キラ【page.33~page.54

〜デスノート放棄〜

 

 

【行動】

 デスノート放棄

“ミサが第二のキラ容疑でLに拘束され、絶体絶命の危地に立たされた月。そこで月は、自ら監禁されLの監視下に置かれることを申し出た。監禁七日目にはデスノートの所有権をも放棄し、キラとしての記憶をなくした。しかし月は、その前に周到な準備をしていたのだ。キラとして復活することを確信して……。”

     (page.33:移動~page.35:白紙)

 

<所有権放棄の前に行った下準備>

[死神交換*注1)

[嘘ルールの創設(*注2)

[時計の細工(*注3)

[証拠隠滅]
”サイフ等のデスノートの仕込みは全て止め、引き出しもただの二重底にした。また、使っていたデスノートも、指紋や筆跡など自らに繋がるものは何もでないように処理。”

[土中にデスノートを埋める]
“そのデスノートには海砂への手紙が挟まれている。“

 

<ポイント>

 

<目的>

 ノートの記憶のない自分とキラを追うことで、Lに月を信用させる

<理想>

<メリット>

<デメリット>

 

if

【記憶を戻すのに失敗】

 さて、幸いにもというべきか、それとも不幸にもというべきか、月は再びキラとして復活できたわけだが、もし記憶を戻すのに失敗していたら、どうなっていただろうか。
 
Lが月を疑って、デスノートに触れさせなかったり、もしくは「記憶を戻せるのは六度まで」というのを知らずに慎重を期したのが仇となり、完全に記憶を喪失してしまったり。可能性はいくらでもあった。
 そうしたら、月はどうなっていたか。その後の人生を、平穏に送ることができていただろうか。

 …残念ながら、そうはなるまい。

 Lは、13日ルールを疑っていた。そして、ノートがもう一冊あることも知っていた。犯罪者裁きが再開されなくとも、Lの性格を考えれば、いずれそれを検証しようとするだろう。他のメンバーは反対するだろうが、Lを止める術もないのもまた事実。

 そして、実際に試されれば、すぐにその嘘はばれてしまう。そうなれば、Lは、なぜ嘘の記述がなされているのかを考える。
 月が記憶を失っている可能性をも考えている
Lは、その異常な勘で、ほどなく真相に辿り着くだろう。
 これは、死神の協力がないとできないことだが、死神が特定の人間に肩入れする可能性に思い当たれば、
Lの推理を妨げるものは何もない。

 そして、真相を知ったLは、今度は月の記憶をなんとかして戻そうとするだろう。記憶のない月が相手では、キラを捕まえたことにはならないだろうから。
 レムがかばっているのが月ではなくミサだとわかれば、レムは全て話すかもしれない。そうなれば、月はおしまいである。記憶が戻った時にはもう、自由はなく、ミサにデスノートを掘らせることもできない。

 ただ、ミサを完全に無罪放免とするのは難しく、また、レムも、月が死ねばミサが生きる望みを失うことを理解している。だから、キラの元の筋書き通り、ミサのために捜査本部を全滅させるというケースも当然考えられる。まあ、40秒で全員の名前を書くのはレムにはちょっと難しそうなので、何人かは残るかもしれないが、L、ワタリ、そして夜神局長あたりまでは確実だろう。

 ここで月のキラとしての記憶が戻った場合は、現実と同じように事が進行するか、もしくは残りのメンバーを抹殺して疑いを持つ者を全て葬りLの座を手にれるかのどちらかだろう。どちらになるかは、捜査官の月への疑いがどの程度かによる。
 記憶が戻らず、捜査本部の月への疑いも濃い場合は、残りのメンバー(相沢や伊出あたり?)に逮捕されるか、柱を失った捜査本部で月が中心に立って、もう存在しないキラを追う、という形になるだろう。

 記憶が戻らずキラとして逮捕されたとしたら、月から見れば全く身に覚えのないことで罰を受けることになり、もしかすると一番不幸なパターンかもしれない。逮捕されなくとも、キラとしての記憶のない月は、父親やLの死を本気で悲しむだろうから、それはそれで気の毒である。

 やはり、もう不幸は避けられないのだ……。

 

発想

緻密

迅速

度胸

難易度

リスク

効果

10

10

 憑く死神を交換するなど、驚くべき発想を見せる月。一見ただの防御策に見える記憶放棄を、最大の攻撃へとつなげる発想は見事であった。不確定要素はどうしても多くなるが、それを補うために練った綿密な策の数々には圧倒される。しかも、ミサが拘束されてから、たった三日で。
 記憶を放棄するというのは、ある意味、死を意味する。それを躊躇なくやってのけた月には、もう敬服するしかない。

 

 

 

【注1】
 死神交換

【ミサのノート】

“ミサ→月→レムに返還→リュークに譲渡→落とす→月(→土中)”
(*
これで、ミサのノートに憑く死神はリュークとなった。)

【月のノート】

”月→リュークに返還→レムに譲渡(→火口)”

 

【疑問】
 
’なぜレムの姿が見えるのか?’

