ガウリイのボケに関する考察
「光の剣」の戦士であったガウリイは、「脳ミソはとことんビンボーだが、剣の腕は超一流」と言われており、その知能の貧困さを表す形容としては、「スライムの知力」「スケルトンと知恵比べしてタメが張れるほど」「脳ミソ」のかわりにふやけたパスタがつまっている」など枚挙に暇がない。
一応、本人は全く聞いていなかったらしいが、ご先祖様の話などは親からしょっちゅう聞かされていたらしいから、親はまともな人だったのだろう。その上、映画版の設定では、一応ガウリイのご先祖様は「賢者」だったらしい。それが、なぜ、このような、「誰もが認めるマヨネーズ頭」になってしまったのか。
「光の剣」の影響という説が有力だが、結構長い間一緒にいて、実際に何度か剣を使用したこともあるリナに、その傾向は見られない。少なくとも、ある程度頻繁に使用しないのであれば、その影響はほとんど受けないのだろう。
ガウリイが「光の剣」を頻繁に使用するようになったのは、リナと旅を始め、魔族と頻繁に関わるようになってからだろう。恐らくそれまでは、「光の剣」を使う機会もあまりなく(実際、当初はそれほど魔族慣れしているようには見えず、カンヅェルの気配にも気づいていなかった)、その影響はあまり受けていなかったと思われる。
ご先祖様の話を全く聞いていなかったのは、おそらく殆ど光の剣に触れることもないであろう幼い頃からだったようだし、それにリナと会うまでは、一応ちゃんと一人旅をしていたことを考えると、最初からそこまでひどくはなかったはずである。
だが、先程述べたように、リナにさしたる影響がないところからみて、「光の剣を一回使用する際に受ける知能への影響」はさほど大きいものではないと思われるのに、リナと会ってから、実際にガウリイが光の剣を使用した回数と、実際のガウリイのボケ進行度を考え合わせると……ある程度の影響はあるのだろうが、それだけで、ガウリイの脳がここまでふやけてしまったとは考えられない。
そこで気になるのが、「ガウリイのボケは、本当に天然なのか?」ということである。普段のボケが信じられないほど、最終巻のガウリイはやたらかっこよかった。また、最後に「この男、全部わかっててやってるんじゃないだろうな……?」と、リナが、ちょっと疑問に思っている。だとすると、それはつまり…ガウリイは、わざとボケることもある、ということである。
ここで、気になる点をちょっと挙げてみよう。
など、ちょっと考えただけでも、結構怪しい点があるのである。
「天然」に見える事例が多いのも確かだが、これだけの怪しい点がある以上、そのボケの全てを天然と言い切るには少々無理があるような気がする。
私がこの疑念を強くしたきっかけは、なんといっても、ガウリイ外伝「刃の先に見えるもの」である。
ここでもガウリイは、確かに「天然」というところを結構見せているのだが……現在のような、クラゲレベルのものではなく、一応「お気楽人間」といえる範疇におさまっている
さらに、驚くべき事に、通りすがりの人間にもそうとわかるほど、深刻な空気をまきちらして悩んでいるのである。あの、どんな深刻な状況にあっても、一人のほほんとしてるあのガウリイが、である。ガウリイが悩んでいるところなど、ちょっと想像できないのだが……でも、確かにガウリイなのである。ガウリイでも、悩むことはあったのだ!!
そして、ここでリナ父(?)に、
「惚れた相手の前でだけは、悩んだ姿なんて見せるんじゃねえぞ」
と、アドバイスを受けている。
こうなるともう、惚れた相手(=もちろんリナ)の前で悩んだ姿を見せないために、わざとボケてるとしか思えないではないか。ボケ具合=惚れ具合ということで、ボケもどんどん進行していったのかもしれない。
まあ、限度を知らないというか、ちょっと度を越しすぎて、リナ達からは、人間並の知能の存在すら疑われているようだが……そこらへんは天然ガウリイ、というところだろうか。
でも、わざとやってる場面もそれなりにあるとすると、ガウリイは、実際見えているよりかなり賢いはずである。実際、「デモン・スレイヤーズ!」ではあんなにかっこよかったではないか。
どれだけの場面が天然で、どれだけの場面がわざとか、ちょっと判断するのは難しいのだが……天然:確信 の割合は、案外半々ぐらいかもしれない。
ガウリイは、常に核心を見抜く目とそれなりの知能も兼ね備えた、侮れない男だったのである。
2003.9.9