私の好きな食べ物

 

 今回も、秋ということで、前回に引き続き、食べ物の話である。食べ物の話ばかりが続いて恐縮だが。

 今回は、難しいことは考えず、単に私の好きな食べ物をあれこれと述べていきたいと思う。

 …と言ったものの、実際に「好きな食べ物は?」と聞かれると結構悩むものである。まず、答えを一つか二つに絞らなければならない。さらに、「食べ物」といっても、三食に食すようなものか、それともおやつ類か、というのも考えなければならない。両者は「食べ物」の中でも全く別の部類に属すものであるから、混ぜて考えるのは難しい。ハンバーグとソフトクリームのどちらが好きか、などと聞かれても、答えに詰まるのである。

 もっとも、このように文字により記す場合はそのような制限もないので、比較的楽に答えられる。

 まず、おかず類から。

 基本的に、私は、子供の好きそうな食べ物が好きである。ハンバーグ、トンカツ、ウィンナ、スパゲティ、唐揚げ、焼き鳥、卵焼き……等々。どれか一つ、と言われたら…難しいところだが、「母の手作りの卵焼き」となるだろうか。聞いた話によると、私は小さい頃、おにぎりと卵焼きしか食べなかったらしい。やっかいな子供であった。

 ただし、子供の好きなものでも、大嫌いな食べ物もある。それはコーン。昔は好きだったらしいのだが、今では「どう調理しても決して食べられないもの」のブラックリストの上位にある。他に上位にあるのは、ワサビ、梅干し、貝類、牛乳、グリーンピースなど。

 基本的に豆類は苦手だが、その中でも極めつけが、このグリーンピースなのである。これやコーンが大嫌いなおかげで、不器用な癖に箸だけはうまく使いこなし、料理の中からこれらのものを排除するのを得意としている。これらはチャーハンや、コロッケ、ピザ等の中に息を潜めていることが多いが、実際に「作業」を終えて食べ始める時には、これらの戦果が皿の脇に高々と積み上げられている。

 しかし、グリーンピースも、カレーに入っているものならば、食べることができた。コーンだけが、どう調理してもだめなのだ。味は容易なことでは消えてくれないし、たとえ息を止めても歯触りという強敵が待ち構えている。どうしても食べざるをえない事態に陥ったときは、黄色い錠剤だと思って飲み込むよりないかもしれない。

 牛乳も嫌いだが、これはしばらく息を止めればなんとか飲めるので、コーンよりはましである。かつて私は、給食の時にはいつも、こうして息を止めて一気に(実際には二息)飲むことで、なんとかこの難関を攻略していた。つらい日々であった。それにしても、コーヒー牛乳なら一応飲めるのだから、学校も牛乳ではなくコーヒー牛乳にしてくれればいいと、後に同じ瓶にコーヒー牛乳が入っているものを見つけた私は心底思った。

 ワサビや梅干しのような刺激物も苦手。ここらへん、まるっきり子供である。カレーは普通に食べられるし、ヨーグルトを砂糖なしで食べたりもできるのだが、こういうのは駄目だのだ。当然、寿司もサビぬきでなければ食べられない。ワサビがついていたら、残らずこそぎ落とす。しかし、完全に落とすのは無理なので、それでも少々つらいものがある。また、炭酸も飲めない。一度「微炭酸」というのをほんの少しだけ飲んだことがあるが、口の中がバチバチとはじける感触に、「これはたまらん」と飲まない決意を新たにしたのであった。

 あと、魚は好きだが貝は食べられない。これは、周囲の人間の喜ぶところであるが、基本的に、「高いもの」より安物の方が好きなようなのだ。ウニ、イクラ、カニ、数の子といったものもあまり好きではないし、プリンも「手作りプリン」より100円のプリンの方が好き。キノコ類も、あまり好きではない。より楽に満足を得られるわけで、私としても、これは喜ばしいことである。

 ちなみに、4つ下の妹の食べ物の好みは私とは正反対である。どうしたらここまで好みが違うのか、というぐらい反対なのだ。私の好きなものは妹は嫌い、と考えても、あながち間違いではない。

 妹は梅干しが好きで、魚は嫌い。基本的に「大人の味」を好む。ワサビが平気なのに、ヨーグルトを砂糖なしでは食べられない。あまりにも私と好みが反対なので、昔から母を嘆かせていた。

 ところで、妹は昔、将来酒飲みになるのでは?と冗談半分に言われていた。お酒のおつまみになるようなものを好んで食べていたからだ。しかし、実のところ、妹はお酒に弱い。好奇心が強いせいもあって、飲みはするのだが、すぐに真っ赤になって笑ったり泣いたりしたかと思うと、さしたる間もなく眠ってしまう。それでも懲りずに毎回飲もうとするところを見ると、あの味が好きなのだろうか。

 一方私は、お酒はあまり好きではない。あの味は、「イヤな味」(コーラよりはましだと思うが)としか認識できないし、もともと刺激の強い飲み物は苦手なのだ。中には、「ジュースと全く区別がつかない」というものもあり、それなら平気なのだが。しかし、普通「お酒」というと、「イヤな味」のするものが出てくることの方が圧倒的に多い。他の嫌いな食べ物なら全く手をつけないところだが、お酒の場合は、それでも一応飲んでみる。それは偏に、「自分は酔ったらどうなるか」に興味があるからである。しかし、幸か不幸か、私は今まで一度も酔ったことがない。「熱い」と感じたことはあるが、思考にも気分にも、影響を受けた試しは全くない。父が「飲み過ぎたら吐くだけ」で、そういうタイプらしいのだが……とすると、酔わない体質なのかもしれない。昔、車にはさんざん酔ったのだが。

 ……とまあ、おかず類の好き嫌いは、ざっとこんなところである。

 次は、おやつ類。

 これのトップは、文句なしにソフトクリーム(モカ)!コーヒー飲めないくせに、アイスはモカが一番好きなのだ。冬でも喜んで食べる。ちなみに、次に好きなのはチョコ。

 ここでも、私と妹は正反対で、アイス類にかぎっても、私は

 ソフトクリーム>アイスクリーム>氷菓子  

の順だが、妹は

 氷菓子>アイスクリーム>ソフトクリーム

の順である。

 また、種類で見ても、妹が一番好きなのは、私の嫌いな抹茶だったりする。小さな店などで、抹茶ソフトが入ったせいで、モカソフトが消えていくのを見たりすると、非常に複雑な気分である。

 あと、アイスでは、雪見大福や板(パフ)チョコモナカも好きである。

 また、ケーキで好きなのは、エクレア、ショートケーキ、ミルフィーユ、チョコレートケーキ、モンブラン、チーズケーキ等。エクレアは、昔は特に好きだと意識してはいなかったのだが、小学校低学年の頃、「チョコレート戦争」を読んで無性に食べたくなり、それ以来トップクラスに好きなケーキである。無論、同様の理由でシュークリームも好きではあるが、エクレアには数歩ゆずる。ショートケーキやモンブランも、はっきりとは覚えていないが、何かの本の影響が大きかったような気がする。

#もっとも、モンブランに関しては、最近スレイヤーズの「栗を使ったケーキ」のくだりを読んで、再び強い印象を受けた。原材料のあの衝撃をも忘れさせる味とは一体……?

 本に食べ物が出てくると、特に味の描写がなくても、それだけで食べたくなってしまうものである。なぜか、写真で見るよりも、その効果は大きい。こんなことを書いていたら、なんだか無性にモンブランが食べたくなってきた……。

 

 

 

2003.10.29

 

 

 

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