デスノート
アニメ各話感想(1)
page1. 新生 |
待望のアニメ。 OPから圧倒された。まさに「新世界の神」を彷彿とさせるイメージで、歌詞と併せ、すっかり呑まれてしまった。リンゴをかじる姿にも、禁断の果実をーデスノートを手にした月が思い浮かぶ。まさしく「キラ」のためのOP。そして、OPが「キラ」なら、EDは「月」。理想に向かって歩き続ける月。しかし、どこか切なさが漂うという……。 OPもEDも、歌詞がぴったりで素晴らしい。 始まりの死神界は、神話的なイメージ。その後に続く、月の朗読、英文和訳。世界の始まり。新世界の創世。 ―まずデスノートがあった。 そして、殺人を犯した動揺から、徐々に新世界創世への決意を固めていく月。その後、ノートにひたすら名前を書き続ける…。 #ところで、冒頭で婦女暴行のニュースを読み上げたアナウンサーの声と、「良チン」の声は、ひょっとして、あのゾロの声ではなかろうか。 |
page2. 対決 |
前回のあらすじがかっこいい。画面がいくつにも分かれ、次々に切り替わるのが、緊張感を醸し出す。 そして、早速 ICPOの様子が映し出される。原作では皆が混乱し、興奮して口々にまくし立てている様子が伝わってきたが、アニメでは、だいぶ落ち着いた雰囲気に。Lのことは、「わがままな人物」ではなく「傲慢な人物」と評しているように聞こえた。 それにしても、ワタリと Lの声がかっこいい…!しかし、ワタリはともかく、Lはこんなかっこいい声では駄目だ。ひたすら淡々と、感情のない声でないと……! 一方、粧裕の声は、どうもイメージと違うような……。「カードキャプターさくら」のさくらみたいな、もう少し高くはしゃいだ声をイメージしていたのだが。 最後の、 Lとの対決では、またゾクゾクさせてくれた。毎回この興奮が味わえるのだと思うと嬉しい。 |
page3. 取引 |
眩しい朝日の訪れ。その一方で、死んでいく犯罪者達。その対極の光景が面白い。月の爽やかさが際だつ。 暗い部屋で取引の話をしているのも、いかにも「悪魔との取引」を連想させてくれ、いい感じだ。 #それにしても、月、仮にも死神を相手に「何度言えばわかるんだ」と見下したような発言を……。さすが新世界の神。 |
page4. 追跡 |
雲が晴れ月明かりに照らされていく様子がなんとも言えない。 それはそうと、「不自然すぎる死に方はできない」という言葉で表現すると、デスノートで操れる範囲が非常にわかりやすい。 そして翌朝。ユリの声は、明るくて違和感がない。粧裕の声は、このユリの声の方がよかったかもしれない。 バスの中、穏やかな時間が流れゆく。そののどかな光景を見つめるレイ=ペンバー。…ひょっとすると、「こんなつまらない仕事はさっさと終わりにして自分もナオミと遊びに行きたい」とでも考えているのでは…。 クライマックスと、その後のトリック説明は、なんとも映画的。最後の「レイ=ペンバー、次はあなたの番だ」にはゾクゾクした。これだからデスノートファンはやめられないのだ……! #原作とアニメでは、月の筆跡が少し違うような気がする。アニメの方が「走り書き」に近い。逆に言えば、大量の文字を書き続けている中、あれだけきちんとした文字を書いている原作の方が、人間離れしているといえる。 |
page5. 駆引 |
バスジャックの後、短く言葉を交わす月とレイ=ペンバー。白い服の月と黒い服のレイ=ペンバー、という対比を考えると面白い。 南空ナオミが登場。声は、もう少し若々しい声を予想していたが、これはこれでベテラン捜査官らしい、という気も。 その後、新宿で悲劇が起こる。もっと緊迫感に満ちた雰囲気を期待していたのだが、淡々と流れていった感じだったのが残念。その後のトリック説明にはある程度凄味があったが、鳥肌が立つには一歩足りない。デスノートには、どうしても大きな期待を抱いてしまう。 また、「 LがFBIからの信頼を失った」「FBIはもともとキラ捜査にあまり乗り気ではなかった」という原作のニュアンスが、だいぶ薄められてしまったように感じられた。その結果、Lの孤立感がさして強まらないまま日本捜査本部と合流することになり、盛り上がりに欠けるところがあった。 |
page6. 綻び |
ようやく姿を現した L。動きのあるアニメだけに、その表情の変化のなさが、生気のなさが際だつ。仕草などからも異様さが伝わってくる……のだが、声だけ聞いているとかっこいい、というこのギャップ。うう……。しかし、Lの発言にいちいち感心する警察官達に、うんざりする様子はよく伝わってきて、やはりLだと思った。それにしても、夜神局長達、「正義は…」という胡散臭さ溢れるLの言葉に素直に聞き入ってしまうとは……。この様子だと、これまで取り調べた容疑者達に、何度も騙されたことがあるのではないのだろうか。 それはそうと、既に原作で承知している内容を喋っているだけ、というのは少々退屈だ。Lファンなら問題ないのだろうが…。月が喋っている場面は、一人でも流石キラ教の教祖だけあって人を惹きつけるものがあるが、捜査本部の面々だと、どうも華がないのだ。 そして、後半は月と南空ナオミの出会い。笑顔の空々しさがポイント。南空ナオミの説にも、原作より肯定する姿勢をやや強く示し、好青年ぶりと話術の巧さを見せていた。 今回は、あまりゾクゾクする場面がなかったが、それでも流石、最後は期待に応えてくれた。 「死神でない方の神は僕の味方らしい……」 |
