一般人と念能力者

 

 

 HUNTER×HUNTER世界で重要な役割を果たす「念」。

 この「念」が、一般人の間ではどのぐらい浸透しているのか、ここでは考えてみたい。

 その前にまず、どの程度念を使えたら「念能力者」と呼べるのかをはっきりさせておく必要がある。

 念の基本中の基本は「纏」。
 作中のこれまでの描写から見ると、これを使うことさえできれば、一応念能力者と呼ばれるようである。
 レオリオのように「纏」しか使えなくても念能力者は念能力者。
 作中で「念能力者には時間はいくらでもある(=老化が遅くなる)」ということが示唆されている点も、この説を強化する。

 逆に、初期のゴンのように、「絶」だけが使えても、念能力者とは認められない。

 では、「練」だけ、もしくは「発」だけが使えるという場合はどうだろうか。

 「練」だけが使えるーオーラの量を増やすことができる、というのは、漫画の主人公によくあるように、「感情的になると、飛躍的に力が増す」場合のことだと考えられる。わりとよく見られる現象だが、無意識にやっていることでもあり、彼らは念能力者だとは認められていない。

 それでは、「発」だけが使えるという場合はどうだろうか。
 これは稀有な例だろうが、ネオンの例を見ても、念能力者と認められているのは間違いない。
 しかし、「発」だけが使えるというのはどのような状態なのだろうか。
 ネオンの例を見れば、彼女が念の修行をしていたとはとても思えない。だが、実際に念能力者として活躍していた。
 念能力者でなくても、気合いをこめて作れば物体にオーラをとどめることが可能なのだから、それと同じく「占い師になりたい」と念じ続けた彼女の「念」がいつの間にか「ラブリーゴーストライター」として完成されていたものと思われる。
 「子供の念能力者は意外と多い」とビスケも言っていたことだし、こういう例は思ったより多いのではないだろうか。
 特に、ネオンの場合は特質系ということで、能力が発現しやすい特性を持っていた、という可能性も考えられる。

 やや話はそれるが、このような「本人もそれと知らずに念能力を使っている」ということを考えると、「除念」はもちろんのこと、いわゆる「超能力」なども念能力で説明がつくだろう。

 瞬間移動の能力者の存在は想定範囲内のこととしてキメラアントが間で語られているし、テレキネシスやポルターガイスト(これは超能力といっていいかどうかわからないが…)も操作系能力者が念と知らずに使っていると考えるとわかりやすい。
 また、何かに異常なまでの執着を持つ人物が、たまたま具現化系能力者の特性を有していた場合、それが知らぬ間に具現化していたということもあるかもしれない。
 基礎修行を行っていないため発現できるオーラ量が少ないことが予想され、あまり大がかりなものは具現化できないかもしれないが、普通のものなら、執念さえあればなんとかなるのではなかろうか。
 寝ても覚めても「それ」について考え続け、夜ごとそれがリアルな夢に出てきてうなされ……周囲の人間から本気で心配されはじめたら、具現化できる日も近い。(しかし、こうしてみると、具現化能力者も大変だ……)

 さて、それはそれとして、自覚的な能力者ということになると、やはり「纏」が使えることで、「発」だけが使えるというのは半自覚的念能力者、「纏」から「発」まで使えて一人前の念能力者といえるだろう。

 「除念師」等の記述からみるに、「半自覚的念能力者」の数は、恐らくこちらの世界とあまり変わらないーやや多い程度だろう。
 一般にはその存在が疑問視され、好奇の目で語られる。
 自分、そして周囲に念に関して知る者がいない場合に限っては、マスコミを騒がせることもあるーそんなところだろうか。
 マスコミを騒がせるならば、少なくとも「練」で水見式を行ってみせるか「発」を使う必要がある。その一方で、「念」の存在を知ってしまえば、逆にマスコミに出ることはないため、一人前の念能力者を一般人が知ることはなく、「半自覚的念能力者」の存在のみを、一般人は知ることになる。

 その一方で、ある分野で一定以上の活躍をするにはどうしても念能力が必須。天空闘技場の例などからすると、特に戦闘力が重要視される分野では、世界的に有名な人物は大抵念能力者であると思われる。
 それなりに大きなマフィアの用心棒に雇われるにも念能力は必要だし、その幹部クラスともなれば、「念」の存在を知っていて当然。もちろん、知っているからといって使えるとは限らないし、実際、マフィアの中でも使えるものはさほど多くはないようだ。念能力者(特に強化系)相手にはあまり有効ではなさそうな銃が、普及しているのがその証拠。オークションに集まった幹部を見ても、あまり念が使えるようには見えない。―逆に言えば、念が使えなくともマフィアの幹部にはなれるー念はあまり普及していない、ということでもあるが。
 また、東ゴルトーの中枢では、門番は念能力者ではなかったが、その奥には念能力者が控えていたーところからすると、(戦闘向きの)念能力者は、小国に数名いるかどうかという程度のものらしい。

 ハンターに念能力は必須だが、ハンター試験の毎年の合格者数を見てもわかる通り、ハンターの数自体が少なく、その中で「裏ハンター試験」に合格するものとなると、さらに少数だろう。単にライセンスを売るためにハンター試験を受けるものもいると思われるからだ。もちろん、ハンターライセンスを持たない念能力者もいるから(ズシがいい例だ)、念能力者数はハンターの数よりも多いのだろうが、それでもそこから念能力者の少なさはうかがい知れようというものだ。

 ハンター達を見ると、(特にグリードアイランドでは当然の如く)周りが皆念能力者ばかりなので、そこら中にゴロゴロいるとつい錯覚しがちだが、やはり念能力者というのは少ないのだ。
 集まるところには集まる、というのは世の常だが。

 

 

 

2007.2.17

 

 

 

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