キラ【page.25~page.32

〜第二のキラ利用〜

 

 

 

【行動】

 第二のキラ争奪戦

“第二のキラの存在を知った月は、誰よりも早くそれと接触を持つ必要を感じていた。奇しくもその時、月はLに捜査本部の一員として招かれ、捜査状況・第二のキラの情報をよく知ることができる立場に立つ事になる。そこで、第二のキラから「青山で会いたい」という暗号の隠された日記が送られてきた時、捜査の名目で青山に赴くことに。死神の目を持つ相手に自分の正体を気取られないよう、リュークが誰に憑いているかわからないようにするべく大勢の友人を伴って行動するのだが、月達の知らなかった「デスノートを持った人間の寿命は見えない」という死神の目の法則により、先に第二のキラに発見されてしまうのだった。”

     (page.25:馬鹿~page.28:判定)

 

<小道具>

[友人7名]

“月の大学の友達。男女比3:4。“

 

<ポイント>

 

<目的>

 偽キラに自分の顔も名前も明かさずコンタクトを取り、操る事

<条件>

<メリット>

<デメリット>

 

if

【月から、第二のキラに連絡必要】

 今回は、待ちきれなくなった第二のキラの方から、会う方法を暗号にした日記が送られてきたわけだが、第二のキラがそのような方法を採らず、あくまでキラの方から会ういい方法を提示されるのを待つ、という姿勢を保ったらどうなっていただろうか。

 いつまでたってもキラから返事が来なければ、Lの言っていたように、第二のキラは、知られては困る情報を次々と流し、キラを追いつめることだろう。

 しかし、月の方から連絡をとるのは難しい。下手な方法を採ればLに自分の手がかりを与えてしまうことになる。月はLにはわからないように第二のキラを動かしたがっているが、現状では第二のキラに呼びかけるにはさくらTVを使うしかない。犯罪者に第二のキラだけにわかるメッセージを残させる事も考えたが、伝わるようなメッセージではLも気づいてしまう。それにLにとっても得になる報道でなければ、放送許可はされないのだ。

 そこまで考えた月は、「そうなるとあのニュースに生出演しているキャスターを操って…」などと物騒なことまで考え出している。操るということは、すなわちその人物を殺すということである。しかし、特に罪も犯しておらず、キラを追っているわけではないキャスターを殺害することは、「新世界の神」として問題はないのだろうか。

 「犯人は第二のキラということにすれば、キラのイメージは傷つかないから問題ない」と考えたのか。それとも、キャスターの中に犯罪歴を持つ者、もしくは特に素行の悪い者について、心当たりでもあったのか。

 どちらか判断する材料はないが、目的のためには友人をも犠牲にしようとするなど、最近暴走気味の傾向が見受けられるので、前者であってもおかしくはない。キラの名誉のためにも、後者であることを祈ろう……。

 

発想

緻密

迅速

度胸

難易度

リスク

効果

 集団で移動するという、労力のいらないわりにメリットの多い方法を月は選んだわけだが、今回のは、月にしては大雑把な作戦である。死神の目の能力について知らなかったのは仕方ないが、たとえ死神の目にそのようなーノートを持った人間の寿命は見えない、という法則がなかったとしても、その近辺にいる者にキラは特定されてしまうのだから、死神がそこにいることを知った第二のキラが、その周辺の写真をとって、それをもとに後で一人一人調べていく可能性だって十分にあった。これまでの第二のキラの動向から、その情報収集能力を侮っていたのだろうか。

 顔だけで殺せる第二のキラのもとへ赴くという度胸は評価できるが、いつも完璧を目指す月らしくないこの杜撰さは残念である。

 

 

 

【行動】

 第二のキラ利用

“第二のキラから、キラを見つけた旨のメッセージを受け取ったその夜、第二のキラの方から月を訪ねてきた。幸いにも第二のキラーミサは、月(キラ)に心酔しており、本名を名乗った上に、デスノートまで月に預ける。そして、自分が月の目になる変わりに、彼女にしてほしいと月に持ちかける。それには一応承諾する月だが、Lと命懸けの勝負をしているという危機感の乏しいミサに、苛立ちを隠せない。その不安は現実のものとなり、早々に月とミサが会っていることがLに伝わってしまう。月はミサを最終的には殺そうと考えていたが、「ミサを殺せば私がお前を殺す」とミサに憑いている死神・レムに脅されているため、ミサの扱いには手を焼いていた。そこで、逆にレムを利用してLを殺すことを思いつくのだが、わずかな差でLの行動の方が早かったため、Lを殺す前にミサを逮捕されてしまうのだった。”

      page.29:武器~page.32:賭)

 

 

