DQ5
一言コラム(2)
主人公の年齢と足跡 |
主人公は、長い長い旅をし、それにつれて年をとった。そこで、物語におけるそれぞれの時点で、主人公が一体何歳だったのかを、その足跡と共に、ここにまとめてみたいと思う。
*[ ]は主人公の年齢。
主人公誕生
[0](グランバニア)↓<1年>
サンタローズ
[1]*1サンタローズ
[4]*2↓
<2年>サンタローズ
[6]↓
ラインハット王、死亡[7]*3
↓*プサン、この頃からトロッコで回り始める。*4
ビアンカ、山奥の村へ[9]*5
↓
大神殿
[16]*6↓
ビアンカと再会〜結婚[17〜19]*7
↓<10ヶ月以上>
双子誕生&即位&王妃誘拐
[20]*8↓
<8年(石)>石化解除
[20(28)]↓
ビアンカ(フローラ)、石化解除
[22(30)]*9
*1 「パパスが来たのは5年前、なかなかの働き者でたちまちみんなの人気者」という、幼年時代・サンタローズの村人のセリフより
*2 パパス「村に戻るのは二年ぶりだな」
*3 ラインハット王は9年前に死亡した、という青年時代前半に聞いたセリフから
*4 かれこれ二十年以上まわっていた、というプサンのセリフから。
*5 ビアンカ達は7年前に宿を売ってアルカパを出た、という話から。
*6 パパス死亡から10年
*7 「10数年ぶりの再会」という言葉から。
*8 即位式の夜、サンチョ「20年前のあの日と…」というセリフから。
*9 ‘10年の歳月を経て、今まさにビアンカがよみがえった!’
パパス、サンタローズ滞在の理由 |
上の図を見てもわかるように、マーサがさらわれてから6年間、ずっと旅をしていたパパス。しかし、その中でもサンタローズの滞在期間は極めて長く、家もあった。一体なぜ、そんなに長くサンタローズに滞在していたのだろうか。
そこで、サンタローズ滞在の利点を考えてみた。
まず、あの家の存在。天空城に関する本があったことからみて、貴重な書籍が数多くあったと思われる。パパスが旅の途中で集めた、という可能性も高いのだが、最初からサンタローズにあったという可能性も捨てきれない。
次に、地理的条件。近くに港もあり、グランバニアと違って世界を旅するのに都合がいい。港というならポートセルミも港だが、あちらよりもサンタローズの方が田舎なぶん、のんびりしており落ち着くことができる。安全そうで、子育ての環境にも良さそうだ。
そんなわけで、サンタローズをとりあえずの拠点と定めたのだろう。
だが、この件に関しては、まだ疑問が残る。
ここで一旦パパスの足跡を振り返ってみてほしい。
まず、旅立ちから一年後にサンタローズに到着。そこで恐らくアルカパの酒場の男から伝説の勇者と天空の装備品のことを聞く。旅の過程でマーサ救出には勇者でなければ不可能との話を聞き、天空の装備を探す。そして、天空の剣を手に入れたパパスは、自分が勇者ではないことを知る。
天空の剣を手に入れたパパスは、それをサンタローズに隠し、その後しばらく家で調べ物に没頭。その後、ラインハットで政争に巻き込まれ死亡。
……気になるのは、ラインハットに旅立つ前、パパスが主人公に、「この件が終わったらお前とも遊んでやれるぞ」と言ったことである。
このセリフはつまり、パパスが旅や調べ物を当分休止し、ゆっくり一カ所に落ち着くつもりである、ということを意味している。しかも、その口調からすると、滞在先はグランバニアではなくサンタローズである模様。
何故、グランバニアではなくサンタローズなのだろうか。
とりあえず、天空の剣を発見し洞窟に隠したが、伝説の勇者なくしてはどうにもならない……という状況。それならもう城に帰っても良さそうなものだ。伝説の勇者を探すにしても、その方が人手があっていいだろう。なのに、パパスにそのような素振りは見られない。何故だろうか。
グランバニアよりも、小さな村・サンタローズの方が安全だとふんだのだろうか。そういえば、天空の剣を隠したのもサンタローズの洞窟だった。グランバニアにいては、パパスは仮にも一国の王。誰にも知られずに剣を隠すことなど出来なかっただろう。各地で子供―それも身分の高い子供がさらわれている事件が相次いでいることもあって、グランバニアに帰るのをためらったのかもしれない。
それとも、辺境のグランバニアにいては、勇者を探すのも大変だし、勇者の方もグランバニアまで来るのは大変だろうと考えたのだろうか。
意地というのもあったかもしれない。きっと、マーサを助けるまでは、二度と戻らぬ覚悟で城を出たのだろう。
パパスらしいとも言えるが……早々に帰っていれば、ラインハットの政争に巻き込まれることもなく、死なずにすんだかもしれないと考えると、なんだか悲しいものがある。
ビアンカの旅 |
ビアンカ親子は、薬を取りにサンタローズまでやって来たり、引っ越しのためアルカパから山奥の村まで移動したりと、かなり長い旅を経験している。しかし、なぜ無事にそんな旅ができたのだろうか。結構強い魔物も出るはずなのに……。
実は、ああ見えてもビアンカのお母さん、結構強かったのだろうか……。
しかし、薬を取りに来た際はそれでいいとして、山奥の村への旅となると、魔物も強くなるし、いくらなんでもビアンカの両親がそこまで強かったとは考えにくい。たぶん護衛を雇ったりしたのだろうが、あれだけの長旅、その全行程に護衛がついていたというのも……。
そこでふと思ったのだが、一般人の場合、魔物の出現率はそれほど高くないのではないか?ということだ。
