デスノート アニメ各話感想(3)

 

 

page21. 活躍

 今回は月もLも影が薄く、かわりにミサと模木が目立っていた。(模木には気の毒だが)

 それでもレムが「デスノート」について語る時の映像には、ちょっとゾクリと来るものがあった。また、火口がミサに求婚した後の数秒の無音状態とかも、緊張感をかきたてた。
 それにしても、ミサは火口に「第二のキラ」だと「証明」してからはいきなり小悪魔のようになった……。演技だとしたらすごいし、意識せずにやっているのだとしたらそれもすごい。ミサが後に大女優となるのも頷ける。
#一方、予告の火口は完全に三流悪役で、おかしくなってしまった。

 

page22. 誘導

 今回の(も?)見所は、やはりなんといってもLのお菓子。いつにも増して目立っていた。バリエーションも豊富で、薄暗い画面の中、お菓子だけがカラフルで、やたらと目を惹く。
 もう、一人だけお菓子を食べるのを気にしたりはしない
L。しかし、お菓子をおはじきにしたり、チョコを握りつぶしたりと、相変わらず遊びながら食べている。
 話しながらそれに合うお菓子を選んでいるようだが、それでいくと、松田はウサギということになるのだろうか。お菓子の中には死神のドクロの形をしたものもあったが、こういうのもワタリの発案なのか。ドクロ型のお菓子は言うまでもなくキラを指したものだろうが、これを月に勧めたとしたら、嫌がらせ以外の何ものでもない。その場面を見たかった。

 一方、キラに対抗するため三堂家に集まる紙村と奈南川。キラの正体が火口と判明し、Lの作戦に手を貸す事になる。
 「まずい。テレビを見ろ」と火口に電話する奈南川の演技が何とも投げやりなもので、見ていて面白かった。奈南川も意外と正直なところがある。
()

 そして最後に、高笑いする火口。完全に三流悪役……。

 

page23. 狂騒

 やけにCMが続くと思っていたら、野球中継のため15分遅れになっていることがわかった。そんな……!!(涙)
 録画予約で別の日に見たため、前半部分しか見る事ができなかった。これだから野球は…ぶつぶつぶつ……。
 アニメは基本的に原作通りの展開のようだからまだいいが、それでも……後半はアニメで見たら迫力があるかもしれない場面だったのに……。
 前半は画面越しに火口の行動を見て話しているだけで、特に大きな動きはなかったし、月の影が薄いのも相変わらず。どうせ切れるなら前半よりも後半を残してほしかった……。
 時計の場面は来週だろうか。そうだといいが。あの場面だけは絶対に見逃せない……!!

 

page24. 復活

 ついに蘇った月の記憶!その中で「私は「Lです」というLの声が一際大きく響く(原作では落ちているデスノートを目にした時の絵が一際目立っていたが)
 そして…久々に聞いた「キラ」の声。「計・画・通・り!」
 キラになると、声が低くなる。かっこよくて、ゾクゾクした。

 それにしても、ノートを手にした時の月の悲鳴はすごかった。ミサは記憶が戻る時も短く声を上げるに留まったのに。もっともミサの場合は、レムから記憶の根幹の部分を既に聞いていたのでショックが小さかったのだろうけど。
 記憶が戻ったミサは、早速リュークと目の取引をする。リンゴのついでのように。(笑)

 一方捜査本部では、レムの紫色がやけに目立つ。Lが「白い方」と呼んで、それに松田が「失礼ですよ!」と慌てていたのがやけにおかしかった。
 そして相変わらずクリープを積み上げたりソフトクリーム(キャラメル?)を変な持ち方で持っていたりする
L。あれでよく落とさないものだ。意外と指の力が必要ではなのではないだろうか。

 最後に「優しい人間だけの世界を創ろう」と言っていた月の顔が怖かったので、皮肉だと思った。最初「そんなことしたら性格悪いのお前だけになるぞ」と言っていたリュークの言葉が思い出される。

 

page25. 沈黙

 冒頭。そこはワイミーズハウスか教会か。鐘の音が響く中、激しく揺さぶられる。この揺れは一体何を意味するのか……。

 物語が始まると、ミサは歌いながら街中を彷徨い歩く。それはまるでキラからの葬送曲のよう。死が潜んでいるのに、奇妙な明るさを感じさせる。

 一方捜査本部では、「パンダのマーチ」に注目!箱もそっくり!力を入れるとひび割れる。手にした物を犯人の象徴にするところは、ニアに似ている。
 悩む
Lを見て、ほくそ笑む月。月の「口だけの笑み」はまさに悪魔的。その紅い目は、死神をもひれふさせる……。

