文化・文明

文化・文明

　

＜医術＞

力のある術者ならば、呪文のかけあわせによって、切られた腕や足を元通りに治すことも可能。

神殿の治療所―床に大きな六紡星が描かれており、その上にベッドがある。

＜魔法の普及＞

「治癒」は、僧侶ならば言うまでもなく、旅をしている魔道士ならば、大抵の者が使えるし、戦士や吟遊詩人、はては旅商人の間にも、この術が使える者は多くいる。教会に行ってちょっとばかりの寄付をして、司祭のおじさんに頼みこめば、これくらいの術は教えてくれる。

普通の旅人でも、呪文丸暗記で使えて、しかも便利な明り、治癒、浄結水くらいなら使えたりする。

普通の人は、火炎球や氷結弾が、何かをぶつけることで迎撃できる、ということはまず知らない。

マジックアイテムという奴は、見た目がいくらショボくても、効果がいくらおバカでも、かなりの制作費がかかる。でもって、一見役に立ちそうにない道具でも、何かの理由で必要になることもある。

＜発掘品＞

　おおむね全国共通で、発掘したものはすべて、発掘者の所有財産となる。

　発掘品、と言えば聞こえはいいが、早い話が『おたから』である。別に高価な材料でできていなくても、美術的、あるいは研究の対象としての値打ちはかなり高い。そういったものを、出所を問わず欲しがるマニアというのは、いつ、どこにでもいるものである。

　なんでも以前、エルメキアかどこかで、文化財の保護のためにと、『発掘品はすべて国におさめること』などという法律をつくったところ、いきなり盗掘が連打して、あわててその法律を撤廃した、などということもあったらしい。

＜街道・馬車＞

街道が整備されているーといっても、磨き上げられた床のようにつるつるなわけではなく、砂利を敷いたり、小さな石を敷いたりしただけのもの。当然、馬車がが通ればかなり揺れる。

乗合馬車の座席というのは、木箱の上に藁を敷いて、布で覆っただけのようなシロモノで、当然クッションなどほとんど効いていない。街道も普通でこぼこなため、その揺れはかなりのもの。まともにしゃべれず、お尻も痛くなる。乗り物に弱い人なら一発で酔う。

＜軍隊＞

ある程度の規模（将軍＋隊長？）の軍隊なら、敵に魔道士戦力があることを見越して、攻撃呪文の使える魔道士を同行させるのが常識。

ただし、その「魔道士戦力」には、ドラゴン…とまではいかずとも、大きなヒドラを呪文一発で倒せるような魔道士がいることは、まず滅多にない。

＜建築物＞

大きな街では石造りの家も多いが、雨や湿気が多い山あいの町や村では、木造の家も多い。

城には、たとえ小さくても、万一のことを考えた脱出路は、必ずどこかにあるはず。

隠し扉に隠し部屋、隠し通路は、悪徳領主の生活必需品である。

脱出路は、逃げたすぐあとに、追っ手が脱出路を見つけてしまう可能性もある。そこで、そんな追っ手をまくために、道の途中にいくつも枝道をつくることがある。

＜書物＞

書物は、関心のない人にとってはどうでもいいモノなのだろうが、実は、魔道士にとっては結構な貴重品。書かれている内容によっては、アホみたいな金額で取引されるものさえある。量産がきかないからである。

活版印刷の技術がないために、たとえば、ある本をもう一冊作ろうとするならば、オリジナルを手本に、誰かが写本するしかないのだが、これが非常に大変な作業である。

使う羊皮紙は、一枚一枚微妙に出来が違う。いい羊皮紙に当たればいいが、デキのよくないものにあたると、ペン先はがりがり引っかかるわ、場所によっては脂が乗っててインクをはじきくるわ。そこにとにかく丁寧に。原本と一字一句間違えることのないよう、ペンでがりがり書き写すのだ。巻物一枚写し終えたら、もうそれだけで、人生イヤになるには十分である。

それでも、書かれている内容が、明りの呪文の唱え方だとか、簡単な薬草の調合方法、といった害のないものなら、協会の見習い魔道士達に写本させるとか、外部の人間に金を払ってやってもらう、ということもできる。しかし、逆にその内容が、攻撃呪文の構成法や、毒にもなりうる魔法薬の調合法、となると、さすがに見習いや外部の者に写させるわけにはいかない。

つまり、重要書物の写本ができるのは、協会の偉い人か、彼らが信頼する腹心か。いずれにしろ、そういった写本の数は、極端に少なくなる。しかしそれが、多くの場所で必要なものなら、当然高値がつくことになるのだ。協会のお偉いさんや趣味人の間では、貴重な本や巻物をどれだけ持っているか、というのが、一種のステータスになっていたりさえするのである。

書庫には換気口もあるが、虫や埃などが入り込まないように、上下に折れ曲がり、出入り口も網で塞がれている。

簡単な筆記用具として、メモ代わりの板きれに木炭で記入したりすることもある。

＜服＞

　普通に出回っている服の多くは、麻や綿からできている。むろん、絹や毛糸のもある。

＜その他の技術＞

巨大な水晶を利用した、映画のようなものがある。

「隔幻話」という魔道技術を利用した、テレビ電話のようなものもある。ただし、普通は魔道士協会の隔幻話室を使う必要があり、一般家庭には普及していない。

鏡やクリスタル・レンズを組み合わせて朝もやに像を投影し、巨大立体映像を見せることができる。

当然洗濯機などはなく、旅人は毎日、宿屋に泊まるそのたびに、自分の身のまわりのものを、一人でこしこし洗濯することになる。

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