〈事件の経過〉

【2004年5月25日】
  第二のキラ、夜神家を訪れ、キラと接触。
  
L、模木に月の尾行を指示

【5月27日】
  第二のキラからの最後のメッセージビデオ、
Lのもとへ届く。
  その夜、ミサ、夜神月に二度目の接触(〜19時帰宅)。ここで模木がミサを目撃し、翌朝
Lに報告。

【5月28日】
  
L第二のキラから送られてきた封筒の物証を検分。
  その後、休学していたはずの東応大学に赴き、昼休みに夜神月と接触。月に会いに来たミサとも接触し、携帯をスリ盗って、月のミサへの連絡を妨害。その直後、ミサの家からの証拠物件発見と、ミサ逮捕の連絡を受ける。
  ちなみに、もし何事も起こらなければ、その後夜神月と共に3時限目の心理学を受講することになっていた。

【5月31日】
  ミサが逮捕・拘束されてから三日後、初めて口を開き、デスノートを放棄。

 

【小道具】

[第二のキラからの最後のメッセージ(原案)]
”月がミサに、さくら
TVに送るよう指示したメッセージの内容。”

「確かにキラに私が誰かバレれば利用され殺されるかもしれない…
 キラに名乗り出るのは止めます。
 警察の皆さん ご忠告ありがとうございました。」
「しかし 私はキラと共に 世の中の悪を消してゆき
 キラに協力し認めてもらいます。
 まずは キラが まだ裁けていない 犯罪者を裁きます」
「そして この能力を与えるに ふさわしい人間には
 どんどん力を分け 世の中を良くしていきたいと 思います」

 

<ポイント>

 

<目的>

 ミサにLの顔を見せ、Lの名前を知り、捜査本部もろとも消す

<メリット>

<デメリット>

 

if

【第二のキラの態度】

 第二のキラは、幸いにもキラに心酔しており、恋までしてしまったため、キラは労せずして彼女のデスノートを手にできた。しかし、もしミサが月に恋に落ちず、「いざとなったら死神の目を持っているミサの方が強い」と考えて月に対していたら、どうなっていただろうか。

 この場合、ミサの方からデスノートを月に預けたり、本名を名乗ったりするようなことは、まずなかっただろう。ミサが月のような思考の持ち主だった場合、キラの能力を持つのは一人でいいと考えて、月殺害に及ぶという可能性すらある。もっとも、これに関しては、月が得意の話術で回避するだろうが。それのみならず、場合によっては彼女を自分の身代わりとしてLに捕まえさせる、という手に出るかもしれない。なにしろ直接命がかかっているので、月も、ミサとの駆け引きに専念せざるをえなくなるだろう。

 その一方で、もしミサが月に恋に落ちていなかったなら、月の指示にもっと素直に従っていただろうと思われる。少なくとも、「二週間も待てなくて」月の指示に反して会いに来て、それを模木に見られてしまう、というようなことはなかっただろう。月がカモフラージュのため複数の女性と付き合うことにも異議をはさむまい。だから逆に、Lと対するぶんには、この方が月にとって有利だったかもしれない。

 もっとも、そのかわり、ミサとの駆け引きという苦労が増えるが……。どちらにしても、ミサの登場は、月の頭痛の種になってしまうのだろう。

【メッセージ無】

 月はミサに「最後のメッセージ」を送らせることで、逆に「第二のキラ」と繋がりを持ったことをLに知られてしまうが、もし、そうしなかったとしたら、どうなっていただろうか。

 この時点では、既にミサが23日に「キラを見つけた」旨のテープを送ってしまっているので、22日に青山に行ったライトへの疑いが深まり、模木が尾行につくのは変わらないだろう。そして、27日に模木は月がミサに会っているのを目撃し、Lに報告する。…ここまでは同じだ。

 問題はこの後。キラが第二のキラと繋がりを持ったと知らないLは、精神的にそれほど追いつめられてはいないはず。だから、もし月が最後のテープを送らせなかったなら、Lが再び大学に出向いてくることはなかったと思われる。

 しかし、それでもミサと接触したことが知られてしまった以上、家宅捜索されていたかもしれない。となれば、結局、ミサが逮捕されるという結果は同じ。ただ、キラと第二のキラが繋がったという確信もない上に、「わずか数%の疑いがある」月と最近接触したという事実だけで家宅捜索などできるものだろうか。まあ、これまでさんざん違法捜査を行ってきたLだから、その実行に全く躊躇いなどないだろうし、他の捜査本部の面々も、その辺りの感覚が麻痺してきているようなので、実際と同様誰も異を唱える者はいないかもしれないが。結局、「キラと第二のキラが繋がった」という確信がなくても、Lなら家宅捜索する可能性は高いと思われる。

