青年時代前半(結婚後)
【グランバニア】
<グランバニア>
*「どうしたのかしら?今日はサンチョさん来ないわね。
ちょっと前までは 毎日のように教会に来てお祈りしてたのに…」
*「この国はずいぶん長い間 王さまが旅に出てしまって 王のいない時代が続いたんだぜ。
みんな王さまの帰りを待ったさ。しかし旅に出たままついにもどってこなくて…。
数年前王位についたオジロンが 今の王さまってわけさ」
*「ここはグランバニアの城下町だよ。
先代の王パパスさまは とてもできた王さまでね。
国民の安全を考えて 町もお城の中につくったんですよ」
*「私は今のオジロン王より パパス王が好きでしたね。
パパス王にはなにかしら夢があった。
その夢がなんだったのか 今となっては知るすべもありませんが……」
*「ボク 大きくなったら兵士になって この国を守るんだ!
うん。ボクのお父さんも兵士なんだよっ」
ドリス「あたしはさ お姫さまなんかになりたくなかったのよ。
でも親父が王さまになったもんだから あたしもお姫さまにされちゃってさ。
あーあ。もっと気楽に暮らしたかったなあ」
【サンチョの家】
シスター「あら?お客さまがいらしたみたいね。
それでは 私はこれで……」
(シスター、退出)
サンチョ「はて?どちらさまでしたかな?
ん?まさか……!
もしかしたら……!
もしやまさかっ!
○○坊っちゃん!?」
(いいえ)
「いいえ!そんなことを言ってもこのサンチョにはわかります!」
(はい)
「やっぱり○○坊っちゃんだ!まちがいない!」
〔
BGM:哀愁物語〕サンチョ「生きて…… 生きていなさったんですね…。
どれ もっとよくお顔を見せてください」
サンチョ「本当に… りっぱになられて…
ところでそちらの美しい女性は?」
ビアンカ「私よ サンチョさん。わからないかしら?ビアンカよっ」
サンチョ「ひゃー!あのビアンカちゃんかっ!なんとまあ きれいになって」
ビアンカ「私たち結婚したのよ。ねっ ○○」
サンチョ「そ そうだったんですか。なにやらもう 胸がいっぱいで…。
うう……………。」
ビアンカ「サンチョさん……。」
サンチョ「とにかく坊っちゃんが帰ってきたことを オジロン王に知らせなきゃ。
すでにご存じでしょうが だんなさまは…パパスさまはこの国の王だったのです。
今はパパスさまの弟 オジロンさまが国王になられていますが。
さあ 坊っちゃん。私についてきてください」
兵士「これはサンチョどの どうなされました?」
サンチョ「重大な報告があり 至急王に会いたい。どうか通されたい!」
兵士「はっ!」
【玉座の間】
オジロン「おお サンチョか。なにやらうれしそうな顔。いい事でもあったのかな?」
サンチョ「じつは王さま……」
!
オジロン「なんと!パパスの…兄上の息子の○○が生きていたと申すかっ!
おお!その目はまさしく兄上の奥方マーサどのに生きうつし!
あの時の赤ん坊がこれほどりっぱに成長して帰ってくるとは…。
申しおくれたが わしはそなたの父 パパスの弟のオジロンじゃ。
してとなりにいるこの美しい女性は…?」
ビアンカ「はい王さま。私は○○の妻 ビ ビアンカ…と……」
(ビアンカ、倒れる)
!
オジロン「こ これはいったい どうしたことだっ!?」
サンチョ「ビ ビアンカちゃん!」
【寝室】
サンチョ「よかった。ビアンカちゃん 気がついたようですよ」
シスター「まったく そんな身体で旅をしてくるなんて…。
聞けば山の上の村でも一度たおれたというし……。
もしものことがあったらどうなさるおつもりだったのかしら」
サンチョ「そ そんなにひどいのですか シスター?」
シスター「ひどいもなにも…。
おめでたです」
!
サンチョ「へっ?」
シスター「おめでとうございます。○○さまはもうすぐお父さまになられますよ」
(いいえ)
「まあっ。でも無理ありませんわ。とつぜんですものね」
(はい)
「そう…。ビアンカさんのお腹の中に赤ちゃんがいるのです。
あまりお腹が目立ちませんが 聞けばかなり育っているようですね」
サンチョ「こいつはめでたい!
