世界の国々

〜地殻変動後の世界〜

 

 

 この、DQ5の世界は、DQ4の後の世界だということが、ストーリーを追っていくとわかる。だが、この世界と、DQ4の時点の世界とでは、その地形が大きく変わっている。DQ4にはセントベレス山に該当する山がないことを見ても、それは一目瞭然だ。DQ4の時代にあった国々もすっかり姿を消し、当時をしのばせるものは、天空関連のーつまり、神関連のものぐらいである。おそらく大規模な地殻変動があったのだろうが……今回は、2つの時代の地形等をもとに、あのDQ4の世界が一体どのような推移をたどって現在のような世界になったのか、考察してみたいと思う。

 

 まず、2つの地図を比べてみよう。……と、いっても単純に重ねてみるわけにはいかない。それぞれの地図の中心点が同じとは限らないからだ。では何を基準にするか。2つの時代に共通するものを基準にすればいいのだろうが、DQ4の時代にあったもので現存する建造物といえば、天空への塔と天空城ぐらいのものである。しかし、DQ4の時代には天空への塔の真上にあった天空城が、現在では別の場所にある。これを、どう見るべきか。

 天空城は移動可能なことが今回判明したし、墜落の際移動したという可能性もあるから、塔の方を基準にした方がいいように思える。だが、この塔も、DQ4の時代に存在した場所は小さな島。地殻変動の際に流されたという可能性も否定できない。それでもまあ…現状では、この塔を基準にするほかなさそうだ。また、かつてこの塔の存在した島、ゴッドサイド地方というのは、「知られざる伝説」によれば、遙かな断崖絶壁に囲まれているらしく(単に浅瀬に囲まれている、というわけではないらしい)、このことと現在の山に囲まれた地形、セントベレス山の存在等を考え合わせると、やはりこの塔を基準にするのが一番妥当なように思われる。

 ちなみにこの塔、DQ4では地図にのっていないが、大体世界の中心部にあると思われ、移動を考慮に入れなければ、2つの地図をそのまま重ねてもさほど問題はなさそうだ。

 そこで、重ねてみると、以下のような結果となった。

 

キングレオ大陸     →サラボナ大陸

ソレッタ大陸      →グランバニア大陸

サントハイム大陸    ルラフェン大陸(〜ポートセルミ)

ブランカ〜バトランド地方サンタローズ〜ラインハット地方

ロザリーヒル地方    エルヘブン大陸

リバーサイド地方    テルパドール地方

ゴッドサイド地方    セントベレス地方

 

 一つずつ、詳しく見てみよう。

 

<キングレオ大陸→サラボナ大陸>

 南部の形が逆方向を向いているが、比較的大陸の形は保たれており、北部に内海ができている点も同じである。ちなみに、現在この内海には中央にぽつんと小さな島があるがーDQ4の時代にも、それと思しき孤島があり、老人とイエティが淋しく暮らしていた。

 この大陸は、かつてキングレオという国が治めており、キングレオ城のほか、モンバーバラ、コーミズ、ハバリア、そして滅びかけたアッテムトの4つの町村があった。

 しかし、現在はそれらの面影は全くなく、この大陸にある町は、サラボナ(と山奥の村)のみである。特にどこかの国に統治されているというふうでもないようだから、ルドマンを長とする自治都市ではないかと思われる。

 ただ、よく見てみると、かつて地獄の帝王の宮殿に通じていたアッテムトがあったあたりに、現在は封印のほこらがあり、なかなかに興味深い。

 

<ソレッタ大陸→グランバニア大陸>

 この大陸は、最も原型をとどめている大陸ではないかと思われる。

 もっとも、DQ4の時代に比べると、少々面積が小さくなっているようなので、ミントス地方あたりはちぎれて現在の神の塔のある島になっているものと思われる。

 ここは、昔から人口が少なく緑の多い土地であった。人の住む町はミントスとソレッタのみ。ソレッタは一応城だが、完全な農業国で、外見は村と大差なく、国王自らが農作業に勢を出すような国である。現在も森の中にグランバニア城、山頂にチゾットの村があるだけだが、それでも当時よりは発展していると言えるかもしれない。

