犯罪者L

 

 

 Lは、捜査のためには手段を選ばない。そう、それが法に触れることであっても、Lは意に介しない…。

 そこで今回は、キラ事件の捜査において、Lがこれまでどれだけ違法行為をしてきたのか見てみたいと思う。

 なお、私は特に法律に詳しいわけではないため、聞きかじりの知識に頼ったものになると思うが……そこらへんは、どうかご容赦願いたい。

 Lが行ってきたことの中で、法に触れそうなものをざっと挙げてみると、

  1. リンド・L・テイラーを自分の身代わりに使った
  2. キラ事件の報道を検閲した
  3. ホテルのテーブルにマジックで文字を書いた
  4. 警察手帳を偽造
  5. 盗聴器・監視カメラ設置
  6. 願書の締め切りはとっくにすぎていたのに大学入試を偽名で受験
  7. 弥海砂に対し、拷問まがいの尋問
  8. 夜神月・弥海砂を50日にわたり監禁
  9. ハッキング
  10. ヨツバ幹部への恐喝及び詐欺教唆未遂
  11. ヨツバグループへの不法侵入指示
  12. 松井太郎死亡の偽死亡記事を出す

 

 …といったことが挙げられる。

 では、一つ一つ検証してみよう。

 まず、1の身代わりの件。テイラーに直接手を下したわけではないし、必ず殺されると決まっていたわけでもないが、この場合、死んでもかまわないという未必の故意があったと思われる。とはいえ、これは一応ちゃんと世界警察の了承を得てやったことであり、テイラー本人の了解も得ていると思われるので、恐らく罪には問われないだろう。

 次に、2のキラ事件報道の検閲。日本警察の管轄下のもとやっていることだし、捜査上必要な面もあるのだが、第二のキラ出現以後、Lはコメントまで検閲すると言っており、これは言論の自由を保証した憲法に抵触するおそれがある。映像などはともかく、キラ以外の一般人のコメントまで規制することでキラ逮捕につながるとは思えないし。まあ、規制するのはキラ本人の発言だけというのであれば問題ないのだが。…報道関係者の反応を見るに、今の所規制は最小限に留まっているようなので、おそらくこれも罪にはならないだろう。

 3の落書きについては……器物損壊にあたるのではないかと思うが、ホテル側も事を荒立てたくはないだろうし、そこらへんは恐らくワタリがきちんと弁償しているだろうから、問題にはならないだろう。

 そして、4。偽の警察手帳……公文書偽造とかになるのではないだろうか。一部の警察の了承を得ていることと、キラ捜査で身を守るためという事情もあるため、簡単に有罪とは言い切れない部分もあるが……いくらこの警察手帳で被害を受けた人物がいないとはいえ、「他の警察官に知られたら面倒になる」という自覚はあったようで、やはりこの行為は非合法なものであると言わざるを得ない。

 夜神家・北上両家、そしてヨツバ本社等に監視カメラや盗聴器を仕掛けた5も問題。まあ夜神家は、夜神局長本人がこれを了承し、唯一カメラに気づいたのは未成年の月のみだったので、なんとか誤魔化せるだろう…が、問題は北上家とヨツバ。特に後者は、警察とのつながりが切れてからのことであり、間違いなく有罪。しかも、夜神家・北上家の方は「ばれるの覚悟でとりつけているとしか思えない」徹底した取り付け方。北上家の誰かにばれていたら、一体どうするつもりだったのだろうか……。

 6の偽名での受験も、北上次長の許可を得ずに行われた。しかも、その手続き(?)をしたのはセンター試験直前で、願書の締め切りはとっくに過ぎている。以前、担当教諭のミスで願書が送付されておらず、受験できなかった気の毒な受験生がニュースに出ていたが、それを考えるとLの行為は許し難いものに思えてくる。公文書偽造や身分詐称の他にも、何か法に触れるかもしれない。

 そして、7。ミサへのあの過酷な尋問…まあ目隠しは、「顔だけで殺せる」第二のキラの能力を考えれば、まだ認められると思うが、それ以外の点については明らかにやりすぎ。拷問を禁ずる憲法に違反している。また、ミサに関しては、その後も24時間監視下に置かれているが、これも法に触れる可能性がある。

 8の監禁も明らかに有罪。一応月の同意は得ていたものの、途中から彼が解放を望むようになっても監禁し続けた。ミサと違って、月には明確な物証はないにも拘わらず、である。そのミサも、ビデオを送った証拠があるとはいえ、50日を超える監禁は長すぎる。確か、容疑者の勾留期間は最高でも40日間のはずだ。警察の誰もこの件に言及しなかったのが不思議だが……。

 9のハッキングも、警察の誰もとがめなかったのが不思議だ。いくらネット関連の法整備が遅れているとはいえ……。Lのコンピューターは、全世界の警察や情報機関、役所に直接アクセスできるシステムになっているようだが、これはちゃんと相手の了承を得ているのか。Lの今までの様子からすると、これも「ばれなければいい」と勝手に構築したシステムのように思えるのだが……。

 10は、アイバーを使ってエラルド=コイルの名でヨツバから500万ドル騙し取った件である。この後、偽のLを作ってさらに1000万ドル騙し取ることを考えていたのだから、詐欺(教唆)未遂だし、最初に口止め料として200万ドル要求したのは恐喝(教唆)にあたるかもしれない。松田に指摘された時、Lはこれを捜査の一環と言い張っていたが、果たしてこれで通るものなのか。500万ドル返したとしても、それで済むのか。そもそも、L達はもう警察とのつながりは切れているのだから、「捜査の一環」では通らない。イメージダウンを恐れるヨツバは、恐らく表沙汰にはしないだろうが……もしも明るみに出た場合、これも法に触れる可能性が高い。
 …ところで、この500万ドル、
Lはちゃんと返したのだろうか……?どうも、アイバーの個人報酬になってヨツバは泣き寝入り……というふうにも見えるのだが。

 11もヨツバ関連で、ウエディに潜入を指示して監視カメラ等を取り付けさせた件。ヨツバ本社及び、その幹部の自宅への不法侵入を指示。これも非合法だろう。

 12の松井太郎偽死亡記事は…本人の了承も得ていてこれで被害を被った人もおらず、そもそも松井太郎という人物は存在しないということを考えれば、恐らく罪にはならないのではないかと思われる。

 以上のことから、Lの触法行為は3・4・5・6・7・8・9・10……つまり、落書き(器物損壊)、警察手帳偽造、盗聴器・監視カメラ設置、不正受験、身分詐称、拷問まがいの尋問、監禁、ハッキング、詐欺教唆(未遂)、恐喝(教唆)、不法侵入(教唆)である。

 これだけ揃えば、Lも立派な犯罪者。

 なのに、捕まらずに警察に君臨していられるのは一体何故なのか。

 ……その方が警察にとって有益だからだ。Lのこれだけの犯罪に目をつぶっても、難事件を解決してもらえる利益の方が大きいということだろう。

 しかし、そのような理由で犯罪を見逃してもらえているとしたら、犯罪を抑制するために犯罪(=殺人)を犯すキラを糾弾できる立場にないと思うが……。

 Lにはもう少し、法を尊重してもらいたいものである。

 

 

2005.2.12

 

 

 

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