リンド・L・テイラーの謎

 

 

 リンド・L・テイラーとは何者だろうか。

 彼は、Lの身代わりとしてテレビに出演、結果、日本関東地域の公衆の面前でキラに殺されてしまった。

 彼に関してわかっている情報は少ない。

という四点だけが判明している情報である。

 つまりLは、危険を伴うキラへの挑発行為を、死刑囚に身代わりにやらせたーということになるのだが、リンド・L・テイラー(以下テイラー)は、普通の死刑囚とは異なる。彼の逮捕は公開されていないのだ。―なぜ秘密裏に行う必要があったのか。

 Lの身代わりとして利用するために極秘に逮捕した、という可能性は極めて低い。逮捕だけならまだしも裁判までも報道されていないのだ。これは人権上問題があるし(まあLならそんなこと気にしないだろうが)、何より「キラ」が活動を始めてから一月もたっていない。逮捕→起訴→裁判→判決→死刑執行という一連の流れがこんなに早く片付くはずがない。人一人を死刑にしようという裁判となれば、なおさらだ。

 ただ、Lは、ほとんど全世界の警察を動かせるーということになっている。となれば、あまり裁判機構の整っていない国に

「英語が喋れてその存在を公開されていない死刑囚が必要なんだが…」

 ともちかけ、キラが活動を開始した後に逮捕された犯罪者(報道せず)に即死刑の判決を下してLに引き渡すよう求めた…という可能性もある。

 結構極悪非道な手口だが、Lならやりかねない。

 しかし、全世界の警察がLに協力していることも考え合わせると、やはりテイラーは、それなりに裁判機構の整った国で、キラ事件発生以前に極秘に逮捕され、死刑判決の下った人物だという可能性の方が高いと思われる。

 では、逮捕・裁判を極秘に行わなければならないというのはどういうことなのだろうか。

 裁判は公開が原則。それに、死刑判決が下るような事件ならば、それなりに大きな事件―ある程度の社会的注目を浴びる事件ということで、その犯人逮捕を伏せておくというのは警察の体面上不利益になる。テイラーが事件を起こした時に未成年だったという可能性もあるが、死刑にするのならば名前を伏せておく意味がない。

 テイラーが有力者と姻戚関係にあり、彼の罪状が明らかになると関係者が困るため、何らかの圧力がかけられた、もしくはテイラーが元警察関係者でイメージダウンを避けるために警察が隠蔽工作したーという可能性もあるが、法治国家でこのような事態が発生するのは大いに問題だし、もしそれが事実ならば、テイラーをLの身代わりに差し出すはずがないのでこれも却下。

 実は犯罪組織の重要人物で、彼の逮捕が明らかになると様々な妨害工作がなされるであろうことを予想して、秘密裏にことを進め、全てが終わってから公表するつもりだったーというのはあるかもしれない。しかし、この場合も、Lの身代わりとして演説させた後の扱いが難しくなってしまうという問題が残る。キラの能力は放映時にはまだ明らかになっておらず、放映中即座にキラが手を下す、というのは可能性の低い事柄でしかなかった。放映終了後は、テイラーをどこかに監禁・監視してキラの動きを見るつもりだったはずなのだ。それに支障が出てしまうような人物をわざわざ選ぶのは、賢明とは言えない。

 さらに、事件自体を伏せておかねばならなかったーという可能性もある。

 たとえば、テイラーはA国と表面上友好的関係にあるB国のスパイで、事件を公にして国際関係にひびが入ることを考慮したA国は、テイラーの逮捕・裁判を極秘で行ったーとか。B国もそれは暗黙のうちに悟っているであろうから、テイラーをLの身代わりとして差し出したとしても、A国が口をつぐんでいる限り、国際問題にはならないだろう。A国は、B国に対し適当な罪名を伝えておけばよい。

 なんとなく、これが一番近いような気はするのだが……確証はない。

 リンド・L・テイラーについて新たな情報が出てくる可能性は極めて低いと思われるが、気になる事柄なので、そのうち明らかになることがあれば嬉しい。場合によっては、これは、Lがどれだけの影響力を持っているかということを示せる問題なのだから。

 

 

2004.9.8

 

 

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