現に、パパスがビアンカ親子をアルカパまで送っていった時は全く魔物が出なかった。それに、決定的だったのは、カジノ船で、「船長はもう6回も怪物の襲撃を乗り切っている」という自慢げな証言。仮にも一時は世界をまたにかけた船長が、6回しか怪物に遭遇していないとは!そして、それが自慢になるということも考えると……魔物に遭遇するというのは、余程特殊なことらしい。主人公が初めてビスタからポートセルミあでの定期船に乗った時も、全く魔物は出現しなかった。カボチ村の人も、一人でポートセルミまでの道のりを往復している。この地方では決して強いとはいえない山賊ウルフに全く歯が立たず、無害なキラーパンサー一頭をあんなに恐れているのに、である。
無論、聖水をまいていた、という可能性もあるのだが、聖水は自分よりもレベルの低い相手にしかきかない。そう考えると、やはり魔物に遭遇するというのは稀なことで、主人公のように頻繁に魔物に襲われる、というのは特殊なケースなのだろう。これも、魔界の扉を開く力を持つという、エルヘブンの民の血のなせる業か。
石像を見送った仲間モンスター達 |
デモンズタワーで、石にされてしまった主人公達。どうすることもできず、そこにやってきたお宝兄弟に持ち去られ、別々に売り飛ばされてしまった。
……ところでこの時、一緒にいたはずの仲間モンスター達は、一体何をしていたのだろうか。なぜ主人公達が連れ去られるのを許したのか。
まず、主人公達が浴びた、あの石化の光。あの光は、仲間モンスター達も浴びてしまったと考えるのが自然である。しかし、モンスター達は無事だった。これは、人間とモンスターの体質の違いゆえ、と考えることができる。だが、もしかすると、全く何のダメージも受けないというわけにはいかなかったのではないか。例えば、石化とまではいかなくても、長時間マヒ状態に陥るとか……。それならば、モンスター達が何の動きも示さなかったのも納得がいくし、身動きできないのであれば、お宝兄弟にもただの死体と思われて、衝突が起きることもなかったのだろう。お宝兄弟に彼らが殺されなかったのは、不幸中の幸いだが……それでも、もし仲間モンスターが彼らを退け、石像をグランバニアに持ち帰ってくれていれば、と思ってしまうのである。
カボチ村の人々 |
よそ者に冷たいカボチ村。魔物退治を頼まれた件では誤解を受け、村中から白眼視される。
ところが、10年近くたって再び村を訪れると、村は誰でも喜んで迎え入れてくれる、嘘のように温かい雰囲気に変貌していた。どういうわけか、誤解もとけており、「魔物を利用して村を脅した若者」は「村を救った恩人」になっていた。
この変貌ぶりは、一体どうしたことか。「時間が解決する」とはいうけれど、ただ時間が経過しただけで、こうも変わるものだろうか。
私には、この変化の理由は、どうもそれだけはないように思う。思うに、この態度の変化は、村が豊かになったことと深い関係があるのではないか。
思えば、最初にカボチ村を訪れた時は、この村はお世辞にも豊かとは言えない様子で、「働いても働いても暮らしは豊かにならない、一体何でこんな村に生まれてしまったのか……」という嘆きの声が聞こえてきていた。そこへ拍車をかけるのが、魔物出現事件。畑が荒らされ、このままでは飢え死にするしかない、と皆思い詰めていた。そんな状況が村人の心から余裕をなくし、冷たい村にしてしまったという側面は確かにあるのだろう。
だが、再びこの村を訪れたとき、村は安定している様子で、暮らしに対する不満は(田舎すぎる、ということを除けば)聞かれない。これは、村が豊かになったことを意味し、そのため心に余裕ができて、それまでの自分たちの態度を省みるようになったのだろう。
……この村を訪れる時は、その年が豊作か否かを確認してからにした方がいいのかもしれない。
主人公とパルプンテ |
主人公達は、ベネットじいさんの長年の研究成果・パルプンテを教えてもらう。……が、その場に居合わせた者の中で、その呪文を会得できたのは、なぜか主人公一人。最初からルーラを習得していて主人公よりも呪文の素質のありそうな娘や、伝説の勇者も居合わせたのに、どういうわけか、彼らはパルプンテを覚えていないのである。これは、なぜだろうか。
まず、パルプンテを伝授された時の状況から考えると…どうもベネットじいさんは、「パルプンテ」という言葉を何らかの特殊な魔力(?)を込めて発し……その魔力は主人公ただ一人に向けて発せられたものだったので、呪文を習得できたのは主人公一人、という説が出てくる。
また、主人公が二人の子供達よりもパルプンテの素質があったという説もある。主人公は、扉を開ける能力の持ち主・マーサの血を色濃く引いている。天界や魔界へ通じる力=混沌=パルプンテ、ということで、マーサの血を最も強く受け継ぐ主人公が、パルプンテに近い力を持っていた、と考えることができるのである。単純に魔法の素質、ということなら子供達の方が優っているのかもしれないが……パルプンテの素質だけは、主人公が優れたものを持っていたと思われる。
できることなら、その場にいた全員がパルプンテを覚えてくれれば嬉しかったのだが、何かと「伝説の勇者」の前では影の薄くなってしまう主人公、自分にしか使えない有益(?)な呪文ができたことを実はちょっぴり喜んでいたりもする。
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