竜王一族の謎

 

 DQ1で、人間達を、恐怖に陥れた竜王。

 様々な状況からすると、この竜王は、DQ3のあの竜の女王の卵が孵ったものだという可能性が高い。

「いずこかより現れた竜王」という記述からも、この竜王が上の世界から来たものであることが伺える。ロトが見たあの卵かどうかはわからないが、とにかく竜の女王の子孫だという点ではまず間違いないだろう。

 しかし、まがりなりにも神とも呼ばれる竜の女王の子(もしくは子孫)である竜王はが、一体なぜ非行に走ったのだろう?それについて、少し考えてみたい。

1,竜王は忌み子であった。

  1. 実は竜王は人間年齢にして十歳程度の子供。
  2. 人間に迫害された。
  3. ロトと戦いたかった。

 などの説が考えられる。ここで一つ一つ、見ていこう。

 まず、一つ目の説から。天界に近い竜一族は、生まれたのが雌なら女王となり、雄なら忌み子として別の世界に捨てられる習慣があった……って、どこかの雪女の一族じゃあるまいし……。

 でも、あの卵が実は双子だったとか、竜王は直接の子ではなく竜の女王の子孫で、兄弟などの他の竜一族との跡目争いだか勢力争いだかに敗れ、幼い時に捨てられてグレた、もしくは戦い敗れて居場所がなくなり、落ち延びた先がアレフガルドだった……などの可能性はあると思う。

 次に、二つ目の説。実は竜王は、竜の寿命からすると、まだほんの子供……という可能性である。もちろん未成年で、人間の年齢にしたらせいぜい十歳といったところ。確かに強大な力を持ち、立ち居振る舞いこそ大人に見えるが、それは教育か習性かのたまもの。まだまだ子供の竜王は、母が恋しく、アレフガルドまで母を捜してやってきた。母は「遠い国にいる」と聞かされていたので、探せば見つかると信じていたのだ。そして、母は見つからなかったものの、かつて母のものであったはずの「光の玉」がラダトームにあるのを見つけた。なぜ自分の知らない人間達が、母のものを持っているのだ……と、竜王は腹を立て、それを返すように人間に言ったのだが、人間達は聞く耳持たなかった。そこで力ずくで光の玉を奪い返し、ついでにローラ姫をさらったのだが、それがきっかけで人間達と全面戦争になってしまった。光の玉があったことから、ここには何らかの手がかりがあると思われたが、これではゆっくりと母を捜すこともできない。また、一連の事件から、竜王は人間をあまり好ましく思っていなかったので、人間を滅ぼして、アレフガルドを自分好みの世界に変えた後、母を見つけ出してここでしばらく一緒に暮らそうかと考えたのだ。それに、ここですごいことをすれば、後で母親を見つけたとき誉めてくれるのではないか、いや、人間を全て滅ぼした時に、母は自分のところに姿を現してくれるのではないか……といった期待を抱いてもいた。そんなわけで、竜王は人間滅亡計画に着手したのである。子供は、時として、残酷になれるものなのだ。……とまあ、二つ目は、こういう推測である。子供にしては、あの交渉は悪どいのではないか、悪知恵働きすぎなのではないか……といった疑問は出るのだが。

 そして、三つ目。上の世界では神として崇められていた竜王だが、ある時下の世界に行ってみると、人間達に迫害されたため、彼らを憎むようになった、というものである。竜王自身は実際に迫害されていなくとも、人間の暗黒面を見て人間が嫌いになり、滅ぼすことを決意した、とか。まるで「ダイの大冒険」だが、その可能性は皆無ではないと思う。この場合、上の世界の存亡が危ぶまれるが、神竜もいることだし、多分大丈夫だろう。竜王の関心も、上の世界の人間よりも、光の玉を持つアレフガルドにあったと思われる。

 最後に四つ目の仮説について。ロトと戦ってみたかったー母に認められた人間にただ会ってみたかった、母に認められた人間に嫉妬してやっつけてやりたかった、自分より強い者がいないので退屈になり、地上最強の勇者と言われたロトと戦ってみたくなったー理由は色々考えられるが、とにかく竜王は、ロトと戦ってみたかった。だが、肝心のロトがどこにいるのかわからない。そこで、人間と全面戦争を始めることにした。そうなれば、ロトはきっと自分を倒しに来るはずだと信じて。実際にやってきたのはロトではなく、ロトの子孫だったが、欲に溺れて自分の駆け引きに応じることもなく、そして強かった。―きっと、本物のロトもこんな感じだったのだろう。竜王は満足した。竜王は、ロトと戦うためだけに、このようなことを始めたのである。なかなかどうして、大した心がけではないか……という感じである。だが、話としてはなかなか面白くなるかもしれないが、竜王はロトと実際に会ったわけではないので、今ひとつ決め手に欠ける。私としては、割と好きな展開なのだが。

 なお、「ロトの紋章」にはちゃんと竜王が登場している。この竜王とロトの子孫との、DQ1での戦いの場面が描かれたら、なかなか面白いことになりそうなのだが……ぜひ見てみたいものである。

 ところで、DQ2には竜王の子孫が登場するが、竜王は、一体いつ、どうやって、子孫を残したのだろう?

 DQ1で竜王を倒した時は、それらしいものは見当たらなかったが、これは単に勇者が見落としただけ……と考えれば納得できる。DQ2の竜王の子孫が相変わらずあの地下城にいること、そして竜王がアレフガルドにやってきてから倒されるまでの期間を考えると、竜王の子は、上の世界ではなくあの地下城で生まれた、ということになるだろう。

 問題は、どうやって子孫を残したか、である。あの時代、アレフガルドに竜王と同族のものがいたとは思えない(いたら困るが…)。他の竜族(キースドラゴン等)と子を成したのか、それとも竜王一族は神の一族のようなものなので、一人でも子を成すことができるのか。前者なら、竜王の子孫の力は弱まっていくかもしれないが、まだ何代も繰り返されたわけでもなく、竜王の子孫とは戦うこともなかったので、これは確かめようがない。どっちもありそうな気がする。ただの竜族ではなく、神とも呼ばれる竜の女王の子孫だというところが話をややこしくする。

 しかし、これを見ていると、子は親に似ないものだなあと思う。竜王一族は、親子が正反対の性質を持つようにでもなっているのだろうか。こうなると、竜王忌み子説にも信憑性が出てくるが……はてさて。そうすると、DQ2からまた何百年後かに、竜王が人間に全面戦争を仕掛けるのだろうか。気になるところである。

 

 

2003.10.13

 

 

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