 その日は土砂降りの雨。ビルの屋上で雨に打たれながら、一人佇むL。それを見た月が声をかけるが、Lは聞こえない、と返す。近づかなければ月の声は届かない……。
「鐘の音がすごくうるさいんですよね…」「結婚式?それとも…」
 葬式……。
 自らの死を予感しているかのような
Lの言葉。それはひどく印象的だった。
「言うことがデタラメなのはお互い様」「生まれてから一度でも本当のことを言ったことがあるんですか?」
 と月に問いかける
L。一瞬、雨の音が聞こえなくなる。無音。Lの生涯の中最も存在感を大きく示した(であろう)「キラ」に、初めて心から問いかけた言葉だったのかもしれない。
 しかし月から返ってきたのは、予想通り、仮面をかぶった「よくできた」返事。本音は聞けなかった。諦め顔の
L

 その後屋内に戻り、濡れた月の足をふくL。そこに降り注ぐ光。
「寂しいですね……もうすぐお別れです」
Lの髪から落ちる雫は涙のよう。無言でそんなLを見つめる月。それが最初で最後の心の交流だった。

 捜査本部に戻り、何事もなかったように捜査を再開。そこに、すごいタイミングで雷が落ちる。停電。暗闇。一瞬の混乱。ワタリが死亡し、全てのデータが消去される。それは曲と相まってかなりの迫力。
 倒れる
L。鳴り響く鐘。見つめ合う二人。Lが最期に見たのは、まぎれもなく「キラ」だった……。
 月が笑んだ後閉じた口。演技に転じる前のその一瞬。その悲しんでいるかのような表情は、演技の前段階にすぎないのか。それとも……?

 

page26. 再生

 まるで最終回のようだった。(ここで終わっていたら、あんな結末を見ずにすんだろうに……。月の演説や魅上を目にすることができるのは嬉しいけれど)

 前半は、これまでのあらすじ。ひたすらLが喋っている。もう出番がないからか、最後とばかりに殆どLの独壇場。
 最後に示された文書の「
as my」が印象的。キラの存在がLLたらしめたのかもしれない。そして、Lが命懸けで集めたキラに関する捜査資料を、無情にも消去する月。これで完全に「L」という存在が消えてしまった気がした。

 その後捜査本部では、デスノートを誰かが隠す事に。それを決める際、松田がこっそり手を挙げていたのに気付いて思わず吹き出しそうになってしまった。よりによって一番口が軽そうな…しかも、本人にその自覚がなかったとは。
 もっとも、一番口が軽かったのは、実際には相沢であることが第二部で明らかになるのだが。

 ミサとの「久々のデート」では怖い顔の月。紅い目。明らかに新世界創世のことしか考えていない。「愛してる」という人間の顔ではない。しかし、もう少し演技した方がいいのではないだろうか。これでミサが、月の自分への愛に疑問を持たないのが不思議だ。

 そして今回一番の見せ場は、ビルの屋上から地上を見下ろす新世界の神!久しぶりの犯罪者裁きの場面はゾクゾクした。最初にペンをゆっくりと持ち上げる仕草もたまらない。まるで指揮するように…。
 その後滅多に入ることのないナレーションが、更なる効果を生み出す。それはまるで最終回のように場を盛り上げ、物語を絶頂へと導くのだ。「暗黒時代の到来」という言葉とは裏腹に、映像は新たな夜明けという風なのも、いかにもデスノートらしくて背筋が奮えた。

#それはそうと、「ヨツバの再建を頑張ろう」と言っていた奈南川が真っ先に殺されたのは、ただの偶然か、危険人物とみなされたからか、目立つ人物だったからか、あるいは記憶喪失中のこととはいえ彼に一度だけ出し抜かれたことを根に持っていたからなのか。
「幼稚で負けず嫌い」な月のこと、案外最後の理由だったりするのでは……。

 

page27. 誘拐

 デスノートルールの画面が赤に変わった。そういえば、第二部では銃撃戦が展開されたりと、実際に血の流れる場面が多かったような気がする。

 第二部に突入し(複雑な気分…)、メロとニアが登場。メロは、声が幽助の声に聞こえるせいか、過激だけど実はいい人であるかのような錯覚をしそうになってしまう。
 ニアの声は、実にニアらしい。無感情だが、場面によってはきっとひどく嫌らしく聞こえるのだろうなあと予想できる声。この辺りでは、まだそんなに嫌な感じはしないが。

 月の家では「不幸なほのぼの家族」の様子が映し出される。この光景を見られるのもこれで最後。松田と粧裕のやりとりを見て、眼鏡を光らせ腕組みする夜神次長の姿が面白かった。
 背広姿の月もなかなか似合う。立ち上がり方などの動作が刑事らしくなったような気もするが、これも演技かもしれない。

 そして、警察庁長官の自殺。原作では、月が手を下したかどうかは明示されていなかったが、アニメではデスノートに名前を書く場面が。これは失策だったが、万年筆を持ち上げる仕草はかっこよかった。(それにしても、いつの間に筆記用具が万年筆になったのだろうか)

