魔王軍強さランキング

 

 

 

 幾度もダイ達の前に立ちはだかった魔王軍。六つの軍団から構成されたそれには、クロコダイン、ヒュンケル、フレイザード、ザボエラ、ミストバーン、バランの六団長がいるが、彼らの強さに順位をつけるとしたら、一体どのようになるのだろうか。それをここでは考えてみたい。
 方法としては、一対一の総当たり戦を考えて、それの勝敗数によって彼らの強さを見極めたいと思う。

 それでは、早速それぞれの戦いの考察に移りたい。

 

<クロコダインVS.ヒュンケル>

 この戦いは、既に決着がついている。
 ダイ達を助けるために現れたクロコダインを、ヒュンケルは倒したことがある。この時クロコダインは蘇生したばかりで、傷が完治していない状態ではあったが、たとえ完治していたとしても、ヒュンケルには勝てなかっただろう。
 クロコダインには真空の斧や焼けつく息といった武器があるが、ヒュンケルの鎧にはこれらは通じない。直接攻撃での戦いになるが、素早さではヒュンケルが勝る。ヒュンケルの先制で、闘魔傀儡掌を使えば、クロコダインの動きは封じられる。そこでブラッディースクライドを使えば、ヒュンケルの勝利。もっとも、クロコダインはなにしろ体力があるため、一撃では無理かもしれないが。
 ヒュンケルが最初に闘魔傀儡掌を使わなかった場合は、クロコダインは斧と尾の二段攻撃で、ヒュンケルにダメージを与えることができるかもしれない。しかし、ヒュンケルも結構体力はあるので一撃で倒すのはおそらく無理。たとえ足などに重傷を負わせ、行動を封じたとしても、ヒュンケルには闘魔傀儡掌とブラッディースクライドがある。この二つがあるかぎり、ヒュンケルの勝利はゆるがないだろう。

 

<ミストバーンVS.フレイザード>

 基本的に、ミストバーンは、闘気を用いなければダメージを与えることはできない(無論、例外もあるが)。一方のフレイザードも、コアを破壊されない限り(そして、おそらく生みの親が死なない限り)死ぬことはない。普通の攻撃ではダメージを与えられない、という点において、この両者は共通している。
 ただ、フレイザードの攻撃は、決してミストバーンを傷つけることはできないが、ミストバーンの攻撃は、当たればフレイザードを倒すことができる。闘魔滅砕陣を使えば行動を封じることができるだろうし、たとえできなくとも、ミストバーンほど闘気の扱いに長けていれば、フレイザードのコアを見抜くことも不可能ではないような気がする。どちらも無理だとしても、戦いが長引けば長引くほど、フレイザードは不利になるだろう。さりとて、これを打破する手段もない。よって、勝利するのはミストバーン。

 

<クロコダインVS.バラン>

 この戦いも、既に決着がついている。クロコダインの攻撃は、竜闘気の前に全くダメージを与えることができなかった。獣王会心撃ですらも、ダイのアバンストラッシュとあわせて、かろうじてバランにかすり傷を負わせることができたにすぎない。クロコダインにはギガブレイクを受けても即死しないだけの頑健な体力があるが、有効な攻撃手段がないのでは、やはりバランに対抗することはできないだろう。バランには油断すらもないのだ。この力の差を知っていてなお、「クロコダインのようなタイプが最も恐ろしい」と、真っ先に全力で叩いた。クロコダインも決して弱くはないが、バランは真に恐るべき男であり、その勝利を妨げることはできない。

 

<ヒュンケルVS.ミストバーン>

 闇の師弟対決。後にヒュンケルは、ミストバーンと互角の戦いをし、新たに会得した光の技でミストバーンの闇の衣をはぎとるまでに追い詰める。だが、魔王軍時代、ヒュンケルはまだ光の闘気を使いこなすことができていない。物理攻撃ではミストバーンにダメージを与えられないし、そうなると、ヒュンケルに残されているのは暗黒闘気のみ。かつて本家のミストバーンをすら凌ぐとミストバーン自身が認め、また、ヒュンケルの中にある光の闘気によ対抗して強化されてもいる。
 だが、それでもやはりヒュンケルの不利は否めないだろう。ミストバーンが物理攻撃によるダメージを受け付けないのに対して、ヒュンケルは物理攻撃、闘気によるダメージのどちらも受けてしまう。また、ヒュンケルの暗黒闘気(闘魔傀儡掌)は、基本的に相手の行動を封じるための技であり、攻撃の主体はあくまで物理攻撃。これではヒュンケルは、ミストバーンに大きなダメージを与えることはできないだろう。後のヒュンケルの言葉を借りれば、ヒュンケルとミストバーンは相性が悪い。……この時は、まだ。だから、もし戦った場合、勝利するのはミストバーンだと思われる。

