勝手に強さランキング

〜他校編〜

 

 ―関東大会。そこには、数多の強敵達が出場したが、彼らの強さに順位をつけるとしたら、どのようになるだろうか?今回は、それを考察してみたい。なお、青学メンバーに関しては、既に別の項で考察していること、また、主人公を含めると考察がしにくくなることから、ここでは考察に含めない。

 とりあえず、No.1は幸村で間違いと思うが、そこから下になると、もう団子模様。

 そこで、青学の時と同じく、総当たり戦を行った場合の戦績から、誰がどのぐらい強いのか予想してみることにした。なお、考察の都合上、ここに出すのは、ある程度強さが描写され、シングルスで戦った選手のみとする。予想の難しい個々の試合模様については後で詳しく検討していくが…とりあえず、以下のようになった。

 

総当たり戦勝敗予想

 

幸村

真田

切原

跡部

樺地

芥川

千石

阿久津

伊武

神尾

幸村

真田

×

切原

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

跡部

×

×

樺地

×

×

×

芥川

×

×

×

×

×

×

×

×

千石

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

阿久津

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

伊武

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

神尾

×

×

×

×

×

×

×

×

×

×

 

 

 幸村は、最強の立海にあって最強なので、当然全勝。真田も立海では二番目に強く、神尾、伊武、千石、芥川、阿久津らには、無我の境地における、あの恐るべき反応速度を考えれば勝てるだろう。真田VS跡部は、風林火山で真田が勝ったと思しき跡部の発言があったので、真田の勝ち。
 次に、
真田VS樺地。樺地との戦いでは、樺地がその能力をコピーできるか否かが、大きな問題となる。樺地は無我の境地をコピーできるかどうか?特別な身体能力を必要とするものではないので、やろうと思えばできるだろう。もっとも、樺地の性格が、もともと半分無我のようなものなので、わざわざコピーする必要もないかもしれない。あのコピー能力も、「半無我の境地」の為せる技のように思えるし。かくて、ここでは「風林火山VS風林火山」が重要になってくるが、こうなると、樺地は不利である。力では樺地がやや勝ると思われるが、「風林火山」の各属性を場合に応じて適切に使いこなせるかということになると、はなはだ怪しいからである。以前波動球をコピーして自滅したところからすると、樺地はどうも、そのあたりの駆け引きには弱いような気がする。だから、腹のさぐり合いや駆け引きがメインの戦いでは、樺地は恐らく勝てないと思われる。

 橘の実力は、まだ完全に明らかにされたわけではないが、オーラを出していない状態では切原に負けていることもあり(真田はオーラなしでも勝っていると思われる)、真田の無我の境地と風林火山に対抗する術を持っているようにも思えないので、真田VSも真田の勝ちだろう。

 跡部は実力至上主義の氷帝で部長であることから、氷帝内では一番強いことが窺える。また、青学との戦いを鑑みれば、神尾、伊武、千石、阿久津らには勝利できるだろう。ちなみに、跡部VS樺地では、跡部はいかにして樺地に勝利したのか、ということについてだが、これは、跡部の特殊技「インサイト」がコピーできる性質のものではなかったということが大きいだろう。跡部は基礎能力の高さに加えて、駆け引きなどを得意とするタイプだが、樺地は基礎能力こそ高いものの、駆け引きとなるとまるで駄目。例えコピーできたとしても、あのような技は、巧妙な策略のもと、上手に使いこなしてこそ意味のあるもので、樺地にそれができるとは思えない。また、樺地は精神面で跡部に支配されている節があるので、跡部には勝てない、という面もあろう。

 跡部VS切原も、恐らく跡部の勝利。切原は無我の境地を使いこなせるようになったが、まだ不完全で、体力の消耗が激しい。跡部は「インサイト」ですぐにそれを見抜くだろう。そうなれば、後は簡単。手塚にやったように、持久戦に持ち込めばいいだけ。後は、切原があっという間に体力を使い果たして自滅するだろう。