 月は、所有権のやりとりをしながらその説明をしているが、その際、月はずっとレムを見て、普通に会話を続けている。…しかし、妙ではないか。本来なら、最初にミサのノートをレムに返還した時点で、レムの姿は認知できなくなる。会話などできないはずなのに。

 レムの姿は見えなくとも、デスノートが宙に浮いているのは見えるから、それでレムに向かって話しかけているだけなのか?いや、レムの質問に答える場面があるからそれは否定される。
 では、所有権を放棄した後、ノートに触れることでレムの姿だけ認知できるようにしたのか?

 「page.34 投身」では、順に、

  1. 月、レムにミサのデスノート(表紙から判断)を手渡す
  2. 手渡した後、月、「このノートの所有権を放棄する」と発言
  3. 飛び立つレム
  4. 「記憶からレムが消えるわけではない、姿は見えなくなるが…」という月の心の声
  5. 消えゆくレム(描写曖昧)

 という経緯が記されており、「page.54 中」では、「2」と「3」の間に隠されていた経緯が詳しく描かれている。「4」から、月がレムの姿が消える所を見ているのは確かだが、所有権の推移を見れば、「5」よりも前にレムの姿が見えなくなっているはずなのである。だから、「5」は単に、姿が遠ざかることで消えたような描写になっているのだと見ることもできる。
 しかし、その直前まで会話しているように見えるのもまた事実。
 それも、宙に浮くノート(→土中)に触れることでレムの姿を認知したのだとしたら、矛盾はなくなる。次にレムの姿を目にするのは、第三のキラを見つけた時。そして、その時にはもう、所有権(と記憶)を放棄しているため、レムの姿も認知できなくなっており、
Lと捜査していても問題はない。

 まあ、実はリュークが通訳していた、とも考えられるのだが……リュークはあまりそういうことをする性格には見えないので、こちらの方が可能性としては高いように思う。

 Lの監視下でデスノートの所有権を放棄した時、月は、リュークだけではなく、同時にレムも認知できなくなったのだ。

 

<目的>

<メリット>

<デメリット>

 

【注2】
 嘘ルールの創設

”デスノート(月→火口)の裏表紙に、リュークに書かせた。”

If the person using the Note fails to consecutively
 write names of people to be killed within 13 day of
 each other, then the user will die.

このノートに名前を書き込んだ人間は
最も新しく名前を書いた時から
13日以内に次の名前を書き込み
人を殺し続けなければ 自分が死ぬ。

 

If you make this Note unusable by tearing it up
 or burning it,all the humans who have touched the
 
Note till then will die.

 このノートを刻む焼く等して使えなくすると それまでに
 ノートに触れた全ての人間が死ぬ。

 

<目的>

 

 

【行動】

 キラ復活

”記憶を失っても月の頭脳はずばぬけて優れており、Lと共に第三のキラ・火口を追いつめる。火口が連行されていく中、月はついにデスノートを手にし、キラとしての記憶を蘇らせる。しかし、所有権はまだ火口にあるため、手を放せば再びその記憶は失われてしまう。そこで月は、大胆にもLのすぐ隣で、予め腕時計に仕込んでおいたデスノートに、自らの血で火口の名を記して彼を葬り、所有権を取り戻した。「真のキラ」が復活したのだ。”

      page.54:中)

 

【小道具】

(注3)時計]
”大学入学時に父親からもらった高級時計。
 竜頭を一秒以上の間隔を開けずに4回引くと、底の部分がスライドする仕組み。そこにはデスノートが貼ってあり、針も入っている。”

[針]

”自分の指を刺し、筆記具代わりの血を流すのに使用。”

[デスノートの切れ端]

 

<ポイント>

 

 

発想

緻密

迅速

度胸

難易度

リスク

効果

10+

10+

10+

10+

 自分の性格・習慣等をよく考え、それを利用した作戦。難易度、リスク共に非常に高い。高級時計にあのような細工を施しただけでもその器用さは並はずれているが、その上Lに気づかれないよう、時計からデスノートと針を取り出して指を刺し、4つの文字を過たず書くなど、もう人間の域を超えている。

 何より、Lのすぐ側で火口を抹殺するというその度胸は、まさに神。それでこそ、新世界の神キラにふさわしい。これをもって、キラは、全ての読者にその復活を宣言したのである。

 

 

 

2005.8.19

 

 

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