If ヨークシンシティ

 

 

 ヨークシンシティにおける、クラピカと幻影旅団の対決。

 幻影旅団が「100%当たる予言」を考慮に入れて行動したため、占いとはやや異なる結果が訪れた。
 また、当たってしまった予言も、その時期は、ずれてきている。

 ここではなぜ占いがずれたのか、そして、幻影旅団が予言を知らなかった場合どうなっていたのかといったことを考えてみたい。

 そのために、まず、それぞれに出た占いの結果を書き出してみた。


クロロ

1 大切な暦が一部欠けて 遺された月達は盛大に弔うだろう

 喪服の楽団が奏でる旋律で 霜月は高く穏やかに運ばれていく


2 菊が葉もろとも涸れ落ちて 血塗られた緋の目の地に臥す傍らで

 それでも貴方の優位は揺るがない 遺る手足が半分になろうとも


3 幕間劇に興じよう 新たに仲間を探すもいいだろう

 向かうなら東がいい きっと待ち人に会えるから



ノブナガ

1 大切な暦が一部欠けて 遺された月達は盛大に葬うだろう

 加わり損ねた睦月は一人で 霜月の影を追い続ける


2 菊が葉もろとも涸れ落ちて 血塗られた緋の眼の血に臥す傍らで

 それでも蜘蛛は止まらない 遺る手足が半分になろうとも



シズク

1 大切な暦が一部欠けて 遺された月達は盛大に葬うだろう

 貴方は仲間と墓標に血をそえる 霜月が寂しくないようにと


2 黒い商品ばかりの収納場で 貴方は永い眠りを強いられる

 何よりも孤独を恐れなさい 2人きり程怖いものはないのだから



ヒソカ

1 赤目の客が貴方の店を訪れる 半身は天使で半身は死神

月達の秘密を売るといいだろう 霜月のそれが特に喜ばれるはずだ


2 熱い日に件の客の仲介で 逆十字の男と2人きりになれるだろう

 偽りの卯月は暦からはがされる これで残りは6枚となる



パクノダ

暗くてわずかに明るい日 貴方は狭い個室で2択を迫られる
誇りか裏切りかしか答えはないだろう 死神が貴方の側に佇む限り



シャルナーク

電話を掛けてはいけない 一番大事な時につながらないから
電話に出るのもすすめない 3回に一度は死神につながるから

 

 一週目は、皆ウボォーの死(ヒソカだけはそれに関連してクラピカとの取引)が記され、続く予言からは、二週目にクラピカとの対決で旅団員に死者が出ることがわかる。
 より具体的には、予言で死ぬのはウボォー、シズク、パクノダ、シャルナークと(ヒソカ[脱退])、データ不足で占えなかったフィンクス・フェイタン・コルトピのうちいずれか。

 ここで特筆すべきは、パクノダに関する予言。悪い予言には必ずそれを避ける忠告が示されるはずだが、パクノダにはそれがない。「死神があなたの側に佇む限り」というのが忠告ととれないこともないが、死神を避ける方法は示されておらず、他の予言に比べて具体性に欠ける。
 これは、ヨークシンでクラピカと対決する以上、ジャッジメントチェーンを刺されてしまうのはどうあっても避けられないということではないだろうか。いや、「すぐに家に帰るように」といった警告がないところからすると、アジトに帰ろうとしてもその途中でクラピカに出会ってしまい結局助からない、という可能性もある。
 シズクやシャルナークの場合は予言を避ける忠告が示されているから、回避の可能性はある。シズクは一人にならなければ大丈夫だし、シャルナークも電話をかけたり出たりしなければ「一番大事な時にちゃんとつながり、死神とつながることもない」ということになる。もっとも、後者の場合、これがすなわちシャルナークの生存を示すとは限らないが。
 なお、クロロの三週目の占いには、除念師のいる方向が記されており、彼が除念師を必要とする事態になることが示唆されている。

 つまり、予言を知っているにせよ知らないにせよ、ヨークシンでクラピカと戦う場合、

の四つが起こることは確定している。

 ただ、旅団が予言を知ったため、2週目以降の死者はパクノダのみに留まり、シズク達は死なずに済んだ。同時に、クラピカも。

 そしてまた、上に述べた四つの出来事が一週目に起きたのも、占いとは異なることころだ。
 ヒソカの予言では団長との対決は二週目の火曜のはずで、退団する時にはもう団員は半分になってるはずだった。しかし、実際に対決したのは1週目の土曜。運命は少しずつだけどずれてきてる。

 なぜ現実では対決が早まったのか。
 それは占いにより旅団員達が固まって動き、その中にクロロがいたから。固まって動いていたからクロロが頭であることはすぐにわかったし、それがクラピカの理性を失わせる事になった。そしてゴン・キルアが彼等に捕まり、早急に対決せざるを得ない状況になったのだ。

 占いがなければ旅団は「緋の目」に着目できないためクラピカの正体をつかめず、固まって動く事もなかっろう。
 クラピカの正体がわからない幻影旅団は、これまでのように二人一組で地道に「鎖野郎」を探すしかない。
 一方キルアはアジトを監視して彼等の動向を観察。しばらく(何日かにわたり?)様子を窺い、「幻影旅団は二人一組で動き、クラピカを探している」という情報を入手する。
 そこで、クラピカ達の側から攻撃を仕掛ける。情報が集まってから動くことになるので、対決が二週目になっているのだろう。クラピカは基本的に、ある程度相手の情報を集めてから動くことが多い。

 その後、占いの通りならどのようになっただろうか。
 まず、個々の死の状況から詳しく考えてみよう。

 パクノダとクロロについては先に述べた通り、現実と大きな違いはない。ただ、ヒソカが退団する時には、残りのメンバーはもう六人になっている、ということから、パクノダが旅団にクラピカの情報を伝えて死亡するのはヒソカとクロロが二人きりになる前だということがわかる。