 跡部VS―インサイトVSデータマン、というのはなかなか興味深い対戦である。データマンの柳なら、自分の弱点は知り尽くしているだろうから、跡部のインサイトにも何ら痛痒を感じず、その一方で、跡部の弱点を探り出せる(かもしれない)というやや有利な立場にある。ただ、手塚VS乾で、鍛えた乾がそれでもなお手塚に圧倒されたこと、そして乾と柳の力が五分五分であることを考えると、跡部と柳の間には、超えられない基礎能力の差があると思われる。そう考えると、この勝負も、恐らく跡部が勝利を手にするだろう。…全力を出して。

 跡部VSも予想は難しい。橘も、全国区に名を連ね、部内では一番強いため、神尾・伊武らを圧倒する実力。そして、他のトップクラスの選手と同じく、オーラを操ることができる。一方跡部は、まだオーラの描写がないので、これを操れるかどうかは不明。しかし、それでも跡部には「インサイト」がある。橘は、一度切原にやられて怪我をしているし、過去と関連して何やらトラウマがある様子。そこをうまく突けば、跡部が勝つのではないかと思う。

 VS切原で、橘は一度敗れたものの、それは、切原のプレイスタイルにかつての自分を見て、十分に力を出し切れなかったのが大きい。今の橘は、全盛期の頃のようにオーラを出して戦っている。そして、切原もまた、オーラを身につけた。コントロールはまだまだ未熟だが、まがりなりにも「無我の境地」が使えるというのは大きい。何と言っても、最強と言われる立海に所属しているのだから、あの幸村や真田の強力な技を使える、ということになる。また、オーラなしの状態で橘に勝利した、という実績もあるので、基礎能力は橘に決してひけをとらない。橘は、無我の境地こそ使えないようだが、それを使える千歳と並んで九州二強と言われていたことからすると、何かそれに匹敵するだけの必殺技を持っている可能性が高い。切原は、それに対抗できるのだろうか。無我の境地は極度に体力を消耗するから、短時間で決着をつけなければならないが、おそらく、オーラを解放した橘は、そこまで生やさしい相手ではないだろう。よって、最初こそ切原が橘を圧倒するが、ぎりぎりのところで切原の体力が尽き、橘の逆転勝ちーという形になるのではないかと思われる。

 あと、VSだが、橘のデータを柳がどの程度把握しているかが問題となる。なにしろ、不動峰は昨年出場停止で、橘はなかなか実力を発揮できる場に恵まれなかった。切原との試合ではオーラを解放していなかったし、それ以前のデータとなると随分前、しかも九州にいた頃のものとなり、十分なデータを集めることはできなかったと思われる。もちろん、試合しながらでも、ある程度のデータは集められるだろうが、逆転するだけの猶予を橘が与えてくれるかどうか。しかも、橘と違って、柳はオーラを使えない。その上、橘のスマッシュは、ガットを破るだけの力があるのだ。データを十分集めていても勝てるかどうかわからない。この状況で、データ収集が不十分というのは致命的である。よって、橘が勝利するだろう。

 VS樺地は、材料が少なく考察が難しいのだが…ガットを破った橘の力を考えると、橘も力で十分に樺地と渡り合えると思う。それでも、力、素早さなど個々の能力を見れば、樺地がやや上回るだろうが……それだけで判断できるほど大きな差ではない。そこで問題になるのが、技と駆け引きである。技は、体質によるものや「インサイト」のように駆け引きに利用する特殊なものを除けば、樺地なら大抵はコピーしてしまう。今のところ、橘がジローや向日のような特異体質だという描写はないし、策謀を練るのが大好き、というタイプにも思えないので、橘の技は、樺地にもコピー可能である可能性が高い。となると、駆け引きに焦点が当たるわけだが……この対戦において、これがどこまで重要視されるべきかは、やや疑問である。橘は、青学との試合中、わざと席を外して青学に精神的圧力を与えたりしたことから見て、それなりに駆け引きに通じてはいるのだろう。だが、樺地にこの種のことは、まったく効果がないように思われるのだ。精神的圧力を圧力とも感じない鈍感さ、とも言うべきものが樺地にはあると思う。テニスは精神面が重要なスポーツだ、とは作中において再三言われていることだが、こと樺地に関しては、精神面で揺らぐことはないだろう。この点でも橘は不利だが、橘も、いろいろと苦労してきているので、決定打となるほどのダメージは受けないだろう。どちらも決定打となりうる切り札を持てず、互角の戦いが続く。…恐らく、長期戦になるだろう。そうなれば、底抜けの体力と機械のごとき揺るがない精神(=疲れを知らず、精度が落ちない)を持つ樺地が有利になってくる。接戦の末、樺地が勝つのではないか。

