デスノート
アニメ各話感想(2)
page11. 突入 |
テレビから放映されるニセキラのメッセージ。よくある合成音声で、設定通りなのだが、こうして実際耳にすると、どうにも妙な感じが拭えない。ミサがあの声で喋っているような印象を受けて、生理的にどうも……。 6時、太陽テレビ。右上に「 Dog Expo」の絵が出ているのに注目してしまった。可愛い犬と、この緊迫した画面とのギャップが何とも言えない。そして、放映を止めようとして死亡した宇生田。続こうとした相沢を止める Lの手が震えているのは……演技だろうか。それともまさか、聞き分けの悪い相沢に腹を立てているのでは……「鋼の錬金術師」のラースのように。最初に原作を読んだ時も、この震えが本当に義憤からのものなのかという疑問はあったのだが、13巻でLの性格を詳しく知るにつけ、ますますその疑いは強まってしまった。 ところで今回初めて気づいたのだが、夜神局長が突入したのは6時40分。宇生田が殺され「顔を隠さなければ危ない」という認識を持つのは6時20分頃のことになるから、かなり素早い対応といえるのではないだろうか。たまたま近くに護送車とさくら TVが存在していたのかもしれないが、それにしてもこの行動力、さすが月の父親だ。だがその一方で、次々と倒れていく警官達を報道するアナウンサーからは、どうも危機感が感じられなかった。そういうものなのだろうか。 #あと、今回、二つの携帯を両手に持ち、右と左、交互に話している Lに、その能力の一端を見た。聞き手でない方の電話は、扱いにくいのに……。 |
page12. 恋心 |
真剣に策を練る月と、その横でリンゴを頬張るリュークとのギャップが面白い。 話は進み、警察の作った(作成にあたったのが本物のキラ、というところがまた心憎いが)「キラからのメッセージ」が放映される。それを見ていたミサが「ビデオビデオ」と言った時、原作を読んでいるにもかかわらず、一瞬「メッセージを録画するつもりでビデオを探している」と思ってしまった。 そして、今回もっとも面白かったのが、 Lの倒れ方。まさか、バンザイして倒れるとは。あまりのオーバーアクションに、一瞬心臓麻痺かと思ってしまった。…Lらしいともいえるが。その後は、レムによるジェラスの回想。ミサの赤い帽子だけがやけにくっきり見える。―血の色。それを見ているジェラスには、 Lを感じてしまった。もちろん声に起因するところ大なのだが、そういえば、座り方もなんだか似ているのだ……。 最後に、同じ喫茶店にいる月とミサ。近くにいるが、互いの姿は見えない。楽しげな音楽。―まるで、恋愛ドラマのようだ。 |
page13. 告白 |
13巻でも言及されていたが、月の「ガールフレンド発言」の真相が、捜査協力を秘密にするための口実だったことが、これではっきりした。 |
page14. 友達 |
レムを見なれているとはいえ、リュークを見ても驚かないミサは、やはり度胸がある。「月とデートした女の子を殺す」と言う赤い目も、キラと通じるものが。キラは、共通して赤い色で表現されるのだろうか。 #あと、月がミサのことを調べるのに Googleを使っていたのに注目してしまった。このように、現実のものが登場する…この距離感も、デスノートの魅力なのだと改めて思う。 |
page15. 賭け |
ミサと Lが対面。偽名を使っている、ということ以前に、「L」というあからさまな名前に驚くところなのではないかと思うが…やはりミサの感性は普通とややズレているのかもしれない。そして、「マネージャーの麻薬所持容疑」で任意同行ということになっているミサ。このマネージャーは一体どうなってしまうのだろうか。Lからそれなりの慰謝料・口止め料等は出ているだろうが、外聞も悪いだろうし、仕事も変わる必要が出てくるのではなかろうか。担当が変わっただけならいいのだが。今回の騒動の一番の被害者は、このマネージャーかもしれない…。 一方、厳しい拷問にかけられるミサ。ワタリの手前に並ぶ薬品が恐怖を誘う。ミサがノートの所有権を放棄した時、レムがミサの涙をぬぐうのが印象に残った。 あと、今回は、たびたび建ち並ぶビルのイメージが出てきた。 #余談だが、Lのいるビルには囲いがついていた。それがまたLらしい……。 |