坊っちゃんとビアンカちゃんの子供だから きっと玉のようにかわいい赤ちゃんが生まれますよ!」
シスター「では 私はこれで。どうかお大事に……」
(シスター、退出)
ビアンカ「○○ごめんね。今までかくしていて……。
そうかなって思ってたけど 言ったら○○は旅をやめちゃうような気がして。
でも もういっしょに旅をしたいなんてわがままを言わないわ。
身体に気をつけて きっと丈夫な赤ちゃんを産むわ。
好きよ ○○」
サンチョ「坊っちゃん おめでとうございます。
まったく…死んだと思っていた坊っちゃんが帰ってきてくれて…。
しかもお嫁さんと もうすぐ坊っちゃんの子供まで…。
このサンチョ 今日ほどうれしい日は… うっうっ…」
オジロン「おお!すでにシスターから聞いたぞよ。めでたいかぎりじゃ。
そこで○○に話したいことがあるのだ。さあさあこちらへ」
オジロン「じつはな○○。わしはそなたに王位をゆずろうと思うのだ」
!
大臣「オジロン王!私になんの相談もなく とつぜんなにを言われる!」
オジロン「まあまあ いいではないか大臣。
わしはもともと人がいいだけで 王のうつわではないのじゃ。
兄上の息子○○が帰ってきた以上 ○○に王位をつがせるのが道理というものだ」
大臣「そこまで言われるなら……。
しかし代々王になられるお方は 試練の洞くつにゆくのがわが国のしきたり」
!
オジロン「だが大臣。昔とちがい 今ではあの洞くつにも怪物たちが…」
大臣「どんな事があろうとも しきたりはしきたり。守っていただかぬと!」
オジロン「ふむ…。それもそうか……」
オジロン「○○よ。話は聞いたであろう。
わしはそなたに王位をゆずりたいのじゃ。
たのむっ!試練の洞くつにいって王家のあかしを取ってきてくれい!
そしてその時こそわしはそなたに王位をゆずろうぞっ!
試練の洞くつはこの城の東 森の中じゃ!
とはいえ 今日は長旅でつかれておろう。
出発は明日にし 今夜はゆっくりと休むがよい!」
ビアンカ「おはよう○○。きのうはふたりともすごくねちゃったね。
うん 私は大丈夫よ。だいぶ元気になったみたい」
ビアンカ「でも○○がこの国の王子さまだったなんて びっくりしちゃったわ。
もし○○が王さまになっちゃったら 私たちの子供も王子さまね。
なあんて そんなことはどうでもいいの。
私は今のままで じゅうぶんにしあわせよ」
ビアンカ「○○ もどってきてくれたのね。
今日はもう休む?」
(いいえ)
「私もいっしょに冒険にでたいけど もうわがまま言わないわ。
だって丈夫な赤ちゃんを産んで ○○のよろこぶ顔が見たいもんね」
(はい)
「おやすみ ○○」
ビアンカ「おはよう○○。
○○ったら すごくねぞうが悪いんだもん。
なあんて 私も人のこと言えないけどね。うふふ」
大臣「○○どのが先代パパス王の子供であることはまだヒミツですぞ。
試練の洞くつで どんな事があるやも知れず…。
国民たちをぬかよろこびさせてもいけませんでな」
このあたりは、ぜひ、映画版スネイプ風に!
*「オジロン王は とにかく大臣の言いなりなのだ!
あれではどっちが王さまかわからないぞ!ヒック…」
*「オジロン王は本当にいい人なのだが……
ちょっとおひとよしすぎる気もするな」
*「パパス王が旅に出るとき 多くの兵士たちがついて行こうとしたそうです。
しかし あてもない旅に皆をまきこむわけにいかぬと そう申されて…。
結局まだ赤ん坊だった王子と おとものサンチョさんの3人だけで旅立ったそうです」
*「あの大臣 パパス王がいなくなってから急にえらそうになって。
オレは好きじゃねえな」
サンチョ「父上が旅に出るとき 本当は坊っちゃんを置いて行こうとしたんですよ。
しかし坊っちゃんは 火がついたように泣き出して…
結局 つれて行くことにしたんです。
けれど つれて行く限りは この先何があるかも知れぬ。
無事に城に戻るまでは王子であることを明かすなって そうおっしゃられて…」
(
BGM:哀愁物語)「坊っちゃん!今までかくしていて すみませんでした!このサンチョを許してください!
そしてオジロン王の申し出をうけて この国の王になってください!
でないとこのサンチョ 天国にいるお父上に合わせる顔がありません!うっうっ……」
サンチョ「なんと!大臣の命令で 夜は城に入れないですとっ!?
うーむ…。坊っちゃんをパパス王の息子と知りながら あの大臣め!
とにかく今夜は うちに泊まってください。
そういえば坊っちゃんといっしょにねるなんて 十数年ぶりですね。
おやすみなさい 坊っちゃん…」
サンチョ「坊っちゃん おはようございます。
さあ はやく奥さんの所に行ってあげなさい。心配しているかも知れませんよ」