 一方、大学の方では、月はLに会わないので、そのまま高田清美と歩き続け、ミサと遭遇するという困った場面が生じるだろうと思われる。

 つまり、「最後のメッセージ」を送らせなかった場合は、ミサの逮捕は避けられない一方で、月の二股が双方にばれることになるのだ。

 …結果的には、ビデオを送らせて正解だったのかもしれない。

【ミサ拘束後、L殺害】

 もし、ミサ拘束の後、レムがLを殺害していたらどうなっていただろうか。月がLの容貌を教えれば、レムは可能な範囲を動き回ってLを探し出し、殺せるはず。

 まずミサが疑われるだろうが、「流河旱樹=L」だとは知らないし、そもそもあの状態で殺人は無理。そこで、ミサと付き合っていて、Lに最も疑われていた月に注意が向けられることになる。月がキラで、その能力がパワーアップして顔だけで殺せるようになったとするならば、全て辻褄は合うのだから。月も得意の話術でなんとかしようとはするだろうが、苦しい戦いを強いられそうではある。

 ただ、心臓麻痺以外の方法で殺害するならば、また事情は違ってくる。キラが心臓麻痺以外でも人を殺せることは、まだ誰も知らないし、そこまで考えそうなLも、もはやこの世にはいない……。たとえば糖分のとりすぎなど(笑)、ごく自然な死因を選べば、Lの死がキラのせいだと疑われることはない。ただし、その場合は、ミサの立場は変わらないだろう(尋問方法は改善されるかもしれないが)。なんといっても、物的証拠が挙がっているのだ。そして、そのミサと接触していた月への疑いも同様に残る。捜査本部を全て消せばいいのかもしれないが、Lを殺した時点でレムが死んでしまう可能性も十分にある。

 どちらの場合にも、物証のない月の逮捕は難しいだろうが、ミサが喋れば別だ。そして、もし月がミサを見捨てたら、ミサも月のことを喋る恐れがある。そればかりか、レムが生きていれば、月は殺されることになるだろう。やはり、どうあっても月はミサを助けるしかないのだ。

 物的証拠がある以上、ミサへの疑いを晴らすのは、強い発言力を持つLによってしかないだろう。そして、Lの推理の基となるのは勘。そして人と対したときの洞察力。だから、ミサが本当に第二のキラでなくなれば(=記憶がなくなれば)、Lはそれを見抜く。確かに月の言う通り、ミサへの疑いを晴らすにはーつまるところ、月への疑いを晴らすには、デスノートの放棄が一番の方法なのだ。

 

 

発想

緻密

迅速

度胸

難易度

リスク

効果

 ミサではなく死神を使うという発想の転換を見せたが、やはりミサの出現に動揺してか、全体的にやや精彩を欠く。無用のビデオを送って墓穴を掘り、「ミサ=第二のキラ」の証拠隠滅にも徹底的に関与しようとしなかった。

 とはいえ、自らが不利な立場にあるにも拘わらず、堂々と…むしろ傲然といってもいいような態度でミサと接したのは見事な度胸。そして、ミサという爆弾を抱えることになっても、守勢に回るのではなく、反対に、一刻も早くLを殺す事が先決だと前向きに考えた。これも月が非凡な所以である。

 また、今回使った手も、死神を説得する話術、そしてわずか数日で複数の女性を口説き落とす技術も必要とされるため、誰にでもできる方法というわけではない。

 だがやはり、常の月に比べると判断力が鈍っていたと言わざるを得ない。決定的なのは、レムにL殺害の要請を聞き入れられたにも拘わらず、その場では決断できずに、実行を翌日に回したことである。いくら承諾の見込みの少ないことだったとはいえ、死神がL殺害を承諾した場合のことまで詳しく考えていなかったのは、一刻を争うLとの勝負にあって、大きなミスである。確かにミサに再会したのは予想外に早かったし(二週間も早い!)、詳しいことはミサの送ったテープに関するLの反応を見てから考えようという心づもりだったのかもしれない。現時点でLが死亡することによって発生する不利益もある。だが、いずれにせよ、Lの処遇はミサがいる間に決めておくべきだったのだ。何事も、決断は早い方がいい。無論、慎重に考えることも必要だが、ミサが帰った後、実際に月がこの件の検討に費やした時間は、せいぜい5〜10分といったところだろう。ミサをすぐに帰さなくても不都合はなかったのだ。ちょっとの間おとなしくしてもらって、考えればよかったのだ。それをしなかったのは、やはり一刻を争うのだという危機感が足りなかったのだろう。

 いつもは過剰なまでの対策を練る月だが、やることなすこと奇抜なミサの出現に、今回ばかりは流石にペースを狂わされたようである。

 

 

 

2005.1.13

 

 

 

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