キラ【page.8~page.15

FBI12人殺害〜

 

 

 

【行動】

 FBI12人殺害

“尾行者の正体を突き止めてから一週間後、キラはデスノートを利用しレイ=ペンバーに接触。彼の「大切な人」を盾に脅迫し、日本に潜入したFBI捜査官の情報を得た後、彼に潜入したFBI捜査官全員の顔と名前の入ったファイルを入手するよう指示、それをもとにデスノートに彼自身の手でデスノートにその名を記入させる。”

     (page.8:~page.9:)

 

<小道具>

[オモチャに近いトランシーバー]

[デスノート入り封筒×5]

“本来名前を書く部分はあけて、先に

「心臓麻痺
  キラ事件捜査の為に日本に入った
  
FBI捜査官のファイルを得て
  2003.12.27 
PM○時○分死亡」
      (時刻はランダム)

と書いておいたデスノートを大型封筒に入れたもの。その封筒には、本来名前を書くべきデスノートの空白部分に該当する箇所に綺麗に長方形の穴があけられている。“

[デスノート]

 「盗見米吾郎 心臓麻痺
  2003.12.27 
PM3時5分死亡」

[デスノート]

 「Raye=Penber 心臓麻痺

  2003.12.27 PM3時パソコンを持って
  新宿地下街内の喫茶店「
CAFEEL」の前を
  通った後、山手線に乗車し、
  その車両から降りた3秒後死亡。」

Lへのメッセージ(囮)>

「かんがえ
 ると
 いずれしけいになるか
 てまねきしているあい
 つにころされるだけだ。
 しってい
 る。おれは、キラのそんざいを。
 えものにされる」

「はやくめされたい
 神のもとへ
 死ぬ のは こわくない」

「いつも
 なげいている
 ベッドはか
 たいし
 かんごくは
 ししゅうがする
 ごめんだもうがま
 んできないしんだほう(略)
 り(略)」

 

<ポイント>

L知っているか 死神は りんごしか食べない」

 というものであった。

 

<目的>

 Lの駒をなくすことで、Lを表に引きずり出すため

<メリット>

<デメリット>

if

【リクエスト】

 キラは、脅迫に凄味を持たせるため、レイ=ペンバーと接触してすぐ近くにいる男を殺してみせ(実際は、接触前にその時間に死ぬよう細工しておいたもの)、その後

「私は殺そうと思う者の顔がわからなければ殺せません。

 逆に言えば ここから見える全ての人間を殺せるという事です。

 リクエストがあれば殺します 言ってください」

と告げている。無論これは、ハッタリ以外の何物でもない。仮にもFBI捜査官が、殺人教唆になりかねないことをするはずがない。その上、目の前で人が突然死ぬという衝撃的場面を目撃させた直後のことであり、多少なりと驚きで頭が混乱してもいるだろう。そんな前提のもとに、キラはこのような事を言ったのだろう。

 だが、もし相手がLだったら…もしくはLにより近い頭脳や勘を持っていたとしたら、あるいはこれがハッタリだと見抜かれていたかもしれない。そうなれば、キラの身は危うくなる。

 しかし、レイ=ペンバーは、バスの中で自分のIDを見せた。それだけ危機意識が欠けていたわけで、キラにとって手玉に取りやすい相手と判断したのだろう。事実、この作戦は見事成功した。

