DQ8コンサート・レポート

 

 先日、ドラゴンクエスト8のコンサート「ドラゴンクエスト・クラシックス」に行く機会があったので、ここにその様子を記す。
 なお、私の行動・感想は黒、
曲目・トークの内容などは青で記述する。ただ、一部の記憶が曖昧なため、トークの順番などが入れ替わっていたりするかもしれないが、そのあたりはご容赦願いたい。

 ドラゴンクエストのコンサート。長らく行ってみたいと思いつつ、地理的条件から断念していたのだが、今年になって初めて願望が実現した。

 開場と同時に入場。席は舞台脇の、指揮者がよく見える場所。タクトを振る様子がよくわかった。B席としては、かなりいい場所である。その一角だけ区切られており、12席だけの空間なので、わりと落ち着けるし。
 来場者は、さすがに私と同じぐらいの年代―10〜20代ぐらいの人が多いが、家族連れや、老人も多く、極端な片寄りはない。

 プログラムには曲目と、それに関するコメントが一曲ごとに載せられている。内容は、ゲーム版のCDに書かれていたものとほぼ同じだが、よく見ると、少しだけ手を入れてある。

 開演までの間、舞台上で数人が練習していた。オーボエ(?)奏者が「修道僧の決意」の冒頭部分を何度も何度も練習していたのが目立った。

 開演は3時から。3階席にちらほらと空席が見られたものの、会場はほぼ満席。盛大な拍手と共に、あのすぎやまこういちが指揮台へ。私の席からだと、舞台の左端(客席から見て)の方はよく見えないので、すぐにはその拍手が何なのかよくわからなかったが…。

 そして、早速序曲が演奏された!
 さすがにすごい迫力!!鳥肌が立った。

 その後一休みして、すぎやまこういちのお話が
 
内容は、このように観客が多いと相乗効果で楽団にも気合いが入り、いい演奏が期待できるということと、今回は遊び心を発揮して、トロデ王のように馬車の御者台に座っているつもりで座って指揮をする、ということ。前回これをやった時は、楽しいし楽だしで言うことがなかったのだが、その後のアンケートを見ると、「座って指揮していたが、どこか悪いのか」「大丈夫か」という声が多く寄せられていたそうな。そのせいか、ここでは、健康には何の心配もないということを改めて強調していた。

 その後、「馬車を曳いて」「穏やかな町並み〜静かな村〜錬金がま」「広い世界へ〜大平原のマーチ」「対話」の4曲が続けて演奏される。演奏順は、CDと変わらない。
 
「馬車を曳いて」のような曲は、やはりCDよりもずっと素晴らしく聞こえる。最初のハープの音などが、綺麗に響くのだ。CDではこうはいかない。
 また、予想外に素晴らしかったのが
「錬金がま」。ゲーム中、CD等で聞いた時は、特にどうとも思わなかったが、こうして生で聞いて見ると、なかなか綺麗なのだ。
 そして、なんといっても
「広い世界へ」が素晴らしい!!もともと、DQ8で1,2を争うお気に入りだということもあるが、やはり途中で世界が広がる場面は圧巻!!すぎやまこういちも、その部分に来ると、立ち上がって激しく指揮をとっていた。
 
「対話」もいい。やはり生だと鉄琴やら木琴やらの音がよく響くので、聴き応えがある。

 そしてここで、またすぎやまこういちのお話が。
 
内容は、これまでドラクエシリーズが、毎回それぞれに重要なテーマを秘めてきたということ。それは愛だったり、友情だったり、勇気だったりする。この勇気というのは大切だとすぎやまこういちは語る。しかし、以前そう話したところ、アンケートにて、「勇気と聞くと、軍国主義を連想する」という意見があったそうで、すぎやまこういちは、これはちょっと自分の説明不足で、勇気というのは、確かに大切なものを守る、というのも勇気なのだが、同時に、自分の間違いを認めるのも勇気で、大切なことだと語った。

 次に、「ひんやりと暗い道〜暗い道の奥で」「賛美歌に癒されて〜修道僧の決意」「つらい時を乗り越えて〜急げ!ピンチだ」の三曲が続けて演奏された。
 
「修道僧の決意」DQ8で1.2を争うお気に入りなのだが、それだけに期待も大きくなる。会場の雰囲気に慣れ、少し余裕が出てきたこともあってか、一部の楽器の音が出てなかったり、音を外したりというのに気づいてしまう。できれば気づきたくなかった……。

