L
【page.34~page.53】
〜第三のキラ逮捕〜
【行動】
夜神月を監禁
“ミサを第二のキラとして逮捕・監禁し、
Lの中では夜神月がほぼキラとして確定した。しかし、折しも本人に事情聴取を求めようとした丁度その時、月の方からLのもとへ出頭してきて、自らの潔白を証明するため自分を監禁して監視してほしいとLに頼む。あまりにできすぎた展開に、Lは作為的なものを感じるが、他に有効な手もないため、言われた通り夜神月を監禁する。それと同時にキラの犯罪者裁きが止まったため、捜査陣の間でも、一時キラは夜神月ということがほぼ確定しかけたが、しばらくすると、再びキラによる犯罪者裁きが始まったため、事態は再び混迷へと向かう。そして、何の成果も得られないまま50日が経過し、捜査陣の間でも、このまま月達を監禁し続けることに反対の意見が出始めたため、Lは月の父・夜神総一郎に、月を殺そうとするよう芝居をさせる。もしも月かミサがキラならば、夜神総一郎は死んでいるはずであったが、彼は死ななかったため、夜神月の容疑はとりあえず晴れ、捜査陣に加わることになった。ただし、Lの中では月への疑いが完全に晴れたわけではないので、月と自分を24時間手錠につないでの捜査である。ちなみに、ミサは(オカルトビデオと主張しているものの)ビデオを送った自白と数点の証拠があるため、キラが捕まり全てが解明されるまでは監視下に置くという結論である。”
(page.34:投身〜page.36:親子)
<ポイント>
所有権を放棄し記憶を失ったミサと月の態度の豹変に混乱する。
月の部屋に監視カメラを仕掛けていたことを告白。
一見Lに有利な状況が出来上がったが、Lは、それが夜神月が仕組んでおいたことだと勘づいている。
息子が疑われたことで辞職を願い出る夜神局長を思いとどまらせる。
夜神局長を一旦捜査から外し、本人の希望通り監禁する。ただし、今まで通り携帯の電源はたまに入れ、家族や外部との交信を普通に行うこと、そして月にはその事実は教えず、月が話しかけてきたら本部に居るように思わせ会話すること、さらに、夜神局長には監禁された中でも全ての捜査状況を随時報告する、ということが事前に取り決められた。
監禁されて七日目、月は自然な形でデスノートの所有権を放棄。15日目には、月の監禁と同時に止まっていた犯罪者裁きが再開されるが、Lは、キラであった記憶を失い混乱している月にその事実は告げない。キラなら再び殺人が起きていると知っているはずと推理するが故だったが、月にそのような様子は見受けられなかった。
「月とミサが情報を得ていないのに犯罪者が殺されていく」という状況から、客観的には二人は完全にシロだと思われるのに、Lは全く考えを改めようとはせず、相沢から「月がキラという自分の推理が外れたのを認めたくないから監禁を続けているとしか思えない」と指摘されている。Lにも、その自覚はあるようである。
この頃から、松田の扱いが邪険になっていく。
<目的>
夜神月の監視
<メリット>
月の一挙手一投足を観察できる。
完全な監視下におくことで、「新たに報道されていく犯罪者が死んでいけばキラではない」「死ななくなればキラ」という明確な状況証拠が得られる。
<デメリット>
「殺人の仕方を自供させ、実際にやってみせてもらう」というベストの方法がとれない。
監禁される者の心身に多大な負担をかける。
夜神局長の不興を買う。
<
if>
【誰かが発狂】
50日にわたる監禁(しかも両手足まで拘束)は過酷なもので、心身に多大な負担を及ぼす。月とミサは精神構造が常人離れしていたこともあって、深刻な異常をきたすことはなかったが、もしこれでどちらかが発狂していたらどうなっていただろうか。
まあ、ワタリはその道にかなり詳しいようだし、発狂する前に何らかの手を打つだろうが……。
もしどちらかが発狂したら、