 

<ザボエラVS.フレイザード>

 フレイザードを倒すには、そのコアを破壊すること。そのことは、ザボエラも知っていることだろう。だが、はたしてザボエラに、そのコアを見極めることが可能なのか、可能だったとしても、それを破壊することが可能なのか。
 ザボエラはすごい魔力の持ち主なので、ひょっとしたら、コアの場所を突き止めることはできるかもしれない。だが、普通の呪文では、コアに到達する前にフレイザードの両腕に防がれてしまう。可能性があるとすれば、広範囲にダメージを与えるイオ系だろうが、冷静な面も持つフレイザードはそれを承知して警戒しているだろう。できればザボエラの連発を始める前に、倒してしまいたいはずだ。
 フレイザードは炎と氷を操るが、ザボエラは自分の身を守ることに長けているので、マホステやマホカンタ、フバーハなどでこれらの攻撃は退けられてしまうかもしれない。しかしその一方で、直接攻撃には弱いから、うまく攻撃できれば一撃で倒せるだろう。

 つまり、ザボエラは、フレイザードの攻撃をしのぎつつ、イオラを連発して時間を稼げばいい。
 フレイザードは、ザボエラの攻撃をしのぎつつ(できればザボエラが攻撃を始める前に)ザボエラを攻撃する。
 先に攻撃が決まった方が勝つ。そして、はっきりとは言えないものの、的の大きさとスピードから、フレイザードのコアにイオラを命中させるよりも、ザボエラに直接攻撃する方がやりやすいように思われる。断定はできないが、おそらく、フレイザードが勝つのではないだろうか。

 ただ、相手が超魔ゾンビザボエラとなると、話は違ってくる。こうなると、フレイザードの攻撃はザボエラに通用しにくくなってしまう。しかしその一方でザボエラも呪文が使えなくなり、動きも鈍くなるためフレイザードのコアを破壊することは至難の業になるだろう。どちらもダメージを与えられない長期戦。
 ただ、フレイザードは炎と氷の二段攻撃を繰り返し続けていれば、そのうちザボエラにダメージを与えることができるような気がする。疲れを知らないように見えるというのも利点だ。一方ザボエラは、超魔ゾンビの中に隠れても、肉体を持つが故に、当人は疲れも眠りもするだろう。長期戦になれば不利である。また、あのスピードでは、何度攻撃しても、フレイザードのコアを砕けるような気がしない。
 これらのことをふまえると、フレイザードは、超魔ゾンビとなったザボエラにも勝てるのではないかと思われる。

 

<クロコダインVS.ミストバーン>

 ミストバーンに物理攻撃は通用しないが、クロコダインは多少なりと闘気を操るため、獣王会心撃を使えばダメージを与えることは可能だろう。だが、これは発動にやや時間が必要で、さらに素早さではミストバーンが上回るため、攻撃する前に、ミストバーンの闘魔滅砕陣で全身を裂かれてしまう可能性が高い。たとえ攻撃できたとしても、暗黒闘気そのものであるミストバーンを一撃で倒すには至らないだろう。これらのことを踏まえると、勝利するのはミストバーンである。

 

<ヒュンケルVS.フレイザード>

 ヒュンケルの鎧はフレイザードの炎・冷気による攻撃を受け付けないため、フレイザードは弾岩爆花散を使ってくるだろう。これにはヒュンケルもかなりのダメージを受けていた。この技はフレイザードの消耗も大きいため、ヒュンケルが勝つには、自身の体力が尽きるまでにフレイザードの体力が尽きる、もしくはコアを破壊する必要がある。
 しかし、いかにヒュンケルが並々ならぬ体力と闘志の持ち主であるとはいえ、前者の可能性は低い。だから、勝敗の要はヒュンケルがコアを破壊できるかどうかにかかっている。
 しかし、魔王軍時代のヒュンケルには空裂斬は使うことがない。グランドクルスも使えないから、まとめて破壊というわけにもいかないだろう。一応ミストバーンから暗黒闘気の操り方は習っていたし、ダイにしたアドバイスなどからも、ある程度は「相手の闘気を感じる」能力は持っていたと思うが、それがコアを探り当てられるほどのものかどうかはわからない。ただ、本人が「空裂斬はオレにもできん」と明言していたところからすると、そこまで闘気を敏感に感じ取ることはやはりできなかったのではないかと思う。もしできていたならば、ヒュンケルはきっと、空裂斬の暗黒闘気バージョンを編み出していただろうから。追い詰められたことで使えるようになる、という可能性もなくはないが、弾岩爆花散の嵐の中ではそれも難しいだろう。
 おそらくヒュンケルは、コアを破壊できずに、弾岩爆花散に徐々に体力を削られて敗れるのではないかと思われる。

