DQ5 一言コラム(1)

 

 

 

主人公の賢さ

 

 6才の主人公の初期ステータスにおける賢さは、わずか6である。これは、「作戦に従わせることのできる賢さ」―20に遠く及ばない。父親の言うことなど聞かずに自分勝手に戦っていたから、パパスもさぞ苦労したことだろう。幼年時代、仲間になったキラーパンサーがなかなか言うことを聞いてくれなくてやきもきしたが、人のことは言えないのである。―第一、ベビーパンサーの初期の賢さは7で、主人公よりも上なのだ。

 賢さ6,というのはホイミスライムと同じ値である。ふわふわと宙を漂い、可愛いけれど何を考えているのかよくわからないホイミスライム…6歳児の知能は、そのホイミスライムと同じだということである。

 ちなみに、8才だったビアンカの初期の賢さは20。ちゃんと作戦に従ってくれる。また、同じく8才の息子は賢さ22,娘は30である。父親の言うことをちゃんと聞いてくれる、良い子達なのである。

 もっとも、サンチョの話によると、二人の子供達も、小さい頃はすぐにどこかに行ってしまって大変だったらしい。6才と8才では大違い。この時期の子供は、年齢とともに急激に賢さが上がることが窺える。

 

 

なぜか物知り、酒場のオヤジ

 

 アルカパの酒場のお姉さんの父親は、どういうわけか、伝説の天空の勇者についての話を知っている。天空の武器防具の名前にとどまらず、エスタークのことまで口にしているのだ。正確にはその名を覚えていないようだが、まがりなりにもエスタークについて言及しているのは、この世界で彼・ただ一人なのである。

 一体何故、彼はこんなことを知っているのだろうか。確かに酒場と言えば、色々な情報が集まる場所だが、それにしても、こんな情報がそう簡単に飛び込んでくるとは考えにくい。

 ひょっとすると、この男は、実はレヌール城にいた学者か何かの子供だったのではないだろうか。城が魔物に襲われた時になんとかアルカパまで逃げ延びて、そのままそこに住み着いた……考えられない話ではない。それにレヌール城といえば、ゴールドオーブを王と王妃が秘かに守っていた所である。本も多く、ミルドラースの名を口にする学者までいて、様々な伝説が伝わっていたのだろうと思わせるのだ。

 ひょっとすると、パパスも、この男から天空の勇者、そしてその武器防具について聞いたのかもしれない。……考えれば考えるほど、この男、ただ者ではないのである。

 ところで、サラボナの酒場の男も、「ツボが赤いのは危険」と知っていた。封印のほこらのことを知っているのか、それともインパスについて知っているのか。……いずれにせよ、普通の人は知らないはずのことである。

 ……人間というのは、本当に、外見では判断できないものである。

 

 

ルーラより早い連絡方法

 

 ルーラより早い連絡方法があるのだろうか。

 そう不思議に思ったのは二度。

 一度は、サラボナでシルクのヴェールをとって戻ってきたら、もう結婚式の準備ができていて、ヘンリーとマリアに会えた時。二人に招待状を書いたのは、昨夜のはずなのに……。

 二度目は、結婚後すぐポートセルミに行くと、もうルドマンからの知らせが届いており、船に乗れた時。

 一体いつの間に……?と、誰しも思うだろう。

 まあ、船に関しては、主人公が水のリング(あるいは炎のリング)を持ち帰ってすぐに、ルドマンが使いを出した……とすれば納得できる。

 問題は、ヘンリーとマリアである。

 ヴェールをとりに行くときに、ラインハットにも寄ってみたのだが、二人の様子はいつもと変わらず、招待状はまだ届いていないようだった。いや、届いていたとしても。ラインハットからサラボナまでは結構遠い。サラボナから山奥の村までの往復よりも、時間がかかるはずである。ましてや、ヘンリーは仮にも一国の重要人物。マリアも一緒だし、サラボナに行くまでの準備もいろいろ必要だろう。それが、あんなに早くサラボナに到着するとは……。

