約五千年前、魔王シャブラニグドゥとの戦いで滅びたが、その力と意識の一部は、現在どこかの郷里の姉ちゃんの中に眠っていたりする。ちなみに、その赤の竜神の騎士（スィーフィード・ナイト）ルナ＝インバースは、なぜかゼフィーリアの「リアランサー」というレストランで、ウェイトレスのバイトをやっている。

　スィーフィードは、滅びる際に、４体の分身―竜王と呼ばれる神々―を残した。

　火竜王を信仰する宗教というのは珍しいらしい。その傍系には、

• 「神官長になる際の儀式として、ある山のほこらに自分の名を記す。その際、ほこらに辿り着くまでは野宿」
• 「呪文は本来、人間の分には過ぎた技術。それを、人を傷つけることに使うのは御法度」

　というような決まりを持つものもある。怪獣のようなマイルズもその一員だが、大半の神官達は普通の人間である。

　民間伝承で、千年前の降魔戦争で滅びたという言い伝え（事実である）があるため、今ひとつ他の竜王に比べ人気がなく、お布施も今ひとつらしい。

• 普通、僧侶の服装は白。地方やあがめる神によって、薄紫、薄緑などを使っているところもあるが、それにしたところであくまで色彩は抑えめにしてある。
• 巫女をやっている人間の中には、知りうるはずのないことを、なぜか知ってしまう能力、というのを持つものが多い。
• 協会と寺院とは、裏でわりと密接につながっている。魔道士協会で開発された回復呪文などのノウハウを、寺院に売っており、そのことを一般には公表していない、ということである。
• 魔道士協会に比べると、組織力のない寺院では、独自に回復などの呪文を開発するような力はない。しかし、たとえどれほど立派な理念、崇高な理想を掲げていても、回復呪文を使える者さえいない宗教には、客―もとい、信者がロクに集まらず、それでは運営もままならない。それで、色々な街の寺院は、魔道士協会から様々な魔道技術を買いうけて、回復、解毒、浄化などといった「神の奇跡」を起こしてみせる。僧侶が魔道士協会から個人授業を受けて、呪文を習うことも多い。