ピサロをパーティーに加え、最も不思議なのは、ピサロが作戦に従うことである。

仮にも魔族の王であるピサロが、恩人とはいえ、ついさっきまで宿敵であったはずの

勇者の命令に従うのは、たいそう奇妙なことに思える。

　 「みんながんばれ」や「ガンガンいこうぜ」あたりならまだしも、「めいれいさせろ」

や「おれにまかせろ」などにまで従うというのが不思議だ。ピサロなら、「行動は共に

するが、そっちはそっちで勝手に戦え。こっちはこっちで勝手に戦う」とでも言いそう

な気がするのだが。

　 まあ、ロザリーヒルの住人の話では結構面倒見もよさそうだから、

「ピサロさん、援護お願いします！！」とか

「ピサロさん、あいつを攻撃してください！」

　 などと頼まれると、「まあいいだろう」と引き受けてしまうのかもしれない。側にはロザ

リーもいるから、勇者達と仲良くしないとロザリーを悲しませてしまう、というのもある

かもしれないが。

　 そういえば、勇者達が寄り道ばかりして異次元の洞窟にまで潜っていっても、ちゃんと

ついてきてくれる。恐らくロザリーの力によるところが大きいだろうが、ピサロもかなり

心が広い。さすが魔族の王は、器が大きい。

２００３．６．１３