page16. 決断 |
OP後の一枚絵(謎の静止画)が変更された。蒼い髪に紅い目の月。紅い目はキラの象徴だが、蒼い髪はLのイメージではなかったのか。それともこれは、二人の類似を表しているのだろうか。 今回はずっと捜査本部に場面が絞られ、やや退屈。月のあの笑みがこれから封印されることもあり、しばらく背筋の奮える場面には出会えなくなるのだ……。 Lの今日のおやつは生ハムメロン。ハムをフォークでとるのはわかるが、その後肝心のメロンは手で食べるという奇怪な行動。本当に潔癖性なのだろうか。 月の「投身」演技は原作の方が迫力があった。所有権を放棄すると顔つきが変わり、本当に別人のようになってしまった。目つきはもちろんだが、なんとなく髪型まで変わったような気がしてしまうのはなぜだろうか。 #ところで、松田と違って、相沢はキラによる殺人復活を、すぐには夜神局長に伝えようとしていなかった。相沢を冷たいと見るべきか、松田が特に行動派だったというだけなのか。 |
page17. 執行 |
冒頭、映し出される第三のキラ。あの歯はどう見ても……! 一方、獄中で無実を訴える月とミサ。 Lは、さすがに勘重視の探偵だけあって、相手の発言の真偽を見抜く能力に長けているようで、「嘘を言っているようには思えない」と戸惑いを隠せない。そして、夜神局長による迫真の演技。ここでミサが、「それやったらキラと同じじゃない」と夜神局長を責めていたが、キラ崇拝者のミサの口からこのようなセリフが出てくると、なんだか妙な気もする。相手がキラを捕まえる刑事と知った上での説得なら別に不思議ではないのだが、この状況下で相手の立場をきちんと考えて説得を行う、というのはなかなか難しいことではなかろうか。ましてや相手は、つい先程までストーカーだと思っていた相手なのである。このミサの切り替えの早さは驚異的といっていいかもしれない。 その後無事解放される二人だが、ミサの態度に相沢が激昂。しかし、相沢に怒鳴られてもミサは一向にこたえる様子がない。監禁時、松田に怒鳴られていた時は怖がっていたのに。松田より相沢の方が怖そうに思えるのだが、やはり状況の差だろうか。 あと、今回驚いたのは、 L独自のパソコン画面。「L」の字が漂っていたが、わざわざ作ったのだろうか。Lビルも、周りの建物に比べて一際高く、やたらと目立つ。そして、建物といえば、ヨツバ会議室の光の差し込み具合は、「神」を象徴しているように見えた。 |
page18. 仲間 |
Lビルの警備に苦しむ相沢。ワタリも見ているだけでなく、助けてあげればいいものを……。ヨツバ幹部を招き入れたことからすると、セキリュティ解除は難しくないだろうに。 今週の見所はやはり月と Lの殴り合い。手錠のせいで、殴った方もダメージを受けてしまうというのが面白い。ケーキを踏んでしまったミサも気の毒だが、見ている方としては楽しめた。かわりに「ケンカを止めようとしない夜神局長」が削られていたのはやや残念だったが。止めようとしない局長を見ると、「局長も、(息子をキラだと決め付け続けた挙げ句やる気をなくした)Lを殴りたいと思っていたのではなかろうか」と思えて興味深かったのだが……。 ところで、ミサに踏みつぶされたケーキを見てふと思ったのだが、部屋の掃除などは一体誰がしているのだろうか。簡単に外部の者を入れるわけにはいかない…となれば、やはりワタリか松田がしているのだろうか。しかし、あのような巨大なビル、使用部分にかぎったとしても、掃除するのは大変だろう。掃除をしていない、という可能性もあるが……気になるところだ。 その後、ヨツバの策略により、日本警察がキラ事件から手を引いたことを知らされる L。「一人でもやっていけます」というのは、当初の「警察の協力が絶対必要」という発言と矛盾するが、これはLが嘘をついた(とは言わないまでも、表現を誇張した)ということなのか、「このキラは自分の追い求めていたキラとは違う、この程度のキラなら一人で十分」と考えているのか。あるいは、「松田にできるのはコーヒーを持ってくることぐらい」と考えているふしもあるLだから、模木以外の一般人はただの足手まといと考えており、彼らに捜査から手を引かせるために「一人でも平気」と発言したとも考えられる。「Lは嘘つき」という原作者の言が、Lの本心をより見えにくくしている……。 そして、颯爽登場のアイバー&ウエディ。結局、思ったほど活躍しなかった二人だが、アニメではもう少し活躍の場が与えられるのだろうか。 |