Lへの非難は避けられないだろうし、Lがこだわっていた「殺害の方法」も不明のまま。二人がキラであるという確たる証拠を得ることもできず、キラ逮捕の手柄を誇ることもできない。
だが、
Lをはじめとする捜査本部への非難は大金で解決できるのだろうし、形はどうあれ、キラという存在をなくすことができたのは確かだ(第三のキラの問題は残るが、月なしでもいずれ捕まえられるだろう)。
発狂したのが月であればもちろん、ミサであっても、月はレムに殺されることになり、結果としてキラ復活はなくなるだろう。
このような形でキラを葬ることは、
L側にも色々とマイナス面が多いが、後の展開を思えば、二人のうちどちらかが発狂していた方が、Lとしてはよかったかもしれない。もっとも、それだと読者はつまらないが……。
発想 |
緻密 |
迅速 |
度胸 |
難易度 |
リスク |
効果 |
3 |
6 |
2 |
2 |
4 |
6 |
5 |
基本的に、監禁というのは月の策に完全に乗せられる形であり、
Lはこれといった対案を示していない。夜神局長を使って一芝居打つというのも、特に新鮮な発想ではなく、今ひとつである。
リスクも、「夜神局長が殺されるかもしれない」というもの以外は殆どなく、
L自身への危険度はほぼゼロ。そのためか、Lの動きはミサ逮捕の時に比べ随分と鈍く、完全に月の後手に回っている。本来なら、ミサを逮捕してすぐに月も事情聴取に呼ぶべきであるのに、あろうことか何日も彼を放置しておき、結果月に証拠隠滅と策を練る猶予を与えてしまっているのだ。これは失点である。
まあ、監視には手を抜いていないようだが、キラの活動再開後も
L自身は月がキラだという説を捨てきれず、監視そのものの意義があやふやになってしまっている。
【行動】
第三のキラ逮捕
“月≠キラという結論にやる気をなくす
Lを尻目に、地道に捜査を続ける月。そして遂に、現在急成長を遂げているヨツバグループがキラと何らかの関わりがあることをかぎつけた。ヨツバが警察にキラ捜査をやめるよう圧力をかけたことから、捜査本部は完全に孤立するものの、「ヨツバにキラあり」の確信は深まる。そんな折、松田は功を焦って一人ヨツバに忍び込み、毎週末キラを含む幹部8人による「殺人会議」が行われていることを知る。そこでミサが潜入捜査を敢行し、幹部の一人・火口がキラであることを突き止めた。そしてLは、遂に「第三のキラ」火口を逮捕するのだが、その直後、火口もまた記憶を取り戻した月に殺されるのだった…。”
(page.37:八人〜page.53:悲鳴)
【小道具】
[
Lのコンピュータ]
“全世界の警察や情報機関、役所に直接アクセスできるシステム。”
[監視カメラ・盗聴器・発信器]
“Lビル、ヨツバ会議室、火口の六台の車に付けられた。”
[手錠]
“Lが月を監視し24時間行動を共にするため、Lの右手と月の左手をつないでいる。”
[Lビル]
”地上23階地下2階。屋上には外部から見えないように2台のヘリが格納されている。5階から20階までは、ワンフロア4室ずつプライベートルームになっており、捜査員約60名までを収容可能。何重ものセキュリティ(指紋・網膜照合他)が施されており、中の設備も並のものではない(例:建物の中は全て、死角が無い様に監視カメラが設置されている。)”
[救急車]
[名刺・ミサの写真]
”松田に渡したミサのマネージャー「松井太郎」としての名刺。”
[覗き屋]
”ウエディと共に、監視カメラ・盗聴器の設置を行う。ワタリの管轄下にあるらしい。”
[履歴書]
”「松井太郎」の偽の履歴書。名前の欄には「山下太一郎」と書かれており、写真は貼られていない。右上に、「◎マネージャー 松井太郎」と走り書きしてある。”
[フルフェイスのヘルメット]
”キラ(火口)と対峙する際、顔を見られないようにするためのもの。”
<キラに関する
Lの推理>