 

<ザボエラVS.ミストバーン>

 ミストバーンに物理攻撃はきかない。闘気を操ることのできないザボエラは、ミストバーンのビュートデストリンガーの前に敗れるだろう。ザボエラの体術では、これを避けることは難しそうだ。
 たとえザボエラが超魔ゾンビになったとしても、状況は変わるまい。ミストバーンにダメージを与えられない点では同じなのだから。ミストバーンの攻撃はザボエラに通じにくくなるかもしれないが、ものが暗黒闘気だけに、超魔ゾンビのボディーをすり抜けてザボエラ本体を攻撃することも可能なのではないだろうか。

 

<クロコダインVS.フレイザード>

 これもクロコダインがフレイザードのコアを破壊できるかどうかが勝敗の鍵を握っているが、こちらはヒュンケルの場合よりもさらに厳しい。クロコダインの場合、フレイザードが弾岩爆花散を使わなくとも、ダメージを受けてしまうからだ。少々の炎・吹雪ならば、真空の斧で吹き散らすこともできようが、フレイザードがフィンガー・フレア・ポムズなどを使ってきたら、それも難しいだろう。
 この上さらに、弾岩爆花散を使われては、クロコダインに勝ち目は殆どない。振り回す斧の先に偶然フレイザードのコアがある、などという可能性はゼロに近いだろう。獣王痛恨撃を使ったとしても、四方八方にダメージを与えられるわけでも、連発できるわけでもないので結果は同じだ。いくらクロコダインの体力がずば抜けて高くとも、フレイザードに勝つことはできないだろう。

 

<ヒュンケルVS.バラン>

 最強の戦士バラン。ヒュンケルが彼に勝つとすれば、闘魔傀儡掌に頼るしかないだろう。これを使えば、バランの攻撃を多少なりと封じることができる。
 だが、バランの全身は堅固な竜闘気に包まれているため、その後の攻撃でダメージを与えられるかどうかはわからない。なにしろ、ダイのアバンストラッシュとクロコダインの獣王会心撃があわさって、ようやくその防御を破ることができたぐらいなのだから。
 いずれにせよ、一撃でバランを倒すのは難しそうだ。そして、ヒュンケルがバランをなかなか倒せずにいるうちに、闘魔傀儡掌が破られてしまう可能性もある。なにしろバランも闘気の使い手なのだから。完全には破られなくとも、少しでも隙が生じれば、ギガデインでヒュンケルの方がやられてしまうだろう。
 それにこれとても、闘魔傀儡掌をバランにかけることができた時の話である。この技を使う暇もなくバランの一撃のほうが先に決まってしまう可能性も十分あり得る。
 こうしたことから考えても、やはりバランが問題なく勝利するだろう。

 

<バランVS.フレイザード>

 バランの竜闘気は鉄壁の防御力を誇るので、フレイザードの攻撃は通じない。フィンガー・フレア・ポムズあたりならば通じるかもしれないが、バランならば受ける前に避けるだろう。
 では、バランの攻撃はどうか。バランは、フレイザードのコアを破壊することができるだろうか。……おそらく、できるだろう。
 バランもそれなりに闘気を操るため、フレイザードのコアを見抜くことができるかもしれないし、たとえできなくとも、広範囲の攻撃技・もしくは呪文でフレイザードの全身を吹き飛ばすことができる。バランの勝ちはゆるがないだろう。

 

<クロコダインVS.ザボエラ>

 非常に勝敗の見極めが難しい勝負のひとつ。クロコダインの攻撃が一撃でも当たればザボエラは即死だろうが、問題は、当てることができるかどうかだ。空中に浮かんで呪文を連打される可能性があるから始末が悪い。屋内ならば、クロコダインもその巨体と跳躍力で一方的に攻撃されるようなことにはならないだろうが、屋外での戦いが問題だ。ザボエラの性格を考えると、クロコダインには決して近づこうとしないだろう。獣王痛恨撃を使えば空中のザボエラにも届くが、当てるのは難しそうだ。
 ただ、ザボエラはクロコダインを侮っているふしがあるので、油断しているすきに一気に接近して攻撃を仕掛ければ、勝てる見込みはある。ザボエラが空中に逃れる前に攻撃できればいいが、失敗しても、呪文攻撃を受けて動けないふりをすれば、油断したザボエラの方から下りてきてくれるかもしれない。クロコダインの体力はかなりのものだし、そう考えると、なんとかクロコダインはザボエラに勝てそうな気がする。