 

 これで、「全国区」と呼ばれる面々の勝敗予想は大体できた。残りのメンバーについて、見てみよう。

 

〜切原VS柳〜

 同じ学校にいる切原のことは、柳ならば完全に把握していと思われる。切原のテニスは「超攻撃的」なので、それについていけるかが問題になるが、どこに球が来るかわかっていれば、何とかなるだろう。
 ただ、切原が無我になった時のデータはまだ揃っていないだろうから、そうなれば不利。仮にデータが揃っていたとしても、柳は真田の「風林火山」の前に敗れたという描写があるため、切原が無我の境地で「風林火山」を出してきたら、かなりまずいことになる。また、切原は、リョーマと同じく「試合の中で急成長するタイプ」だと考えられ、データマンの柳にとっては苦手なタイプだろう。

 これらのことを考えると、最初こそ柳がやや有利だろうが、最終的には切原が勝利するだろう。関東大会決勝で、柳がS3で切原がS2だった、というのもこれを裏付けるかもしれない。
 もちろん、必ずしも強い順にオーダーが決められると限らないし、特にこの時は、「乾と柳が当たるように」作為が働いていた可能性もある。切原も、まだ無我の境地を使えなかったし、リョーマに敗北もしていたから、それほど強い裏付けにはならないだろうが……。

 

〜切原VS.樺地〜

 樺地は、巨体のわりには動きが素早いので、切原の動きにも十分ついていけるだろう。その一方で、切原は樺地の怪力に苦戦することが予想される。なにしろ樺地は、「リョーマが樺地と当たったらケガをする」と竜崎先生に言わしめたほどの力の持ち主。切原の力はリョーマとほぼ互角かと思われるし、力不足から真田の必殺技をきちんと使いこなせなかったという描写もあるので、そのままでは樺地の力に対抗できまい。
 従って、無我の境地で風林火山を使い、樺地の力を受け流そうとすることになる。そうすると、今度は樺地が無我の境地と風林火山をコピーして対抗、という形になる。真田の時は、その使い方が焦点になって樺地は敗れると思われるが、切原の場合、まだ無我の境地を完全にコントロールできるレベルに達していないため、風林火山の場に応じた使い分けができず、これで勝負はつかないだろう。それでは、一体どうなるのか。
 ―無我の境地対無我の境地。
 周知のように、無我の境地は極度に体力を消耗する。この場合、どちらが長く無我の境地を持続出来るかが焦点になってくると思われるが、どうも見たところ、体力という面では樺地の方が圧倒的に分がありそうである。よって、この勝負は、樺地の勝利。

 

〜切原VS芥川〜

 性格は違うが、どちらも攻撃重視でよく動き、短時間で試合を終わらせるという点では共通している。
 しかし、ジローが裕太を倒すのにかかった時間は15分。それに対し、切原は殆どの試合を10分で終わらせてる。無論、それ以上かかることもあるが、そうなると、切原の目は充血し、さらにパワーアップする。その状態で、(オーラなしの)橘を容易に倒した。橘でさえそうなのだから、相手が裕太ならば、最初から充血した状態なら15分もかからないのではないか。
 また、不二との戦いでは、ジローが6−1で負けたのに対し、切原は,不二にハンデを負わせたとはいえ7−5の接戦で敗れた。よって、基礎能力の差から、切原の勝利。