Lが月を疑うよう仕向けるため、キラが月(とミサ)を操っており、二人(月とミサ)は自覚なく人を殺していた可能性がある。
キラの能力は人を渡っていく。
誰かを操り犯罪者を殺していき、操られた者が捕まったりしたら能力を他の者に移し、しかも記憶は残らない。
もしも月がキラだったなら、もう一度その能力を月に戻ってくる様仕組んでいる。単に操られていたのではなく、自分から人に渡し、自分の疑いが晴れた所で力を戻すという策略。夜神月がLの座を奪った上でのキラになる。
キラの能力は、能力を持った者の意思でしか動かない。
じっくり捜査すれば、必ず証拠は出る。
根拠
(Lの考えでは)監禁した時の月はキラで、監禁したその時から犯罪者は死ななくなった。だが、二週間後再び犯罪者が死に始めた。
第二のキラのビデオにも、「能力を分ける」という言葉があった。
キラはリンド=L=テイラー及びFBI捜査官を殺している。証拠がないのならいくら捜査されても困らず、彼らを殺す必要はなかった。
キラの能力を与えたり移せたりできる人間が裏にいて、殺し方を知られたくないのなら、夜神月が監禁されるまで他に移さなかったのはおかしい。能力を与えただけで後は関知していなかったというのであれば、月・ミサ共に絶妙のタイミングで他に移るなどもっとありえない。
裏で操る存在―天から見通せるような者の存在を認めたら、そんな者は捕まえようがないし、Lはとっくに殺されているか、永遠に手の平の上で遊ばれ続けるかである。
<第三のキラに関する推理>
悪人を裁いているのをカモフラージュに、利益の為に人を殺していると考えられる。(月&L)
キラと第二のキラが同時に存在していたと考えれば、これは犯罪者を裁いているキラとはまた別のキラかもしれない。(L)
心臓麻痺以外でも人を殺せる。(月&L)
ヨツバの中にキラの能力を持った者がいる。(月&L)
「Lを探すよう依頼した樹多がキラ」というのは安易すぎる。(月)
顔だけで殺せる能力はない。(L)
個人が自由にキラの能力を使えるわけではないのか(L)、あるいはヨツバに疑いがかかったとしても個人には絞られないよう注意を払っている。(月)
八人で会議して行動しているのだから、一人では何もできない馬鹿で腰抜け。(L)
殺人会議のメンバー7人(一人死亡)のうち、キラは一人(月)、多くても二人(L)。
火口がキラの能力を持っているなら、誰にも言わずに犯罪者裁きを止める。持っていないのなら、会議を開き「第二のキラを引き込む為に裁きを止めろ」と言うしかないが、そんな火口の個人的意思にキラが応じるとは思えない。どちらにしろ、このまま犯罪者裁きが止まれば、火口がキラの能力を持っているのは間違いない。
<ポイント>
【夜神月】
人の好意を踏みにじるような事は、一番許せない憎むべき行為だとして、ミサを利用することを拒否。
キラ捜査にあたって、まずキラが日本にいるという説から検証を試みた。明らかに日本の犯罪者が片寄って多く殺され、日本での報道と関連づけてみた結果、日本の情報下にキラがいるとの確信を得た。
キラが心臓麻痺で殺すのなら、キラの仕業として確認できていない被害者もいるかもしれないと考え、犯罪者以外でも、とにかく心臓麻痺で亡くなった者を、もう一度、現在から遡って可能な限り検索した。
過去五ヶ月の犠牲者を挙げた所で、その一人一人についてよく調べてみるつもりだったが、その途中で日本を代表する企業(赤丸商事・青井物産・ヨツバグループ)に重要な位置で関わっていた人物が心臓麻痺で死亡していることに気付く。
そこで今度は赤丸・青井・ヨツバの事を色々と調べてみたところ、ヨツバの株価はジワジワ上がり、赤丸・青井は下落。
それで日本の大企業の周りの死を心臓麻痺に留まらず調べてみたら、ヨツバにとって都合のいい死が他企業に比べて異様に多い(3ヶ月で13人)ことがわかる。