 このハッタリも、相手を見てのことだったとしたら、なかなか見事。失敗の可能性は殆どないものだったと思われる。

【大切な人】

 今回キラは、まずレイ=ペンバーに「家族を殺す」と言って脅迫し、彼が「ま…まさか彼女を!?」と、うっかり婚約者の存在を漏らしてからは、そちらを盾に脅迫した。

 家族の存在は、なんとか調べることができたかもしれないが、婚約者というのは正式に書類にも載っていないだろうから、それを知らなかったとしても無理はない。

 しかし、もし彼が天涯孤独の身の上だったとしたら、どうしていただろうか。または、家族がいたとしても、その仲がものすごく悪かったとしたら……。

 ここで「私には大切な人などいない」と言われてしまえば、この先の計画がやや進めづらくなるのは確かだろう。ハッタリを効かして通行人を人質にしているとはいえ、キラが要求しているのは、日本に潜入したFBI全員を抹殺するのにつながる行動だと容易に予測できてしまう。名前だけならまだ殺せない、と思いこんでいるとはいえ、FBI捜査官がそんなことに手を貸すだろうか。自分の命を犠牲にする覚悟で「ここにキラがいる」と叫んだり、拳銃に手をのばしたりする可能性だってあるのではないか。

 そんな行動を取られてしまえば、キラはかなり危うくなる。レイ=ペンバーは、自分がそんな行動をとったとしても、自分の身はともかく通行人達の命は無事だと推理できるだろう。キラが腹いせにその場にいる者全員を殺したとしても、監視カメラなどからただ一人生き残った者がキラだと特定されてしまうし、キラがそんなー無意味な上不利にしかならない行動を取るはずがない、とこれまでのキラの行動から考えられる。つまり、秤にかけるのは、自分の命だけ。もしレイ=ペンバーが、そんな使命感に溢れる人物だったとしたら………。

 ならば、キラはどうするか。「じゃあ、FBI長官はどうですか?それとも合衆国大統領ではどうでしょう?」などという脅しに切り替えるかもしれない。どちらも、FBI捜査官が職業上「守らなければ」と強く意識してしまう相手であろう。しかも、ここで彼らを殺したとしても、キラは全く不利になることはない。

 相手がここでわずかにでも動揺すれば、そこにつけいる隙が生じる。月は、自分ならそれを利用し、相手を思い通りに行動させることができるという自信があったのだろう。実際、月の交渉力は並外れている。それを思えば、もし仮にレイ=ペンバーが天涯孤独の身の上だったとしても、キラが計画を達成できた可能性は高かったのではないだろうか。

【2分―脅迫】

 キラは、最初にレイ=ペンバーに接触した時に、まずキラだと名乗った後、それを信用させるために「あの男を2分後に殺します」と告げ、実行してみせた。しかし、この2分間…もしレイ=ペンバーがこれをイタズラかハッタリだと思って振り向いていたら、どうなっていただろうか。いや、本物だと信じていても、振り向いていた可能性はあった。

 確かにこの状況は、彼にとって背後から銃を突きつけられたも同然…いや、それよりも危険だと思ったはず。だが、この時点では驚いて動けなかったとしても、少し時間がたてば、それなりに頭も働いてくるはず。そうなれば、自分と、今死を宣告された男をいかにして救うかを考える。デスノートの存在など知らない普通の人間のイメージからすれば、いかに「キラは死の時間をある程度操れる」ということを知っていようとも、「2分後に殺す」と言われれば、「その時刻になったら超能力(?)を使う」と解釈し、既にそれが定まっているなどとはなかなか考えられないだろう。ならば、この殺人を阻止しようと考えるはず。FBI捜査官ならなおさらだ。

 もしここで振り向いて、キラ=夜神月だと知ってしまったら。思わずその名を呼んでしまっただろうし、そのことを通行人に覚えられてしまう可能性がある。それに、ここで「冗談です」と誤魔化したとしても…2分後に指定した男が死ねば、キラ=夜神月は信じられてしまう。

 …ただ、この時点ではまだ半信半疑。彼が本当にキラだという証拠もない。だから強硬手段はとれないし、かといって、キラに対抗するには強硬手段をとらなければ無理。下手に振り向いたら殺されるだけ。とにかく彼が本当にキラかどうかはっきりするまでは動けない。おそらくキラは、相手がそう考えるであろうことを予想して、このような行動をとった……。ただし、人間は、そう長い間、緊張に耐えられるものではない。この沈黙が長引けば、おそらくレイ=ペンバーは何らかの行動にーおそらく後ろを振り向いてしまうだろう。それを考えると、2分というのは微妙なところだ。こういう場合の2分は、とてつもなく感じられることと思うが、キラには持ちこたえられるだけの自信があったのだろうか。どうも、少々危ないような気がするのだが。それとも、この2分…漫画描写ではわずか一瞬のことのように描かれているが、実際には、レイ=ペンバーが何か動きを見せようとするたび、キラがそれを素早く察して巧みな話術で脅しをかけていたのかもしれない。それならば、キラの得意とするところだし、ここまでは、意外と成功率は高いと考えられる。