 

〜切原VS阿久津〜

 どちらも攻撃的な性格なので、リョーマVS阿久津の時のように、球のぶつけあいになることが予想される。そして切原の目が充血し、後には無我の境地が発動するであろうことも、想像に難くない。そうなれば、阿久津の運動能力にもひけをとらない。
 また、阿久津はまだ無我の境地を会得していない状態のリョーマと戦って敗北している。そして、赤目の切原は通常状態のリョーマを徹底的に追いつめた。つまり、赤目の切原は、阿久津よりも基本的能力が上、ということになる。これで阿久津が何か特殊な必殺技でも持っていれば、これだけでは勝敗は決められないが、阿久津は天性の運動能力だけで勝負しており、特に必殺技などは持っていないので、これで勝敗は確定する。―切原の勝利である。

 

〜切原VS千石〜

 並はずれた動体視力を誇る千石。全国大会ではそれにさらに磨きがかかり、足の動きが見えないほど素早い選手の球も、容易く返して見せた。しかし、赤目になったり無我の境地になったりした時の切原の動きは、並はずれている。見えるからといって、追いつけるとは限らない。それが証拠に、千石は一度神尾に敗北している。
 駆け引きでは千石に分があるだろうが、それ以前に、切原の「超攻撃的テニス」に千石はついていけない可能性が高い。
 それに、千石は、切原と違って、あまり強力な技を持っていない。「動体視力」もあくまでも補助的な技として有効なのであり、切原のような相手と戦うには、こちらも強力な必殺技を持たないと不利。しかし、それには「虎砲」だけでは荷が重すぎる。
 防御も十分とは言えず、有効な反撃手段も持たない千石には、切原に勝利することは難しいだろう。

 

〜切原VS伊武〜

 特殊な技を使わなければ、「赤目切原>リョーマ(通常)>伊武」という式が成り立つが、さて、ここに伊武の「スポット」と切原の「無我の境地」を考慮に入れるとどうなるか…?
 しかし、「スポット」は特定の球種を順に繰り出すことによって、初めて成立する技。あの「超攻撃的」な切原相手に、そんな悠長な真似ができるだろうか。切原が「スポット」に陥る前に決着がついてしまうかもしれず、そもそも、球種の打ち分けなどする余裕が与えられるかということになると、はなはだ心許ない。切原の猛攻に耐えることができるなら、「スポット」は実に有効な技だと思うが、おそらくそれはかなわないだろう……。つまり、必殺技での逆転は無理。よって、式の通り、切原の勝利。

 

〜切原VS.神尾〜

 切原のテニスは超攻撃的だが、神尾もスピードが売りなので、切原の攻撃についていくことは可能だろう。しかし、もし切原が無我の境地を繰り出してくれば……そこから出される必殺技の数々に、神尾は為す術がない。よって、切原の勝利。

 

〜柳VS.樺地〜

 柳の特技はデータテニス。つまり、樺地にコピーできる種類のものではない。また、樺地のようなタイプはデータが取りやすいだろう。だから、焦点は「通常の樺地が持つ高い基礎能力」に柳が対抗できるか、ということになる。なにしろ樺地は、たった一人で桃城と神尾の二人を同時に相手取り圧倒したのだ。下手にコピーなどしない方が強いのではないかとすら思える。そんな樺地に、データでどこまで対抗できるか。
 まず、樺地の馬鹿力をなんとかできるのか。まあ、柳も一応王者立海のレギュラー、ということで、両手打ちすれば返せないことはないだろう。樺地の行動を先読みし、最小の動きで、樺地の最も返しにくいところへ打ち返す……そんな戦いが延々と続く。
 しかし樺地も、巨体に似合わぬスピードで、遠くに返された打球にも追いつく。そして、強靱(鈍感?)な精神力で、自分の動きが読まれていることにも全くダメージを受けず、淡々と試合を続ける。
 ……こうなれば、持久戦である。
 そして、そうなれば、見るからに体力に溢れた樺地が有利。柳は、相手の行動が読める分、体力の消耗を若干押さえることができるが、樺地の怪力に対抗するのに体力を余分に消耗するため、これが大きな利点とはならないのだ。それに、得意の精神的駆け引きが、樺地にはのれんに腕押し、というのも痛手だ。柳の持ち味が一切通用しない相手―それが樺地である。そのようなわけで、樺地の勝ち。