ヨツバのメインコンピューターに侵入。Lに感心される。
「ヨツバ幹部に殺しを続けさせていく事でキラを捕まえる」というLの案に、犯罪者でもない人を見殺しにはできないと反対した。
警察の通話システムを使おうとして、「もう警察は信用できない」とLに止められる。
「キラではなさそうでそれなりの発言力を持っていそうな」奈南川に「L」を名乗って電話をかけ、殺人会議の模様を録画していることを告げた後、「会議で名前の挙がった人達を殺すのを1ヶ月先に延ばし、今後L側に協力すればキラ以外の者の罪は問わない」という取引を持ちかける。
「Lとキラのどちらにも合わせておき、傍観していればいい。どちらが勝っても損はない」という奈南川が最終的に出すであろう結論を見抜き、それを「今電話の内容をばらしても益はない」ということと併せ、巧みな話術で伝えて上記の取引を成功させた。
上記の「取引」には、殺しを延期させるだけではなく、奈南川から情報を得られるかもしれないというメリットがある。ちなみに、これはLのやり方に似ている上に、Lよりも早く考えついた。
月を試そうと「自分が死んだら「L」の名を継いでほしい」と言ったLの考えを見抜き、皆の前でそれを言った。
危険だとして、ミサを捜査に協力させることに反対した。
以前のキラは、例え殺人を犯しても、殺意のなかった者、誤って人を殺してしまった者、情状酌量の余地のある者に対しては極力裁きを下していないことから、以前のキラの裁きの基準が自分の考えに恐ろしく近いことに気付く。
現在のキラは、以前のキラと違って殺人を犯し報道された者を片っ端から裁いており、人間らしい感情が感じられないという感想を抱いている。
奈南川との電話の際、うっかり相手の引っかけにのってしまい、火口がキラであることを確信させてしまう。
火口が名前をノートに書く所を目にしても、「名前をメモしただけ」と思い込み、それが「殺し方」だという可能性には気付かなかった。
【
L】
月を監視するため、月と自分の手を手錠でつないだ。
ミサを監視下におき、プライベートでも仕事でも、松田が松井マネージャーとして常に一緒に行動すると、事務所にお金を渡して通した。
捜査本部の者の生活保障をしていたことを告げず、警察とLのどちらをとるか試すようなことをしたため、感情的な諍いが生じ、貴重な戦力(相沢)を失う事になった。
アイバーとウエディに顔を見せ、捜査協力を要請する。
「探偵エラルド=コイル」も兼任しているが、その際も顔を見せずワタリが仲介に入るため、Lを探そうとする者は簡単にひっかかる。それで、Lを探すよう依頼してきたヨツバの社員・樹多に的を絞ることができた。
松田が先走ってヨツバ本社から緊急サインを送ってきた際、気軽な飲み友達「朝日」を装って電話をかけ、自然な形の質問を重ねて松田がどのような状況にいるかを確認した。
「これで松田が死んだらヨツバの疑惑はより確定的になる」と、見ようによっては暗に松田の死を望んでいるともとれる発言をした。
松田からミサに電話がかかってきたのを逆用し、ミサを使って、(監視の行き届いた)Lビルでヨツバ幹部の「接待」を行わせ、その際に、松田が死んだように装い彼を救った。
「エラルド=コイルを名乗る」というアイバーの案をしぶしぶ承認。他人に自分の名前を使われることには不快感を覚えるようだ。
アイバーの詐欺行為を捜査の一環として黙認。
「ヨツバ幹部7人の会議での言動、そして会議で挙げられた者が死ぬまでの7人の行動ををこれからずっと事細かに見ていけば、必ずキラを捕まえられる」としたが、殺しをさせることで容疑を固めるなど論外だと夜神親子に猛反発を受ける。
夜神親子にキラ断定より人命優先だと言われて渋々引き下がるものの、Lは、最低でも会議で挙げられた者が一人は死なないと逮捕も無理だし、何よりキラ逮捕に固執しているため、今捕まえればキラが誰なのか断定できなくなってしまうとして不服そうである。