 だが、問題はその後。男が倒れ、レイ=ペンバーが背後の男をキラだと確信した時。本当に怖ろしいのは、その瞬間だ。ここで彼がかのリナ=インバースのように、相手に脅迫の隙など与えず行動を起こしていたら。彼は仮にもFBI捜査官。いきなり背後を振り返った彼に、キラは気絶させられるか、場合によっては拳銃で撃たれていたという可能性も。レイ=ペンバーにとって一か八かの賭けではあるが、このままでいれば自分が殺されるのはほぼ確実。少々危険でも、行動するしかないのだ。

 そしてキラは、これに対抗する術はない。既にデスノートにレイ=ペンバーの名は書いてあるので、彼がこの後山手線に乗り、降りた時点で死亡することは間違いないが……指定はこれだけなので、「レイ=ペンバーが夜神月をキラ事件の犯人として現行犯逮捕、連行して山手線に乗り、電話もしくはパソコンからFBI(もしくは日本警察)に事情を報告、そして降りた駅でデスノートの指定通り死亡。」というケースもあり得るのだ。こうなったら、計画失敗どころの話ではない。優等生夜神月、まさしく身の破滅である。

 今回は、レイ=ペンバーが驚いている隙に「大切な人」を持ち出すことで彼の自由を奪い、自分の思い通りにことを進めることができたわけだが、もしそれ以前に彼が動いていたら本当に危なかった。これはまさしく、キラにとっても一か八かの賭。そして賭は、度胸のある方が勝つ。レイ=ペンバーは、自分が助かるかもしれない唯一のチャンスを逃したのだ。

【盗み聞き(人混み)】

 今回キラは、人通りの多い場所で「殺す」など物騒な発言を繰り返しているが、盗み聞きされる危険はなかったのだろうか。「私はキラです」など結構聞かれたらまずい台詞だと思うのだが。

 トランシーバーを使用しはじめてからは、その危険はあまりないと思うが、それ以前は危ない。なにしろ、人が流れるように移動していく中、二人だけ道のど真ん中で立ち止まっているのだ。通りすがりの人々も、ついついそちらに目がいってしまうだろう。それでも普通はそのまま流れにのって皆通り過ぎていってしまうだろうが、中には一体何をしているのだろうかと必要以上に気になって、足を止めて耳をそばだててみる物好きが一人や二人いるかもしれない。

 それに、こんな人混みで立ち止まっていたら、次々とやってくる人にぶつかり、そのはずみで顔を見られたり…ということはないのだろうか。もっとも、こちらはそんなに可能性が高いとは言えないだろうが…。

 まあ、もしそのことで何か問いただされたとしても、本人は得意の話術で誤魔化すだろうし、レイ=ペンバーの方も「もしこの人がこれ以上首を突っ込めばキラに殺されてしまう」と、とりあえずその場はキラに話を合わせていただろう。

 しかしこれも、それなりの不安要素ではある。

【実行時期】

 今回キラは、尾行者がFBIのレイ=ペンバーだと知って1週間後に行動を起こした。その結果、Lに「夜神家と北村家」が疑わしいと、5%の確信とはいえ初めて捜査網をそこまで狭められてきてしまう。実行をもう少し先にのばしていたらどうだったろうか。そうしていれば、捜査対象がそれだけ広くなり、ここまでLにあやしまれなかったはず。