 

〜柳VS.芥川〜

 芥川ジローと言えば、不規則なボレーを返せる事で定評があるが、それ以外の能力は普通である。よって、ここでは、柳のデータテニスがどこまでボレーの方向を予測できるかで勝負が決まる。
 ジローのボレーは「通常では不可能とされる方向」へ容易く返せることから「予測不可能」と言われるが、無論それは、ジローの制御下でなされているのであり、ジローにだけは、その方向は予測できるのである。そして、制御下にあるということは、心理・行動パターンから分析可能、ということでもある。同じ関東で強豪と言われる氷帝のことは、柳もよく調べているだろう。よって、ジローの行動を読み切った柳の勝ち。

 

〜柳VS.千石〜

 柳はデータを、千石は動体視力を生かして、他の人よりも素早く反応することができる、という長所を持っている。また、そして、どちらも駆け引きに長けている。
 つまり、二人の戦いは、自分の得意とする分野―駆け引きを駆使した戦いが主になる可能性が高い。
 では、どちらが同分野においてより優れているだろうか。
 まず、世評から考えてみよう。柳は王者立海のレギュラーで、そのメンバーは「全員全国区(=手塚並)」だと言われている。一方の千石も、昨年
Jr.選抜に選ばれている。柳の方が若干上のようにも思えるが…これだけでは、判断できない。
 次に、これまでの戦績から。柳が今大会で敗北したのは乾にだけだが、千石は桃城や神尾に負けている。どうも、「ラッキー千石」の通り名とは裏腹に、重要な試合ではすっかり負け癖がついてしまっているようにすら思える。
 また、経験という面でも、全国大会に2年連続全国大会を勝ち進み、また部内に自分より強い選手がいる柳の方が上だろう。
 これらの理由から、柳の方が強いのではないかと思われる。

 

〜柳VS.阿久津〜

 阿久津のデータは少ないが、特殊な技もなく、駆け引きも使ってこないので、それでも十分だろう。問題は、阿久津の驚異的な運動神経に柳のデータテニスが対抗できるかどうか、だが、移動速度の差は阿久津の動きを読むことでカバーできるし、細かい技量ではおそらく柳の方が上。また、阿久津の短気とプライドの高さを利用して、冷静さをーひいてはコントロールを失わせ、自滅に導く事も、駆け引きに長けた柳なら可能だろう。柳にしてみれば、阿久津のようなタイプは実に御しやすいはずだ。試合は、長引きはするものの、完全に柳のペースで進み、柳の勝利に終わるだろう。

 

〜柳VS.伊武〜

 伊武の「スポット」は、相手に仕組みを知られていたら発動させるのが難しい。ある程度の技量の持ち主なら、リョーマがやったように「相手にトップスピンとスライスを交互に打たせない」という戦法をとってくると思われるからだ。柳も恐らくそうするだろう。そして、通常の打ち合いでは、伊武の行動を先読みできる柳が有利。よって、柳の勝利。

 

〜柳VS神尾〜

 スピードが売りの神尾だが、柳は神尾の行動を先読みすることによって、これに対抗できる。そして、体力の消耗が激しいのは、神尾。よって、勝つのは柳。

 

