ミサ【page.23~page.24

〜キラに自己の存在を主張〜

 

 

【行動】

  さくらテレビにキラを騙るビデオテープを送り、メッセージを流させる

“4月14日、さくらテレビに4本のビデオテープと共に、キラを名乗りそのテープを放送するよう脅迫する旨の文書が送られてきた。視聴率至上主義のディレクター・出目川は嬉々としてその指示に従い、4月18日に「キラからのメッセージ」が放映される。その中で、「キラ」は自分に批判的な報道人や警官を次々と殺して見せ、警察幹部の命を盾に、警察に自分に協力するよう要求する。しかし、そのやり方は世論の反感を買い、警察もキラと戦う姿勢を明らかにするのだった。”

page.23:激走―page.24:盾)

 

 

<小道具>

[封筒]
 
“消印は4月13日、大阪。速達の判子と切手が三枚貼ってある。”

[メッセージの印刷された用紙二枚]
 
「   さくらテレビ 出目川ディレクター様

  私はキラです。
  証拠はビデオ@に入っております。
  これを見て、私がキラだとわかりましたら
  テープAからCを
  2枚目に書かれた日時通りに
  貴社テレビ局より放送してください。
  予告殺人がテレビを通して行われる事で、
  私がキラだという事が世間に証明
  されると共に、
  キラからの全世界へのメッセージが
  発信される事になります。
  放映に逆らう様な事をしたら
  貴社の社長から殺していく事になります」

 “4月18日の午後5時59分ちょうどから、2本目のビデオ(視聴者にキラだと証明する予告殺人と、世界の人々に向けてのメッセージが入っている)を放映する様指示している。また、警察がキラの協力にイエスと答えたらBのビデオの放映、ノーならCの放映を指示している。”

[デジタルビデオ@〜C]
“機械で作った荒れた音声に手書きの文字(
Lがテレビで名乗った時と同じ書体)、明らかにそれをホームビデオで撮っているだけの映像。音声も他の機器で再生された物をハンディカムの外部マイクから取り、周囲の雑音が入ったと思われる所では一度巻き戻してやり直している。”

@“先日逮捕された町葉青一・青次両容疑者の死亡日時予告(4月17日19時)が入っている。”

A「私はキラです。
  このビデオが4月18日午後5時59分ちょうどに流されれば
  今は午後5時59分 38・39・40秒…(略)
  チャンネルを太陽テレビに替えてください。
  メインキャスターの日々間数彦氏が
  6時ちょうどに心臓麻痺で死にます。
  日々間氏はキラを悪だと主張し 報道し続けてきました。
  その報いです。
  一人では確実な証明にはなりません。
  もう一人犠牲になってもらいます。
  ターゲットは同じく今 生出演の予定にある
  私を否定してきたコメンテイター…………(略)
  これで私がキラだという事は信じて頂けたと思います。
  皆さん よく聞いて下さい。
  私は罪のない人を 殺したくはありません。
  悪を憎み 正義を愛します。
  警察も私の敵ではなく 味方だと考えています。
  私の願いは 悪のない世界を つくる事です。
  皆さんが その気になれば 簡単にできる事です。
  私を捕まえようとしなければ 罪のない人間は死にません。
  私に同意できなくとも 
  メディアに乗せ 公にしたりしなければ 殺したりはしません。
  そして 少しの間 待ってください。
  誰もが認める世界になります。
  私にはできます。
  心の優しい人間を 主とした世界に 変える事が。
  (略)
  想像してください。
  世界の警察と私が 守る世界を…
  そこに悪は存在できなく―――
  (略)
  悪を抑制し 犯罪のない世界にする事が…
  (略)
  警察が私と協力し 新しい世界をつくっていく事に
  イエスかノーか
  四日後…4月22日の午後6時のニュースで発表してください。
  同日午後6時10分より
  イエスの場合と ノーの場合の 異なるビデオを
  テレビ局側に 放映する様 発表してあります。
  警察の発表とすれば 誰も顔を出さなくとも構いません。
  (略)」

B“警察がキラに協力する際の細かい条件が指示してある。
  まず、犯罪者をより多く報道する事、特に軽犯罪でも人を傷つけた者、弱い者への虐待はできる限り取りあげろという事。
  そして裁くかどうかを決めるのはキラ。
  それと警察が協力する事の証として、警察幹部と
Lがテレビに出演し、「キラに協力する」と発表するよう要求している。”