月が無意識にせよ犯罪者なら殺されてもいい、という考えを持っていることに注目。
警察はもう信用できないとして、警察のシステムを使おうとした月を止める。
「L」の名を借りて会議中のヨツバ幹部に電話をかけようとした月を止めなかった。
「自分が死んだら「L」の名を継いでもらえないか」と言って月を試した。
7人全員を捕まえて犯罪者の死を止めようとする夜神局長と、あくまでキラ断定を目指すLは、捜査方針の違いから、一時別々に捜査することになる。
ミサを捜査に協力させた。
「誰も信用しないさくらTVだからこそできる事がある」と、火口を引っかけるのにさくらTVを使うという具体案をいち早く考えついた。
火口が車の中で「奇妙な独り言」を話しているのを聞き、話し相手を本気とも冗談ともつかぬ口調で「死神ではないか」と言っている。
火口が名前をノートに書く所を見たが、それが殺し方だとは判断できなかった。
なまじ火口を泳がせすぎたため、通りすがりの白バイ隊員が死ぬ事になった。
<捜査方針(1)>
【第三のキラ】
相手はヨツバでもありキラでもある。ヨツバにとって都合のいい死が多発し心臓麻痺死者もいる事と、探偵を雇ってまでLを探している事からまず両者は関係しているといっていい。
キラの能力を持った者は一人とは限らないが、ヨツバを洗っていけば必ず辿り着ける。
キラの能力の見分けはとても難しく危険が伴う。
キラの能力は人から人へ渡るという可能性が少なからずある。
【捜査方法】
まず誰が能力を持っているのか、何人持っているのか完璧に把握する。
気付かれずに証拠を押さえる。―つまり、相手に気付かれない様慎重にジックリ調べ、なおかつその者がキラの能力を持っているという証拠と、殺しを行ってきたという証拠を誰に説明しても明白であると納得できる形で捕まえる。
アイバーを使って樹多に近づく。
ウエディを使ってヨツバ本社の監視カメラや防犯システムを破れるようにする。
【注意点】
絶対にヨツバ側に、「調べられている」ということを気付かれてはならない。気付かれたらその時点でキラを捕まえられなくなる、ぐらいに考えること。
くれぐれも焦った行動、先走った行動、一人の判断で行動しない事。
<捜査方針(2)>
目の前の犯罪者何人かの死を阻止する事は、意味のないことではない。だが、全ての真相を解明しなければ、またキラは現れ、結果的には犠牲者は増える。故に、7人逮捕よりキラを断定すべきである。そのために、ミサを使ってヨツバに探りを入れる。
【第三のキラ】
毎週末殺人会議をしている幹部8人の中にキラ、もしくはキラに繋がった者がいる。
幹部8人の身辺を調べても個人的な殺人と思われる死は出てこない。
幹部八人の「殺人会議」は金曜に開かれ、金曜の夜から土曜の午後にかけてヨツバにとって都合のいい死が起きる。
第二のキラのように顔だけで殺せる能力はない。
操って殺す際、特定の誰かに対しての言動、行動をさせることはできない。他の人間の名前が挙がった場合、操作は無効となり、皆心臓麻痺となる。
会議の様子から見て、キラではなさそうでそれなりの発言力を持っていそうなのは奈南川。
【捜査方法】
アイバーに連絡し、「Lを捜していたら弥海砂がLを知っているかもしれないという線が出た」「弥海砂は第二のキラ容疑でLに取り調べを受けたらしい」「しかし誤認逮捕だったとわかり弥に謝罪。多額の賠償金を払い、その事実をもみ消した」と『エラルド=コイル』からヨツバ幹部7人に報告させる。
それにより、幹部7人は、Lと弥海砂は監禁時に接触があったとし、Lの事を知っているかもしれないと考え、必ずミサをCMに起用し色々聞き出そうとしてくる。
そこでミサは、キラを心から崇拝し会いたがっている事、キラの為なら何でもする様な事をタイミングのいい所でほのめかす。
<捜査方針(3)>
