「天空の民というのは長生きなんです。

　しかし　２０年間回ってると　さすがにおなかがへりますね」

神様って、何食べるんだろう？

「クルリンクルリン♪

　いえね。ずっとぐるぐる回ってたもんですから　回転していないともの足りなくて」

それで、マスタードラゴンを呼んだ時は旋回しながら来るんだね。

「この服どうです？２０年前の最新ファッションを私なりにアレンジしたんですよ」

人間界の時間の流れでは、それはもう流行遅れとしか……。

「ぱっと見　若くてかっこいいナイスガイだと思うでしょうが　じつはあなたの１０００倍生きてるんです。

　冗談だろうって？　ふふふっ　そう思うならそうなんでしょう」

すると、約２万年……まあ、神様ならこんなところか。

しかし…ナイスガイ……さすが、２０年前の人だけあって、死語が日常語……。

「いやいや　誰かと話すのは　ひさしぶりです。

　私ちゃんとしゃべれてます？　あーあー本日は晴天なり　アメンボアカイナアイウエオー」

「ふむふむ。○○はずいぶん苦労をしてきたんですね。目を見ればわかります」

そうか…そんなにわかるか…………。…………はあ。

「天空城も水びたしか。あとでよーく干さなくては。カビだらけはイヤですからね」

洗って干す……天空城も、プサンにかかってはただの洗濯物なのか……。

「いやー　ひどいもんですね。湖に沈んだだけあって　城中水びたしみたいですよ。

　でもこの城がなぜ　天空から落ちてしまったのでしょうか……」

「２０年前は　この城も浮かんでたのかって？　さあ　知りません。

　私がこの城を出たのは　ええと何十年前だっけ？　そういや数えてなかったな。」

そんなに長い間……！天空人達も、さぞ困ったことだろう……。

「うっうっ。なつかしくてつい涙が……　いえ　ウソ泣きですけど」

プサンて、一体……。
＃ところで、神様の涙には何か特別な力とかあるのだろうか？エルフのルビーの涙には結構すごい力があったし……。

「私は今の水びたしも　けっこう気に入ってますよ。

　昔は美しい庭園に　りっぱな玉座の間の　きれいなお城でしたけど」

うん。まわりに魚が見える今の天空城も、結構いいな。

「しけっても天空城。さすがに魔物たちは近づけないみたいですね」

「これじゃ天空城じゃなくて水没城ですね。え？そのまんますぎですか？」

……ひょっとして、パノンに弟子入りしてました？

「私　クロールよりも平泳ぎが得意なんです。

　あいにく今日は　水着を持っていないのでお見せできませんけど。ふふふ…」

見せなくていいです。

「いやあ　○○さんはカンがいいですねっ。

　まさか本当にヒミツの階段を見つけるとは思ってませんでした」

ふっふっふ、昔取った杵柄よ。

「おや…？　○○さん　もっと奥へ行ってみてください」