。誰もが目を見張る実力だが、やや協調性に欠け、基本的に一匹狼。

 ハンサムでクールだが、わりと無口で無愛想。「生意気」との声も多い。わりと子供っぽいところもあり、売られたケンカは買う。相手を挑発することも多く、かなりの負けず嫌い。そして、いつでもどこでもよく眠る。

 リョーマの3年後は流川のようになっているのではないかと思われる

 いつの間にか、彼専属の応援団ができてしまっているところも同じである。(今のところ、人数・迫力ともに流川の方が遙かに多いが)。

相違点

 流川は長身だがリョーマは背が低い。といっても、まだまだ伸びる可能性もあるが。また、リョーマはチームメイトから、色々と子供扱いされているふしがあるが、流川はそうではない。

壇太一と相田彦一

共通点

 身長が低いため、選手になるのをあきらめチームのマネージャーに徹している。そして、ことあるごとに他校のデータを集めようとする。

 また、素直で言われたことをすぐに信じてしまう性格も似ているものがある。

 主人公の学校の、同じく身長が低い選手の見事なプレイを見て、自分も選手になろうと思うくだりも、同じである。

相違点

 太一はわりと整った顔立ちをしているが、彦一は普通の少年である。また、太一は気弱で控え目、いつもどこかおどおどしているが、彦一は何事にも全く気後れすることはなく、ことあるごとに騒いで監督に怒られている。また、彦一は大阪弁のせいもあり、一度見たら忘れられない印象を残す。

 

 

〜学校の共通点〜

青学と湘北

 どちらも主人公の通う学校である。個性派のメンバーが集まり、個々の能力も高いが、同じ学年のレギュラーの間では喧嘩がたえなかったりと、「協調性」という面においては不安な面もある。

 主人公の入学した年は、例年になくいいメンバーが集まり、今年こそは全国制覇を狙えそうだと勢いにのっている。

青学と陵南

 強豪と言われている学校だが、それでも最近は県ベスト4止まり。熱血・熟練の監督がおり、かなりの練習も積んでいる。誰もが恐れる「天才」を擁しており、今年こそ優勝をと意気込んでいる。

不動峰と湘北

 それまで無名校だったが、キャプテンの力で有力なメンバーを揃えてチームを立て直し、今大会のダークホースと呼ばれている。

 物語の始めのうちに、強豪と言われる学校(青学or陵南)と対戦しており、好勝負をするが、今一歩のところで敗北。再び大会で相見える時を目標に、日々努力を続けている。

氷帝と翔陽

 強豪と呼ばれ、昨年は県準優勝。だが、今年は主人公の学校と大会の始めに対戦することになり敗れたため、全国への夢を断たれた悲劇の学校。

 応援のすさまじさも、両校の特徴である。

立海大附属と海南大附属

 ともに「王者」と呼ばれる、例年の優勝校。付属学校という点も共通している。なぜかここに、主人公と同タイプのライバルがいるという点まで同じである。

 

 

 と、このように、「スラムダンク」と「テニスの王子様」にはたくさんの共通点がある。

 ストーリーにしても、チームのエースに人知れず留学話が持ち上がったりと、似ている点は多い。

 ただ、「スラムダンク」は王道だが、「テニスの王子様」は、それのちょっとナナメを歩んでいるのではないかと思う。

 普通、脇役に来るようなキャラ(「スラムダンク」では流川)を主人公に持ってきたこともそうだし、それに何より、「テニスの王子様」は、試合をしていない時の方が人気があるようなのだ。

 「テニスの王子様10.5」に載っている「いちばん好きなのは第何話?」というアンケートにおいて、1位は「寿司屋でGO!」、2位は「都大会前日〜カルピンの大冒険〜」と、どちらも試合がメインではない話である。スポーツ漫画で、閑話休題の方が人気がある、というのも珍しいかもしれない。また、3位も「観月VS不二」で、主人公そっちのけである。

 試合よりも閑話休題の方が面白い、というのはスポーツ漫画としてどうかと思わないでもないのだが、実際私も、試合よりも、他のギャグ話の方が面白く感じてしまうのだから仕方ない。

 一方「スラムダンク」は、閑話休題ももちろん面白いが、やはりこの作品のメインはなんといっても試合である!熱く、熱く、燃える試合。そして、もちろんギャグも忘れない…。好きな話を思い浮かべようとすると、試合の名場面ばかりが思い出されてくるのだ。これぞ王道!といった感じである。

 キャラクターなど、表面的な部分では共通点の多い両作品だが、根本的な部分では、何かが違うのかも知れない。

 

2003.9.6

 

 

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