キラがどのような殺し方を行っているかを知る必要がある。
【第三のキラ】
第三のキラは火口である。
キラの能力は、能力を持った者の意思でしか動かない。
【捜査方法】
火口(キラ)が自分から人に能力を渡さない状況を作って、殺し方を見せてもらう。
キラが外で、L達の目の前で殺しをしなくてはならない状況を作る。
さくらTVに3時間枠を取らせ、冒頭で「番組の最後までにはキラが誰なのか発表する」と言う。その際は、奈南川を使って火口に知らせる。
火口が殺せると思う者―つまり、名前を調べようと思えばすぐに調べられそうな松田(松井マネージャー)が「さくらTVでキラの名前を発表する」役を担う。
火口は松田が会議を盗み聞きしていたと思うだろうし、死んだはずの松井マネージャーが暴露しようとしているなら信じる。
さくらTVにはいつも通り証言者用の擦りガラスとマイクを用意させるが、さらに、局のミスで一瞬擦りガラスの向こうの人物(=松田)の顔が映るよう仕向ける。
放送の際には、「キラに協力しなければ殺すと脅されていた七人の犠牲者がいる」という他の七人への対応をまず入れる。これで火口以外の6人は、下手に動くことはなくなる。
火口は「松井太郎」の名で殺そうとするだろうが、それで殺せないとなると、ミサに「殺してくれ」と言ってくる。ミサは携帯を留守にしておき、どこにいるかわからない状態にしておく。
次に火口は現マネージャーである模木に電話してミサの居所を知ろうとするだろうが、「ミサミサは久々のオフでどこかに遊びに行った」ので連絡が取れないということにしておく。前のマネージャー(松井太郎)の本名を聞かれたら、知らないから社長か事務の者に聞くように言う。
火口がヨシダプロ事務所に電話したら、社長に転送されるようにし、ヨシダプロ全員で沖縄に社員旅行に行っていることにしておいてもらう。そして、松井太郎はマネージャーとしての名で、本名は忘れたが履歴書は事務所にあるから、履歴書が見たいのなら勝手に入って見たらいいと告げさせる。
火口が事務所に入り、その履歴書を見て次に起こす行動が「殺し方」である。
火口が事務所に向かったら、CMの時間を利用して、松井と司会者をマネキンに替え、音声は用意してある仮設スタジオから飛ばし、CMあけにはいかにも放送は続いているように見せる。そしてマネキン二体と回しっぱなしのカメラを残して全員撤収。
夜神局長はさくらTVで、模木とアイバーはヨシダプロダクションの事務所でそれぞれ待機。ウエディはバイクで火口を追跡。火口が事務所を出てさくらTVに向かったら、全員さくらTVに向かい、合流してそこで待機。月・L・ワタリはヘリに乗って火口を追跡。火口を確保する。
<
if>
【松田の先走りがなかったら】
松田の先走り(ドジ)が奇貨となり、キラと繋がりの濃い「殺人会議」の存在が明らかになったわけだが、もし、この先走りがなかったら、捜査はどのように進展していただろうか。
当初の予定では、アイバーが樹多に近づくことになっていた。加えて、ウエディがヨツバ本社のセキュリティを破ることになってもいたから、しばらくすれば、樹多の社内・社外での行動は筒抜けになっただろう。そうすれば、樹多が毎週末ある会議に参加していることがわかり、そこに盗聴器&監視カメラを仕掛けるのは時間の問題。殺人会議の存在を知るだろう。
その後は、ウエディに各家にも盗聴器&監視カメラを設置してもらう。捜査本部の少人数ではそれら全てを監視するのは難しいだろうが、殺人会議の様子をしばらく見ていけば、火口が一番怪しいと気付くはずだ。奈南川や三堂、紙村でさえも、薄々勘づいていたのだから。とりあえず、火口の行動を集中的に監視することになるだろうし、そうなれば、火口がキラだということ、そしてデスノートの存在に気付くのも早い。
