初めての冒険

 

ぼうけんのしょ:P2

 

朝、目を覚ましてお父さんのところに行くと、お父さんは、ちょっと出かけていくと行って、どこかへ行ってしまいました。追いかけてみたのですが、お父さんはとても足が速くて、なかなか追いつけません。それでも追いかけていくと、お父さんがイカダで洞窟に入っていくのが見えました。ぼくもお父さんの後についていこうと思ったのですが、おじいさんがいて通してくれませんでした。仕方がないので、ぼくは、村の中をあちこち探検してみることにしました。

 井戸を見つけたので中に入ってみると、変わった石を見つけました。見た目はただの石ころですが、よく見ると、暗い所でちょっぴり光っているようにも見えます。めずらしいので、大事にふくろのなかにしまっておきました。農夫のおじさんの話では、昔、サンタローズでは聖なる宝石がとれていたそうなので、ひょっとするとこれもそうかもしれないとも思いましたが、どう見ても、ただの石にしか見えません。ひょっとして、これを割ると宝石が出てきたり……するのかなあ。ためしてみたいけれど、石はぼくの力ではわれそうにありません。

 石のことはひとまずおいておいて、他にもあちこち探検しました。宿屋で、ビアンカのお父さんの薬を取りに行った人がまだ戻ってこないので困ってる、という話を聞きました。ぼくのお父さんに様子を見に行ってほしいそうですが、お父さんがいそがしそうなので、たのめないみたいです。だから、ぼくがかわりに行ってみることにしました。

 どうくつの入り口には、戦士のおじさんが立っていました。前に何かの絵本に出てきた「ライアン」という戦士になんだか似ているような気がします。でも、村の入り口のおじさんみたいに、ぼくが洞窟に入るのを止めようとしなかったので、ほっとしました。

 洞窟に入るとなんだか薄暗くて、ちょっぴり怖い気がしましたが、ぼくも、お父さんの子供です。こんなところで怖がってはいられません。それに、これはぼくにとって初めての冒険です。そう思うと、なんだかドキドキワクワクしてきました。

 そうして、奥に進んでいったのですが、途中、スライムやせみもぐらがでてきました。ぼくもレベル3なので、もう1回か2回こうげきすれば倒せますが、奥にはもっと手強い魔物がいるかもしれませんし、このまま進むのは不安です。なんといっても、ぼくのそうびしている武器はただのひのきの棒で、防具も布の服と皮の帽子だけなのです。せめて、もう少し装備を整えてから奥へ行った方がいいのかもしれません。そう思って、ここでしばらくお金をためることにしました。

 スライムは、あまりお金を持っていないので、なかなかお金はたまりませんが、ちょっとずつでもがんばっていこうと思います。レベルも上がって、ホイミを覚えましが、まだMPが少ないので油断はできません。HPMPが少なくなってきたので、今日はもうそろそろ帰ろうと思います。

 

 

ぼうけんのしょ:P3

 

 家でひと眠りしたあと、今日は、洞窟に行く前に、武器屋さんに行ってみました。なかなか強そうな武器がおいてありますが、どれも高いです。竹の槍はそれほどでもないですが、それを買うぐらいならもっと強いものを買った方が、後々も買い換えなくてすみそうですし……迷いましたが、とりあえず、かしの杖を買いました。いちばん強い、銅の剣を買おうかとも思ったのですが、お金を集めるのが大変そうだし、かしの杖とあまり変わらない気がしたので、かしの杖にしたのです。

 こうして、装備を整えたぼくは、洞窟のもっと奥へ進むことにしました。洞窟の中で皮の盾も見つけたので、防御もちょっと安心です。思った通り、奥にはドラキーやいっかくウサギなどの、新しい魔物が出てきたのですが、かしの杖のおかげで、一撃で倒すことができました。ドラキーは、高い所にいるので、どこにいるのかちょっとわかりにくいし、すばしっこいので先に攻撃されることもありますが、攻撃力はそれほど高いわけではないので大丈夫でした。気を付けないといけないのは、大木槌です。攻撃ミスが多いのですが、時々つうこんの一撃を出してきて、その時ぼくは、10もダメージを受けてしまうのです。いつ大木槌に会ってもいいように、HPには余裕を持っておかなければなりませんでした。

 しかし、そうこうするうちに、無事一番下の階まで辿り着きました。そこでは旅人の服も手に入って、一人前の旅人になった気分です。レベルは5、装備はかしの杖、旅人の服、皮の帽子、皮の盾―ほら、立派な旅人の格好でしょう?

 そんなふうに、ちょっと得意になって聞こえていると、奥の方から人の声が聞こえてきました。行ってみると、人が、岩の下敷きになっています。岩をどけてあげると、その人は、これで薬を渡せる、と言って、大急ぎで帰っていきました。どうやら今の人が、ビアンカのお父さんの薬を取りに行った人だったみたいです。どうやらこれで一安心。ぼくも、ちゃんとお父さんのかわりができて、嬉しいです。それにしても、大人ってどうしてみんな、あんなに急いで走っていってしまうんでしょうか。とても追いつけません。

 なんだか置いていかれてしまったみたいなので、なんとなく、さっきどかした岩を調べてみました。すると、岩の間から光る物が見えます。取り出してみると、どうやら、「聖なる原石」のようです。何に使うのかはよくわかりませんが、この前井戸で見つけた石といい、なんだか不思議な感じがするので、これもふくろに大事にしまっておくことにしました。

 こうして、ぼくの初めての冒険は無事に終わりました。ちょっぴりこわかったけど、ドキドキして結構楽しかったです。次は、誰かといっしょに冒険したいです。あの洞窟で出会ったかわいいスライムとかと冒険ができたらきっと楽しいだろうなあ。その時のことを考えながら、神父様にお祈りして、今日はもう寝ようと思います。スライムやドラキーといっしょに旅する夢が見れますように。

 

 

 

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2004.3.30

 

 

 

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