 シズクの場合は、警告の内容から、一人になったところをクラピカに倒されてしまうのだろう。実際、ウボォーを倒したクラピカと一対一なら、クラピカの方が強そうだ。
 場所は「黒い商品ばかりの収納場」とあることから、真っ先に思い浮かぶのはオークション
()会場だが、オークションの宝は既に幻影旅団が奪い去り、闇オークション自体もほぼ終了しているようなので、これは恐らく幻影旅団の仮宿のことだろう。
 二人一組でアジトにて待機中、何かの拍子にもう一人がその場を離れる。そこをクラピカに攻撃されて死亡―といったところだろう。
 なお、推測だが「何かの拍子」というのは、カルトのことではないかと思う。現実にも、フランクリンがカルトを見かけて後を追うという場面がある。もちろんゴン・キルアの陽動という可能性も高いが、外出していた他の団員が戻ってくる事を考えると、アジト入口付近で見張りをしているという可能性も捨てきれない。

 シャルナークの予言では、「電話に出ると三回に一回は死神につながる」―つまり、クラピカからシャルナークに電話がかかってくることが示されている。それは、シャルナークの死は、クラピカがクロロを捕らえ、その携帯電話を入手して後になるということをも示す。
 この予言により、実際にクラピカと交渉したのはフィンクスだったが、もし予言がなければその役目はシャルナークが担っていたかもしれない。そして、それがシャルナークの死を招く。
 現実には、パクノダがクラピカに呼び出され、それを追うかどうかで皆がもめている間にシズクの言葉でそれが一時中断。そこへさらにクラピカからの電話があって、皆追跡を断念した。
 だが、予言通りならこの時既にシズクは死んでいる。諍いは深刻なものとなり、シャルナークが一人で行動する事態が生じたのかもしれない。
 シャルナークはこの時「追跡する」という意見だった。クラピカと実際に交渉したシャルナークは、電話
(と自身の操作系能力)を利用してクラピカの裏をかこうとしたのだと思われる。パクノダの後をつけ、倒されてしまったに違いない。
 データ不足で占えなかった者達も、この時一緒に追跡し、クラピカに倒されてしまったのだろう。フィンクス・フェイタンも追跡派だった。

 これらをもとに、予言を知らずに行動した場合をまとめてみよう。

 二週目に入り、ある程度幻影旅団の情報を得たところで、クラピカ達は行動を起こす。

 クラピカがアジトに侵入すると、そこにはシズク一人だった。幻影旅団員はこのところ二人一組で行動することになっていたが、この時シズクと組んだもう一人はカルトの後を追っていて、その場にいなかったのだ。そして、シズクとクラピカは戦い、クラピカが勝利する。

 その後、クラピカはクロロを捕獲。しかしゴン達を人質にとられてしまう。

 クラピカはシャルナークを介しパクノダと交渉。パクノダは一人でクラピカのもとへ赴くことになる。
 この時、旅団員達は、パクノダの後をつけるかどうかで対立。
 フィンクスとノブナガが戦うが、隙をついてシャルナークがノブナガに針を刺し、ノブナガと同じく追うのに反対のマチ・コルトピを足止めさせる。
 その間にシャルナーク・フィンクス・フェイタンは秘かにパクノダの後をつける。この時、クラピカが人質を連絡役に使うことを見越して、シャルナークはゴンとキルア(キルアは既にイルミの支配下にあるため操作できないが、操作されたふりをしている)を針で操作して同行させている。

 そして、クラピカとパクノダが対面。パクノダはシャルナーク達が後を追っていることを知らないので、心音に乱れがなく、交渉は順調に進む。ここで団長とパクノダにジャッジメントチェーンが刺される。

 シャルナークはノブナガの操作をとき、電話をかけてアジトに戻るよう伝える。ノブナガ達も、今からでは止めても手遅れだし、負傷していることでもあるから渋々従う。そして、シャルナークは、パクノダの電話を受けてクラピカの要求を知ると、いったんゴン・キルアを自動操作でアジトへ帰す。そして自身はクラピカ達の監視を続けつつ、負傷していない旅団員との合流を待つ。

 一方パクノダは、シャルナークに電話をかけ事情を説明した後、アジトに戻る。そしてゴン・キルアを連れてクラピカのもとへ行くが、その時既にクラピカとシャルナーク達の間で壮絶な戦いが始まっていた。クラピカが飛行船を用意しているのを見たシャルナークは、これ以上追跡は無理だからと、仲間の到着を待たずに戦端を開いたのだ。その際シャルナークは仲間に電話をかけてから戦おうとしたのだが、アジトでもシャルナークに電話をかけようとしていたためつながらなかった

 パクノダの後をつけていて事態を悟ったヒソカは、パクノダにかわりゴン・キルアを手中におさめ、様子をうかがう。
 人質をヒソカに奪われたパクノダはアジトに戻り、「記憶弾」を使い死亡した。

 一方クラピカはシャルナーク達と死闘を繰り広げ勝利するものの、自分も瀕死の重傷を負う。そこへヒソカが登場し、ゴン・キルアを盾に自分を飛行船に乗せろと迫る。着陸後ヒソカの手により人質交換がなされ、クロロとヒソカは二人きりになる。

 こうして旅団員が次々と死亡した後、ヒソカは偽の入れ墨をはがして旅団を抜けることになる。

 予想するとこのようになった。シャルナークの「電話がつながらなかったために死んでしまう」ような状況を考えるのがなかなか難しいが、色々と想像をかきたてられる状況だ。こちらのバージョンも、是非読んでみたかった。

 

 

 

2007.3.31

 

 

 

戻る

 

 

 

inserted by FC2 system