サンタローズへの帰還

 

ぼうけんのしょ:P1

 

 今朝、夢を見ました。夢の中で、お父さんは王さまで、ぼくは赤ちゃんでした。ぼくが生まれた時の夢みたいで、お母さんもいました。目が覚めて、お父さんに夢のことを話したら、ねぼけているんだろうと笑われてしまいました。でも、あれはきっと、ただの夢じゃないと思います。だから、この夢のことは、ちゃんと覚えておこうと思います。

 お父さんに、外に出て風にでも当たってこいと言われたので、船の中をたんけんすることにしました。たんすの中を調べたり、たるをこわしたり、鏡に触ってみたりしました。船はとても大きくて、たんけんするのは楽しいです。船のはしっこに行くと、海が広がっていて、とてもきれいでした。そのことを船の人に話したら、「たいたにっくのまねだな」と言われました。「たいたにっく」って、何だろう?大人の話には、ときどきわからない言葉がたくさんでてきます。

 船の奥には、とっても豪華なお部屋がありました。ルドマンさん、という人のお部屋みたいです。こんなお部屋で旅をするなんて、どんな人なんでしょう?

 ぼくは、お父さんとふたりで旅をしています。お父さんは、何かを探しているらしいのですが、それが何なのかはわかりません。でも、お父さんといっしょの旅は、楽しいです。今度は、久しぶりにサンタローズの村に帰るんだと言っていました。ぼくはよく覚えていないのですが、ぼくもそこに住んでいたみたいです。だから、村に着くのが楽しみです。

 まだ村は見えないかな、と思って上に行こうとすると、「島が見えたぞ!」という声が聞こえました。急いで見てみると、久しぶりに緑色のものが見えました。ようやく村に帰れるのです。船の人とお別れするのは少しさびしいですが、きっとどこかでまた会えると思います。船の人は、ぼくに、「お父さんを大切にするんだぞ」と言いました。だから、ぼくは、ずっとお父さんのそばにいて、お父さんを大切にしようと思います。

 お父さんと一緒に船を下りようとすると、誰かが船に乗ってきました。ルドマンさん、と呼ばれていましたから、きっとあの豪華な部屋の人だと思います。ルドマンさんは、僕と同じぐらいの女の子を連れていました。青い髪の、かわいい女の子です。あの子もお父さんといっしょに旅をしているのでしょうか。

 女の子が船に乗り込んだ後、ぼくたちも船をおりました。ビスタは小さな港です。魚がいるみたいでしたが、水が深いので入ることが出来ず、つかまえられなくて残念です。お父さんは、港の人とお話があるみたいで、ぼくに、そのへんであそんでいてもいいと言って、地図をくれました。とてもりっぱな地図です。こんな立派な地図を持つなんて、なんだか大人になったみたいですてきです。この地図は、ぼくのたからものにしようと思います。

 お父さんがお話している間、ぼくは、港をあちこち調べていましたが、そのうち退屈になってきたので、外に出てみることにしました。外は、とても広いです。ちょっと歩いてみようとすると、いきなりスライムが三匹も出てきてびっくりしました。でも、なんだかかわいい感じもします。簡単にやっつけられるだろうと思って戦ってみたら、しゅうちゅうこうげきをうけてしまいました。HPが次々と減っていきます。ど、どうしよう……。思わず泣きそうになってしまっていたら、そこにお父さんが来てくれました。お父さんはとても強くて、あっという間にスライムをみんなやっつけてしまいました。そして、僕の傷をホイミで治してくれました。やっぱりお父さんはすごいです。

 村に行く途中も、何度かモンスターに会いましたが、お父さんはどれもあっという間にやっつけてしまいました。そして、村についた時には、ぼくはレベル3になっていました。ぼくはほとんど戦っていないのに、なんだか得した感じです。

 村につくと、みんな、お父さんが帰ってきたことを、とても喜んでくれていました。ぼくもなんだか嬉しいです。

 家に着くとーぼくはこの家をおぼえていないのですがーそれでもなぜだかほっとしました。ひとやすみしようと思っていたら、二階からいきなり知らない女の子が飛び出してきて、びっくりしまいた。金髪の、かわいい女の子です。その子のお母さんも、後からやってきて、お父さんやサンチョとおしゃべりをはじめてしまいました。なんだかたいくつだったので、ぼくは、女の子について二階へいくことにしました。

 女の子は、ビアンカ、という名前で、ぼくよりも二つ年上だそうです。ぼくは、まえに、この子とよく遊んでいたことがあるらしいのですが、ぼくはぜんぜん覚えていません。ぼくが小さかったからだろうとビアンカは言いました。ビアンカは、「ご本を読んであげる」と言って、お父さんの本を持ってきました。ビアンカは字が読めるみたいです。ぼくはまだ字が読めないので、ビアンカはすごいなあと思いました。でも、なんだかこども扱いされているみたいで、ふくざつなきもちです。まだ字は読めないけど、ぼくだって、もう本を読んでもらうほど子供ではありません。そう言おうかとも思ったけれど、ビアンカはすっかりその気みたいなので、今日はだまっておくことにしました。そのうちきっと、ぼくも字を覚えて、ビアンカをおどろかせようと思います。

 ビアンカは、なんだか難しそうなお父さんの本を持って戻ってきました。「…に…く…せし……」と書いてあるみたいですが、なんのことだかさっぱりわかりません。そうこうするうちに、ビアンカは、この本は難しすぎるからだめだと言って、本をもとの場所に返すと、宿屋に帰ってしまいました。なんだか台風みたいな女の子でした。

 ビアンカが帰ってしまうと、なんだか急に疲れてしまいました。今日はいろんなことがたくさんあったから、ぼくも、もうひとやすみした方がいいのかもしれません。お休みの前にお祈りをしようと教会に行くと、神父さまがほめてくれて、「ぼうけんのしょ」というのを作ってくれました。ぼくはまだ字が書けないのですが、これまであったことを神父さまにお話しすれば、神父さまがそれをこれに書き留めてくださるそうです。それで、ぼくは、今日あったことをみんな神父さまにお話しました。今日はよく眠れそうです。

 

 

 

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2004.3.29

 

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