page19. 松田 |
冒頭の「怒られてばかりの松田」が、音楽のギャップとも相まって大変面白い。ドーナッツをなめ目を光らせる Lも、また一段と妖怪じみている……。(笑)そんな松田も面白かったが、個人的に今回一番面白かったのは、 Lの顔をじっと見つめ物思いにふける月に対し、それに気づいたLが「やはり私だけがケーキを食べていることにむかつかれたんですね」と、見当違いの発言をしたこと。月をキラだと確信している時なら、まずこんなことは言わなかっただろうから、それだけ月の「計画通り」になってきているともいえる。それにしても、前回意地汚くも(笑)ミサのケーキにまで手を出していたLが、他人にケーキをあげようとするとは意外だった。Lのことだから、「いくら月君でも私のケーキはあげませんよ」と言ってもおかしくないところだろうに。 そうこうするうちに、ヨツバの会議室近くまで独断で潜入する松田。会議室の扉は、まるで冥界の門のよう。 そして松田、一世一代の大芝居。皆騒然とする中、一人だけ席を立とうともしない火口があからさまに怪しい。もっとも、「事故」の後一同をせかして退散する三堂も少々冷たく見えるが。 余談だが、松田の逆立ちを見てリュークの逆立ちを思い出した。あと、野次馬の中に月そっくりの人がいたが、月は救急隊員に変装していたから、これは別人なのだろう。 しかし、前回も思ったが、記憶を飛ばしてからの月は、めっきり影が薄くなってしまった。キラがいないとやはり寂しい。早くあの邪悪な笑みに再会したいものだ。 |
page20. 姑息 |
OP、EDが変わった……変わってしまった。前のをとても気に入っていただけに、残念だ。そして、今度の曲があまり好みでなかったのも……。前の曲を気に入っていると、その分新しいものには点が辛くなるものだが、その点をさし引いても、あまり好きにはなれなかった。 このテレビ音響のせいもあるだろうが、曲は耳障りに感じられ、雰囲気や余韻を楽しむどころではない。絵は魅上が出てきたのは嬉しいし、グルグル回るLなど面白い点も多かったが、これまでの「リンゴ、月、死神」をモチーフにした独特の雰囲気漂うOPと比べると、どうしても見劣りしてしまう。(もっともこれには、前作への贔屓目が含まれているせいも多分にあるだろうが) 今回面白かったのは、 Lのおやつ。興奮する月に対し、あんみつをかきまぜるL。あんみつをスプーンに塔のように積み上げて食べようとしていたが……毎度のことながら、よくこぼさないものだと感心してしまう。積み上げたのもすごいが、どうやって食べるつもりだったのだろうか。 また、Lの口に入るのは「角砂糖の入ったコーヒー」ではなく、実は「コーヒーに浸した角砂糖」だったというのにも注目。コーヒーがこぼれるのも構わずに乱暴に角砂糖を放り込む様子からは、人命優先の捜査本部に対する苛立ちを感じ取ることができ、それも面白かった。 ストーリーでは、奈南川と月の交渉に久しぶりにゾクゾクできた。原作でもゾクリとした場面だが、音楽がつくと緊張感がいや増す。 その後、キラ捜査の協力をミサに頼む L。この時ミサを説得するのにLが用いた論法は、かつて月(キラ)がレムを説得するのに使った論法と全く同じもの。やはり二人は似ている。ここでは、ミサにうんざりしている様子のLが面白い。キラ逮捕に向けて手を取り合う三人にシャボン玉が飛び交い、その絵だけを見れば美しい友情の光景なのだが……。 ミサは「友達を絶対に裏切らない」と言っていたが、以前指紋対策に「オカルト好きの友達」を利用して、そのことを月に指摘されると、彼女を殺すのも厭わない姿勢を見せていたことを考えると、とても信用できたものではない。 ―今一番信用できるのは、月なのかもしれない。変われば変わるものだ……。 #でも、信用してはいけないキラである月の方が好きだ。(笑) |
2007.3.15