 あと、ここにはかつて、岩山に囲まれた小さな砂漠の中心部に大きな世界樹とエルフの里があったのだが、流石に今では見る影もない。

 しかし、今も昔も、辺り一面を覆う森は健在で、グランバニアの近くに、かつてのようにエルフの里ができる可能性もあるのではないかと地図を見ていて思った。

 

<サントハイム大陸→ルラフェン大陸>

 少々形は変わってしまっているが、位置からすると、この2つが大体合致するだろう。

 サントハイム大陸と南のエンドール地方が合体し、中央の大陸から切り離されたようである。

 また、かつてその北にあったスタンシアラ大陸が現在どこにも見当たらないところをみると、流されてきたスタンシアラ大陸とも合体している可能性もある。(単にスタンシアラ大陸が沈んだ、という可能性の方が大きいような気もするが。)

 サントハイム大陸は、結構な広さではあったが、その全てがサントハイム王家の領土であり、よく統治が行き届いているようであった。この大陸には、サントハイム城のほか、城下町サラン、テンペの村、フレノールの町があり、南方の砂漠では時折バザーが催されていた(後に移民の町として発展)。

 現在この大陸にあるのは港町ポートセルミ、ルラフェン、カボチ村。統治する国はなくなったものの、人口はそれほど大きくは変わっていない様子。どれも一見自治都市のようだが、ポートセルミでは大商人ルドマンの影響が大きいように思われる。

 

<ブランカ地方→ラインハット地方>

 エンドールより北の、ボンモール〜ブランカ〜バトランド地方。おそらくこのあたりが現在のサンタローズ〜ラインハット地方に相当するのではないかと思われる。

 この大陸は、かつてエンドール地方からロザリーヒル地方にまで及ぶ巨大な大陸だったのだが、現在の地図を見るに、サンタローズ〜ラインハット地方とエルヘブン地方の真っ二つに分裂したらしい。地形の変化も著しく、それ故、ガーデンブルグやアネイル〜コナンベリー地方がどのように変貌を遂げたのかー現在のラインハット地方とエルヘブン地方のどちらにより近いのかー正確に把握するのは難しい。そこで、この地方のことはやむなく考察の対象から外させていただきたい。

 さて、かつてこの地方には、ボンモール、ブランカ、バトランドと小さいながらも三つも国があった。険しい山脈に遮られて、あまり交流はなかったようだが、地図上では意外と近い。どの国もかなり小さいが、一応ボンモール地方には城とレイクナバ、ブランカ地方には城と勇者の住んでいた山奥の村、バトランド地方にも城とイムルの村……と、併せてみればそこそこの人数が住んでいたようだ。

 現在、この地方にはラインハット城、サンタローズ、アルカパ、ビスタ港、滅びたレヌール城がある。無論、かつての国々との関連はなく、人口も大幅に減少している模様。

 よく見ると、ラインハット地方は当然ラインハット王国が治めているのだが、サンタローズ〜レヌール地方は、ラインハットの領土ではないことに気づく(関所の兵士の「ここから先はよその国」との発言から)。恐らく最近まではレヌール城のレヌール王家によって治められていたのだろうが、何十年か前に、魔物の襲撃でレヌール城が滅びてしまったため、統治する者がいなくなったのだと思われる。普通ならそういう場合、すぐに隣国の王などが統治に乗り出してきそうなものだが、そうはならなかったようだ。歴代のラインハット王も欲がない。もっとも、領土を広げたために、滅びてしまう場合もあるのだから、それに配慮してのことだとすれば、ラインハット王もなかなかに賢明な人物である。さすが、ヘンリーのご先祖様。ただ、ニセ太后により悪政が敷かれていた時、ビスタ港ではニセ太后による渡航制限が行われていたから、ラインハットは既に事実上の統治に乗り出しており、徐々にサンタローズ地方を吸収していくつもりなのかもしれない。

 

