天空の塔は、いつ、誰が、何のために造ったのだろう。

クリフトが、「人が造ったものではない、神聖な感じのする塔」だと言ってい

たので、恐らく造ったのは天空人だろうが……一体何のために造ったのだろう？

人間との接点を持つためだろうか？

　しかし、あの塔は天空の装備を揃えたものでないと入れない。実際、地上の

人間が塔を訪れたのは「何百年ぶり」というし。それだけ切羽詰まって人間が

必死になるだけの理由がないと、神への陳情は認められない、ということだろ

うか。あまり頻繁にぞろぞろ来られても困るだろうし。でも、滅多に使われな

いのにあれだけの塔を造るというのはもったいない気も…では、翼が折れてし

まった天空人のためでもあるのだろうか？

　だが、この問題を検討する前に、論じるべきさらに大きな謎がある。すなわち、

「なぜ天空の塔に魔物がいるのか！？」ということである。人間は、天空装備

を揃えないと入れないというのに、あれだけの魔物が入り込んでいるのである。

そして、扉が破られた形跡もない。

　恐らく魔物には。入塔を拒むあの力が働かないか、もしくはあの魔物は

「天空へ上る者への試練」として入塔を許可されたかのいずれかだろう。

　後者だとすれば、あの塔は人間のためだけに建てられたという可能性が高い。

もっとも、マスタードラゴンの怒りを買い、地上に追放された天空人への試練

ということも考えられるが。また前者だとすれば、人間にも天空人にも使える

ように造られたということになる。あの塔にいるのは強力な魔物ばかりなので、

あの不思議な力を跳ね返すだけの強さを持っていたとしても不思議ではない。

　どちらなのか決め手にかけるため判断はできないが……何にせよ、滅多に

使われないこの塔を建て、管理している天空人達はすごいと思う。

　天空人達は入塔者へのチェックはもちろんのこと、内部の点検・補修もして

いると思われる。その証拠に、天空城が地上に落ちた５では、４から４００年

しか経っていないのに、この塔はボロボロなのだ。４では「何百年も前に」地

上の人間が天空城を訪れており、その手段としてはやはり天空の塔が考えられ

るので、天空の塔は随分前に建てられたと思われる。そして、４の時点でもで

きたばかりのように美しい。それがたった４００年であそこまでボロボロにな

ってしまう……この４００年であそこまでぼろぼろになってしまったのは、天

空人が管理できなかったから＝それまでは天空人が管理していた、と考えるの

が妥当だろう。もっとも、ぼろぼろになったのは、４から５の間に起こった地

殻変動のためという可能性もある。だが、あれだけたくさんの魔物が住み着い

ていることでもあるし、管理されない塔があんなに綺麗に保たれている方がお

かしいと言える。強力な魔物が多数出現する塔を補修するのだから、天空人の

中には結構強い人もたくさんいるのかもしれない。ルーシアはそんなに強くな

かったけど…もしかすると、あそこで育てているドラゴンを護衛にして、補修

していたのかもしれない。

　こうしてみると、天空人も結構大変かもしれない。