〜樺地VS芥川〜

 ジローの変幻自在のボレーは、天性の「手首の柔らかさ」によるものなので、樺地にはコピー不可能だと思われる。故に、ジローが前に出てボレーを打てば、樺地には対処する術がない。しかし、樺地の馬鹿力による剛球を、果たしてジローはボレーで返せるものか……?下手に返そうとすれば、手首を痛めるか、ラケットを弾かれるかするのではないだろうか。それを防ぐには、両手で返すしかない。つまり、ジローの最大の長所が発揮できない。樺地の勝利だろう。

 

〜樺地VS千石〜

 千石の動体視力を樺地はコピーできないだろうが、「虎砲」はコピーできる。それは恐らく、千石のよりも強力なものとなろう。千石は、ラケットを弾かれて打ち返すことができないのではないかと思われる。つまり樺地は、「虎砲」コピー後は、必ずサービスエースを取ることができる…ということになる。
 しかし、打ち合いでは、動体視力を利用して素早く対処できる千石がやや有利。ただ、自分の技に対処できないという精神的動揺、そして蓄積する疲労から、次第にミスが増えていくのではないか。一方の樺地は、精神的動揺とは無縁の人間。体力もありそうなので、長期戦になってもミスは少ない。長期戦の末、樺地が勝つだろう。

 

〜樺地VS阿久津〜

 阿久津のあの動きーあれはコピー可能なものだろうか?
 天性の運動神経に拠るところが大きいので、普通に考えれば難しいだろうが、運動能力は、樺地もなかなかのもの。なにより、無我の境地に達したリョーマが阿久津の動きを真似ていたことから、樺地にもコピー可能なものと思われる。
 そして、力では樺地の方が上。動きが同じなら、力が上の方がー樺地が勝利する。

 

〜樺地VS伊武〜

 樺地の力に対抗するためには、伊武は両手打ちする必要があるだろう。これではトップスピンとスライスを交互に打つのは困難だろう。つまり、「スポット」は使えない。仮に使えたとしても、樺地が「スポット」に陥る頃には、伊武も同じ状況になっているはずだ。だから、「スポット」はこの勝負の決め手にはならない。
 次に、伊武の「キックサーブ」だが、これも、ある程度以上の技量の持ち主なら返せるもののようだ。樺地も強豪氷帝のトップクラスにいる男、返すことは可能だろう。そしてそれをコピーするが、伊武の方も、自分の技なので返せないはずはない。だから、これでも勝負はつくまい。
 つまり、特定の技によらず、通常の打ち合いで勝敗は決する。
 伊武は、樺地の力の前に体力を激しく消耗するため不利である。それに対し樺地には、特に敗因となるべき要素は見当たらない。故に、樺地の勝利だろう。

 

〜樺地VS神尾〜

 かつて神尾は、桃城と二人がかりで樺地に挑み、手も足も出なかった(一応桃城の方は、「片手」ぐらいは出たようだが…)。まして、一対一では、到底勝ち目はないだろう。樺地の勝利は明白である。

 

〜芥川VS千石〜

 芥川ジローの変幻自在のボレーに、千石は得意の動体視力で対抗できるかどうかが決め手になると思う。千石には、大抵の球は「止まって見える」ため、ジローの球が「有り得ない方向」に飛んでいくのをいち早く見極めることができる。だから、一撃目はなんとか返せるだろう。しかし、ネット際の戦いにおける経験、及び柔軟性という点ではやはりジローに分があると思われ、ネットを挟んでの近接戦が続けば、ジローが勝つ。
 千石は駆け引きに長けており、相手を自分のペースに乗せ、試合を自分の思う通りに進めていくのが得意だが、困った事に、ジローは「純粋に試合を楽しむタイプ」で、苦境に立たされても面白がるだけのような気がする。これでは、桃城戦の時のように様々な「演出」を凝らしても、効果はあがらない。
 そして、ジローのボレーを封じる有効な手もない。不二がやったように、ジローを前に出さないようにできればいいのだが、ジローも氷帝レギュラーを務める男、そう簡単に事が運ぶとは思えない。あれは、特に技量に長けた不二だからこそ可能だったのだろう。千石もそれなりの技量は持っているだろうが、神尾に敗れたことなどと考え合わせると、それはジローを圧倒できるほどのものではないように思われる。千石がサービスの時はなんとかできるだろうが、それ以外の時は、おさえるのは無理。そして、千石サービスの時でさえ、ジローは打ち合いの中、前に出る機会はいくらでもあるのだ。