 もっとも、それをキラに言うのは少々酷かもしれない。キラの用意した封筒(デスノート)には50人分の名前が書き込めるようにしてあった。つまり、潜入したFBIの人数がそれだけいると予想していたのだ。無論、スペースは多めにとっておいたのだろうが、それでも30人は固いと踏んでいたのだろう。それがたった12人だったとは、キラにとっても予想外だった。この人数は、おそらく、本部の情報を知り得た警察関係者の人数と、自分に尾行がつき始めた時期から計算したのだろう。

 もし実際にそれだけの人数が潜入していたとしたら、計画実行をあまり先にのばすと、FBI捜査官達は調査を終えてしまうかもしれない。そうなれば、彼らは帰国してしまうか、Lがさらに厳重な監視体制を敷いてくるか…どちらにしても、計画の実行は困難になる。だから、計画をあまり先延ばしするわけにはいかない。かといって、あまり早く行動に移すわけにもいかない。丁度いい頃合いが一週間後と踏んだのだろう。

 確率的に考えるならば、これで問題はないはずだったが、たまたま尾行の順番が最初の方に当たってしまったために、このような手違いが起こってしまった。キラがこのような事態を予測していなかったのはミスと言えばミスだが、たとえ予想していたとしても、一番確率の高いものを選ぶのが普通。結果は変わらなかっただろう。

 

発想

緻密

迅速

度胸

難易度

リスク

効果

10

10

10

 尾行者の存在に気付いた時から、既に大まかな構想はできていたものと思われる。とにかく、日本に潜入したFBI全員を殺してしまうという行為自体が衝撃的で、さらに、デスノートに記入したのがキラ自身ではなかったことや、遠隔で死を操れるはずなのにあえてレイ=ペンバーにキラとして接触するというのも読者に驚きを与えるに十分だった。

 そのかわり、「自分はキラです」と名乗ってその場で人を殺してみせるーつまり、現行犯逮捕のチャンスを与えてしまっているわけで、リスクは最高レベル。当然、度胸も最高レベルである。

 また、相手に有無を言わせぬ話術、封筒に綺麗に穴を開ける器用さなどが必要とされるため、難易度もそれなりに高い。

 ただ、先程「if」で検証した危険性もあり、成功率については若干の危うさも見える。

 

 

【行動】

 南空ナオミ殺害

“刑事局長の父親に着替えを届けるため向かった警視庁の受付で、月は一人の女性が捜査本部の人間に会わせるよう食い下がっているのを目撃する。彼女が握っている情報を巧みな言葉で聞き出した月は、彼女がレイ=ペンバーの婚約者で、キラに関する致命的な情報を握っていることを知り驚愕する。情報が捜査本部に渡るのを阻止するため、月は彼女を殺すことを決意。彼女が非常に優秀な元FBI捜査官で、最初から偽名を使っていたためそれは容易ではなかったが、巧みな話術で彼女の本名(南空ナオミ)を聞き出すことに成功。デスノートに記入する。”

      page.10:合流~page.15:電話)

 

【小道具】

[切り取ったデスノート1ページ]

「南空ナオミ

 自殺

 2004年1月1日午後1時25分

 人に迷惑がかからぬ様

 自分の考えられる最大限の

 遺体の発見されない

 自殺の仕方だけを考え行動し

 48時間以内に実行し死亡。」

 

<動機>

 自分がキラだとバレるのを防ぐ、防衛的動機

<メリット>

<デメリット>

発想

緻密

迅速

度胸

難易度

リスク

効果

10

 5分以内という時間制限の中、話しながら名前を聞き出す方法を考えるという難易度の高い技を披露。万一の場合に備えて切り取ったデスノートを携帯していたことも功を奏した。しかし予想外の事態であったため、この件に関しては計画を練る暇も殆ど無く、危うさも多い。それでも、それを感じさせない演技力がある。

 失敗したら身の破滅というこの状況下でこれだけのことをやってのけるとは、度胸もかなり据わっている。やはり彼はただ者ではない、と皆に改めて実感させる事件となったことだろう。

 

 

2004.7.21

 

 

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