 ここで再びすぎやまこういちのお話。
 
内容は主に楽器紹介。「象のお化けのような、通常のよりもさらに低音のファゴット」やウィンドチャイムなど。ウィンドチャイムは、小学校の頃だったか、何かの折に、よそから来た先生が様々な楽器を紹介してくれた中にもあったと記憶している。その時も、なんて綺麗な音だろうと思ってすごく気に入ったのだが、今回もそれは変わらず。しかし、今の今までそんな楽器が存在したことなど、すっかり忘れていた。「神秘なる塔」にこの楽器が使われていたなんて、全く気づかなかった……。

 続いて、「神秘なる塔」「そうだあの時は〜それ行けトーポ」「雄叫びをあげて〜難関を突破せよ」の三曲をまとめて演奏。
 
「神秘なる塔」がこんなに綺麗な曲だとは思わなかった!!今回最も驚かされた曲かもしれない。ウィンドチャイムや鈴(タンバリンか?よく見えない)の音が深淵まで響き渡る様が美しい。これはCDには収まりきらないなあ……。

 その後15分の休憩を挟み、すぎやまこういちのお話が。
 
このように人がたくさん集まるのは嬉しいのだが、あまりにも人が多いと、今度は困ったことも起きる、という話。
 「行列を見ると、並ばずにはいられない人種、というのがいますね。わたしの友人にもそういう人がいて、とにかく行列を見ると、並ばずにはいられない。「行列のできるラーメン屋」とか…。それである時、大勢の人が並んでいるのを見て、何の行列かも知らないままに並んだら、どうも皆の視線が冷たい。ふと周りを見渡せば、そこには女性ばかり。よく見たら、それはなんと女子トイレの用列だった。……皆さん、無事間に合ったようで何よりでした。」

 その後、「この想いを…」と「城の威容〜王宮のガヴォット〜王宮の威容」を演奏。期待通り!

 続いて、すぎやまこういちのお話。
 
内容は、再び楽器紹介。フィンガーティンパニをお経の際の「チーン」という音に喩えたり、別の楽器を「お知らせの時間です」と呼び出しチャイムの音に喩えたりして、聴衆を笑わせる。後者の楽器は、私の席からでは見えなかったが、すぐ後に演奏された「詩人の世界」で使われたのが分かった。

 その後は、「詩人の世界」「海の記憶」「忍び寄る影」「闇の遺跡」「大聖堂のある街」「終末へ向かう」「ドルマゲス〜おおぞらに戦う」まで一気に演奏。
 
「詩人の世界」がいい。ハープが映える。ただ、どういうわけか、後半にさしかかった頃から、猛烈な眠気が。…何故だ?確かに、それほど注目していなかった部分だが、「闇の遺跡」など、あまり睡眠にはふさわしくない曲だというのに…。これまで興奮の連続だったから、ちょっと緊張の糸が切れたのか?まあ、完全に眠ったわけではないからいいが……。

 この後すぎやまこういちのお話が入ったこともあって、再び完全に目が開いた。
 
内容は、よく受ける質問「どの曲に一番苦労したか」について
 曲を作る際に一番苦労するのは、曲数を絞り込むことだという。世界が広がり、街などもたくさん出てきて、それぞれに雰囲気が違うが、各街ごとに曲をつけていたのでは、プレイヤーが戸惑う。街は街で統一して、街に入ったら、「ここは街で、モンスターは出てこない」ということがすぐに分かるようにしなければならない。それが大変なのだとか。
DQ8でも、ずいぶん減らしたつもりなのだが、それでも大変な量になり、オーケストラの皆さんには苦労をかけている、と…。若干質問と答えがずれているような気もしたが、なかなか興味深い話だった。

 そして最後の曲、「空と海と大地」の演奏。CDで聞いた時は、ピアノの音がないのを物足りなく思ったものだが、こうして生で聞いてみると、木琴の音などがよく響いて、それで充分に美しい……!!