 これらのことを考えると、おそらく勝利するのはジローだろう。

 

〜芥川VS阿久津〜

 阿久津は、卓越した運動能力故に、どんなに不利な体勢からでも球を拾うことができるという特徴があった。これでは、いかにジローが予測不能なところにボレーを打ってもどうにもならない。そして、阿久津の攻撃は激しい。リョーマのスプリットステップでも、容易に対抗できなかった。そう考えると、ジローにはもはや為す術がない、と言える。よって、阿久津の勝利。

 

〜芥川VS伊武〜

 不二は、「白鯨」を用いてジローのボレーを防いたが、伊武はさしたる対処法を持たない。伊武の「スポット」は、一定時間ラリーを続けて初めて発動するもの。最初から返せないのでは、到底発動には至らない。勝つのは、ジローである。

 

〜芥川VS神尾〜

 いくら足が速くとも、それだけで、ネット際の戦いでジローに勝てるとは思えない。球の行方に気づいたときには、既に手遅れになっているのではないだろうか。よって、ジローの勝利。

 

〜阿久津VS千石〜

 かつて阿久津は、リョーマに対し、彼が動いた後で動く、という手を使った。それで、リョーマが動いた方向と反対の所に球を打って苦しめたのだ。対応する側としては、できれば阿久津の動く方向を見定めてから動きたいところだが、それをしていては、肝心の球に追いつけなくなる。動きの素早いリョーマでさえ、そうだったのだ。
 千石も優れた動体視力故に、どう動くべきかの判断は他の人より数段早くつけられるものの、さすがにあの阿久津が相手では、向こうが動くのを待ってから動く、などという手は使えまい。千石の移動速度は、あくまでも普通の範囲内。追いつくのは不可能である。
 しかし、千石は駆け引きが得意だ。阿久津は殆どテニスをしていないから、逆にこちらには疎い。これを利用して、ある程度引っかき回す事はできるだろう。
 だがそれでも、阿久津の人間離れした動きを前に勝利するのはあまりにも荷が重すぎる。駆け引きにしても、よほど突出したものでなければ、この差は乗り越えられまい。阿久津の勝利は、揺るぎない…。

 

〜千石VS伊武〜

 最初は動体視力に優れた千石がやや有利か。しかし、後半になれば、伊武の「スポット」で逆転される可能性がある。その鍵は、千石が、交互に繰り出されるトップスピンとスライスに不審を抱き、対処できるかどうかにかかっている。動体視力に優れ、駆け引きにも長けた千石のこと、二種類の球が交互に繰り出されていることにはすぐ気づくだろう。そして、それを不思議に思うだろう。
 それを真剣に受け止め手を打つか、それとも楽観視して受け流すかで、千石の命運は別れる。
 以前の千石なら、軽く受け流していたかもしれない。だが、今は、何回かの敗北を経験しているため、慎重になっている可能性が高い。また、伊武の試合を見て、「スポット」の存在を知っていることも考えられる。事態を重く見て、リョーマがやったように、球種の打ち分けを阻止するのではないだろうか。
 必ずしもそうだとは言えないが、千石が勝つと思われる。

 なお、千石VS神尾については、既に伊武の勝利という結果が出ている。

 

〜阿久津VS神尾〜

 神尾は足の速いのが特徴だが、阿久津の動きはそれを遙かに凌駕する。神尾は速いといっても一応人間レベルだが、阿久津のそれは、既に人間の域を超えている。よって、阿久津の勝利。

