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〜第二のキラ逮捕〜

 

 

 

【行動】

 第二のキラ逮捕

“第二のキラから「最後のメッセージ」として送られてきたテープを見て、第二のキラがキラと接触を持ってしまったと確信し、焦るL。唯一キラの可能性のある月と、急に親密になった人物(ミサ)についての調べを開始しつつも、今後の行動について悩む。身を隠そうとも考えるが、結局、再び月に釘を刺すという賭けに打って出た。それが吉と出て、月がL殺害のためにミサにとろうとした連絡を妨害する結果に。同時に、ミサの家を家宅捜索して、多数の証拠物件を発見。弥海砂を逮捕した。”

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〈事件の経過〉

【2004年5月25日】
  第二のキラ、夜神家を訪れ、キラと接触。
一方Lは、模木に夜神月の尾行を指示。

【5月27日】
  第二のキラからの最後のメッセージビデオ、
Lのもとへ届く。
  その夜、ミサ、夜神月に二度目の接触(〜19時帰宅)。ここで模木がミサを目撃し、翌朝
Lに報告。

【5月28日】
  
L第二のキラから送られてきた封筒の物証を検分。
  その後、休学していたはずの東応大学に赴き、昼休みに夜神月と接触。月に会いに来たミサとも接触し、携帯をスリ盗って、月のミサへの連絡を妨害。その直後、ミサの家からの証拠物件発見と、ミサ逮捕の連絡を受ける。
  ちなみに、もし何事も起こらなければ、その後夜神月と共に3時限目の心理学を受講することになっていた。

【5月31日】
  ミサが逮捕・拘束されてから三日後、初めて口を開き、デスノートを放棄。

 

【押収物件】

[猫の毛、化粧品の粉、洋服の繊維等]
“第二のキラがビデオを送った時、封をしていたガムテープに付着していた。”

[日記と同じルーズリーフ、]

[「速達」の判子]
“クセが同じで、インクの成分も同じ。”

[花粉]
“大阪から送られてきたガムテープについていた。弥海砂が4月まで暮らしていたアパートの周りに咲いていた、関東ではめったにないない物。”

[東京長野間切符]

 ”長野からの速達が届いた前日のもの。”

 

<ポイント>

 

 

if

Lの尋問】

 Lは、「第二のキラ(ミサ)」を逮捕した後過剰なまでの拘束を施し、尋問した。それは過酷なもので、見ている側としては、Lの方が犯罪者に見えてしまう程だった。

 では実際に、Lのとったこの行動は、法律の中で、どのように捉えられるのだろうか。(とはいえ、私は特に法律に詳しいわけではないので……そこらへんは大目に見て読んで頂けるとありがたい。)

 まず、目隠しについてだが、これは「第二のキラは顔だけで人を殺せる」という情報があるので、安全上の理由から認められるだろう。両手の自由を奪うことに関しても、キラがどんな方法で殺人を行っているかわからないため、これも安全上認められる……かも、しれない。目隠しを外されては困る、という事情もある。

 だが、あそこまでがんじがらめにして全く身動きできない状態にまでする必要があったのか。そもそも、第二のキラは、捜査本部の面々の顔を見ておらず、名前も知らないのだ。それに、殺害の方法が「呪文を唱える」だったりしたら、このような拘束は全く無意味である。安全だけを理由にするには、明らかに無理があるのだ

 では、なぜLはこのような尋問方法をとったのか。恐らくそれは、L自身が発言しているように、「多少理不尽なやり方でも構わないから、持っている情報を吐かせる」ためであったろうと思われる。……つまり、拷問である。しかし、かつて拷問による自白の強要が公然と行われていた日本では、「拷問は絶対に禁止」という一文が憲法にある。そう。つまり、Lは明らかに法に反しているのである。

 しかし、最も法を守らねばならないはずの刑事達が、誰一人としてLの捜査手法にまともに異を唱えないのは大問題である。Lは、「誤認逮捕でしたら問題がありますが、確信があります」などと言ってはいるが、その姿勢こそが問題なのだ。人間のやることに絶対などない。その確信のもとに、現在も次々と冤罪事件が起きているのである。

 もし、これで情報を引き出せたとしても、違法な尋問のもとに引き出された情報が、裁判で認められるかどうか。もし認められたとしても、それはそれとして、この尋問の件が明るみに出れば、問題になることは間違いない。そうなった場合、どうなるか……。