C「答えはノーという事を 大変残念に思います。
  しかし 今まで通りの報道はして頂かないと
  警察及び 報道関係者を 裁いていく事になります。
  そして
  警察は あくまでも私と戦うという返事ですから
  これだけでは 甘過ぎます。
  敵対者として
  まず 私を捜査する本部を持つとされている
  現日本警察庁長官の命―――
  もしくは その指揮を執っているとされる
Lなる人物の
  命を取ります。
  長官か
L
  どちらを 平和な世界への協力をしなかった
  犠牲として差し出すか 四日間で決めてください。
  長官の顔は知っているので 問題はありませんが
  
Lを差し出す場合
  四日後 さくら
TV 午後6時のニュースに Lが出演し
  10分間のスピーチを行ってください。
  
Lであるかどうかは 私が判断します。
  
Lではないと 判断した場合
  世界の警察の幹部を 何人か その代償にします。
  嘘はつかない様 お願いします。
  何度でも言います。
  私は罪のない人は 殺したくありません。
  まだ四日あります。よく考えてください。
  (略)
  では 私に協力しないという代償に
  日本警察庁長官 
L どちらの命を差し出すか
  四日間 考えてください。
  
Lの場合 私が偽物だと判断すれば
  世界の警察の幹部が 犠牲になる事を お忘れなく」

 “言い方が違うだけで、ほとんどBと同じ内容。“

[友人の指紋付封筒&ビデオテープ]

“ミサが関西にいた頃のオカルト好きな友達に、インチキな心霊写真を作って見せて、その映像をテレビ番組に送ると偽り用意させたもの。
 そのインチキビデオをビデオテープ10本にダビングさせ、撮影した状況等を書く便箋と、切手を貼った封筒も用意させた。(そのため、これらのものにはすべて、その友人の指紋がついている。)
 テレビ局にビデオを送る際は、ミサ本人の指紋が付かない様、そのビデオテープの上から「
KIRA」の映像を重ね撮り音を入れる。”

 

<ポイント>

[+]

[―]

 

<目的>

キラに会う

<メリット>

<デメリット>

 

if

【ビデオ放映不許可】

 今回、ミサの送ったビデオテープが放映され、事態は大きく動いたわけであるが、もしさくらTVがこのビデオを放映せず、警察に渡していたらどうなっていただろうか。

 確かにさくらTVはこれまでキラをスターのように称える報道をしてきたし、ディレクターの出目川は、視聴率至上主義。それに加えて従わなければ社長を殺すと脅迫もしてある。TV局の事情に通じているミサは、それで十分だと判断したのだろうし、事実そうなった。

 だが、社員の中に万一良識ある者がいて、秘かにビデオテープを持ち出していたら……。

 ミサの性格を考えると、予告通り、ためらいなく社長を殺すだろう。そして、改めて日付等を指定しなおした文書・ビデオを送ることだろう。ここまですれば、まず間違いなく、さくらTVは放映する気になるだろう。止めようとするものは殺され、そうでない者だけが残されることになるのだから。

 警察の規制が入るかもしれないが、警察に従えば殺されるかもしれないという状況では、TV局側は、何がなんでも放映するに違いない。警察がテープを没収するなどの実力行使に出たら、おそらくさくらTVは、命惜しさに事実をありのまま公表するだろうし、そうなると今度は警察幹部が犠牲になることだろう。結局、警察も、さくらTVの放映を黙認せざるをえない状況になる。

 それでもLなどは、あくまで放映を止めようとするかもしれないが、それは警察とLとの亀裂を深めるだけに終わるだろう。

 放映にこぎつけるまでにミサが逮捕される…という可能性も、現時点ではほぼゼロ。封筒の鑑識結果が出るにもそれなりの時間がかかるし、出たとしても、それだけでは捜査範囲が広すぎる。

 つまり、郵便事故でも起きない限り、ほぼ100パーセントビデオは放映されるのだ。なまじ止めようとすれば、犠牲者が増えるだけ。それを思えば、動機はともかく、出目川の判断は正しかったといえる。

 

 

発想

緻密

迅速

度胸

難易度

リスク

効果

10

 「テレビ局にビデオテープ」を送りつける」という安易な発想だが、直接「キラ」に語りかける内容ではなく、自らが「キラ」を名乗ることによって、キラの方から返事が来るようし向けている点は評価できる。

 しかし、自分の指紋が残らないようにするなど、「最低限の対策」はできているものの、物的証拠を残してしまうというリスクを伴う方策であり、あまりほめられた方法ではない。また、そのようなリスクを負っているにも関わらず、指紋以外の証拠となり得るものについては無頓着であり、結果、多数の証拠を残してしまっている。

 デスノートを手に入れてからの行動は迅速で、わざわざ関東に出てきて一人暮らしするなど行動力もあるが、それだけに穴も多い。犯罪において重要なポイントとなる「緻密・慎重」という素養が欠けており、どう見ても犯罪者向きの性格(というのも変だが)ではないのである。

 

 

 

2004.12.10

 

 

 

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