火口の留守にデスノートを押さえ、しかる後に火口の確保―となるだろう。もっとも、デスノートを押さえたら、火口を確保する前に、復活した真のキラにより、火口は殺されるだろうけれど。おそらくこれが、月の描いていた理想の形ではなかっただろうか。
松田の先走りがなければ、あのような大追跡劇は行われず、従って、第二部でデスノートの存在が知られていることもなかっただろう…。
【奈南川=キラ】
「キラではなさそうな者」として奈南川に電話を入れた月だが、これでもし奈南川がキラだったらどうなっていただろうか。
奈南川の方も、とりあえずその場では「取引」に応じるだろう。問題は、その後。こうなっては、隠し通すか逆にいち早く
Lを抹殺するか。できれば抹殺したいだろうが、監視されている状況下でL抹殺の相談をしても意味はなく、かといって、一人で実行するのも無理。つまり、保身が最優先、ということになる。もしもここで、彼が保身を優先してデスノートを燃やしてしまえば、逮捕は難しいだろう。だが、電話してしばらく後に裁きが止まったとなれば(”23日ルール”の壁がある)、疑いは濃厚になる。起訴までは持ち込まれなくても、社会的にダメージを受ける可能性は避けられない。しかし、ノートに名前を書いている所を見られるのをもっとまずい。どのみち疑いが避けられないのなら、デスノートを燃やすのがベストだろう。L側にとっても、これが一番いいはずだ。殺し方はわからないままだし、「キラ逮捕」は難しいだろうが、少なくとも「キラ」という存在はいなくなるのである。
だが、(これはまだ
L側の知らないことだが)「偽ルール」の存在があるため、「ノートを燃やす」「どこかに埋めて、名前を書き込まない」といった方法を採ることはできない。仮にできたとしても(レムがちゃんと説明していた場合)、頭脳・性格によっては、ここで保身に向かわず攻撃に出る可能性は常にある。人間は、追いつめられると何をするかわからない。火口がそうだったように。第二のキラがやったように、政府高官や警察庁長官を人質にとったり、何の罪もないヨツバの平社員を次々と血祭りに上げるといった暴挙に出る可能性もある。実際、もし最初に火口に「取引」を持ちかけていたら……そんな事態になってもおかしくはない。月・Lが人選を誤らずに幸いであった。
【ミサ、捜査協力拒否】
もしもミサが
Lの口車に乗らずに協力を拒否したらどうなっていただろうか。月も基本的にはLに反対の立場であったから、下手をすればL一人で動かなければならない羽目になっていた。監視と盗聴で地道に探っていくしかないのだろうが、会議の回数も減った上、1ヶ月という制限時間がある。それを過ぎれば夜神局長が実力行使に出てしまうため、急がなければならない。…間に合うかどうかは、微妙な所である。
【ミサの先走りがなかったら】
もしもミサの先走りがなかったら、あんなに早く、火口がキラだと断定することはできなかっただろう。だが、それならそれで、会議に参加していた者の行動を丁寧に追っていけばいいだけのこと。結局は、上の「松田の先走りがなかった場合」と同じ結果になるだろう。
発想 |
緻密 |
迅速 |
度胸 |
難易度 |
リスク |
効果 |
6 |
6 |
6 |
5 |
6 |
3 |
9 |
松田やミサの先走りで、予想外に展開が動くが、その都度素早く計画を立て直し、逆に状況をうまく利用してきた。
とはいえ、今回
Lは、あまり自分では動いていない。ヨツバに目を付けたのは月だし、エラルド=コイルとしてヨツバに接触するというのもアイバーの案。
やはり、第三のキラに関しては、さほど興味を抱けないということが、その成果にありありとあらわれている。一応指揮者の義務は果たしているものの、めざましいほどではない。それを補うかのように手足となって活躍したのは専らミサ・アイバー・ウエディ。彼らなしに、この短期間での火口逮捕は有り得なかった。
2005.4.23
戻る