 しかし、どう考えても、ルーラより早く移動できるとは思えない。キメラの翼は、直前に寄った町までしか辿りつけない、という特徴があるし。

 ……が、方法がないわけではない。

 まず、ルドマンは、主人公が炎のリングを入手直後に、招待状を持たせた二人以上の使者を、ラインハットへ派遣。

 使者Aは、町には入らずそのまま外で待機。

 使者B以下は、城に入り、ヘンリーに招待状を渡す。

 そして、使者B達はヘンリー夫妻を連れて、町の外にいる使者Aと合流。

 使者Aがキメラの翼を使う。

 ……こうすれば、復路の時間を短縮できる。

 これなら、主人公が結婚相手にシルクのヴェールをかぶせている間に、ヘンリー夫妻はサラボナに到着できそうだ。

 

 

身分証明

 

 二十年近くの歳月を経て、グランバニアに帰還した主人公。しかし、主人公がパパスの息子であることを疑う者は、誰もいなかった。人のいいオジロンだけならまだわかるが、国民のうち誰一人―あの大臣でさえ、主人公が偽物だとは疑わなかった。これは、何故だろうか。

 主人公は赤ん坊の時に国を出たので、曲がりなりにも顔を知っているのはサンチョだけ。そのサンチョも、一緒にいたのは主人公が6歳の時までである。

 いくら王の信任が厚いとはいえ、そんなサンチョの証言だけで、主人公をパパスの息子だと判断してもよいものだろうか。サンチョに悪意はないとしても、願望のあまり、たまたま王子に似た若者を見て、パパスの息子が帰ってきたと思いこんでしまっているのではないかと疑う者がいてもおかしくはない。

 ……だが、なぜかそう口にする者は一人もいないのだ。

 確かに、主人公の瞳は「マーサに生き写し」らしいし、髪もパパスに似ている。だが、それだけでは決定打にはなり得ない。

 モンスターを連れていたからだろうか。それがマーサの血を引いていることの証明になったのだろうか。…しかし、それだけでは「単にエルヘブンの関係者」という可能性も排除できない。

 もっと有力な身分証明になるものはないだろうか。

 そこで出てきたのが、「パパスの剣」と「パパスの手紙」である。

 パパスが城を出たときに持っていたであろう剣と、パパスの筆跡で書かれた手紙。そして、それを持つ青年にはパパスとマーサの面影があり、マーサの能力も受け継いでいる。

 ……ここまで来れば、確かにこれは決定的。疑う者がいなかったのも頷けるのである。

 

 

古代遺跡(トロッコ洞窟)の謎

 

 天空城に行くために通った、「地下遺跡の洞窟(トロッコ洞窟)」。あれは一体、誰が作ったのだろうか。

 「遺跡」というからにはそれなりに古いもののはずだが、少なくともDQ4の時代には、このような遺跡は見当たらなかった。地殻変動後に作られたのか、それとも地殻変動によって、埋もれていたのが地上に出てきたのか。

 だが、「トロッコ」という言葉が存在していることからすると、そこまで昔のものではないだろう。ただ、ピピンが「魔法で動いているのだろうか」などと発言していたので、一般にはあまり馴染みのないもののようだが。

 最大の謎は、何故これが天空城に通じていたのか、ということだ。

 ひょっとすると、この洞窟、天空人が掘ったのだろうか?まあ、まさか全部掘ったわけでもないだろうが、天空城から、徒歩で行ける最後の地点までぐらいは……。あそこから先は、蒸気機関のようなものがそこら中にあり、それまでの所とは、明らかに雰囲気が違う。

 天空城から脱出する際に掘ったのが、たまたまトロッコ洞窟につながったのか。しかし、いくら天空人でも、わずかな時間であれだけのものができるとは思いにくい。事実、大半の天空人は、時間を止めて眠っていたし、DQ4の頃から人数がかなり減っていることを考えると、落下時の衝撃での犠牲も多かったと思われる。

 では、あれは、湖に沈んだ城を見つけた人が、なんとかしてあの城に行ってみようと掘ったものなのか。途中から遺跡の雰囲気が変わっているのは、その試みを知った天空人が、人間に手を貸したからだとか……。

 その場合、その話があまり伝わっていないのが気になるが……ひょっとすると、落盤で遺跡の入口が塞がって帰れなくなったのかもしれない。そして、それを知った天空人が、マグマの杖を探し出し、天空の塔で、天空城を浮上させることができそうな人物を待つ……ということがあったのかもしれない。

 何にせよ、こうして無事天空城を浮上させることができたのは、彼らの陰の努力の賜物である。

 

 

 

 

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