 粧裕の携帯が鳴り続けるという象徴的な場面は原作と同じ。だが、そこに表示される名前は「お兄ちゃん」。「月」ではなく。なんとなく緊張感が削がれた気分に…。

 

page28. 焦燥

 粧裕が誘拐されてからノートを奪われるまで、あっという間だった。
 ロスに行く前、月が帰宅した時の様子が少しだけ映し出されたが、ホテルの部屋のような印象で、どうも生活感に欠ける気がする。もしかすると、本当にホテルに住んでいるのかもしれない。
Lの遺した財産を使って……。
 あと、何故かミサが大きな鳥を飼っていたが、動物を飼うのは黒猫の件(この猫の毛も以前ミサが
Lに逮捕された原因の一つ)で懲りなかったのだろうか。月がLの座についたことで、もう敵なしと油断していたのかもしれない。

 さて、そしてあれよあれよという間に時間は進み、夜神総一郎が飛行機に乗ることに。それにしても、総一郎がザック=イリウスに声をかけられた時の相沢の慌て振りといったら。実は、危機対処能力は松田といい勝負なのではないかとちょっと疑ってしまった。一年後、要職についている模様だが、警察は大丈夫なのだろうか……。

 月もこの件では思うように対応できず無念だったろう。ロスで床や机の上などあちこちに無造作に置かれた六台のパソコンが、「本部」の急造ぶりを物語る。
 しかし、いくら近くにミサしかいないとはいえ、切り札の時計の仕掛けを意味なく作動させるのはどうかと思うが。

 その後事態は急展開、ノートを敵に持ち去られてしまう。この時L(月)の出した要請に、ニアは「結構難しいことを簡単に言いますね……」と不満げな様子。自分のことを完全に棚に上げている。この後ニアがレスター指揮官やジェバンニに命じる事柄に比べれば、大したことではなかろうに。

 そして、メロ一味によるSPKの一斉削除。サイコロタワーがバラバラと崩れ落ちていくのが、SPKメンバーの死と重なっていて印象的だった。

 メロによるSPKメンバー大量殺人を受けて、自らLに協力を申し出るニア。原作では、協力を申し出るL(月)を嫌味な態度で一蹴していたというのに、変われば変わるものだ。ひょっとすると、アニメのニアは、原作ほど嫌な性格ではないのかもしれない。

 

page29. 父親

 第二部になってから、また知らない曲がたくさん出てくる。今回シドウが登場したが、その時の曲(シドウのテーマ?)がぴったりだった。
 それにしても、死神を前にして動じなかったメロはやはりすごい。月でさえ、初めてリュークを見た時は腰を抜かしていたというのに。

 しかし、第二部になってから話の進み方が早いと思っていたが、今回は特にそれが顕著。シドウが登場したと思ったら、もう退場なのだから。めまぐるしく時間は進み、夜神総一郎は今回をもって退場となる。
 その際の、月の内面の声と表の声の違いにはやはり感心させられる。まさしく「熱演」だった。
 総一郎がこと切れる際、ペンが落ちるのが印象的。満月を背景に佇む月も。

 

page30. 正義

 最初の奇妙に明るい作文の朗読(らしきもの)。清潔な社会だけれど、生活感が感じられず殺風景で、虚ろな恐怖が潜む。これが「デスノート」のイメージ。

 今回のメインになるはずだった「心の底からキラを悪だと思ってますか?」という松田の問いかけと月の答えは、音楽のせいか、残念ながらさらりと流されてしまった。原作のようにゾクリとさせてもらえるのではないかと期待していたのだが。
 そのかわり、最後に月がニアに嫌味を言うところが面白かった。

 しかし、今回も話はみるみる進む。

 ニアとメロの再会。
 ニアのまわりをおもちゃの列車が取り囲み、ぐるぐる回っている。その閉じた円がニアの閉鎖性を、列車の動きが機械的な思考を表しているようで、ニアのイメージによく似合っているのではないかと思う。
 メロは傷痕に加え、あの金髪と黒のジャケットのコントラストが鮮やかで、前よりかっこよくなったような気がする。

 その後展開される、ニアとL(月)の舌戦。
 ニアのタロットカード(?)はいやに本格的な代物。
 そしてついに、ニアのあのニヤニヤ笑いが炸裂…!これまでは控えていたが、これからどんどん嫌な奴になっていくのだろう。

 一方月は、キラとしての活動にも余念がなく、大統領を脅迫。以前ミサに使わせたパソコン音声変換装置がまだ使用されているのに注目。どうせあの人工音声に変換されたらキラのカリスマ性も減少してしまうのだし、大統領相手ならそれほど複雑な交渉は必要ないと考えてのことだろうか。
 そして、これと関連して、出目川出動は大統領を介したものに。

 それにしても、この辺りの展開は原作とはだいぶ違ったものになっている。模木がSPKに捕まるところがなくなっているため、相沢はニアにちょっと揺さぶりをかけられただけで月を裏切ったということになるし、月の策も拙速というわけではなくなった。また情報の漏れが大統領経由ということで、対策をとっていなかったニアに落ち度ができた。(そのかわりにか、原作ほど嫌な奴ではなくなっているが)

 月が相沢の(裏切りの)話を聞いてしまう場面も追加されているし、原作とはこの先の展開が違ってくるのかもしれない。そうなってほしい。

 

 

 

2007.5.30

 

 

 

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