レブレサック神父と魔物の契約

 

 レブレサック侵攻担当のボトクは、自分を倒しにきた神父と契約を結んだ。

「互いの姿を取り替えるかわりに、村を襲わない」と。

 一体なんだって、ボトクはこんなまだるっこしいことをしたのだろうか?

こんなまわりくどいことをしなくても、その気になれば村を攻め滅ぼすことなど簡単にできただろうに。

 ボトクは、「神父が死ねば村に攻め入ることができる」と言い、契約が解消されるのを望んでいるような口ぶりだったが……。

 わざわざこんな契約を結んだ理由として、次のようなものが考えられる。

一つ一つ見ていこう。

 まず、最初の「人間の姿が欲しかった」という説。彼らのボスである大魔王は、ちょっとズレた美意識の持ち主だったが、ボトクも実は容姿にこだわる方で、自分の姿をあまり気に入っておらず、機会さえあれば人間の姿と取り替えたいと思っていた……とか。魔物だから、その美的感覚が人間と違っているはずではないかとも思うが……魔物の中においては、変わった感覚の持ち主なのかもしれない。それに、人間の姿になれば、諜報活動などもよりスムーズに行えて、同僚?の中ボスより有利な立場に!という思惑があったのかもしれない。

 契約の力が働いて、村を襲うことはできなくなるが、どうせすぐに人間自身の手によって神父が殺されるだろうことを予測した上での契約だったのだろう。事実、もう少しでその通りになるところだった。

 しかし、ボトクが倒れた時に神父様がもとの姿に戻ったところを見ると、神父様が殺されたらボトクも元の姿に戻ってしまうのではないかという疑念があるが……この契約が、先に死んだ方がその利益を放棄するーというような仕組みにでもなっているのだとしたら、納得できる。ボトクもまさか、自分の方が先に死ぬことになろうとは思っていなかっただろうが……。

 次に、「妥協の産物としての契約だった」という説。村ではそれなりに腕の立つ者が討伐に来たのだろうし、ボトクもある程度はダメージを受けたことだろう。しかし、仲間三人が倒され、神父様も絶体絶命。ここで神父様はひょっとすると、メガンテを使おうとしたのかもしれない。ボトクもさすがにメガンテは怖いだろうから、妥協せざるを得なかったのではないだろうか。

 一方神父様も、効かないこともあるメガンテに賭けるよりは、契約を結ぶことを選ぶだろう。こうして双方の妥協の産物として契約が結ばれることになったのではないか、とも考えられる。

 さらに、「契約自体が罠」という説。魔物が村に攻め込めなかったのは、契約とは全く関係がなく、黄金の女神像のせいだったのではないかーという説である。悪役は事情説明をしなくてはならない、という法律はあるものの、当の悪役がその際嘘をつく、というのも度々見られることであるし。

 この時黄金の女神像には、まだプロビナで見られたほどの力はなかったと思われるが、それでも魔物達に侵攻を躊躇させるだけの力はあったのではないだろうか?そしてそれは、神父様と、それに支えられた村人達の心によって、さらに力を増していく……。

 だが、神父が魔物の姿になれば、女神像に近づけず、少なくともそれ以上女神像の力が増すことはなくなるだろう。そして、神父様が村人の手によって殺されれば、その「罪」によって、女神像は力を失い、村人達はその加護を得られなくなるのではなかろうか?

 だからボトクは、あえて契約を結び、神父を魔物の姿にして送り返した……。このあたりは、すべて推測になるが、それを抜きにしても、ボトクが人間達のその様子を見たいがためにわざわざ契約を結んだ……という可能性もあるのではないだろうか。

 三番目の説がやや弱いものの、どれも可能性としてないとはいえない。例によって、断定することはできないのだが……このうちの、いずれかではないかと思う。

 それにしても、ボトクは印象が薄かった……人間達の印象が、あまりにも強かったから。色々と小細工をしたあげく、プレイヤーにも満足に覚えてもらえないとは、ある意味気の毒なキャラかもしれない。

 

 

2003.10.5

 

 

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