page7. 曇天 |
月がひたすら喋っていたような印象を受ける。 「レイ=ペンバーと同じく、悪魔の言葉に唆され、死神に IDを見せてしまった」というニュアンスがよく出ていた。ちらつく雪に、最後、13階段に向かって歩き出す南空ナオミが印象的。 |
page8. 視線 |
睡魔に襲われ朦朧となる捜査本部。アイスが配られる。アイスを一番喜んでいたのは相沢のように見える。…意外だ。しかし、緑色ということは、抹茶……?甘い物好きの L用としては、あまり向いていないように見えるが……。それとも、ワタリの発明した新しい味のものだろうか。本屋では、心理学関係の本が一瞬映し出される。 Lと戦い、キラとして君臨するには欠かせない知識だろうが、月にはおそらく全て習得済みのことに違いない。それにしても、その道の人から見れば、夜神月というのはかなり研究意欲をかき立てる人間ではなかろうか。Lがキラに執着したのも、自分と同格同質の存在だからというだけではないかもしれない。 夜、家族揃ってテレビを見ている時に、テロップが流れる。…が、ニュース番組ならまだしも、ああいうドラマの時にテロップが流れると、結構嫌なものだ。粧裕も可哀想に……。 ポテチの封を切り、不気味な含み笑いを漏らす月が面白かった。端から見ると、かなり怪しい人物に見える。監視カメラに映っていたら、これだけでキラの疑いが10%は上昇したに違いない。 |
page9. 接触 |
前回のあらすじでは、以前のように画面が幾つも重なり合うような方式ではなく、ごく普通のものになってしまって残念だ。 キラについて考える L。裁きを行う「神」の絵が、ドクロに変わるのが印象的。家で手にしたリンゴも、やけに赤く感じられ…そういう細かいところが印象に残る。#あと、リンゴをねだるリュークが、可愛かった。 そして、いきなり時間が飛び、晴れて大学生になった月。桜が、季節が飛んだことを違和感なく実感させる。 その後の、「私は Lです」にエコーがかかっていたのもよかった。それにしても、Lに偽名を名乗られて、流河旱樹はいい迷惑である。月が賢くなければ、理不尽にも殺されていた可能性があるのだ。月が言っていたように、L「も」限度というものを知らない。ワイミーズハウス出身者は、みんなこうなのだろうか……。そして、今回最大の見せ場は、なんといっても月の高笑い。あの地の底からはい上がるような笑み……!なかなか凄味があった。 |
page10. 疑惑 |
いきなりテニスから始まる。せっかくアニメになったのだから、授業風景なども入れてほしいところだ。原作ではミサの登場で、大学での「腹の探り合い」をする時間があまりないままに急展開を見せたので、アニメではもう少しゆっくり、色々とやってほしいと思う。 テニスの後、月がカバンを左肩に提げていたのが少し気になった。月は右利きだったと思うのだが……。それに、左側には Lが並んで歩いていたのだ。普通は人がいない方の肩にカバンを提げるものではないだろうか。以前、名探偵コナンで、「右利きならカバンは右で持つはず。彼は右利きのようだがカバンは左で持っている。それはスポーツ(野球)をしているからだ」というような発言があり、「重い荷物なら交互に持つはずだし、右手を空けておくために物は左で持つこともあるから、必ずしもそうとは言い切れないのではないか」と思ったことがあった。 コナンの発言に沿うなら、月はテニスのために右手を大事にしていたということになるが、「遊び」のためにそこまで気を回すとは考えにくいし、左手でLに気づかれぬよう血文字を書くという離れ業をやってのけた月のこと、左手も相当器用に使いこなす事ができるに違いない。 では、何故わざわざ人のいる方にカバンを提げているのだろうか。月のような気配り上手の人間が、荷物をぶつけてしまうかもしれないと考えなかったはずはない。となると……ひょっとして、Lへの遠回しな嫌がらせだろうか。月ならあり得る……。 あと、携帯電話の色が、月は黒で Lが白だったのが、二人を象徴するようで面白かった。#本当はどちらも白、もしくは黒ではないかとも思うが。 写真のテストでは、「文章が不自然になるにも関わらず…」と、四枚目を推理できなかったことの不自然さを強調。わかりやすくなっている。 |
2007.1.12