 演奏が終わり、盛大な拍手の後、すぎやまこういちは一旦舞台袖に引っ込んだが、もちろん拍手は鳴りやまない。何度か出たり入ったりを繰り返すので、「アンコールをやりますように」との願いを込めて、手を叩き続ける。照明が点かないうちは、望みがある。
 そんな時、ふと隣の席の会話が耳に入る。「まだ楽譜が出てるから、アンコールやるよ」と……。成程、確かに楽譜は出たままだ。…単に閉じてないだけ、という可能性は考えないことにしよう。

 はたして、念願かなってアンコールが!

 「実は、あちらの席の方にはバレバレなんですよね」などと言いつつ、「おおぞらをとぶ」を演奏。素晴らしい……!!
 その後、すぎやまこういちは、
「普通なら、この後、また勿体付けて、3回ぐらい出たり入ったりするんですが、もう上の席の皆さんにはバレバレなので、もうこのままアンコール、やります」と、そのまま続けて「序曲」を演奏。興奮は最高潮!もう、涙が出そうになった……。最高の瞬間。そして、溢れんばかりの拍手でもって、コンサートは幕を閉じた……。

 その後、会場の一角で、人だかりに遭遇。何かと思い近寄って見ると、CDの販売。開演前にも人だかりができていたが、これだったのか。DQ8CDが売れているようだったのが不思議だ。まさか、DQ8の音楽を聴くのは今日が初めてというわけではあるまいに、なぜ今まで購入しなかったのだろう……?それはさておき、他にもCDがないか見てみると、「吹奏楽組曲 ドラゴンクエスト」のシリーズが。これは、近所のCD屋には置いていないものだ。早速この「第一集」を購入。「遙かなる旅路」にひかれてのことである。これは、最初に出たFC版のCD(東京弦楽合奏団)のバージョンが好きなのだが、最近発売されるのはSFCのバージョンばかりなので、欲しいと思っていたところだ。実際聞いてみると、予想通り、「劇場版ダイの大冒険」に収録されているものに近く、気に入った。また、「フィナーレ」にも惹かれた。DQ1の曲が入っているCDは、あまり持っていないのである。入手しにくいCDが手にはいるのも、音楽会のいいところだ。
 購入すると、粗品のおまけがあり、箱の中から好きなのを選べと言われたが、
DQとは無縁のおもちゃばかり…。お祭り景品用のおもちゃの余り、といった感じである。とりあえず…ううむ、とりあえず、ワンピースの袋…ぐらいか。私から見て、多少なりと価値が見出せたのは……。まあ、だからこその「粗品」なのだが。ドラクエグッズが入っていたら、粗品とは言わないだろうしなあ…。

 そして、エスカレーターを下りると、さっきよりもさらにすごい人だかりが!階全体が人で埋め尽くされている……!!どうやら、何かに並んでいるようだが、一体何が……?苦労して人をかきわけ、列の前の方をうかがうと、机の前ににこやかに腰掛けているすぎやまこういちが!!そうか、サインか!!
 確かにすぎやまこういちのサインともなれば、この行列もうなずける、が…。行列の最後尾は一体どこだ?何時間並べば列の先頭に辿り着けるのだ?8文字のために並ぶ人が、こんなにいるとは……!
 もちろん、サインを欲しいかと言われれば欲しいが、この行列では…それに、帰路のことを考えると、断念した方がよさそうな……というわけで、私は諦めて帰ったが、驚いたのは、帰る人が殆どおらず、大半は並んでいる、ということだ。
 サインだけなら、普通の
CDに印刷されていたりするから、何も本物にこだわる必要はないが、すぐ目の前で、あのすぎやまこういちが、自分のCDにサインしてくれる、というのは確かに得難い経験だ。しかし、それにしても、この行列に並ぼうという剛の者がこんなにも大勢いるとは……。係の人が「時間がありませんから急いで下さい」と言っていたところからすると、長時間並んだ挙げ句にサインはもらえない、という最悪の事態も想定されるというのに。
 ……それでも、後1〜2時間早く終わっていたら、私も並んでいたかもしれない。

 しかし、サインの件はともかく、素晴らしい時間を過ごせて幸せだった。

 

 

 

2005.8.23

 

 

 

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