 

〜阿久津VS伊武〜

 阿久津の動きは常識外れで、その攻撃も、当然常識外れである。リョーマは、ジャンプした後、空中で飛ぶ方向を変えるなどしてこれに対抗したが、伊武にこのような真似ができるとは思えない。伊武には、あの猛攻に対処する術がない。故に、勝つのは阿久津。

 

〜伊武VS神尾〜

 様々な人からの人物評を鑑みるに、技量では伊武の方が上だろう。しかし、神尾はそれを足の速さで補える。伊武の「スポット」も既に種がわかっているから、やすやすとはまりはしないだろう。
 だが、技量差を足の速さで補っているということは、伊武に比べ、それだけよく動き回らなければならないということ。つまり、体力の消耗が激しい。また、神尾の「音速弾」を伊武は返せない可能性が高いが、それとても連発できる類のものではなく、体力を余計に消耗しそうである。

 二人の実力はほぼ拮抗していると思われるが、それで長期戦になれば、体力消耗のより激しい神尾が不利。勝つのは伊武だと思われる。

 

 

 これで、一通りの検討は終了。戦績を見てみよう。

 

戦績

 

1.幸村  11勝0敗

2.真田  10勝1敗

3.跡部   9勝2敗

4.樺地   8勝3敗

5.橘    7勝4敗

6.切原   6勝5敗

7.柳    5勝6敗

8.阿久津  4勝7敗

9.芥川   3勝8敗

10.千石   1勝10敗

10.伊武   1勝10敗

10.神尾   1勝10敗

 

 

 以上のようになった。

 試合には相性があるが、やはりこのレベルになってくると、基礎能力の高さがかなり大きな位置を占めていると思われる。その証拠に、上位にあるのは、どの能力にも秀でた、欠点らしい欠点の見当たらない、ほぼ完璧な選手達。皆、既に人の領域を超えている。駆け引きに長けた柳も千石も、基礎能力の差から、この面々には敵わない。人間であることに疑問を抱かれないようでは、全国で上位には入れないのだ。

 顕著な例が樺地である。彼は、駆け引きなどには全く疎いにも拘わらず、彼らに勝利する(と思われる)。そして彼もまた、人間であることに疑問を差し挟まれる一人。その圧倒的な能力差が、そうさせるのだ。

 一方、そのわりには、同じく人間離れした阿久津が彼らの輪に入り込めていないが、これは彼が、運動能力という人間誰しも持っている能力こそ優れているものの、その他の能力―つまり、超能力に分類されるような能力を持っていないことによる。
 オーラを持っていない(コントロール術を持っていない?)のだ。
 やはり全国上位に位置するには、オーラを操ることが必須条件であるらしい。

 例外は樺地と柳だが、樺地のコピー能力はオーラを駆使した「無我の境地」とほぼ同じ効果で、しかも無我の境地と違って特別体力を消耗しないので、オーラに準ずる能力を持っていると言える。
 そして柳も、自分ではオーラを操れないものの、オーラに関しては、誰よりも熟知していると考えられる。―そう、オーラを操る当人よりも。無論、それでもオーラ使いには勝てないわけだが、データテニスは常人相手には非常に有効であり、オーラを使えない者のなかでは最も強いと言えるかもしれない。

 オーラを持たない者とオーラを持つ者の間には厚い壁があるが、伊武や神尾はまだ二年で発展途上でもあり、また、不動峰はまだ勝ち残っているため、次に会うときにはオーラを身につけている可能性もある。

 なお、オーラを持つ者同士の戦いでは、基礎能力にさしたる差はなく、また、無我の境地は技のコピーができるため、差がつきにくい。ここで重要になってくるのが、駆け引きと体力。こういう戦いも面白いが、見た目にはどれも同じような試合模様となってしまう可能性がある。それがこれからどのように面白く描写されていくのか、楽しみではある。

 

 

 

2005.7.15

 

 

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