 ただ、そうして勝てたとしても、超魔ゾンビザボエラには勝つことはできないだろう。格闘では歯が立たないことは証明済みだし、ロン・ベルクの一撃がはじかれたことを考えると、獣王痛恨撃も超魔ゾンビのボディに吸収されて、ザボエラ本体にダメージを与えられない可能性が高いからだ。

 

<ヒュンケルVS.ザボエラ>

 ヒュンケルの鎧には一切の呪文が通じない。それ故、ザボエラがヒュンケルにダメージを与えることはできない。その一方で、ヒュンケルは素早さも高く、闘魔傀儡掌も使えるので、一撃でザボエラを葬ることができるだろう。

 では、超魔ゾンビザボエラが相手になるとどうだろうか。闘魔傀儡掌は、もともと躯を動かすためにミストバーンから教わった技だから、超魔ゾンビにもきくだろう。だが、ヒュンケルの攻撃が超魔ゾンビにきくだろうか。超魔ゾンビのボディは、ロン・ベルクの攻撃をもはじきかえしたのだ。ブラッディースクライドは確かに威力の大きい技だが、超魔ゾンビにダメージは与えられないだろう。
 結果、どちらも手を出せないまま膠着状態に陥ると思われる。ヒュンケルの体力が尽きるのが早いか、ザボエラの魔力が尽きるのが早いか。ただ、ずっと暗黒闘気を使い続けなければならないヒュンケルに対し、ザボエラはその間あまり魔力を使わなくてもいいような気がするので、ザボエラがやや有利に思える。

 

<ザボエラVS.バラン>

 これはもう、考えるまでもなくバランだろう。ザボエラの呪文はバランの竜闘気の前に通じず、空中に浮いても逃げることはできないのだから。バランの一太刀の前に、ザボエラはなす術もないはず。
 それは、超魔ゾンビザボエラとなっても変わらない。ザボエラの攻撃はおそらくバランには当たらないだろうし、当たっても大きなダメージを与えることはできないだろう。超魔ゾンビにも強靭なボディがあるが、バランには魔法剣がある。ギガブレイクならば、それなりのダメージを与えることができるのではないだろうか。いよいよとなれば、ドルオーラもある。いずれにせよ、バランが負けることはない。

 

<バランVS.ミストバーン>

 これも、最も勝敗の予想がつきにくい勝負の一つ。バランは強いし闘気も操るが、その闘気は「魔」に近い性質を持つようなので、ミストバーンに効くかどうかはわからない。なんとかミストバーンにダメージを与え、闇の衣をはぎとることができたとしても、凍れる時間の秘法がかかった肉体にダメージを与えることはできない。こうなると、勝利するのはミストバーン。しかしそれは、ミストバーンであってミストバーンではない。これをそのまま素直にミストバーンの勝利としてしまっていいのかどうかは疑問が残る。だが、「ミストバーン」は、最強の肉体とミストがあわさってこその呼び名であり、である以上は、やはり、ミストバーンの勝利ということになるのだろう。

 

 

軍団長

クロコダイン

ヒュンケル

フレイザード

ザボエラ

ミストバーン

バラン

クロコダイン

×

×

×

×

ヒュンケル

×

×

×

フレイザード

×

×

ザボエラ

×

×

×

×

×

ミストバーン

バラン

×

 

 検討の結果、上記のような勝敗予想表ができた。これに基づいて強さのランキングを作ると、以下のようになった。(なお、作成上の都合により表にはないが、超魔ゾンビザボエラとの戦いも勝敗数に数えている)

 

 1.ミストバーン(全勝(6勝))

 2.バラン(5勝1敗)

 3.フレイザード(4勝2敗)

 4.ヒュンケル(2勝4敗)

   超魔ゾンビザボエラ(2勝3敗)

 6.クロコダイン(1勝5敗)

 7.ザボエラ(全敗(5敗))

 

 フレイザードが三位と意外に健闘している。やはり彼はそれなりに強かったのだ。彼のように、特定の技をもってしなければ倒せない、というのは強力な要素である。反面、大抵の攻撃はそのままダメージを受けてしまうザボエラは、クロコダインと最下位を争って超魔ゾンビを作り出したが、それでも四位であり、上位に食い込むことはできなかった。
 また、これを見たところによると、概ね下のほうからダイ達と順に戦っていっており、それがなかなか興味深い。

 

 

2008.5.26

 

 

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