 Lは、もともと謎の人物なので、一度行方をくらませてしまえば逮捕しようにも無理だろう。それに、もともと世界警察に大きな影響力を持っていることもあり、これぐらいのことは不問に付してもらえるのかもしれない。そうなると、気の毒なのは夜神局長をはじめとする捜査本部の面々である。Lが雲隠れしたことで、違法捜査の全責任を、彼らは負わなくてはならなくなるだろう。

L死亡】

 今回Lは、ギリギリのところで先手を打って助かったわけだが……もし、これが間に合わずにLが死亡してしまったら、その後はどのような展開になっていただろうか。

 ミサの逮捕は免れなかったかのしれないが、夜神局長主導の尋問なら、あれほど過酷なものとはならず、ミサのデスノート放棄には至らなかったかもしれない。決定的な証拠はないのだし、「夜神月をキラと断定」というLの指示も一方的にすぎ、これがどれほど容れられるかは疑問である。もともとわずか数%にすぎない疑い、ミサとの接触によりそれが増加しているとはいえ断定できるほどのものではない。まして、Lの死因は心臓麻痺ではなく事故死(もしくは病死)。キラの仕業という確証もない。逆に、月の話術で捜査陣の主導権を握られてしまう可能性が高い。そして、月がなし崩しにLの後継者となる可能性も……。

 やはり、Lが死んだら、あとはキラの思うままとなってしまう可能性が高い。

【第二のキラ=高田清美】

 Lは、月と付き合っている高田を見て、「高田(が第二のキラということ)はないだろう…」と断定しているが、何か根拠でもあるのだろうか。もし、Lの推理に反して高田清美が第二のキラだった場合、一体どうなっていただろうか。

 高田清美は、同級生であるLの顔を知っている。仮に、死神の目の取引をしたのが入学式の後だとしても、Lが再び登校してきた5月28日、Lの顔を見て、「あのアイドルと同姓同名の同級生」が偽名と知れば、その本名は印象に残るはず。その後で月が「流河がLだ。本名を教えてくれ」とでも言えば、Lは終わりである。

 Lに「才女」と評価される高田なら、家宅捜索されても逮捕につながるような証拠は残していないはず。つまり、その後の展開がミサの時とは違うものになってしまうはずなのだ。Lの「第二のキラ=ミサ」という勘が当たったのは、Lにとって幸いである。

 しかし、「キラと第二のキラが接触した」というこの危機的状況、「少しでも可能性があるなら徹底的に」何らかの対策を取るべきではなかったろうか。自分が目をつけたものには徹底的に突き詰めるが、それから外れたものに関しては、あまりにも大雑把というか、不用心である。

 ところで、Lの「第二のキラは高田清美ではない」という判断は、何に基づくものだったのだろうか。これまでのLの推理過程(=犯人のプロファイル重視)などから見ると、「馬鹿っぽい」第二のキラと、「才女」高田清美とがどうにも結びつかなかった、というのが第一の理由ではあるだろう。しかし、それ以外に、もっと確たる根拠はなかったのだろうか。

 わずか半日の調査期間で、他にも3人の調査対象がいることを考えれば、第二のキラの行動に関するアリバイ調査までは難しいだろうが、例えば、一人暮らしのミサと違って高田は家族と暮らしており、自分専用のビデオ機器などもなく、誰にも知られずにビデオを作成することが困難である、とか……。早々と断定するからには、せめてそのぐらいの根拠が欲しいところである。

 

 

発想

緻密

迅速

度胸

難易度

リスク

効果

10

 今回は、とにかく素早い行動がLの命を救った。月とミサが接触したことを知ったその日の昼に、ミサを逮捕したのだから。あと少し遅ければ、先にデスノートに名前を書かれていただろう。

 もっとも、そのためにLが実際にとった行動は、月に釘を刺すことと、ミサの違法(恐らく)家宅捜査の指示のみ。前者は以前にも使った手であり、その発想自体に、それほど新鮮味はない。

 それでも、第二のキラが「顔だけで殺せる」とわかっている中で外に出て行くのは、以前よりも遙かに危険であり、度胸のある行為だったとは言えるだろう。

 

 

 

2005.1.8

 

 

 

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