<ロザリーヒル地方→エルヘブン大陸>

 最大の中央大陸から切り離されて、現在の形になったのだと思われる。

 この地方、今も昔も、殆ど人は住んでいない。山と森に遮られた奥地で、DQ4の時代、このあたりは人の住む土地ではなく、ホビット(とエルフ)の住む村があるのみであった。

 そして現在。ホビットこそいないものの、人里離れた奥地であることには変わりなく、そこには忘れられた村・エルヘブンがあるのみ。魔界との「門」を守る役目を担う人々が住まう村である。山のような地形であることとあいまって、人の住む村というより、何だか仙界のような雰囲気を呈している。

 また、エルヘブンへ行くには「海の神殿」を抜けていくのだがーDQ4の時代も、ロザリーヒル地方の近くに「海鳴りのほこら」という不思議な(小説では「神秘的」とされる)洞窟がある。内部の構造はかなり違うのだが、いろいろな意味で興味深い。この地方には、俗人を寄せ付けない何かがあるのかもしれない。

 

<リバーサイド地方→テルパドール地方>

 その位置と岩山に囲まれた地形から、この2つが重ねられるのだが……その中身は、だいぶ様変わりしている。

 まず、一つの大陸だったリバーサイド地方は、現在テルパドール地方とボブルの塔のある島とに分裂している。

 そして、最大の違いは、砂漠化。

 かつては森生い茂る熱帯雨林、という様子だったが、今は一面の大砂漠。しかし、砂漠のバラの存在などから、かつてこの地方に緑が存在していたことは確かであり、その変化にただただ驚かされる。

 また、かつてこの地方には、流れ込む川沿いに小さな村リバーサイド、その近くに魔神像があり、さらにその奥地には魔族の城デスパレスがあった。しかしそれも、今では跡形もなく消え去っており、いかな魔族といえども天変地異と時の流れには勝てないものだとしみじみと思う。

 現在この大陸は、テルパドールが統治しているが、他に村などはない。地形はともかく、その中身は最も変化の著しい場所であると言えよう。

 ちなみにこのテルパドール、ドラクエにおける砂漠の国の伝統に従って、神秘的な力を持つ女王が統治している。かつて勇者と共に旅をした人物が建てた、とのことだが……一体誰が建国したのだろうか。

 まず、現女王アイシスが未来予知の力を持っていることから、占い師ミネアとサントハイム王家(代々予知の力を持つ)の姫アリーナが挙げられる。……が、アリーナの場合、サントハイム王家を継がずにわざわざ別の国を建国しなければならない理由がないのでその可能性は低い。おそらくミネアだろう。……もっとも、「アリーナへの恋に敗れた神官クリフトが、さすらいの旅に出てテルパドールを建国」という可能性もないではないが……。

 

<ゴッドサイド地方→セントベレス地方>

 冒頭でも簡単に考察しているが、両者とも世界のほぼ中央に位置する島であり、天空への塔の存在から、それが同一のものであることは確かである。

 かつてこの島は、地図にも載っていない小さな島で、天空への塔の他、魔界へ通じる洞窟と、信仰心篤い人々が住むゴッドサイドの町があった。メタルキングの生息地としても名高い。

 ……が、地殻変動でこの辺り一帯の地盤が大幅に隆起したらしく、島は二倍ぐらいの面積になり、北部には世界最高の高さを誇る、セントベレス山がある。その山頂には魔族によって神殿が建てられているが、それ以外にこの地域に住む者はいない。

 もともと、「天空と魔界に通じる土地」であり、普通の人間には立ち入ることのできない場所だったが、それは現在も変わらないようだ。

 

 …以上が、一つ一つ考察してみた結果である。

 全体を通して言えるのは、やはり国・人口が大幅に減ったということだろう。天変地異のことを覚えている者もいないが、それでもまだ人口が完全回復するには至っていない……よほど甚大な被害を受けたのだろう。これも、天空城墜落と何か関係があるのだろうか?

 このあたりの経緯については全く語られていないのでよくわからないが、神様でもこの天変地異を防ぐことはできなかったのだろうか。それとも、3つの扉を作った影響でこうなったのだろうか。

 ……できればここらへんの事情も明らかにしてほしいものだ

 

 

2004.11.27

 

 

 

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